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(短編集)
暗くて静かでロックな娘
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暗くて静かでロックな娘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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短編集である。 収録作は以下の10点である。 「日本人じゃねえなら」 「サブとタミエ」 「兄弟船」 「悪口漫才」 「ドブロク焼場」 「反吐が出るよなお前だけれど」 「人形の家」 「チョ松と散歩」 「おばけの子」 「暗くて静かでロックな娘(チャンネー)」 初出は全て集英社の『小説すばる』である。 平山夢明、『或るろくでなしの死』以来ちょうど一年ぶりの新刊である。 下種で陰鬱で暴力的で嫌な気分になること間違いなしの腐った短編ばかりをぎゅうぎゅうに詰め込んだ、最高の作品集である。 登場する人物がことごとく駄目人間やロクデナシや動物じみたヒトデナシばかりなのが素晴らしい。 「日本人じゃねえなら」はある駄目な男とある兄妹の交流が最初は胸をちょっぴり温かくするが、 ラストでとても悲しい気持ちになるのである。 「悪口漫才」はある駄目な男が子供を轢いてしまい、その死体を隠蔽するために奮闘するお話である。 実は男は過去にも・・・。私はこの短編を妙に気にいっているのである。 「おばけの子」はこの短編集の中でも最も極悪である。なんたってある一人の少女が両親に虐待されまくるという、 本当にそれだけの話なのである。ディティールがリアリティに満ちているので、生々しさと痛々しさが物凄いのである。 お勧めである。 「チョ松と散歩」と「反吐が出るよなお前だけれど」は一服の清涼剤として機能するかもしれない。 特に「チョ松と散歩」は全体に少年時代のノスタルジックな雰囲気が漂っており、なんだかしんみりとした 気分になってしまうのである。 人間愛や希望や世界の平和や性善説を信じられない信じたくない人や、頬に一発、腹に一発、ドギツイものを かまされたい人や、かつて味わったことの無い極限の読書を希求している人や、クリスマスに読むのいぴったりな ハートフルな本を捜し求める人にお勧めである。 最後に一言。 平山先生、今年出すはずだったSINKERの改訂とSALVAGEはいつ出版されるのでしょうか? | ||||
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前作から一年ぶりの短篇集。『Diner』から数えると二冊目の単行本なのだが、ここ数年でとにかく驚かされるのは、平山夢明という作家を巡る評価の高まりと、それに応ずるかの如く巧さを増している著者の技量だろう。 本作も「ホラー短篇集」というよりも、ダメな部分を切り落とせない人間の業と、それを優しく見守るヒロイン(大抵、売女で気狂いだけど)のラブロマンスみたいなものが素晴らしい。 独特な言葉回しとセリフ回しから生まれてくる迫力は、以前よりもはるかに密度を増している。しかもSF設定度やホラー度はむしろ減っており、より普通の読者にも楽しみやすくなっている。今までは「こんな奇想は思いつかない」という意味で、雪隠詰めになったようなマニアや、本職の小説家からの人気が高かった印象があるのだけれども、この単行本で、『Diner』よりも一層、ファンを増やすのではないだろうか? 印象に残った短編の内容を簡単に紹介。 「兄弟船」 ゴミ箱寸前の古い風呂屋を営む兄弟。兄・市彦は元アメフトの選手だったが、駄目になって帰国。兄中心の家に怨みをドロッドロに積み上げていた弟・市三はやむなく兄と一緒に風呂屋を続ける。が、家族も女も、妄想に駆られた兄が一番の家に、やがて愛想を尽かし。 「ドブロク焼場」 平山夢明ファンが、一番好きなを感じる短編かも。火葬場に勤めながら漫才で一旗揚げることを目指す俺とチョンべ。ところが子どもの遺体を連続して処理したために、上げ上げだったチョンべの漫才はとんでもないことになっていく。読み終わった後、新宿でちくわぶを食べたくなる短編。 「人形の家」 はぁちゃんが最高。なんというか読み終えた読後感はこれが一番いいかも。心が壊れた女性とダメ男のロマンス。 「暗くて静かでロックな娘(チャンネー)」 ラストの一段落がとにかく美しい。 短編もいいのだけれども、『Diner』以降の長編が読みたいです。今年出るはずだった「びきまん」と「シエスターズ」はいつ出るのでしょう? | ||||
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