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偶然の音楽



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【この小説が収録されている参考書籍】
偶然の音楽
偶然の音楽 (新潮文庫)

偶然の音楽の評価: 4.27/5点 レビュー 37件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.27pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全37件 21~37 2/2ページ
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No.17:
(4pt)

完結させることの難しさ。

掴もうとしているチャンスが自分に有利であると感じたとき、
人は、大きなプレッシャーを感じてしまう。

誰の人生にも不思議と分岐路が存在し、
それを制するかどうかで大枠は決まってしまうのだ。

彼らは勝利を掴みかけていた。
おおよそ勝負がついたかと思えたとき、ふと目を瞑り冷静を保ちたいと思った。
運命が変わってしまう前に、少しだけ外の空気が吸ってみたいと思ったのだ。

ところが、我に返った時には掴みかけていた幸福は去り
過去も未来も持てるもの全部を失ったことに気づく。

それから先はもうどこにも辿り着くことはできない。
人生は彼の手を離れてしまった、永遠に。

残念だったね、物語は終わった。ジ・エンドさ。
こんな風に主人公の人生と物語は終わってしまう。
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No.16:
(5pt)

寂しくて気が狂いそう

何度も読み返したお気に入りの本のひとつです。とても奇妙で、不気味すら感じます。ささやかなパーティーの中で生まれた「偶然の音楽」。のちに主人公が娼婦に思いを語る言葉に、胸がしめつけられます。
「寂しくて気が狂いそう」この本をまたいつか読み返してしまう理由です。
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No.15:
(5pt)

この作品の最大の弱点は面白くなるまで五十ページほどかかること。オースターですからおもしろいに違いないと思いながら読んだけれど、最初は正直きつかった。しかし、だいたい百ページを越える頃になるともう読むのをとめられなくなってしまった。

 主人公のナッシュは実は狂っているんじゃないだろうか。それもクールに狂っている。彼の物語(人生)は物語が始まった時点で終わっていた。自己完結していたのだ。けれど、彼はたぶんそれが許せなかった。車を使ってあっちこっち走りまくって「前進」しようとしていたのだ。けれど、それが間違いであると気づく。そこには深い絶望があった。ナッシュは間違いなく物語をリスタートさせようとしていた。

 なんて話してもしかたがない。読者は館でのポーカーの展開にハラハラすればいいのだし、一度壊れた壁を石を修復(リスタート)させようとする、本人の物語(人生)とはまったく関係ない作業に無常さを感じていればいい。傑作。

 それにしても、まさかオースターがこんな「カイジ」みたいな話を書くとは…。
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No.14:
(5pt)

冒険と哀愁と哲学がぎっちりと詰まった、凄い小説。

妻と娘を手放した34歳のナッシュは、遺産と孤独を新車に積んで、アメリカ中を車で移動する。「旅」というより「ひたすら移動」だ。

途中、路上で血だらけの若者ポッツィを拾う。そこから物語は、奇妙な展開を繰り広げ、あれよあれよと予期せぬ方向へぐねぐね曲がりながら突っ走り、壮絶なエンディングへ。

込み入ったストーリーに込み入った感情描写だが、シンプルでドライな筆致にまとまっているので、とても読みやすく、ぐいぐいと引き込まれる。

社会的な落伍者ではあるが、与えられた苦境に精一杯適応しようとする、憎めない主人公2人に、私は深い同情と共感を覚える。

冒険と哀愁と哲学がぎっちりと詰まった、凄い小説。
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No.13:
(3pt)

これが前衛的ってことなのでしょうか

この人の描く登場人物の世界観はすごく独特。日本で言うところの村上春樹さんとかと重なる印象があります。登場人物の考え方が、私たち一般人からすると、理解し難いというか、少しだけずれているというか。そのため完全に共感はできないけれど、まったくの異質ではないため、ところどころで強く感情を動かされます。

思うにポールオースターは、全体の構成や伏線などの物語全体の構成や完成を追求するのではなく、まさに自分を表現するといった芸術家本来のタイプに近い作家さん(というか本人が積極的に選択している)なのだと思います。

こうなってくると、あとはもう読む人個人の問題であって、私ごときが評価するのもおこがましいのですが、本好きな方は、一度読んでおいて損はないと思います。

個人的には物語として完成度が高い、”最後の物たちの国で”が一番なんですけどね。
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No.12:
(5pt)

バカの壁でなく、年齢の壁?

