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ペルディード・ストリート・ステーション
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【この小説が収録されている参考書籍】
ペルディード・ストリート・ステーションの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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<上巻の感想> 近代的な人間社会に昆虫人間、鳥人間が共存する世界観。前半もうまく想像できない世界観だったが、後半から精神を食べる怪物に悪魔や魔術も出てきて、ぶっとんだ設定がさらに加速。下巻でどう完結するのか続きが楽しみ。 <下巻の感想> 上巻の後半で盛り上がってきた感じがあったけど、下巻は失速した感じ。人工知能、怪物、政府、悪の組織等のキャラクターは個性的なのに、物語展開は個人的には物足りない。 あと、全体的に海外小説らしく、長ったらしい。もうちょっとコンパクトにまとめてほしかった。 | ||||
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スチームパンク小説の代表作の一つと聞いて読み始めたのですが、文体なのか、ストーリーなのか、原因は分かりませんがどうも話に没入できず文字の羅列を追う状態になってしまい脱落しました… 私には向いていなかったのだと思います。 | ||||
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実はスチームパンクを読みたいと急に思い立ってググって出てきた作品がこれだった。羽をうしなったガルーダ(と言う人種?)が突然現れて・・・という裏表紙の言葉に興味を持ったこともあったからだが、冒頭、話が進まない^^; 作者の世界観を情景描写的に示しているのだろうけど、そこで本を閉じてしまう人が多いかもしれない。自分だって他の方のレビューで1/3までが辛抱といったことが書かれていなかったら諦めていたと思う。なにせ、ガルーダをもう一度空に戻すためにどうするかといった話が、途中から言わば怪獣モノの体をなしてくるのだから。ここまで来たら、そりゃ、「決戦」が気になるじゃないですか? だから、読み続けたんだけど・・・ これほど読了に時間がかかった本も久しぶりです。 いや、戦いの過程はそれなりに面白いし、怪物の持つ能力や、もう一匹(?)の怪物の詩的な言語や能力も魅力がないとは言わないけど、ガルーダを助ける話はどうなった? そこに意思を持った機械生物(?)まで登場してくると、どのように収束されるのだろうと。 ガルーダの罪である、他者の選択権を奪った罪も非常にわかりにくいし、それを受け入れるガルーダの最後の行動もそれほど明るい未来じゃない。爽快感を求める向きにはむかないが、人生を考えたい、人生における愛をどのように定義づけるかなどといったことを考えることが好きな人にははまるかもしれません。 それにしても、腺芸術ってのは理解に苦しむし、複眼を持ち大顎を使って食事する女性は恋愛対象にはならないなあ^^; | ||||
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もっと評価されるべき、ダークファンタジー たまたま図書館に置いてあったのを手に取り、スチームパンクというのが気になって読んでみました。 驚くほど綿密に練り込まれた設定と、巧みな文章表現で、 最初の内は聞きなれない単語、(ガルーダ、ヴォジャノーイ、ケプリ等々)のオンパレードで辞書とスマホ片手に読んでまして、10ページ読むのに30分とか時間がかかってたんですが、情景描写が非常に丁寧で訳者さんのおかげかもしれないですけど時間を忘れる程のめり込むことのできる作品だったかと あと、キャラクターの設定が非常に丁寧なんですよね、生まれ育った価値観とか、しゃべり方とか うまくレビューできていないけど、物凄くおすすめの本です。 | ||||
