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氷壁



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氷壁の評価: 4.37/5点 レビュー 83件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.37pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全83件 61~80 4/5ページ
No.23:
(5pt)

何度も読んでは

捨ててはしばらくすると読みたくなってまた買ってしまう一冊です。

実際に穂高に行った時、感無量でした。
氷壁 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:氷壁 (新潮文庫)より
4101063109
No.22:
(2pt)

内容が見え見えで冗長・・・全くの期待外れ

山登りに興味があるので関連本のこの作品を読んだ。執筆当時が今から55年前なので何とも言えないが、現代の感覚で言えば、敢えて読むほどのこともない小説である。まず、著者の井上靖氏は登山の経験が一体どれ程あるのだろうか?登山状況をそれなりに描いているが、素人くさい。ましてや小坂が滑落する場面は、単純で現実感が無い。次に、ロープの切断について、ああでもないこうでもないと寸法まで引用して冗長に書いている。本来、切断したなら、魚津がそのロープの一端を持参し下山すべきだろうが、遺体発見までロープは回収されておらず、新製品のロープで切れる、切れないの実験の堂々めぐりを展開している。本来、民間会社がそういう実験をするだろうか、また、事故原因に事件性があるなら、警察が捜査すべきものだろう。それを、小坂の遺体発見でやっと、ロープの切れ端の一部を回収して、それでも原因不明として話を展開している。
また、美那子とかおるの恋愛感情も不自然で、その心理描写も見え見えである。小坂の遺体回収した山小屋で、かおるが魚津に結婚を申し込むのは唐突で、一体どんな経緯からそうなったのか、また、遺体回収にプロポーズとは、失礼だが笑いの種でもある。
また、美那子と年上の旦那との心理的関係、魚津との問題・・・これらは、その辺のありきたりの恋愛小説如きで飽きてくる。最後の魚津の遭難死・・・そういう場面においても魚津が自殺かどうかの話を持ち出している。自殺の余韻を残して、一体読者に何を訴えようとしているのだろうか。

当時の山ブーム、また、男女の恋愛感情は、今と大いに異なるので、当時の人達は読んでそれなりのインパクトを受けたのだろう。でも、今の世情に照らし合わせると、飛ばし読みで十分で得るところがあまり無い。しかも、文章がだらだらと長くて冗長である。これも馴染めない。
井上靖氏には申し訳ないけど、もっと内容の濃い作品と思っていただけに、アテが外れ期待外れである。

追記であるが、小坂の遭難をきっかけに魚津と人妻の美那子との恋愛を甘ったらしく思いたっぷりに描いてる。小説と言えど、実際に冬山で遭難した遺族にとっては冒涜ものではないだろうか。
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4101063109
No.21:
(5pt)

山岳ロマンと美しく悲しく苦い愛の詩の名作

山岳ロマンと苦いがこの上なく美しい愛の詩を描いた作品.今の時代の人々には見つけることの難しい精神性を感じてしまい、身に抓まされてしまいます。ナイロンザイル事件はミステリー風で興味深く考えさせられます。ふた昔前の作品にも拘らず全く色褪せなくて,糸を噤むような丁寧で美しい日本の響きに静かな感動が伝わり、何ともいえない余韻を奏でる名作でお勧めです。
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4101063109
No.20:
(5pt)

現代小説に物足らなさを感じている人にはぜひ読んで頂きたい

年代的な説明がなければ、現代の話とイメージしてしまうほど古さを感じさせない。
やや台詞や所作などで、現代では使われないだろうと思われる点はあるが、そこがまた美しい。

山岳小説的要素は専門的なのに、山登りをしない者にもわかりやすく、リアルに登山というものはこういうものかと想像させ、その描写だけ読んでも誰もが引き込まれてしまう。

そうかと言えば、恋愛の模様、都会的なセンスを感じさせるスマートさ、ザイルにまつわる謎を投げかける推理的要素なども全く薄くなく自然と描かれる。
最後に主人公の上司が放つ渾身の言葉がいつまでも心に残る。

今の時代にこんなに骨太な小説はあまりお目にかかれない。
読んだ後に、これを現在の撮影技術でぜひ実写化してほしいと思うほど。

過去に実写化、最近舞台や設定を変えて実写化されているが、ぜひ奥穂高を舞台に現在の技術で忠実に再現してほしいと心のどこかで願ってしまう。
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4101063109
No.19:
(3pt)

昭和を感じるエンターテイメント

ナイロンザイル事件を題材としたフィクションである。主人公である魚津や、会社の上司常盤など魅力的な登場人物が飽きさせずに物語を読ませる。ザイルが切れたことと、男女間の人間関係が2大メインテーマなので、これを追従するだけで引き込まれ、登山の知識がなくても読みごたえはある。

