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書楼弔堂 破暁



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【この小説が収録されている参考書籍】
書楼弔堂 破暁
文庫版 書楼弔堂 破暁 (集英社文庫)

書楼弔堂 破暁の評価: 4.23/5点 レビュー 43件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.23pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全43件 21~40 2/3ページ
No.23:
(5pt)

円熟味が感じられる新シリーズ

妖怪小説、「百鬼夜行(京極堂)シリーズ」で著名な著者の新シリーズが、この「書楼弔堂シリーズ」。
本書、「破暁」はその第1弾となります。
弔堂とは、舞台となる古本屋の屋号。
時代は、明治20年代半ば。
武家に生まれながらも、元服前に明治維新を迎え、武士らしい生活をしたことのない、高遠は、病気療養を理由に仕事を辞めたまま、無為に日々を過ごす、30代の男性。
彼は、東京郊外に街燈台のような不思議な建物を発見する。
それが、古今東西の書物の揃った古本屋、弔堂であった…。

「書物と申しますものは、それを記した人の生み出した、まやかしの現世、現世の屍なのでございますよ」
弔堂の主人は、こう述べ、訪れる客に、その人物に相応しい一冊を勧める
──これが「探書」と本作品で呼称される行為であり、本書には、この「探書」を表題に持つ、6つの短編が収められています。
高遠は、この探書の手助けをするのですが、この書店には、明治を生きた著名な人物が訪れ、各短編のゲストのような役割を果たしています。
そして、勧められた書物を知ると、その著名な人物の生涯が象徴的に浮かび上がってくる…という構成が心憎いばかりの出来栄えとなっています。
また、お得意の妖怪や、お化け、幽霊などに関することも登場人物たちの会話に折り込まれ、別の形の百鬼夜行シリーズとも言えるのではないでしょうか。
弔堂の主人が、その人のこれぞという本を勧める姿も、京極堂の憑き物落としに通ずるものがあります。

登場人物たちの会話には、この江戸から明治への大変革期を生きた人々の戸惑いと、新しい世界観や人生観を模索しようという心意気が感じられ、そういったこれからの時代での生き方の意味を探るという試みは、現代人も忘れてはならないのだ、という著者のメッセージのようにも受け取ることができます。
この探書という行為の中には、ミステリ的な要素も入っているので、娯楽作品として読むことも可能な小説になっています。
主人公の弔堂の主人の言葉どおり、本はそれぞれの人間の読み方次第で、その意味するところも変わってくるのだな、ということを実感できました。

本が好きな著者が、本の好きな人のために書いた、まさに読書に人生の多くの時間を費やしている人のための作品だと思います。
読書が趣味、と自覚している方に、大いにオススメしたい一冊です。
このレビュー執筆時(2017年3月)、既に第2弾が刊行されており、いずれ読んでみるつもりです。
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No.22:
(5pt)

明治20年代、何とも奇妙な本屋・書楼弔堂を訪れた人々の物語

『書楼弔堂 破暁』(京極夏彦著、集英社文庫)は、京極夏彦の妖力全開の一冊です。

明治20年代、帝都の内ではあるが、雑木林と荒れ地ばかりの鄙びた所に、三階建ての何とも変な本屋がありました。「立ち止まって眺めるに、慥かに奇妙な建物である。櫓と云うか何と云うか、最近では見掛けなくなった街燈台に似ている。ただ、燈台よりもっと大きい。・・・しかし到底、本屋には見えない。それ以前に、店舗とは思えない。板戸はきっちりと閉じられており、軒には簾が下がっている。その簾には半紙が一枚貼られている。近寄れば一文字、弔――。と、墨痕鮮やかに記されていた」。

「本は墓のようなものですと(書楼弔堂の)主は云った。『墓――ですか』。『ええ。そうですね。人は死にます。物は壊れます。時は移ろい、凡ては滅ぶ。乾坤悉く移り変わり、万物は普く常ならぬが世の習い。しかしそれは現世でのこと』」。

