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銀齢の果て
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銀齢の果ての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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もっともっと狂気とは程遠い。 | ||||
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年寄りは役に立たないし社会全体の負担になるから人口抑制も兼ねてお互いに殺し合いをさせようという内容になっています。 読者によっては嫌悪感があると思います。 実社会で若い頃に働けるのに働かず歳をとったら生活保護ももらえばいいやっていう人は結構いますよね。 保護費もらったその足でパチンコ行ったりして。 だからといって人を役に立つ立たないで選別するなんてことはできませんが、今の日本は権利と義務をはき違えている人が多いななんて思いながら読んでいました。 小説は福祉とか介護医療とか難しい話はほとんど出てこないのですぐに読めると思います。 | ||||
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さすが筒井康隆だと思います。 合理性だけで物事を徹底すると、こんなグロテスクな 世界も導出ができてしまう。諧謔というにはやや毒味 が強烈。この物語に描かれているような世界を否定す るには、合理性や単なる感情論、ましてや、安っぽい ヒューマニズムなど何の役にもたたない。 先祖や家といったものが相対的な価値を低くすれば、 それらが自分がほんの一つの経過点でしかないような 連綿と続く流れの意識も希薄になるのは必然である。 そうしたものは、抽象的な理念、スローガン、流行の ライフスタイルといったものでは維持しえず、日々の 生活のなかに織り込まれた幾多の所作、合理的理由も 不明な決め事や行事などに長い時間をかけて沈殿する ものだと思える。 こうした観念体系や形を共有する中で、初めて古いも のはただ古いものというだけでその価値をみいだされ るのではないか。 それは幾多の篩いにかけられ残ることで希少性をまと った骨董や古書のようなものにちかいのかもしれない。 少子化問題も結局はこうした伝統的なものを破壊し、 国のために死んでいった人々をないがしろにし、新規 さばかりにうかれて今は「はしたない老害」となってる 老人達の価値観と表裏一体です。 あと必要以上に健康幻想にとりつかれた医療ね。 そういう意味で当該世代で一旦「不良債権」を棚卸し すべし、というこの物語の論理的な反駁しがたさ。 筒井康隆の力量を改めて認識しました。 | ||||
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断筆宣言撤回後、"老境"をテーマにする事が多い筒井が、"とうとうやったか"、と言う作品。少子高齢化に対する政府の政策として、老人相互処刑制度、即ち、ある地区での70歳以上の老人が期限内にバトル・ロイヤル方式で一人になるまで互いに殺し合う制度を実施したと言う設定の物語。複数人生き残れば全員役人に殺される。必然的に殺し合う必要がある。筒井なら何時かはやるだろうと思っていた。少子高齢化問題や世間を覆う"優しさや癒し"風潮への風刺が込められているのは設定だけで分かるが、長編の中でこの殺し合いがどう演じられるかが見ものである。 主人公九一郎による慈悲の親友殺し、他の地区の生き残りで九一郎の助っ人の元刑事、聖職者の独善的論理、若妻を持つ陸自OBの生死の狭間で燃え上がる性欲と焦燥、愛し合う夫婦の刺し違え、このシチュエーションを楽しむ狷介な教授、聖職者への復讐を企てる老婆四人組、身体的ハンディを持つ男の智略、猟友会メンバのサバイバル合戦等と、登場人物とエピソードは多彩である。このバトルで大儲けした破戒坊が「葬いのボサ・ノバ」(作詞:筒井、作曲:山下洋輔)を街頭で唄うと言う演出もある。フザケ倒しているようだが、某作家の「*む人」等よりは深く死を考察している。最後まで読ませる筆力も筒井ならでは。 結末の趣向も一見筒井らしいが、この終着点に辿り付く辺り、私としては物足りない。筒井の作品であれば、エスカレートにエスカレートを重ね行き先が何処か全く不明と言う展開を期待してしまう。作品の主張がストレート過ぎると思う。筒井らしい捻りが欲しかった。 | ||||
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内容は老人版バトルロワイヤルと言うのが適当かな? 文体は軽妙でテンポが良く総じて読みやすい。 人物描写にくどさも無く、筒井氏の毒と華のある文体と腕前は、 いよいよ熟達の域に達しようとしている印象を持ちました。 コンセプトが二番煎じであっても、それを生かし自分の持ち味として逆手に取りパロディでありながらも評価に足る作品として成立させてしまうとは…恐るべし筒井康隆(苦笑) とりあえず星3つ。手癖であれだけ書ければ十分! 高齢化社会の生み出したヒズミの黒々とした部分を抽出したアンチテーゼ的作品です。 | ||||