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いやホント騙されたわ、悔しいけれど良い意味で。 別に叙述トリックとかがあるわけじゃないんですよ、でもねえラストでよりによってそんな真実を明かさんでええやろ的なことをチクショウ! 最初はヤケに分厚くて専門用語と独自設定だらけの珍妙なファンタジーだなあ、と舌打ちしながら読んでいましたけど、これまた悔しいことに気づいたら夜明けになってやがる。一度勢いに乗って作中世界にのめりこめると一気にラストまで読んでしまいますからね。 そして裏切られるんですよ。 どのように裏切られるのか詳しく説明すると最大のネタバレになるから言いませんけど、少なくとも爽やかな裏切りではないです。 おのれ、チクショウ、なぜ、どうして先に言ってくれなかった! ……という感想を読書で味わいたいならお薦めですね。 あと、ダンジョンズ&ドラゴンズとかソードワールドみたいなファンタジー系TRPGが好きな人にも超オススメです。 「ああ、リアルな“冒険者”ってこんな感じなんだろうな」ってキャラも登場するし、主人公たちが世界を救うためにどう見ても“パーティー”みたいなのを組む辺りも最高。 作中の文章から抜粋すると、この世界の冒険者は―― 『調査、地図作成、そういったたぐいの有用なサービスを請け負う連中も、いることはいる。それ以外の大半は、墓泥棒とさして変わりはない。申し分のない勇敢さと、たまにたてる見事な手柄に価値をおく世界で、おのれの地位にしがみつき、最後は無残な死を迎えるゴミくずみたいな連中だ』 ……言い得て妙ですな。そうそう、冒険者ってそんな感じだよね。 ちなみに作中で主人公たちが雇う冒険者たちは――超有能、めっちゃ頼りになるぞ。 | ||||
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架空の都市で理系の学者が奇妙な依頼を受け・・・というお話。 まず、解説で若島教授が触れられている通り、舞台になる都市の構築の仕方に圧倒されました。ここまで綿密に都市の細部を微に入り細を穿つ形で読者に提供した著者の筆力に感銘を受けました。 それと、中心の筋にあたる、鳥人間や様々な人間以外の生命体と人間のかかわりやそのキャラクター造形も著者の独りよがりにならず、読者に判り易く提示している所にも著者の筆力の高さを感じました。 内容解説によるとファンタジーで賞をとったとの事で、ファンタジー風にも展開しますが、基本的にはSF小説としての側面が強いのではないかと思いましたがどうでしょうか。 上下合わせて1000ページを超える大作ですが、中だるみや失速せずに最後まで読者を愉しませる手腕にも脱帽でした。判り易いイメージが作品全体に通奏低音の様に流れていますが、通俗に流れない所も素晴らしいと思います。長いですが、機会があったらまだ何回も読み返したくなる大作小説でした。 著者の奔放なイメージに圧倒される事必至のSF大作。是非ご一読を。 | ||||
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最近、昔読んだSFを読みたくなって~というのも、内容を忘れてるが殆どなのと、覚えているのを今読むとどんな感想を持つかを確認してみたくて~ハインラインとかベスタ―とかを読み返してたのだけど、最近のはどうなのかと思い、いろんな賞をとっていて、かつ自分好みの物語性にあふれている(と思われる)この本を読んでみた。なんたって、”蒸気機関車と黒魔術が総べる”というんだから、それだけでワクワクするじゃありませんか! で、どうなんでしょう? (こういうのが”サイバーパンク”っていうんですか)もう海外SFを20年くらい読んでなかった自分には、上下巻にわたる本書を読みおえて、カテゴリにこだわらずに言うならば、この物語は結局なんだっんだろ?なんだか頭のいい人の思い付きをハリウッド的な”その時がおもしろければいいもんね”みたいな、これでもか的開示を延々と書き連ねた物語・・だったのかなあ。 ほかの人はどんな感想を持ったんでしょ? いいか悪いか別にして、自分には作品のテーマと作者の意図がさっぱり不明でした。 この世のものでない物語を構築するのであれば、独善的にならない工夫が欲しいと思うのは自分だけなのか?これを読んだ皆さんは、背景も説明もなく作品に登場する様々な事象を、すんなりと創造して読めるんでしょうか? そのもろもろにしても、そんなに目を見張るほどのものがあったかというと、そんな気はしないんだけどなあ・・ 「地球の長い午後」とか「夜の翼」とか(もうクラッシックなんでしょうねきっと)、そんなものを読んだ時の”見ちゃった・・”みたいは瞠目が、あまりないんだけどなあ。 でも、何であれ読ませる力と文章は素晴らしいと思いました。 | ||||