主は、こういうことも言っています。「『言葉は普く呪文。文字が記された紙は呪符。凡ての本は、移ろい行く過去を封じ込めた、呪物でございます』」。

「『書き記してあるいんふぉるめーしょんにだけ価値があると思うなら、本など要りはしないのです。何方か詳しくご存じの方に話を聞けば、それで済んでしまう話でございましょう。墓は石塊、その下にあるのは骨片。そんなものに意味も価値もございますまい。石塊や骨片に何かを見出すのは、墓に参る人なのでございます。本も同じです。本は内容に価値があるのではなく、読むと云う行いに因って、読む人の中に何かが立ち上がる――そちらの方に価値があるのでございます」。

「『本は、幾らあっても良いもの。読んだ分だけ世間は広くなる。読んだ数だけ世界が生まれましょう。でも、実のところはたった一冊でも良いのでございますよ。ただ一冊、大切な大切な本を見付けられれば、その方は仕合わせでございます』。だから人は本を探すのですと亭主は云った。『本当に大切な本は、現世の一生を生きるのと同じ程の別の生を与えてくれるのでございますよ。ですから、その大切な本に巡り合うまで、人は探し続けるのです』」。

「『その一冊に巡り合えずに、求め求めて溜まった本がこの楼にございます。どの本も掛け替えのない喜びを私に与えてくれた大切な大切な本でございます。一冊として読んで無駄な本などございません』。世に無駄な本などございませんよと主は云った。『本を無駄にする者がいるだけです』」。

本書は、各章で、最後の浮世絵師・月岡芳年、泉鏡花、勝海舟、妖怪研究の井上圓了、ジョン萬次郎こと中濵萬次郎、人斬り以蔵として知られる岡田以蔵、児童文学者・巖谷小波が書楼弔堂を訪れるという凝った作りになっています。京極の面目躍如であります。

妖しさがぷんぷんにおう小説ですが、同時に、読み応えのある書籍論・読書論になっているという、本当に不思議な本なのです。
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No.21:
(5pt)

飽きさせません

期待どおりの内容でした。起承転結が素晴らしく、特に結の部分は、、、
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No.20:
(5pt)

新ミステリシリーズ!!

時は明治二十代半ば、またもや古書店店主が主人公である。
ただし「京極堂」シリーズとは違い、事件は起きない。
しかし主の口上はどことなく京極堂を彷彿させる。
読まれぬ本は「死んでいる」のだそうだ。読む人の所に届けて、
その本は「成仏する」。
いわゆる事件は起きないのだが、迷える者、悩める者弔堂を訪れる。
弔堂は、その者を導き、自分のための「1冊」を見つけ出してくれる。
その1冊というのが、また作者ならではのセレクションなのだ。
客はというと、最晩年の月岡芳年、書生時代の泉鏡花、若き日の
井上圓了等々、そうそうたる顔振りだ。圓了には『畫圖百鬼夜行』を
売っているのが嬉しい
このシリーズでもそうだが、時代背景、人物設定は素晴らしい。
全部で6編の短編集だから、初めは物足りないかもしれないが
どんどん引き込まれ、次は誰が客なのかが楽しみになってくる。

「京極堂」シリーズがなくなって寂しく思ってる人には、嬉しい最終章が
待っている。
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No.19:
(4pt)

面白い。

レビューの書き方も知らない奴が多すぎる。
定価で買う価値があるかどうか、良い悪い、どのような人にオススメか、だけでいい。
レビューは評価であって読書感想文じゃない。
あらすじやネタバレを書く痴れ者は本に対する愛が足りないか、読書の作法を知らないか、読書量が圧倒的に足りないか、友人がいないか、その全てに当てはまる奴に違いない。
本書についての僕の評価は星で表した。
定価で買う価値はある。京極作品を読んだことの無い人にも読みやすいと思う。面白かった。
時間を置いて何度か読み返したい。以上。
書楼弔堂 破暁Amazon書評・レビュー:書楼弔堂 破暁より
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No.18:
(5pt)

