■スポンサードリンク
犯罪者 クリミナル
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
犯罪者 クリミナルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.28pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全169件 161~169 9/9ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
評判を耳にしてまず上巻をオーダーして、届いた際には、かなりの厚みと、しかもまだ下巻まであるという京極夏彦ばりのヴォリュームにちょっと怯みましたが、他のレビューにもある通り、読み始めるとアッという間でした。 著者は、「相棒」などのドラマの脚本家として名を知られているようですが、スタートは演劇だったとのこと。だからかも知れませんが、確かに構成や展開はとても映像的なのに、どこか"静的"な、舞台を観ているような印象を受けます。 酷くアクティブな、ジェットコースターのような展開にも係らず、です。それが、この手の犯罪小説にありがちな、読み終えてしまうと、あまり印象が残らない他の大多数とは、異なる印象を与えているのではないでしょうか。 最終的には下巻を読了してからになりますが、最近手にしたなかでは、1、2を争う逸品となる予感がしています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いつものサスペンス小説を読むような調子のナナメ読みはこの本ではできなかった。 ただ単純にストーリーを追っかけるだけではすまなくなったからだ。物語の中に更に幾つもの 物語が展開していて、それが実に細かい洞察で丁寧に書かれている。 そのひとつひとつが読み応えがあるので、じっくりと時間をかけて読んでしまう。 登場人物を覚え、物語の構成が判り始める頃には、気がつけば すでに小説の中にどっぷりと浸かっており、下巻は一気に読み終えた。 今、もう一度ゆっくりと読み返しているが、また違うものも見えてくる。 愛すべき人物が沢山登場するが、真崎省吾を思うと涙を禁じ得ない。そして 三人のはみ出し者の今後が気になっている。ぜひ続編を期待したい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いつものサスペンス小説を読むような調子のナナメ読みはこの本ではできなかった。 単純にストーリーを追っかけるだけではすまなかったからだ。物語の中に更に幾つもの 物語が展開していて、それが実に細かい洞察で丁寧に書かれている。 そのひとつひとつが読み応えがあるので、じっくりと時間をかけて読んでしまう。 登場人物を覚え、物語の構成が判りはじめる頃には、気がつくとすでに小説の中に どっぷりと浸かっており、下巻は一気に読み終えた。 今、もう一度ゆっくりと読み返しているが、また違うものが見えてくる。 愛すべき人物が沢山登場するが、真崎省吾を思うと涙を禁じ得ない。そして三人の はみ出し者の今後が気になっている。ぜひ続編を期待したい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
デビュー作にはその作家のすべてがつまっている、とはよく言われることだが、質量ともにまさにその言葉に値する一級の充実したクライムサスペンスだ。 本書は凄惨な通り魔事件に幕を開け、何十人もの登場人物の悲しみと怒りとを駆け抜け、息もつかせぬ巧みな構成で読者を引っぱってクライマックスへと突き進む。たしかに帯にあるようにノンストップの「読ませる」小説だ。だが、本書の魅力はそれだけではない。いや、むしろ著者の「小説家」としての資質はそれとは別のところにこそあるように思える。すなわちそれは、過剰なまでに枝葉を広げる物語性と、枝葉となって茂るエピソードの豊穣さと水際立った鮮やかさである。 たとえば、開巻まもなく紹介される、主人公の青年・繁藤修司と彼の幼馴染との苦く哀切なエピソードは、充分に独立した一篇の中編小説になりうる人間模様と物語を孕んでおり、また、エピソードの背景には、誰もが一読忘れられないだろう『夕暮れのコインランドリー』という美しいヴィジュアルイメージが配されている。読者はひと時、下町の少年たちの哀切な物語にひたるかもしれない。