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そのたった一部だ! ただしこれだけは言える。ウィーヴァーたん萌え。 | ||||
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以前この作家の「クラーケン」も読んだのですが、この人はちょっと読みにくい、独特の文体を使う人だなあ、というのが真っ先にうかぶ感想です。(ある程度物語に加速がついて、筆がのってくると普通の文章になるようなのですが、エンジンがかかるまでの導入部分が、とても読みづらいです。) つい途中でいやになって中断するのですが、しばらくすると続きが気になってまた手にとる、の繰り返しで、結局読みきってしまいました。 この作者は「むやみやたらと鮮やかなイメージをぽんぽん思いつく」というだけでなく、そのひとつひとつのイメージに最後まできちんと向き合って、ちゃんと立体的に収束していく、というところがあって、そこが「どこかで見たことがある感じ」だなあ、とずっと思っていました。 で、ジャンルはちょっと違うのですが、「この感じは昔のSFスタイルの、ワイドスクリーン・バロックに似たところがあるのじゃないか」とふと思いました。 ワイドスクリーンバロックというのは、昔の「宇宙SF」のスタイルのひとつで、「いろんな突飛なアイデア(ハードSFに出てくるようなリアルなアイデアではなく、ちょっとうさんくさい、でもとても興味深いアイデア)を、過剰なくらい詰め込んで、物語を怒涛の渦のなかに巻き込んでいき、登場人物たちはチェスの駒のように動かされ、彼らは世界の滅亡にかかわる戦いのなかでどんどん失われていき、ラストでどっかーんと一段高いステップに登りつめて物語が終わる」という感じのものです。(つたわりますか…?) 「ペルディード」と「クラーケン」は、宇宙SFではなく、狭い範囲の異世界を舞台にしたファンタジー、だと思うのですが、物語のすすみかたが、すごく似ている気がします。 ラストの結末部分は、「クラーケン」のほうが、ぴしゃっとフィニッシュしている感じで、後味がすっきりします。 「ペルディード」は、この物語だとこういう結末になるのは、仕方ない、という感じがして、着地がきまった快感はすこし下回るのですが、グロテスクな事物のアイデアは、秀逸だという気がします。 素材がポップでとっつきやすいのは「クラーケン」のほうだと思いますが、「文体にいらいらさせられる」のも、「クラーケン」のほうが上。ほんとにもう。(今度出た新刊は、河出書房新社なんですね…うーん、また上下巻…。うん?…2010年刊行で、これは新刊じゃないのですね?…ということは、上巻しか手にはいらない本なのでしょうか…YAっぽい本なのでしょうか?…??) 「言語都市」や「都市と都市」は、はたしてこの2作と同じような「ごちゃごちゃ、がらがら、どしゃぐしゃ」という感じなのか、それとももしかしたら不条理文学ふうのスタイルなのか、不安で、まだ手が出せずにいます。(この人の文体で不条理文学だと、私にはつらいなあ、と、つい考えてしまいます…) | ||||
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『都市と都市』が面白かったから、同じ作者の作品を読んでみた。 世界観が凄い。 『都市と都市』はSF とはいえ、現実にあり得るような世界だったが、この作品は、ブッ飛んでいる。 蒸気機関と魔法をごちゃ混ぜにした、19世紀のロンドンのイメージだ。そこの住民は、昆虫人(頭が昆虫で身体は人間の女性)と水棲人と羽の生えた鳥人や、植物型人間などで、様々な地域に分かれて暮らしている。 肉体の改造を愉しむ人や、刑罰として改造されることもあるため、人間とはいえ、グロテスクな姿をしている人もいる。