主人も魅力的だが

個人的には高遠の旦那としほるの遣り取りが下手な漫才を聞くより面白い。
百鬼夜行シリーズにも劣らぬ名作です
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No.17:
(4pt)

紙との違い

電子書籍で買おうしている方にご注意。
紙の方にある扉絵の写真が電子書籍版にはありません。
何で入れてくれないのか分かりませんが、電子書籍版を買う時はそういうものとしてご購入下さい。
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No.16:
(4pt)

京極堂シリーズを彷彿とさせる新シリーズ

御一新から二十年と少し。
まだ江戸の地続きの明治だった頃、東京の郊外、周りには田んぼと畑しかないような鄙びた土地に、3階建ての巨大な本屋があった。
まるで、灯台のような不思議な形で、窓というものがなく、知らない人は決して本屋とは思えないその本屋の入り口には、ただ一文字「弔」という文字が墨痕淋漓と認められていた。
弔堂。
それがこの本屋の名前だった。

飾り気のない、白一色の着物をきた店主は言う。
ここは、本の墓場である、と。
本は記号であり、過去であり、そこに書かれた何かを浮かび上がらせる墓石のようなものである、と。
また、彼はそこにある夥しい本は、自らのために集めているものだともいう。自分にとっての生涯ただ一冊の本に出会うために、ひたすら集めて読んで売っているのだと。
不可思議な男であるが、読書好きの人間であれば彼のいうことはストンと腑に落ちる筈だ。素晴らしい本に出会ったと思いつつ、もっと何かいい本がないか、運命の一冊がないかと次々に本を読む気持ち、また一冊一冊の本(場合によっては絵や新聞でもいい)を再読してもしなくても大事に思う気持ちもとてもよくわかる筈である。

そんな彼のもとには、噂を聞きつけたり、狂言回しとしての主人公・高遠の手によって、さまざまな悩みを持つ人々が訪れる。
彼らの悩みを、彼は本を通して解決する。
その手法、語り口は、同氏の「京極堂シリーズ」の中禅寺秋彦を思い起こさせる。真っ黒な装束にて、語り口で憑き物を落とすあの男の裏返しのような人物が本編の主人公で、このあたりは、旧シリーズのファンであればニヤリとすること間違いない。
また、旧シリーズとのことでいえば、その京極堂シリーズや巷説シリーズの方々もこの作品には登場する。

そういう意味では、京極夏彦ファンにとっては、本作の分厚さも含めて買いの一冊なのは間違いない。
しかし、ファンとしては、それでもやはり京極堂シリーズの最新作、もしくは薔薇十字探偵社のシリーズを読みたくもあるのだがどうだろうか。
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No.15:
(5pt)

勿論紙の媒体も持ってますが試しに買ってみました・・・が・・・

作者には発表した後の作品については文句も言えないかも知れませんけど、読者として・・・作品にではなく、電子図書としての在り様に言いたいです。

Voyage本体でこの作品を読んでいて、今日発見した事なんですが購入した電子図書の中に突然何人の人がハイライトを付けましたって行間に出るんですね!勿論速攻出るのを消しました。kindleの機能の中に流通してる電子図書の誰が何をしたって言うのを買った人が確認出来るみたいです・・・気持ち悪いな~まるで汚れきった中古本を買った気分・・・と言う事は誰が何を買ってどう言う文言に注目してるかって言う事が出版社や版元には判るって事ですかね?それとクラウドに管理者権限でアクセス出来るならば逐一購入者の年齢性別地域思想の偏りや嗜好で統計が取れるって事でしょ?まあそんなプライバシー関係には全く興味は無いのですけど、しかし電子図書の癖に中古本みたいに他の読んだ人のアンダーラインや附箋張りは気味が悪い、気持ちが悪い、興味が無い・・・何でこんな事したんだろう?読んでる人間には全くと言って良いほど関係無い機能じゃないですか?これによって中古本と言うよりなんだか、読んでる本を複数の人に強姦された気持ちとか穢された気になり、朝っぱらからかなり気分が悪いです。読む人には誰がどう考えて様がどう読もうが関係無いじゃないですか??出版社や版元、編集者が気にするなら理解は出来ますけど読者には他の人が如何だろうと気にする物ですかね・・・???
兎も角、こう言う機能は気持ち悪いし気分が悪い、出来たら電子図書返すんで返金してもらいたいものですわ・・・