にもかかわらず、作者はそれを長編中の一挿話として惜しげもなく置き去りにし、小説を推進していく。 もちろん、恐ろしく綿密に書き込まれた挿話とディテールは、人によっては「長すぎる」とか、「物語がサクサク進まない」とか感じられるかもしれない。「謎→解決エンジン」が燃費だけを考えて動いている、効率重視の小説ではないからだ。だが、灼熱の溶鉱炉を生き物のごとくひたすら描写した高村薫の「照柿」しかり、南部の都市ヒューストンの熱気と植生を官能的なまでに描き込んだリンジーの「悪魔が目を閉じるまで」しかり、グロテスクな性と暴力を徹底して即物的に描き込んだ阿部和重の「シンセミア」しかり。ほとばしる才能は、本流を逸脱したかのような細部にこそ宿る。あえて古典的な巨人を引き合いに出せば、ドストエフスキーの「悪霊」もメルヴィルの「白鯨」も爆発的な逸脱性ばかりか、時には破綻までもが大いなる(かつ厄介な)魅力のひとつだ。そして小説とは本来、そのような過剰性を充分に抱え込むことの可能な器だったのではないか。 『犯罪者 クリミナル』の真の魅力のひとつは、おそらくこの過剰なまでに枝葉を広げる物語性である。著者・太田愛はこれまで主にテレビ脚本家としてキャリアを重ねてきた。そのキャリアは当然、本書にも反映しており、たとえば、サスペンスフルな時間構成と章立てには、視聴者を飽きさせないために培ってきた技術がいかんなく発揮されている。だからこそ、番組の時間枠に合わせて作品サイズを設計するよう求められるのと同様に、この「犯罪者 クリミナル」を構想する際にもエピソードを削り、ディテールを刈り込みむことは容易に出来たはずだ。にもかかわらず、本書において著者は、あえて物語をほとばしるままにあふれさせている。だとしたら、そこにこそ作家・太田愛の「脚本家」ではなく、「小説家」としての資質があるのではないだろうか。 一読の価値は十分ある。一気呵成に読ませる力もある。そして、それ以上に一作の中に世界がまるごとつまっているような小説であり、エンタメ化傾向が進むあまり忘れられつつある「小説が本来持つ豊穣さ」がここにはある。デビュー作らしいやや不器用だが熱気のこもった筆でこれでもかと描き込まれた小説である。小説好きにこそ、ぜひお薦めしたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
デビュー作にはその作家のすべてがつまっている、とはよく言われることだが、質量ともにまさにその言葉に値する一級の充実したクライムサスペンスだ。 本書は凄惨な通り魔事件に幕を開け、何十人もの登場人物の悲しみと怒りとを駆け抜け、息もつかせぬ巧みな構成で読者を引っぱってクライマックスへと突き進む。たしかに帯にあるようにノンストップの「読ませる」小説だ。だが、本書の魅力はそれだけではない。いや、むしろ著者の「小説家」としての資質はそれとは別のところにこそあるように思える。すなわちそれは、過剰なまでに枝葉を広げる物語性と、枝葉となって茂るエピソードの豊穣さと水際立った鮮やかさである。 たとえば、開巻まもなく紹介される、主人公の青年・繁藤修司と彼の幼馴染との苦く哀切なエピソードは、充分に独立した一篇の中編小説になりうる人間模様と物語を孕んでおり、また、エピソードの背景には、誰もが一読忘れられないだろう『夕暮れのコインランドリー』という美しいヴィジュアルイメージが配されている。読者はひと時、下町の少年たちの哀切な物語にひたるかもしれない。にもかかわらず、作者はそれを長編中の一挿話として惜しげもなく置き去りにし、小説を推進していく。 もちろん、恐ろしく綿密に書き込まれた挿話とディテールは、人によっては「長すぎる」とか、「物語がサクサク進まない」とか感じられるかもしれない。「謎→解決エンジン」が燃費だけを考えて動いている、効率重視の小説ではないからだ。だが、灼熱の溶鉱炉を生き物のごとくひたすら描写した高村薫の「照柿」しかり、南部の都市ヒューストンの熱気と植生を官能的なまでに描き込んだリンジーの「悪魔が目を閉じるまで」しかり、グロテスクな性と暴力を徹底して即物的に描き込んだ阿部和重の「シンセミア」しかり。ほとばしる才能は、本流を逸脱したかのような細部にこそ宿る。あえて古典的な巨人を引き合いに出せば、ドストエフスキーの「悪霊」もメルヴィルの「白鯨」も爆発的な逸脱性ばかりか、時には破綻までもが大いなる(かつ厄介な)魅力のひとつだ。そして小説とは本来、そのような過剰性を充分に抱え込むことの可能な器だったのではないか。 