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最後の物たちの国で
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最後の物たちの国での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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本作の内容はいたってシンプルなので、中身にはあまり触れないほうがいいだろう。〜ディストピア小説の成功するキーは、危機的状況の中での緊張感をいかに文体で演出できるかにかかっている。レビューのタイトルに記したように「いまいち」というのは、本作が物語の中心に入っていくにしたがって前述した緊張感がいくつかの場面を除いて、保たれていないところがあるためだ。〜書き出しはいい。しかし、物語に入っていくまでの前段がやや冗漫。かつ、物語にはいっていくにつれ--いくつかの場面を除き--「どうも引き付けられないな」という印象がぬぐえなかった。ポール・オースターの他の作品同様、文章は巧い。ディテールもしっかり書き込まれていて、稚拙なところもほとんどない。それなのになぜ面白くないのか。この原因は前述した、文体に危機的な状況を演出する筆力がかけているためと、主人公アンナの生活がディストピアの中において危機感を欠く、すこし強い言い方をすれば大部分が牧歌的なモチーフでストーリーが展開しているためだ。その点でいうと、コーマック・マッカーシーのディストピア小説の名作『ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)』の足元にも及んでいない。文体に緊張が演出されていないのは英語ができない僕にとって、原書の要因なのか翻訳が要因なのかは判別がつかない。〜著者の大部分の作品を読んで思うのだが、オースターの才能はやはり奔放な展開をみせるリアリズムに準じたところにあるのではないか。そういう印象を持ったのが読後の感想だ。 | ||||
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本作の内容はいたってシンプルなので、中身にはあまり触れないほうがいいだろう。〜ディストピア小説の成功するキーは、危機的状況の中での緊張感をいかに文体で演出できるかにかかっている。レビューのタイトルに記したように「いまいち」というのは、本作が物語の中心に入っていくにしたがって前述した緊張感がいくつかの場面を除いて、保たれていないところがあるためだ。〜書き出しはいい。しかし、物語に入っていくまでの前段がやや冗漫。かつ、物語にはいっていくにつれ--いくつかの場面を除き--「どうも引き付けられないな」という印象がぬぐえなかった。ポール・オースターの他の作品同様、文章は巧い。ディテールもしっかり書き込まれていて、稚拙なところもほとんどない。それなのになぜ面白くないのか。この原因は前述した、文体に危機的な状況を演出する筆力がかけているためと、主人公アンナの生活がディストピアの中において危機感を欠く、すこし強い言い方をすれば大部分が牧歌的なモチーフでストーリーが展開しているためだ。その点でいうと、コーマック・マッカーシーのディストピア小説の名作『ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)』の足元にも及んでいない。文体に緊張が演出されていないのは英語ができない僕にとって、原書の要因なのか翻訳が要因なのかは判別がつかない。〜著者の大部分の作品を読んで思うのだが、オースターの才能はやはり奔放な展開をみせるリアリズムに準じたところにあるのではないか。そういう印象を持ったのが読後の感想だ。 | ||||
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最初の数ページは意味がわからず、何度も挫折しかけた。 けれども物語の語り手が、その国にいる理由がわかってからは、読んでいる手を止めることができなかった。 「なぜ」という疑問が解き明かされることはない。 「最後の物たち」に囲まれながら、希望を持って、時には人を愛してしまう人々の姿がとても悲しい。でもきっと、この状況になったら誰かを一生懸命好きにならないと、生きてはいけないのだろうなと思えた。そんな相手も、「最後の物」として消えてゆくのだと知りながら。 | ||||
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舞台は未来のアメリカのどこかの都市だ。そこではすべてが崩壊に向かっており、何も生産されていないし、子供も生まれない。人々は資産を切り売りするか、ゴミを漁って使えそうなものを探して売るぐらいしか生きるすべがない。その都市に入ることはできるが出ることは極めて困難だ。 主人公はその都市に行ったきり音信不通になった兄を探すために、自分もその都市へ入った若い女性の物語である。必死で日々の糧を稼いで、絶望的な中でも愛をみつけて、そしてある慈善事業に参加するのだが、常にやすらぎは一時的で否応なしに終末が迫ってくる。 この異常な舞台を描く作者の描写は見事で一気に読ませるが、読後感は余り良いものではなかった。 | ||||
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~ポール・オースターの最高傑作である私が考えている"Moon Palace"を読んだ直後にこの本を読み始めましたので、評価がきつくなるのは仕方がないことだとおもっています。"Moon~~ Palace"を読んだ直後でなければ星は四つになったとおもいます。出だしは好調なのですが、本当の物語が始まるまでの導入部が少し長過ぎたと感じています。もう少しコンパクトにすればよかったのにとおもっています。それと、ラストの部分が少し拍子抜けでした。えっこれで終わり、という印象がぬぐえません。とは言っても、この小説はひととの出逢いや~~出逢ったひとたちとの心のふれあいが精密に描かれていて、なんとも言えない素敵な魅力にあふれています。ポール・オースターは、ひととの出逢いを大切にしている小説家なのだとあらためて実感しました。ひととの出逢いにときめきたい方にはお勧めの小説です。~ | ||||
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内戦中のサラエボのような世界が舞台だ。(しかし、サラエボの内戦より前に書かれている。)貧困と、治安の悪さで今日明日生き延びることを考えるだけで精一杯な世界に入り込んだ女の子の物語。この本がオースターのメジャーな傑作に含めることはできないとしても、ノンフィクション的なリアル間と殺伐とした世界の中に生きる小さく豊かなおとぎばなし的世界を両方味わえる深い物語だ。 原書で読んだところ、教科書で習わないが実用的な慣用的言い回しが多く出てきて勉強になった。 | ||||
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