何でココに書いているかと言いますと、先にkindleのレビューは書いてしまったんで書き込めなかったからです(失笑)
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No.14:
(2pt)

途中で読むのを放棄してしまいました

京極作品は大好きなのですが・・・これは最後まで読む気力が起きませんでした・・・。
話があまりにもダラダラしすぎ、という感想です。
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No.13:
(4pt)

"本探し"をテーマとした読み応え充分の連作短篇集、プレ京極堂シリーズの趣も

「臨終」、「発心」、「方便」、「贖罪」、「闕如」及び「未完」の6つの作品から構成される"本探し"をテーマとした連作短篇集。時代は明治中期、「書楼弔堂」とは古本屋の名前。この店主が所謂"書痴"で、零落しながらも空虚・無為な元武士を狂言回し役に設定している辺りは京極堂シリーズを想わせる。店主は自身の古本屋を墓場と呼び、本(=墓)を売る事を「弔う」と呼ぶ。「弔堂」たる由縁である。

店主の信念は、「人には人生において大切な"一冊の本"があれば良い」である(ただし、より良い"一冊の本"を見つけ続けるために店主の店には本が溢れている)。本作の各編には様々な事情で"幽界を彷徨う"客が登場し、それに纏わる数奇な物語が紡がれるのだが、店主が客の素性や心理状態を洞察し、あたかも"憑きもの落とし"の如く、至高の"一冊の本"を「弔う」姿はやはり京極堂シリーズを彷彿とさせる。作中には、怪談の「百物語」等も話題にのぼり、相変わらず遊び心にも満ちているのだが、「人にとって本とは何か」という問題と真面目に対峙している様にも見える(本の内容は単なるinformation)。明治の有名人が実名で登場するのも見所の一つ。これらの人物の異聞・外伝といった趣きも呈している。特に、「未完」の客にはアッと驚かされる。

時代を明治に設定したのは、江戸文化と和魂洋才の明治の文化との対比を狙ったものかと思いきや、実は真逆で、真理や価値観が時代・洋の東西を越えて普遍性を有するとの趣旨らしい。また、店主の台詞がチェスタトン張りの逆説に満ちている点も特筆物で、読んでいて刺激を受けた。何事も表裏一体であり、視座によって如何様にも解釈出来るとの意匠だろう。また、
  「この世に無駄な事(本)などない。世(本)を無駄にする愚か者が居るだけ」
という主張が全編を貫いている点も印象に残った。「作者のファン=本・活字好き」だと思うが、そうした方にお薦めの読み応え充分の秀作だと思う。
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No.12:
(4pt)

やはり謎解きの趣向だが、著者の書物についての愛情や教養が衒いなく表されていて、ふーん。

明治の作家や浮世絵画家数人について、その創作のあり方について、書物を突破口として提示する趣向、
と言っても、もちろん、論文ではない。ちゃんと物語になっているけれど、著者による作家論としても
読めるので、著者自身に興味があったら、より面白く思えるかもしれない。
書楼弔堂 破暁Amazon書評・レビュー:書楼弔堂 破暁より
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No.11:
(4pt)

あれ、百鬼夜行シリーズの未完をこの中で肯定してない?

