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花々
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花々の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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原田マハは、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞した『カフーを待ちわびて』で事実上デビューした。 その『カフー』に、こんな素敵な姉妹編があったのだった。 基本的に別の話ではあるとはいえ、 沖縄の島という場所設定、時間、登場人物は、『カフー』と共通していて、 一種の続編として読める。 『カフー』の主人公の明青たちのことはわずかに言及されるだけだが、 そちらに満足した読者ならぜひ読んでおきたい一冊だろう。 一方『カフー』をまるで知らない読者でも、 この本はこの本で、独立した一冊の物語として、十分楽しんで読める。 岡山の実家を捨てるようにして与那喜島でアルバイトをしている純子、 一流企業に勤めながら離婚して故郷の与那喜島に帰ってきた成子。 この二人の女性を中心に、ほかにも様々な人間像を描きながら、 幾つかの物語が短編としても読める形で結び合わされ、 結果的に一つのまとまった物語になっている。 連作短編集のようでもあり、普通に長編のようでもあるが、 「それぞれ」でありながら全体がつながって一つでもある、というのは、 テーマとも結びついたしゃれた形式だと思う。 この作家には、たしかに「原田マハ・ワールド」とも呼ぶべき独自の世界がある。 『カフー』とこれと、私自身はまだ二冊読んだだけだが、それははっきりわかった。 ネットなどで他の作品の紹介をみても印象は同じだ。 それぞれが背負った、しばしば辛い人生がある。しかも幾つもが重奏し絡み合う。 だがそうであっても、作家は、 それを乗り越えて何がしかの幸せがつかめるはずだ、と強く信じているようにみえる。 そしてそうした幸せに向けてもがく人物たちの姿を巧みに感動的に描いてみせる。 しかしあえていえば原田マハはわざとらしい作家だと思う。 『カフー』は魅力的な小説だが、ありえないような設定である。 そこへいくとこの小説は静かで自然な感じがするが、 それにしても様々な人生の不幸な様相を素材として取り込むやり方は、 何というか、遠慮会釈もない。 もちろん作家が人物をどう描こうと勝手には違いないにしても、情け容赦がない。 我々の身近なところでは、そうそうこうも辛い人生が重なり合ったりするものではあるまい。 そういう意味では嘘っぽいといえば嘘っぽい。 だが、作者はそこはまるで気にしていないようだ。 とにかくそこからいかに生きる意味を見い出すか。それがすべてである。 そしてそこにはリアルな筆力があって、我々は描かれた傷に共感し、 それを乗り越えようともがく人物たちに感動する。 嘘っぽい物語はたしかなリアルな感動になる。そこがすごい。才能がある。 タイトルは『花々』で、物語の中でも花のモチーフが実に見事に使われている。 だが、英語の題も付いていて、そちらはThe Wondering Flowers(さまよう花々)である。 なるほど、と思った。 「さまよう」とは幸せの希求を意味するだろうし、 「花」は、何かを得ようと努める人間たちが放つ輝きと、 さらにはそこで得られるものをも暗示するような気がする。 | ||||
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『カフーを待ちわびて』の続編・スピンオフとか関係なしに、ただサラッといい本でした。 短くてすぐに読み終われちゃうんだけど、ちゃんと完結してる感じが素敵でした。 読後にすっきりするお話に最近なかなか出会っていなかったので。 『カフーを待ちわびて』もそうだったけど、この『花々』も、主人公の二人以外のまわりの人々の在り方がさりげなくすごく素敵に描かれています。 とてもあたたかい気持ちになりました。 『花』をキーワードに繰り広げられる世界観も良かったです。 そして…最後に届くのは『吉報』☆ 『カフーを待ちわびて』とは別物として楽しんでいただきたいけど、読後は二つの世界が重なって、『カフーを待ちわびて』がさりげなく完結した感じがしました。 もちろん、あの人たちにとっては『これから』続いていくのですが☆″ | ||||
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カフーを待ちわびての周囲の人々のその後を通して、その後の明青たち様子も知ることができる。脇役?(周辺人物たち)にスポットを当てることによって、2つの物語により深みを与え、暖かい雰囲気を醸し出している。2つの物語が、発展融合したさらなる続編が待ち遠しい。 | ||||
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明青も幸も名前は出てくるけれど、 その姿は見えません。 完全に『カフーを待ちわびて』とは別の物語だと考えといた方がいいです。 カフーを待ちわびてで語られた明青と幸の物語と平行して 進んでいた二人の女性を中心にした短編集です。 安住の地を求めていた純子と 与那喜島を故郷に持つ成子。 純子は故郷を捨て旅人になった女性。 成子は故郷を捨て東京でキャリアウーマンとして成功している。 この対照的な、しかしどこか似ている女性二人が 女性一人旅の宿というテーマで奄美の島々を取材しようとするが そこで彼女たちに運命の出会いが。 彼女たちは それぞれに自分の道を歩み始める。 心の隅々にまで余韻が染み渡りました。 純子と成子の二人が本当に探していたもの、 それを見つけ、それぞれが満足の行く日々を過ごしている、 そんな最後のシーンがとても印象的でした。 明青や幸は登場しないけれど、 そんなのが気にならないくらいの作品でした。 物語の核となる花々。 物語とマッチしていてとても良かった。 最後の純子の母親の残したメモ。 母親の子を思う気持ちが非常に切なかったです。 | ||||
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