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銀齢の果て
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銀齢の果ての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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筒井のドタバタというか、ものすごい風刺の効いた本なのだが、やはり最後の方は爆笑してしまう。 このシリアスな話題を扱いながら、どこかで笑わせる、しかも大爆笑というのは筒井の常套手段だが、この本でもパワーは落ちているとはいえ、如何なく発揮。 内容は、老人が増えすぎて若者が支えられなくなったので、地区を決めて老人同士バトルロワイヤルみたいに殺し合いをさせるという法律が成立したため、殺し合いをする老人たちの泣き笑いドタバタ。(地区ごとに1名しか生き残れない。もし期限を過ぎても何人かが生き残っていたら、公務員に皆殺しされてしまうというルールがある) この人の本で、喫煙家が追い詰められていき最後は全人類と戦って討ち死にみたいなのもあったが、世の中なんでも極端に考え詰めると、この様になってしまうのだろう。 老人の殺しあいというとんでもないテーマにもかかわらず、最後の象が出てくる所や、鯨を撃つでかいモリのようなので人を殺す場面などは、あまりのはちゃめちゃに涙が出そうになるくらい面白い。 しかし本当にこんな世の中が来ないように祈ってます。 ※東海道戦争あたりをもう一度読み直したくなりました。 | ||||
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「老人相互処刑制度」。普通の作家がこんな設定で作品を書いたとしたら、作家としての実力はさておき、当然、設定自体に賛否両論が巻き起こるに違いない。だけど、記憶ではこの作品が小説新潮に連載されていた当時も、単行本として出版されたときも、そんな騒ぎになった記憶はない。記憶にあるのは、話題になった「バトルロワイヤル」との比較くらいだが、小説として問題にならない(比べ物にならない)といった意見が殆んどだったように思う。 こういった刺激のある内容にもかかわらず、題材に対する非難がおこらなかったのは、筒井康隆の、小説家としての実力と、文字と文章を武器とする小説家という職業への誇りとこだわりに基づく行動にあるのだと思うが、それと同じくらい《70歳を越えた》筒井康隆が書いたという事実も大きかったように思う。 老人問題という大きな問題提起を含んだ小説だが「筒井康隆の小説」として考えた場合、題材と舞台設定は強烈だが、登場人物もストーリーもそれに埋没してしまっているので、話題作ではなり得ても、オビの宣伝に書いてあるような“新たな代表作”にはなり得ないと思う。舞台設定を整えた後は筆の勢いにまかせて突っ走ってしまった。そんな感じがする。 ただ、この年になっても突っ走ってしまうところが、筒井康隆の凄いところだとも思うのだが。 再読で新たに気付いたことがひとつ。それは初読の時には拍子抜けしてしまったラストシーンなのだが、登場人物の一人が最後につぶやくひとことは、実は、著者のもの凄い皮肉が込められた言葉だったのではなかろうか。 | ||||
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久しぶりにスカッとしました。 老人は身勝手です。もう充分生きたはずなのに、それでも長生きをしたがる。ボケたり寝たきりになったり、意固地になって子供たちの家庭を崩壊させ、せっせと納めた税金を食い潰し、年金を溜め込んで経済活動を停滞させ、後の世代が苦しむことなど気にしていない。 こんなことが実際にあったら、どれだけ年金や医療費やその他老人にかかる公費が削減されるだろうと思いました。 | ||||
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50歳代の私には、10代後半に乱読した、70年前後の筒井作品を彷彿とさせつつ、でもやはり全盛期ほどの毒気のパワーに欠けるような、懐かしさと少しの寂しさを感じる作品でした。 作中に山下洋輔作曲の楽譜が挿入されているのも、懐かしいような感じがしました。 筒井作品の「ベスト1」にはならないと思いますが、まだまだ現役作家として活躍中の確認ができました。 | ||||
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主題は非常に挑戦的・野心的で、引きつけられるものがあります。 筆者が実際に70歳になるのを待った作品ということで、 いかなメッセージがこめられているのかと期待を膨らまさずにいられませんでした。 が、そこにあったのは多くのお年寄りが淡々とした殺し合いを続けるさまだけ。 ブラックユーモアとサスペンスのいずれに受け止めようとしても中途半端で物足りない描写が続き、 果たしてどのような感想を読者に持たせたかったのか、はかりかねてしまいます。 散見される筆者の本音らしき文言は問題解決の糸口や指標などにはなりえない性質のもので、 問題提起から先がないままに終わる本作には、思いつきで最後まで突っ走った印象が残ります。 | ||||