京極作品が好きで他の作品との繋がりもあると聞き、楽しみに購入。
京極堂シリーズ程ではないが、ぐいぐい読ませる内容はさすがだなと
改めて感じました。章ごとにエピソードとしては完結していくので、
受けた印象としては非常にコンパクトにしマイルドになった百鬼シリーズの
憑き物落としを連続して見ている様な感じ。
よって内容の展開もマイルドになってる感は否めず。

それでも中禅寺祖父のエピソードが入っていたり、繋がりと、予感が随所にあるので
ファンは堪らず読み進めてしまいますね。

(ここから多少のネタバレ)

そして気になったのが、最後に弔堂が主人公に薦める未完の本。
未完の9冊の小説に対して肯定的に魅力を語る弔堂。
あれ?これって百鬼夜行シリーズこのまま放置するつもりなんじゃ、、、
というか、リアル伏線を貼ってませんか京極さん。。。

曲解かもしれませんが、待ち続けている身としてはどうにも気になるエピソードでした。
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No.10:
(3pt)

正直がっかりした。初期の京極作品を水で薄めたような作品。しかし、、、

【内容(ネタバレ禁止!)】
明治初期の書店に訪れる有名人たち。店主は本の弔いと称してそれぞれにぴったりの本を薦める。。。

【ささった言葉】
・気が付くと、江戸はすっかり東京に作り替えられているのである。
・「仏道で云う悟りは、目的ではございません。悟るために修行をするのではなく、修行そのものが悟りなのでございます。」
・「日本人が考えるのであれば、それは日本の哲学だ。それこそが大事だ」
・「信ずるものが正しいと云うのじゃあいかんのだよ高遠君。正しいものを信じなければいかんのだ」
・「日本国にも良いところはある。ただ、この日本国が駄目なのは、日本国であろうとしないところだ」(中略)「サル真似は上手だが身になってねえってことだよ。形だけ借りて来てそれで納得しちまうんだ」(中略)幕府の幕を下ろした男は、そう結んだ。
・「もっと根源的な問題です。例えば-大人であれば、地獄が絵空事だと云うことは-考えるまでもないことではないですかな」
・「江戸の頃、幽霊は化け物の一種、つまりはつくりものに過ぎませんでした。それがいつの間にかそうでなくなってしまった。
 いないものをいるとする、粋を解さぬ野暮天ばかりが横行しております。そこに描かれた化け物は、圓了様が否定される妖怪迷信
 ではございません。寧ろその逆、妖怪迷信などは、こんなもの-という証し」
・「迷信は排斥されるべきものですが、信仰は大切なものです」
・「心は現世にはない。ないからと云って、心がない訳ではない。心はございます。ないけれど、あるのです」

【教訓】
正直がっかりした。初期の京極作品を水で薄めたような作品。しかし、やはりそこここにはぐさりとくるセリフがあるのはさすが。特に、勝海舟やジョン万次郎など、千両役者が登場すると、場にイキがよぎる。が、やはり、京極作品を読んだことのない方には、ぜひ初期作品から読んでほしい。
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No.9:
(5pt)

明治時代の古書堂

今までのシリーズに比べて、ずっと「言葉」に重点が置かれているように感じました。

京極堂シリーズに一貫して流れている「ないもの(或は見えないもの)」と「あるもの(或は見えているもの)」の違いの説明もあって、あ~、そういうことだったのか!と、今更ながら気が付きました。
情報があふれている今の世の中、本を読まずともそれは、いとも簡単に手に入れられるけれど、案外見落としているものが多いのだろうな、と考えさせられます。

内容的には、朱川湊人氏の「鏡の偽乙女」に、似てはいたけれど、京極堂シリーズや巷説シリーズが好きな方には、絶対的にこちらだろうな、と思います。

あの激動の時代、突然リセットされた時代にあって、著名人も含め人々がいかに流れに合わせようとしていたか、等々、楽しみ方がたくさんある本だと思います。
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No.8:
(5pt)

とても好き!