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筒井のドタバタというか、ものすごい風刺の効いた本なのだが、やはり最後の方は爆笑してしまう。 このシリアスな話題を扱いながら、どこかで笑わせる、しかも大爆笑というのは筒井の常套手段だが、この本でもパワーは落ちているとはいえ、如何なく発揮。 内容は、老人が増えすぎて若者が支えられなくなったので、地区を決めて老人同士バトルロワイヤルみたいに殺し合いをさせるという法律が成立したため、殺し合いをする老人たちの泣き笑いドタバタ。(地区ごとに1名しか生き残れない。もし期限を過ぎても何人かが生き残っていたら、公務員に皆殺しされてしまうというルールがある) この人の本で、喫煙家が追い詰められていき最後は全人類と戦って討ち死にみたいなのもあったが、世の中なんでも極端に考え詰めると、この様になってしまうのだろう。 老人の殺しあいというとんでもないテーマにもかかわらず、最後の象が出てくる所や、鯨を撃つでかいモリのようなので人を殺す場面などは、あまりのはちゃめちゃに涙が出そうになるくらい面白い。 しかし本当にこんな世の中が来ないように祈ってます。 ※東海道戦争あたりをもう一度読み直したくなりました。 | ||||
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「老人相互処刑制度」。普通の作家がこんな設定で作品を書いたとしたら、作家としての実力はさておき、当然、設定自体に賛否両論が巻き起こるに違いない。だけど、記憶ではこの作品が小説新潮に連載されていた当時も、単行本として出版されたときも、そんな騒ぎになった記憶はない。記憶にあるのは、話題になった「バトルロワイヤル」との比較くらいだが、小説として問題にならない(比べ物にならない)といった意見が殆んどだったように思う。 こういった刺激のある内容にもかかわらず、題材に対する非難がおこらなかったのは、筒井康隆の、小説家としての実力と、文字と文章を武器とする小説家という職業への誇りとこだわりに基づく行動にあるのだと思うが、それと同じくらい《70歳を越えた》筒井康隆が書いたという事実も大きかったように思う。 老人問題という大きな問題提起を含んだ小説だが「筒井康隆の小説」として考えた場合、題材と舞台設定は強烈だが、登場人物もストーリーもそれに埋没してしまっているので、話題作ではなり得ても、オビの宣伝に書いてあるような“新たな代表作”にはなり得ないと思う。舞台設定を整えた後は筆の勢いにまかせて突っ走ってしまった。そんな感じがする。 ただ、この年になっても突っ走ってしまうところが、筒井康隆の凄いところだとも思うのだが。 再読で新たに気付いたことがひとつ。それは初読の時には拍子抜けしてしまったラストシーンなのだが、登場人物の一人が最後につぶやくひとことは、実は、著者のもの凄い皮肉が込められた言葉だったのではなかろうか。 | ||||
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超高齢化社会の改善策として、政府が日本全国90ヶ所の地区対象に 「『70歳以上の老人同士の殺し合い』を推奨?!し法律化」したなんともバチアタリでブラックなお話。 老人が「老人以外」を殺せば殺人罪、でも「老人」を殺すのは政策にのっとっている。 「狂気の沙汰」で殺し合いを行ってしまう老人・・・・・。 物語ではTVでこの政策が行われた地区を放映。 コミカルにブラックユーモアとして描いているが、読むには辛すぎる。 ラストはこんな政策おかしい!!と生き残ったご老人達が厚生労働省へ行き暴動。 しかし、ここで2名を残し27名が政府に射殺されてしまう!!! 最後ちょっと家族としての温かさが描かれてあるが、絶対「変」この話。 同じく老人???に分類されてしまう著者が書いていると思えば読み進められるかもしれない。 | ||||
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エログロパロディナンセンス、まさに集大成といった感じ。 しかし、いささか物足りない感もする。 主人公が戦い自体にあまり恐怖を感じていないせいかもしれない。 殺した相手が夢に出る、その程度の数行だけである。最後まで客観的な印象がある。 ごった煮だが、いまいちスパイスが足りない。 殺し合いがメインなのに彼の一般作品よりグロが少ない。 激辛カレーくらいの印象にしたほうが筒井康隆らしかったのではないだろうか。 そして最後もかなり物足りない。 若いころの筒井康隆なら老人世界戦争まで持っていくだろうに…。 | ||||
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