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黒の十字架
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【この小説が収録されている参考書籍】
黒の十字架の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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「白の十字架」「火の十字架」に次ぐ十字架シリーズの最終作品。「白の十字架」の舞台は、白い雪で覆われた冬の山岳。「火の十字架」は、第二次世界大戦で敗戦濃厚な日本軍の神風特攻隊員たちの、三十年後を描いたドラマでした。本作の「黒の十字架」は、表向きは建設会社だが、実態は、暴力団である大場一成が、政治家や警察と癒着して、治外法権と化した羽代市で起こる事件を扱った話です。その実体を探ろうと、侵入した隣市の松原刑事が行方不明になる。そして、その行方を捜すため、再度、土谷刑事が羽代市に向かう。もちろん、警察も大場の息がかかっているので頼れない。土谷は、松原の足取りを追って行くうちに、羽代市で行われようとしているクーデターの存在に気が付く。松原は、それを知ったために消された可能性があった。土谷に協力するのが、地元の新聞社の記者で田沢である。田沢も孤軍奮闘し、筆で羽代市の大場勢力に立ち向かっていた。初め大場は、二人とも歯牙にもかけていなかった。だが、警察では下位の階級で、新聞社ではただの記者だった、そんな二人が無視できない存在になってしまう。大場一成が企んだクーデターは、先ず、地元政治家を囲い込み、背後から傀儡し国政へ進出させた。その政治家とは、与党民友党の徳島で、党内に最大の派閥を持ち、次期、党首と囁かれている男。そして、徳島に憲法を改憲させ、自衛隊を軍隊に昇格させようというものだった。大場や徳島など、悪の権力を握った者は、次に欲しがる物は武器である。この場合は自衛隊が、それに当てはまる。だが、自衛隊を軍隊に昇格させ、他国と交戦出来なければ、意味がないのだった。その武器(軍隊)を得ようと画策していたのだ。話の中では、この企みは、もちろん失敗する。だが、森村氏が嘲笑しているのは、軍隊が力を強固すればするほど、邪魔になるのは権力者である。それらの力が権力者に向かうという矛盾に、武器を持つ前は気が付いていないのだ。それは、今日でも変わらない。強烈なメッセージを発信している。権力者の愚かさも皮肉している。 (付)本書は1981年1月に角川書店から初出版されたものです。1948年には、同社で文庫化されています。1995年双葉文庫、1997年徳間文庫、2007年中公文庫から、それぞれ再出版されました。2010年には中公文庫がkindle化しました。 | ||||
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「白の十字架」「火の十字架」に次ぐ十字架シリーズの最終作品。「白の十字架」の舞台は、白い雪で覆われた冬の山岳。「火の十字架」は、第二次世界大戦で敗戦濃厚な日本軍の神風特攻隊員たちの、三十年後を描いたドラマでした。本作の「黒の十字架」は、表向きは建設会社だが、実態は、暴力団である大場一成が、政治家や警察と癒着して、治外法権と化した羽代市で起こる事件を扱った話です。その実体を探ろうと、侵入した隣市の松原刑事が行方不明になる。そして、その行方を捜すため、再度、土谷刑事が羽代市に向かう。もちろん、警察も大場の息がかかっているので頼れない。土谷は、松原の足取りを追って行くうちに、羽代市で行われようとしているクーデターの存在に気が付く。松原は、それを知ったために消された可能性があった。土谷に協力するのが、地元の新聞社の記者で田沢である。田沢も孤軍奮闘し、筆で羽代市の大場勢力に立ち向かっていた。初め大場は、二人とも歯牙にもかけていなかった。だが、警察では下位の階級で、新聞社ではただの記者だった、そんな二人が無視できない存在になってしまう。大場一成が企んだクーデターは、先ず、地元政治家を囲い込み、背後から傀儡し国政へ進出させた。その政治家とは、与党民友党の徳島で、党内に最大の派閥を持ち、次期、党首と囁かれている男。そして、徳島に憲法を改憲させ、自衛隊を軍隊に昇格させようというものだった。大場や徳島など、悪の権力を握った者は、次に欲しがる物は武器である。この場合は自衛隊が、それに当てはまる。だが、自衛隊を軍隊に昇格させ、他国と交戦出来なければ、意味がないのだった。その武器(軍隊)を得ようと画策していたのだ。話の中では、この企みは、もちろん失敗する。だが、森村氏が嘲笑しているのは、軍隊が力を強固すればするほど、邪魔になるのは権力者である。それらの力が権力者に向かうという矛盾に、武器を持つ前は気が付いていないのだ。それは、今日でも変わらない。強烈なメッセージを発信している。権力者の愚かさも皮肉している。 (付)本書は1981年1月に角川書店から初出版されたものです。1948年には、同社で文庫化されています。1995年双葉文庫、1997年徳間文庫、2007年中公文庫から、それぞれ再出版されました。2010年には中公文庫がkindle化しました。 | ||||
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【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
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