『犯罪者 クリミナル』の真の魅力のひとつは、おそらくこの過剰なまでに枝葉を広げる物語性である。著者・太田愛はこれまで主にテレビ脚本家としてキャリアを重ねてきた。そのキャリアは当然、本書にも反映しており、たとえば、サスペンスフルな時間構成と章立てには、視聴者を飽きさせないために培ってきた技術がいかんなく発揮されている。だからこそ、番組の時間枠に合わせて作品サイズを設計するよう求められるのと同様に、この「犯罪者 クリミナル」を構想する際にもエピソードを削り、ディテールを刈り込みむことは容易に出来たはずだ。にもかかわらず、本書において著者は、あえて物語をほとばしるままにあふれさせている。だとしたら、そこにこそ作家・太田愛の「脚本家」ではなく、「小説家」としての資質があるのではないだろうか。 一読の価値は十分ある。一気呵成に読ませる力もある。そして、それ以上に一作の中に世界がまるごとつまっているような小説であり、エンタメ化傾向が進むあまり忘れられつつある「小説が本来持つ豊穣さ」がここにはある。デビュー作らしいやや不器用だが熱気のこもった筆でこれでもかと描き込まれた小説である。小説好きにこそ、ぜひお薦めしたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一気に読んでしまった。ひさしぶりに本気で一気読みしてしまった。新人だの、デビュー作だのというレベルではない。つぼを押さえた上からおもいっきりぐりぐり指をねじ込むような、ベテランのごとき力技を感じた。それでいて、最後では緊張をほぐすクールダウンがあって、すっきりと読み終われるところもすごい。次作がとても楽しみだ(できればシリーズ第2弾と言いたいが、どうもそこまで考えている終わり方のような気がする−かわいげのない新人だ)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白かった。 まず、相棒の脚本を書いているだけあって、 描写が丁寧で、映像が目に浮かぶようだ。 前半はその描写に気を取られ、つい頭の中で細かく映像化しようとし、 時間がかかってしまったが、 上巻の後半からはハラハラしながら一気にページを進めた。 通り魔殺人、食品偽装、その他の細かいところにも 世間の話題を丁寧に取材した様子で、 ミステリーといえど、 社会問題、特に権力に翻弄される悲哀を描く作者の切り口は、 脚本でも感じていたが、鋭い。 こんなに、いろいろ盛って次回作はネタがあるのか・・ と心配になるほど、丁寧に書かれていて、まさに渾身、といえる一作! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読後の充実感、この一言に尽きる。読み終わった後に残るのは、上下2巻のページ数をしても測り知れないずっしりとした手応えであり、長い旅を終えたかのような満足感と深い余韻だ。帯文では池上冬樹氏と村上貴史氏がそろって「予想外」と評言を書かれているが、「予想外」なのはツイストの利いた展開以上に、その行き着く先にある人々の姿だ。終盤に向かって明かされる犯罪者の意図、それを追う人々のぎりぎりの選択、さらには遺族たちの思いが静謐な筆致で描かれた秀逸なエピローグ。いずれもまさに「予想外」のものだ。優れた長編サスペンスは数あれど、これほどの読後感はそう滅多に味わえるものではない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
複数の視点で描かれる錯綜した第1章を経て第2章のページを繰った瞬間から、それまでバラまかれていた断片が一気につながり始め、この先どうなるのかと読むのを止められなくなる。序章からの複雑な構成はこのためだったのか! と思わず納得。登場人物は脇役にいたるまで生き生きしたサブストーリーがあり、それらを多層的に織り上げながら骨太で思いがけない世界が展開していく。上巻で本を置けない幕切れで下巻への期待が高まる。謎の解決に向かう加速度だけでなく、そのプロセスに厚みと深さがあり、「そんな幼い潔癖など、とうの昔、ランドセルより早くに捨ててきたのだ」など、さりげない抒情的な描写にも深い陰翳。読むのに多少骨は折れるがそのぶん中身もぎっしり詰まった充実したサスペンスだ。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!