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■「老人相互処刑制度」(70歳以上の老人達に殺し合いをさせ、そのことで増えすぎた老人人口を調整する法律制度)が施行され2年経過した日本。同制度は、ある地区が指定されると地区内対象老人が、1か月の間に最後の1人になるまで互いに殺し合うことを義務付けている。それが若者の負担を軽減し、国民年金制度を維持させ、少子化を相対的に解消させるという「恐るべき理屈」(=ヘリクツ)に立脚した制度だ。厚生労働省直属の中央人口調節機構からは、銃を持った処刑担当官が派遣され監視巡回するので、必ず殺し合わねばならない。 ■主人公は宇谷九一郎、79歳。宮脇町五丁目の和菓子屋のご隠居だ。本作は、彼が地区で生き残るまでをていねいな筆致で綴ったブラック・ユーモア小説にして超問題作。 ■同時並行で他地域でのバトルも描かれるが、筒井は場面転換のためのスペースなどはあえて全く空けておらず、ある種の小説上の実験も試みている。その意味でも意欲作だ。 ■ラスト。各地の生き残りの老人達が、この制度の誤りを世間に知らせるため厚生労働省を武装襲撃するシーンに大いに共感して、私は泣いた。 | ||||
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まあ、他のレビューの方の言うとおりの内容です。爺さん婆さん達が自分の生存を掛けて殺しあうという、極めて筒井康隆らしく社会に対して挑発的な代物です。もう70も過ぎた方ですのに相も変わらず暴れていらっしゃる。非常に頼もしいことです。 しかし、ラストはどうか。う〜む。やはり御大も年を召されて穏やかになったんでしょうな。これがもし若い頃であれば爆発的な展開に突入してドシャメシャの結末になったでしょうねぇ。ちょっと判断に苦しむ。 | ||||
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筒井康隆の文才はまだ健在だったのをこの本で感じた。 近所の70才以上の老人がバトルを繰り広げるのを悲壮感も嫌悪感もなく 滑稽に描きながら日本が迎えるこれからの高齢化社会についても考えさせる 老眼でライフルが旨く使えないとか 腕力が無くて相手に致命傷の刺し傷が刺せないとか・・・ 70才以上の老人が個性豊に、挿絵付でコミカルに笑わせる 生に執着してしまうのは人間の性なのか、この年代の性なのか・・・ 社会から見たら高齢の80過ぎでも、本人はまだまだ若い気持ちなのも バトルで士気ある様子で面白く描かれて一気に読んだ | ||||
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超高齢化社会の改善策として、政府が日本全国90ヶ所の地区対象に 「『70歳以上の老人同士の殺し合い』を推奨?!し法律化」したなんともバチアタリでブラックなお話。 老人が「老人以外」を殺せば殺人罪、でも「老人」を殺すのは政策にのっとっている。 「狂気の沙汰」で殺し合いを行ってしまう老人・・・・・。 物語ではTVでこの政策が行われた地区を放映。 コミカルにブラックユーモアとして描いているが、読むには辛すぎる。 ラストはこんな政策おかしい!!と生き残ったご老人達が厚生労働省へ行き暴動。 しかし、ここで2名を残し27名が政府に射殺されてしまう!!! 最後ちょっと家族としての温かさが描かれてあるが、絶対「変」この話。 同じく老人???に分類されてしまう著者が書いていると思えば読み進められるかもしれない。 | ||||
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エログロパロディナンセンス、まさに集大成といった感じ。 しかし、いささか物足りない感もする。 主人公が戦い自体にあまり恐怖を感じていないせいかもしれない。 殺した相手が夢に出る、その程度の数行だけである。最後まで客観的な印象がある。 ごった煮だが、いまいちスパイスが足りない。 殺し合いがメインなのに彼の一般作品よりグロが少ない。 激辛カレーくらいの印象にしたほうが筒井康隆らしかったのではないだろうか。 そして最後もかなり物足りない。 若いころの筒井康隆なら老人世界戦争まで持っていくだろうに…。 | ||||
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あの問題作「バトルロワイヤル」では、中学生が生き残りをかけて孤島で闘ったが、この「銀齢の果て」は闘うのは70歳以上の老人である。作者筒井氏も、71歳なので等身大の老人像になっているのではないかと思われる。 でも、単なるパロディではない。 「殺し合いの対象者」となった老人達は、年老いているだけに世間を良く知っている。その腹のさぐり合いや、老獪な作戦のたてあいが流石と言わざるを得ない。 コビトプロレスや捕鯨など、「ある権利団体」の発言から閉め出された業種も若干あり、血なまぐさい内容の中にちらりと「良心」を見せているのも、実ににくい演出だ。 老人も含めて「本当に怒りを向けなければならない対象」を確認する所が終盤出てくるが、この場面がなければ本当に救いのないドラマになっていたかも知れない。 ★を一つ入れなかったのは、おそらく果てしない阿鼻叫喚の現場に立ち会えず投げ出してしまう人が、少なからずいるだろうと思ったので。 万人向けの作品ではないという意味で、筒井氏には申し訳ないけど一つ分マイナスにした。 しかし、老人問題を考える「反面教科書」としてなら、ツツイスト以外にも必読の一冊になるだろう。 私自身は、広島地区で生き残った八木熊という婆さんのその後の人生が知りたいと思う。 | ||||
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筒井御大のブラック・ユーモア精神が炸裂する、久々(失礼)の快作です。日本各所で実施される老人版『バトル・ロワイヤル』は、戯画化された人物描写の面白さに、ストーリーテリングの巧みさも相まって小説としての完成度は素晴らしく、実に痛快な作品になりました。 この作品を老人化社会に対する問題提起と捉えるか、老境に達した作者の開き直りととるか、それとも馬鹿げた作り話と考えるかは人それぞれでしょうが、なんにせよ老若男女問わず筒井ファンは必読です。 ちなみに、ファンにはお馴染みの「メケハ」たちもまた登場します。 | ||||
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