携帯もインターネットもGPSもない時代の話である。人間関係も慎ましやかで昭和を感じさせるが、他者を慮る気持ちは抑圧されていた分、現在より強かったのかもしれない。
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4101063109
No.18:
(5pt)

「神々の山嶺」と双璧なす山岳小説

暑い夏の今宵、たった今「氷壁」を読み終えました。
すばらしい本に出会えた感謝の気持ちと、もっと早く出会いたかったという2つの思いに捕らわれています。

山自身は意図的に美しくなろうと思ってはおらず、自然にたたずむ純粋さを人間が美しいと感じるのだと思います。
それぞれの登場人物の純粋な心理描写には、山のような美しさを感じます。

惜しむべきは本の裏表紙に書かれている、あらすじが完全なネタバレであること。
初めて読む人は、絶対読んではいけません。
(しかしそれを差し引いても、星5つです。)

この本を読むまでは、ナイロンザイルが何なのか知りませんでした。
「ナイロンザイル事件」で検索すれば、その詳細を知ることができますので、
一読をお勧めします。

この小説のさらに深い部分をのぞくことが出来ます。
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4101063109
No.17:
(5pt)

単なる山岳小説ではありません

父親が井上靖の作品の中で一番好きだと言っていたのを思い出して、5年前に購入したものの、山登りをしたことのない女性である私にとっては、あまり理解できないのではないかと思い込み、本棚に飾ったままにしておきました。
しかしながら、読み始めてみると、自然描写だけでなく、ストーリー展開や人物描写も素晴らしい小説だということが分かりました。昭和30年代の日本の社会の様子もよく描かれています。敢えてこの作品を山岳小説という先入観を持たれずに読まれてもいいのではないでしょうか。
井上靖の自叙伝的小説や歴史小説を先に読まれた方、この小説も是非読んで下さい。
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4101063109
No.16:
(4pt)

どこか遠い外国を舞台にしているよう

とても綺麗な文章です。
物語は昭和30年の日本が舞台です。
主人公の魚津や、彼を取り巻く人たちの、それぞれの思いが
活き活きと書かれています。
この作品に書かれている当時の人たちの描写を見ると、妙に
大人ぶっていたり、また逆に子供じみていたりと、どこか遠い
外国を舞台にしているようにも思えます。

切れないはずのナイロン製ザイルが、登山の途中で切れた。
企業の品質問題など、今日に通じるテーマでもあります。
ただ、ミステリーファンの立場で見ると、ザイルの切断面は
滑落した小阪側と、魚津側の二つがあったのに、何故最初から
魚津側のザイルの切断面を調べなかったのかと言う疑問が
残りました。

また、物語の重要な謎になっている、何故ザイルが切れたか
という問題が、うやむやのうちに終わってしまったのと、読後の
後味が少し悪いのが気になりました。
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4101063109
No.15:
(4pt)

快作!

乾いた文体と厳冬の山岳が調和した、素晴らしい作品。とりわけ「遺言」から終末に至る流れは、ひたすらに美しい。
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4101063109
No.14:
(5pt)

ああ無常

昔ザイルは麻でできていました
ごわごわして使いにくい
それで戦後はナイロン・ザイルが登場します
強くてしなやかです
麻のように凍結しません
理想のザイルと思われましたが事故が起こりました
ナイロンはせん断応力に弱い
岩の角で簡単に切れてしまいました
実話を基にして出来たのが「氷壁」です
主人公が穂高滝谷D沢で死んでしまうところがかわいそうでした
山岳小説の最高傑作のひとつです
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4101063109
No.13:
(4pt)

面白いのですが・・・

小説中盤の緊迫感はさすがで、ぐんぐん引き込まれましたが、
読み終わってみると、結局作者は何を書きたかったのかなあ、という印象です。
私の感性が乏しいだけなのかもしれませんがその点だけが少し残念です。
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4101063109
No.12:
(5pt)

死に吸い寄せられる青年

かなり前に読んでいたのですが、昨年のNHKのドラマ化をきっかけに、何年振りかで読み返してみました。
おそらく「神々の山嶺」よりはこちらの方を先に読んだはず。ですが「山」というよりは魚津という青年の内面描写しか印象に残っていませんでした。自分が「山」に全く縁がなく、「ザイル」「ピッケル」という道具の形状も、用途も知らないということも、もちろんあります。
しかし何よりもこの作品の肝は、会社勤めをしながら山に登ってはいたが心情的にさほど山に入れこんでいる訳ではなく、バランスをとりながら都会生活を送っていた青年が、自分の譲れない主張が裁判で証明できない→世の中に分かってもらえない、また分別もありながら人妻の魅力にあらがえず、それでも自分を想ってくれる人の気持に答えなければ…という葛藤から追い込まれて、まるで山に呼ばれるかのように「死」に吸い寄せられていく…という青年の変化であると思います。
「ナイロンザイルは切れるはずがない」という当時の定説。いや、でもザイルは切れたんだ!これは死亡した小坂の友人としても、登山家の端くれとしても譲れない!やがて都会生活の中で息苦しくなっていき逃げ込むかのように山へ…。
2度目読むと、しっかり「山」のことを書き込んでありました。にも関わらず後に残っていないくらい、青年の内面を描いたしっかりした文学作品です。
山には関係なく、本格的な文学好きな方にこそ是非読んでいただきたいです。
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4101063109
No.11:
(5pt)