わざと改造して、見世物小屋で日銭をかせぐ貧困層など、悲惨な世界である。 でも、種族を超えた恋愛の素晴らしさも同時に描かれている。これが良い。 統一理論の研究者、アイザックのもとに、羽根を根元から切られた鳥人が訪ねて来る。羽根のある生物を研究するうちに、珍しい幼虫を手に入れたのだが、成虫になったときに恐ろしい事実が判明する。 人間以外の登場人物の設定から、ドラマ『スタートレック:エンタープライズ』のズィンディを想像しながら読んでました。鳥人は、エンキ・ビラルの映画『ゴッド・ディーバ』か。もしくは、ジョジョ第三部の”マジシャンズ=レッド”(あれ、羽根なかったっけ?)のイメージで・・。『ベヨネッタ』の巨大クモに、『モスラ』、異世界(我々の世界?)の悪魔も出てくるし、都市国家ニュー・クロブゾン以外の世界は、ナウシカの世界みたい。映画『アイ・ロボット』、『トランス・フォーマー』のイメージも、湧いて出てきた。 結末は、好き嫌いが分かれるかも知れない。 | ||||
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昆虫女じゃなくて猫女とかにしてくれればよかったのに、とか思いました。唾液を固めた芸術とかやめてほしかったです。いろんなクリーチャーが次々に登場するので飽きないです。まあそういう意味ではいい本なのかもしれません。 | ||||
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難しい本でした。昆虫女とファックするのぜんぜんうらやましくないので、ちょっと自分には向かない本だったのかもしれません。 | ||||
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昔、ドロヘドロの帯に『ファンタジーブームに冷水を浴びせる!』ってコピーがあったが、アレが冷水ならコレは液体窒素。 『助けてください勇者よ』の代わりに警察の銃弾が、冒険の代わりに逃避行が、救出の代わりに処刑が、決闘の代わりに殺戮が、友誼の代わりに裏切りがある。父性的な髭の魔術師の代わりに奇怪なジグを踊る狂った蜘蛛の化け物がいて、牧歌的な身内的君主制の代わりに手出し無用の腐敗固着した独裁議会制がある。 馴れ合いは一切ない。主人公パーティ的な集団は形成されたと思ったとたんに瓦解する。弱きものはみんな蹂躙されて死ぬ。強きものはより強く悪しきものに駆逐される。かくしてみんな不幸になる。約束の地は無く、人と人とは決して解り合えず許し合えず和解し得ず、黒幕は相変わらず財力にモノを言わせてふんぞり返り続け、下らないピラミッドの基部を割り当てられた大々多数のリトルピープルは解決の糸口すら見つけられず地を這う虫けらであり続ける。 こいつを倒せば万事解決、な魔王なんて存在しないし、何がどう上手く転ぼうとも、指輪を一個火口に放り込んだ所で何も起こったりは、何も変わったりはしない。 架空世界だろうと、ここには七面倒臭い入り組んだ社会体制があり、町の名前だけではなく通りの名前や番地や駅名や、スカした住宅街や犯罪地帯や悪臭漂う工業地帯や下水道があり…つまりは過剰にリアルな、そしてだいぶん不愉快な街並が、世界があり、そこに生きる、お粗末で、低能で、事なかれ主義で、瞬間的に燃え上がっては簡単に燃え尽きる…つまり現実の我々に生き写しのようなクソつまらない人々が、居る。 それは、誰かさんの気紛れや、何たらいうアイテムのどーだこーだで揺らいだりしない、汚らわしくも強い世界だ。そんな世界こそが、この小説を制している。この小説の本当の主役なのだ。 そんなこんなで、世間的な「なんとなく」のフィクション的合意事項、特にファンタジー物語世界における、なあなあのお約束事項--『強く特別な主人公(たち)が世界を救う(変える)』--に対して真っ向から極太の中指を突き立てた小説である。 つまりは飽くまでカウンターでありメインストリームには決して乗りえない代物なのだが、ジャンルライターであることを誇りとする、と嘯く作者はそんな事は百も千も、億も承知であるに違いなく、『ファンタジーをもってファンタジーを否定する』という、コモンピープルに対する嫌がらせ以外の何物でもない荒業をやってのけた力作、怪作、そして快作だ。強烈にショッキングで苦く、それでいながら奇妙な解放感を感じさせる結末まで、一気に読んでいただきたい。 | ||||