巨匠、ポール・オースターの傑作とおもいます。主に男性において、30代終わりにさしかかる年齢で精神的な壁があります。カンタンに片付けてしまえば、青春の終わりといったところのものですが、かなり深刻な問題になるかもしれません。といったお悩みをおもちの方に推薦します。おおくの日本人は仕事がいそがしくて、そういうことを考えないかもしれません。しかし、いつかはやってくるものですよね。本書は、壁をのりこえてしあわせな中年になった話ではなく、青春の最後にギャンブルという冒険にはしったことがきっかけで、残酷なラストをむかえます。ラストに行き着く過程も醜く残酷です。しかし、ながく印象に残る名著だとおもいます。
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No.11:
(2pt)

どうかねえ

休暇中に1冊読もうと購入しましたが、いまいち読後感がすっきりしない作品です。というか面白い本には少なからず読者を引き込む麻薬みたいなものが含まれているものですが、これはずいぶん意思がつよくないと最後まで読む気になれません。
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No.10:
(5pt)

壁を作る

このひとの本には珍しく、「ムムッ、どうなるのか」と引き込まれた。なかなか抜け出せない極限の世界というのは興味引いたが、ちょっとオチが浅くないかい。オチというか、もうちょっと結末がきちんとしててもよかろうに。でも、やっぱり話の展開と文章は独特のお洒落さ。芳醇だね。
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No.9:
(4pt)

静かに激しい

抑えがたい衝動って、あるのだろうか。損得勘定を抜きに、破滅してもいいと思える衝動って、本当に衝動の形をとって現れるのだろうか。一般的に言われるように、それは瞬間的なものではなく、結局言い訳を山ほど思いつき、そして冷静な判断とのギャップを乗り越えて進んでいくことになる、と言った種類のものなのだろう。そう強く納得させられる作品。本当に良く書かれています。
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No.8:
(4pt)

衝動的な欲望が最後まで話を引きつける

ごく普通なアメリカ人の中流階級の主人公が離婚と遺産相続を切っ掛けにどんどん自分の世界にのめり込んでいくストーリー展開に引きつけられた。金があって妻もいない環境はある意味あらゆる事に対して自由だ。その環境がどんどん主人公の欲望を駆り立ててるようにも見えた。話が進むにつれて環境的な自由から精神的な自由を求めてる用にも感じられた。衝動的な欲求で動かされる主人公がどんどん自分の世界に入って行く行動が破滅的でもあるけれど自分が過去にやってこなかった物に対して清算してるみたいで前向きにも感じられた。主人公が1人になった時の精神状態の狂気と欲望があまりにも素直に書いてあったので作者の自己をさらけ出す表現力に驚いた。
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No.7:
(3pt)

人は何故破滅するのか

周囲を見回し自身の現状を知ることを拒否するために、自らの視野を狭くすることで当然予測すべき危機を「予測できなかった」ものとするために、重要なのことは目前の事柄一点だけだと自身をだまし続け、ひたすら破滅へと向かって走り続ける主人公の姿は、前作の『ムーンパレス』にも少し見られました。しかし、『偶然の音楽』では、冒頭で結末が明らかにされており、問題も「いかに破滅するか」という一点に集中しているので、より閉塞感が強いと思います。億万長者のフラワーとストーン、その使用人のマークスと彼の義理の息子フロイド、主人公のジム・ナッシュは彼らの内にある狂気と暴力を感じ取りましたが、それこそが彼自身の内にある狂気と暴力が見せた幻影ではなかったのか。彼が最後まで気遣った賭博師のポッツィでさえ、事実を捻じ曲げ、破滅の道を行くことを不可抗力だったと結論づけたいナッシュが、自らに捧げる生贄ではなかったのか。そんな風に思います。何を思ったときに人は破滅を望むのか。また、ひとたび破滅願望に取り付かれた人間は、どう行動するのか。考えさせられる作品でした。
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No.6:
(4pt)