昭和中期のひとびとの、凛とした、生きざま

山岳小説の名作として有名ですが、最近はじめて読みました。山の魅力がよく伝わってきます。また重い社会派サスペンスとしてのドラマ性も含まれており、とくに企業間のエゴや微妙な連携の手法は今日の社会のありようそのものです。巨大製薬企業の横暴をえがいた映画「ナイロビの蜂」を思いだしました。

この小説のもうひとつの大きな魅力は、昭和30年代初頭の東京人や、日本の女性たちの生き様が、鮮やかに描かれていることです。いまとくらべるとどこか不器用だが、実に凛として、自己の魂の清潔さや、誇り高さを自己注視する文化がそこにあり、日本人はこれほどしっかりしていたのか、と読んでいて気恥ずかしくもなり、また、元気とエネルギーをもらいました。

文豪井上さんの若き日の傑作であるとともに、日本の近代文学のなかで、経済成長著しい昭和中期の銀座界隈など東京の様子や、ひとびとの生き方が鮮やかに描写されている、稀少で、極めて重要な作品とおもいます。
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4101063109
No.10:
(5pt)

誰かが呼んでいる

誰かが背中を押している

何かが見える

もう、後ろを振り向いてはいけない

前だけを見て、未来への一歩を踏みだす

氷のように冷たく、山のように高い、

人生の壁を乗り越えようとする時、

それを支えているのは、人と人との絆だと実感できる、

恋と友情の物語。

待っていてください
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4101063109
No.9:
(5pt)

井上靖の中で私が一番好きな作品

新進の2人の登山家の一人が山で事故にあう。切れるはずのないザイルが切れたのか、あるいは誰かが切ったのか、事故か自殺か殺人かと言う状況の中、残された登山家と、死んだ登山家が愛していた人妻、同じく死んだ登山家の妹との恋愛感情のもつれを事故に絡め、緻密に描いていきます。私などにとってはあの懐かしい昭和のよき時代も偲ばれます。

 一見長い小説で手に取りにくく思われる方もいるでしょうが、極限状態の連続で一気に読めてしまえます。間違いのない名作です。
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4101063109
No.8:
(5pt)

小説とドラマの違い

テレビドラマに惹かれて原作を読んだが、ドラマの方が娯楽性が強く面白いと思った。

まず、主人公魚津恭太(TV=奥寺)の親友の小坂乙彦(TV=北沢)の登攀途中の滑落死については、ドラマではカラビナの故障、小説では使用したザイルが突然切れた事によるもので大した違いはない。しかしその後、ドラマでは事故の真相をめぐり製造元の佐倉製鋼を絡めた法廷論争に展開するのに対して、小説はザイルの耐久不良を匂わせる程度。親友の死を無駄にしないため、事故の真相を解明しナイロンザイルの特性を理解しようとする魚津の姿勢は立派だと思うが、世間の人は大方無関心だったのである。なぜなら、登山家は人口のごく一部に過ぎないからだ。しかしだからといって、ザイルは決して切れないと言い切る佐倉製鋼の傲慢さも許せない。それは両者共通だが、問題は、小説には真実を捻じ曲げようと暗躍する人物が登場しない事である。物言わぬ大企業も確かに不気味だが、これでは不善な企業に警鐘を鳴らしているとは言い難い。

 一方、二人の男をたぶらかす八代美那子は悪女だと思うが、魚津と奥寺ではその対応が異なる。何処までも硬派な魚津は八代美那子を忘れ、小坂の妹かおると結婚を誓い合うが、奥寺は情熱に身を任せ、結果的に夫哲夫の手から美那子を奪ってしまう。なるほど、理性より、友情より、愛情である。ストーリーはこの方が面白い。