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SFといっても,ファンタジーとの融合なので,多少強引な設定もやむを得ないと気にしなければ,買って後悔する内容ではありません。設定も奇抜で面白いです。「地獄の大使」との謁見とか。わくわくしました。分量も読み応えがありますよね。ただ,やたら長い物語の中で,主人公もけっこう酷いことをやってるのに,最後の最後に主人公が示す潔癖症は,ストーリー全体に何だかちぐはぐな後味を残しましたね。おそらく最初のアイディアでは,自然な結末だったのでしょうが,編集者に言われていろいろと冒険的要素を詰め込んだ結果の破綻でしょう。この綻びをどう見るかで,作品の評価は分かれますね。あとがき(文庫版)は作者の戦略だと述べていますが,どうでしょうか?ということで,私は,この点で★をひとつ落としています。 | ||||
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文庫でなく、ハードカバーで読んだ感想です。当時、完全に心奪われた作品です。 単行本は、プラチナファンタジーとしての扱いで、SFではありませんでした。文庫はSFですけど、私は本作はファンタジーの方がジャンルとしてはしっくりきます。 日暮氏の訳は、歯ごたえがありすぎて(たぶん正確すぎるんでしょう)相性が悪く、ニール・スティーブンスンの諸作品もなかなか読むのが大変でした。本作品も、最初の3分の1読むのに数ヶ月かかった覚えがあります。 ただ、スレイク・モスが逃げ出したあたりからは、匂い立つ描写に目眩がしながらも、ページを繰る動作を止められませんでした。奔放、混沌、かつ説得力に満ちた異世界を手探りで歩いていた感覚です。 ストーリーは複雑ではないですが、設定が普通の想像力ではついて行けません。言葉がつたないですが、読み終えた後は、「凄えもん読んじまった」感です。 ラストは切ないですが、この世界であるべき必然的な終え方だと思っています。 なお、本作のトリックスターであるお祈りジャックは、ミエヴェルの短編集「ジェイクを探して」の一編に登場していますので、おすすめ。 本作は、本筋というものがわかりにくいので、以前、別のところで書いたあらすじを以下に書きます(ネタバレはないですが、中盤以降にまで触れているので、これから読む方はお気をつけください)。私は、この作品を強く薦めます。 部族で罪を犯し、罰として翼をもがれたガルーダ族のヤガレクは、トンデモ科学者のアイザックを訪ね、翼をくれという。アイザックは飛翔の研究を開始する。 その頃、アイザックの恋人のリンは、暗黒街の大物、モトリーの彫像造りを依頼され、モトリーの下を通うようになる。 アイザックは、ある幼虫を裏ルートで手に入れるが、それは麻薬を餌にして麻薬を生み出す、スレイク・モスという蛾の幼虫だった。幼虫は孵り、逃げ出したばかりか、研究(麻薬製造)のため捕まっていた他の4匹の仲間を解放し、ニユークロブソンの街を闊歩して、街の住民の精神を吸い取り、街中をパニックに陥らせる。アイザックは、ヤガレクを飛ばすために、自分の昔の研究である危機エンジンを使うことを検討するが、あと一歩、複雑な数式の計算式が出せない。 提督のラドガターは、'1.蛾を逃がしたこと(いわば当局がヤクザの親分に麻薬を横流ししていた事実のもみ消し)と'2.危機エンジンなんて文化を根底からひっくり返す発明をもみ消すこと、のためにアイザックの確保を命じるとともに、スレイク・モス退治を大蜘蛛生物ウィーヴァーに依頼する。モトリーは、麻薬製造マシンのスレイク・モスの解放に腹を立て、リンを人質に取る。 意識を持った機械、コンストラクト・カウンシルは危機エンジンに関心を持ち、アイザックに接触を試みる。なぜか、ウィーヴァーもアイザックとお仲間たちに興味があるようだ。 当局も暗黒街も精神ヴァンパイア(蛾)も全員敵に回して、アイザックたちは蛾の退治に成功するのか。ウィーヴァー、コンストラクト・カウンシルは敵か味方か。危機エンジンは完成するのか。リンの運命は。ヤガレクは空を飛べるようになるのか。クライマックスは、ペルディード・ストリート・ステーションを舞台に、三つ巴・四つ巴・五つ巴の大戦争となる。 | ||||