江戸と昭和の話の間くらい。ちらほらと馴染みの名前を見かけるのが嬉しいけれど、それを抜きにしても「本」への愛情に満ちていて、ここに出てくる泉鏡花や井上円了の本を読みたくなります。昨今話題の“電子書籍か紙の本か・・・”という問題の回答にもなるかもしれません。
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No.7:
(5pt)

読んでいる途中ですが・・・

まず、「タイトル、なんて読むんだ?」から始まりました。

大極宮のHPで見つけ、試し読みをし、PCで小説を読むことが苦手な私でもスラッと読むことができて
「これは買いだな」ということで購入。

いわゆる「京極堂シリーズ」を読んでいる私にとっては、とても読みやすいなと感じました。(比べるものが違うのかもしれないですけど)

文学史に残るような作家をほとんど知らないのですが、「発心」を読んだ後に登場人物を検索してみると、作中に出てきた事柄が書かれていて、息をのみました。

ハードカバーで分厚くて・・・京極堂シリーズも分冊で読んでいる私ですが、この厚さ・重みは苦になりません。
またまた、京極先生の世界に溺れていきそうです。
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No.6:
(3pt)

タイトルが良い

全く上手く言えませんが、感想は、むむむむむ・・・、という印象。

その人が生涯に巡りあう本は1冊あればよい、相応しい読者に書物を引き合わせることが供養、だから弔堂。いかにも作者らしいと感じ入りました。

全6篇の連作短編集で、基本的な物語の構成は、書舗の弔堂に訪れた人生に迷っている人が店主から所望する本を聞かれ、それを弔堂店主が見繕い、人生を導いていくという感じです。

その迷い人が高名な作家であったり浮世絵師などであったりして、そのストーリーは流石とは思わせるのですが、今一つ、他の京極作品のように物語にのめり込めませんでした。

迷い人に関する知識があった方が、この小説を楽しめるかもしれません。
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No.5:
(2pt)

うーん。

京極堂シリーズの『姑獲鳥の夏』が衝撃的で好きなので購入。
『嗤う伊右衛門』お気に入りです。

まだ京極堂シリーズを全部読んでないなか、
新シリーズとして楽しみにしてたんですが、

京極夏彦ってこんなんだったっけ?というのが正直な感想です。

6編ほどの短編集のカタチだからなのか
いまいち入り込めない。

1、2編は
どういう話の筋でもってくるのか考えると楽しかったんですが、
3編から「まさかまた一緒なんじゃ・・・?」
と最後どうなるか先がよめる。。。

全部同じ終わり方をするのかと思ったら
うんざりしてきて4編でストップしてます。

冒頭から京極ワールドに入れる方にはオススメします!!
あの語りと決め台詞は誰かを彷彿とさせます。

私は20ページくらいから没頭して読むタイプなので、
短編で終わりが同じだと足りないんですよ。。。

冒頭は「きた!!京極夏彦だ!!!」と思う魅力的な文章なんですけどね。。。
残念です。
なぜかハマれませんでした。
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No.4:
(2pt)

京極夏彦の限界?

百鬼夜行シリーズの後半数冊に「もう無理なのかなあー」という思いを長い間抱いていたなかこの本を知った。
書名にも魅かれ一気に読破。
読んでいて弔堂の主の語り口が気になる。
「これ京極堂の口調をマイルドにしただけ? 内容も・・・」
京極堂は語りで憑き物を落とし、弔堂の主は本を勧め悩みを落とす。
違いはどこに?
二つの編では勧める本まで推測がついてしまった。
しかも最後には京極堂の曾祖父(?)と思われる人物まで登場。
別に繋がりを持たせる事が悪いとは思わないが、新鮮な気持ちで読み始めた自分としてはがっかりもした。
新たな何かを作り出す事はもう出来ないのか?
京極夏彦のファンゆえに彼の限界を見たような一冊だった。
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