 結局の所、著者は一登山家の姿を描いていた。山を心から愛し、義理人情に厚い男のそれだ。そんな心情を察すると、美那子を忘れる為に一人単独で穂高に登ろうとする魚津の悲愴感が痛いほど胸に伝わってくる。魚津はこの登攀で命を落とすが、自分の趣味に命を捧げたのだからなんて幸せなのだと言いたい。童謡に『山男の歌』という曲があるが、魚津はその例にピッタリ合致する。冒頭でドラマに一票投じたが、お互い視点が違う。甲乙つけがたい傑作と言うのが本音だ。
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4101063109
No.7:
(5pt)

ドラマになってなければ読まなかった作品

久しぶりに美しい日本語を読んだ気がします。井上靖というと、わたしの中では『しろばんば』『敦煌』というイメージしかなかったので、この内容は意外でした。かおるの描写の美しいことといったらありません。対する美那子の若さを抑えようと苦労している中にもにじみ出てくる怪しさが女豹という言葉で表されていたり(これは現代としてはちょっと古いかな)、海面がぶさぶさと波立つなどとおもしろい表現も。

読み終わったあとに、これが昭和32年に出版されたものだと知って驚きました。確かに妻を呼ぶときにに手をたたいて呼ぶなんて、古風な描写もありますが、そんなことは気にならず人物は生き生きとしています。

何十年も前に出版された小説を読む気にさせたのは、TVドラマ化されたのを知ったからです。

ドラマ自体は見ていませんが、この小説だけでなく、原作に触れる機会を作ってくれるドラマ化は、わたしにとってはありがたいです。
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4101063109
No.6:
(5pt)

山と井上靖の文章の魅力

淡々とした物語の進行がいい。山から下りてくると、人と話をしたくなる。そして、都市生活の雑多な毎日に飽きてくる(或いは疲れてくる)と、また山へ行きたくなる。主人公は登山家とはいえ、スポンサーがついているわけではない。金を工面する為に給料を前借りし、登山の時間をつくるために周囲を気にしながらも休日取得を会社に申告する。そこには一人のサラリーマンの姿がある。難関ルートを一緒に踏破しようとしていた友人は、山を下りてみれば、女性に翻弄されている普通の男の面をもっていた。更に、登山用品としてのザイル、一癖ありながらも理解のある上司、実験結果重視の技術者など物語はいくつかのポイントを織り交ぜながら進み、最後はまた山へ。

 読んでいる途中で何度も行きたいと思った。穂高へ、新宿駅へ。静かにそんな気持ちにさせてくれる一冊。
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4101063109
No.5:
(4pt)

強い人など、いないのだ

人はなぜ山に登るのか。

アルピニスト野口健氏は、「地上に帰ってきてすぐは “もういい!”と思う

のに、しばらくすると山に帰りたくなる」と何かで語っていた。

会社の上司、常磐になぜ登るのかと問われたとき、主人公の魚津は

山の魅力を彼なりの言葉で説明しようとした。

続いて常磐が、登っているときに、人はそこで賭けをするものなのかと

問うたとき、賭けはしない。無理だと思ったら引き返すのがするべきことだ、

と魚津はいった。

山とは、そこで自分の力を誇示する場所ではないのだろう。

どんなにがんばったところで、見ているのは神のみ。

ところが、その山に、ある女性を連れて行ってみたいという気持ちが

魚津と、そして切れるはずのないザイルが切れて落ちていった小坂の

胸にわき上がったとき、いつもと同じはずの登山が

何か違う目的のものに姿をかえてしまった。

登ることが目的だったのに、戻って誰かに逢うことが目的のようになったのは

決して責めることではないが、魚津と小坂の「山」で結ばれた絆が

こうも簡単に、ひとりの女性の存在で崩れてしまうとは。

もろい、と言っては言い過ぎだろうか。

しかし、人は、弱いのだ、という事実を突きつけられるような結末に心が痛んだ
氷壁 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:氷壁 (新潮文庫)より
4101063109
No.4:
(5pt)

常磐支社長最高(笑)。

文庫本の裏表紙に書いてある紹介文が、そのままあらすじなんだもん、読み終えてびっくりした。いやそれでも筋を知っていたとしてもおもしろい作品だと思う。魚津・小坂・美那子・かおる・八代・常磐の6人の生き方というか心の推移というか、皆が皆「生きている」と思えるような語り口というか。うまく言えませんごめんなさい。でも良いです。 解説にあったけど、これって「恋愛小説」と捉えるヒトもいるんだね。推理小説っぽい雰囲気もあるし、社会派小説とも言えるし、スポーツ文学(登山がテーマ)とも言えるし、60年代大映ドラマ的な青春小説とも言える。解説の言葉を借りるなら、「自然vs文明という基軸」がしっかりしており、それを多面から切った結果がこのような様々な見方に取れる作品になるのだろうけど、それでいて破綻してないもんなぁ。すげぇ。
氷壁 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:氷壁 (新潮文庫)より
4101063109

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