予想できないエンディング

はじめて、ポール オースターの作品を読んだのですが、面白いです。途中にポーカーをする場面が登場するのだけど、これが手に汗握る(?)ほど良く書けています。ニューヨーク三部作といわれている作品も読んでみたくなりました。ただ、突然のエンディングで謎は深まるばかり。気になって夜も眠れなくなりそう・・・。
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No.5:
(3pt)

破滅礼賛

「偶然の音楽」は,この後の一連のもっと質感のある作品群の先駆けにあたる。その意味で輪郭の明確な小品を作ろうとしたものだったのだろう。「望みのないものしか興味のもてない」主人公が疾走の挙句,自分が走っているのか世界が向かっているのかわからなくなった不動の車内で,ハンドルさばきを誤ることで起きるラストの衝突。道を外れて衝突したことで初めて動いていたことがわかる皮肉なラスト。このようなクリアなセリフでクリアな破滅に向かえる人生が生きられたら、どんなにか素晴らしいことだろう。
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No.4:
(5pt)

なにはともあれ、ただただ面白い!

色々な深い(?)意味やメタファーがちりばめられてはいるのでしょうが、私が言いたいのは、そんなこむつかしい事はおいといて、この本も他のオースター作品同様にただただ面白い!!文章もこなれていて非常に読みやすく、一度読み出すとその世界に引き込まれてしまう。それでいて、読み終わったときになんともいわれぬ味わいがある。こんな小説を書き続けてくれる作家を私は他には知りません。私はポール・オースターと翻訳者の柴田先生というコンビがいつまでも作品を世に供給し続ける事を願ってやみません。
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No.3:
(5pt)

「偶然の音楽」の切なさ

幽閉とも、あるいは内面的世界の醸成ともとれる「壁づくり」。彼はなぜそこに留まるのでしょう。ありとあらゆるメタファーを読み解くおもしろさももちろんですが、単純に、魅力的なキャラクター(主人公ナッシュ、ポッツィ)やストーリーがページをめくる手を止めさせません。ダグラス クープランドの小説の主人公にどこか通じるような、もはや切なくひからびてしまった「行き場のなさ」。けれども焦燥感を抱くというよりは、むしろ穏やかに自分自身と向き合う、そしてそこから生まれる偶然の音楽…。いつの間にかナッシュに強烈なシンパシーを感じるようになっていました。現代アメリカ文学が好きな人、とりあえず必読です。
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No.2:
(5pt)

読まないと損ですよ

全体としてとても不条理な世界が展開されるのですが,なぜか自己投影できる世界。
安部公房の「砂の女」をちょっと思い出します。あちらは「砂」を穴から出し,こちらは「意志」じゃなかった「石」を積み上げるストーリーです。
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No.1:
(5pt)

きらめきと石

久しぶりに心ときめく小説との出会い。「スモーク」など映画では親しんでいたポールオースター作品だったけど、なぜもっと早くに読まなかったのかが不思議なくらい。たんたんとしていながら、一字一句が乾いた心を震わせるような…。主人公が音楽を聴きながらドライブをする場面。景色がもとからあったのか、音楽があったからこの景色が生まれてきたのかわからなくなる錯覚を感じる。どこかで感じたとのあるような。JGバラードなどとはまたひと味違った「石」の感覚もおもしろい。バラードの「石」が人間の時間を超えた鉱物なら、ここにでてくる石は、人間の時間を見てきたまさに壁。やさしくもない、でも完全につきはなしもしない。せつないような、でも心の痛み…。 すべての言葉に魂をもたせた翻訳もかなりのものなのだろうな。
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