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物語はハッピーエンドでないといけないとは言いませんが、この話の結末は、悲しい終わり方でも考えさせられる終わり方でもなく、意図的に不愉快な終わり方に作られています。多くの人を助けた主人公は誰にも認められず惨めに逃げねばならず、ヒロインは理不尽な暴力を受けた揚句に痴呆状態にされてしまう、そういう結末の物語が好きだという人にしかおすすめできません。 SF的なガジェットやイマジネーションなどは、読んでいる途中までは確かに面白いと思わせられたのですが、最後まで読んでの感想は、不愉快な結末に読者を連れていくワナのためのエサとしてSF要素がバラ撒かれていたのだなあというものでした。 映画の『SAW』などが好きな人がこの本を好きになるのかもしれません。不愉快な結末が好きな人のための本ということなのでしょう。できることなら忘れたい嫌な思い出のような本でした。まったく評価できません。 | ||||
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この話の舞台は、どこか別の世界の街。 人間と、他の動植物を擬人化したような人種や得体の知れない怪物、ロボットなどが、それぞれでコミュニティを作りつつ、渾然一体となって暮らしている様子が描かれています。 街の様々な階層の住人が現れては消え、場面があちらこちらに飛ぶ所を見ていると、ストーリーよりもこの世界とその住人達のことが書きたかったんだろうなあ、と思います。 あまりはっきりと書かずに読者の想像に任せているような箇所もあるので、そういうのがモヤモヤする方には向かないと思いますが、そこが平気で、暗くて退廃的な雰囲気が好きな方にはお勧めです。 | ||||
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異世界を舞台にしたSFと云うより怪奇冒険小説。 我々の世界とは異なる技術体系と思しき科学が発展し、人間とは異なる様々な知的種族が、中には高次元生物と想われる種族迄もが存在し、しかも人間と共存している世界が舞台。 SFと云うよりは幻想小説だが、純然たるエンターテイメント。 作者自身は本作をニュー・ウィアードと呼んでいるそうだが、スプロール・フィクションやSF、ファンタジーなどと呼ぶよりは、その方が合いそうだ。作者のデビュー作はホラーで本作はそれに次ぐ第二作だが、矢張り本質的にはホラー。この世界を舞台にした第一作でもあると云うので、続くこの世界を舞台にした作品も訳出される事を望む。 | ||||
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アーサー・C・クラーク賞、英国幻想文学賞受賞作。 二段組み600ページを越える超大作。内容的にはファンタジーなんだろうけど、どこかスチームパンクを思わせる。スチームパンク好きの自分にはぴったりなんだけど、2009年の6月に出版されてすぐに購入したにもかかわらず、辞書のような分厚さに恐れをなして、今まで読んでなかった。 しかし、それを後悔させるぐらいの内容。どうして、こんなに面白い、想像力豊かな作品をすぐ読まなかったのだろう。 舞台は、バス=ラグと呼ばれる魔術と蒸気機関が支配する世界の都市、ニュー・クロブゾン。そして、その中心に位置するのは、題名にもなっているペルディード・ストリート・ステーション。 その世界では、人体改造された人間や昆虫人?、鳥人?などが混在しているが、そこに住む異端の科学者アイザックが主人公。そのアイザックに飛べなくなった鳥人族ガルーダのヤガレクが再び飛べるようにして欲しいと頼み、アイザックは、鳥や昆虫など空をとぶことのできるものの研究を初め、そこで、見つけた不思議な幼虫を育て始めるところから話は進む。 前半部分はなかなか話が進まず、この世界がどういうものなのか理解するので精一杯なのだが、読んでいくうちに、不思議とこの世界や主人公の行動が自然なものに感じられるようになってくる。この世界のディテールの描写がいい。まるでSF映画を観ているようになり、物語の世界に引き込まれていく。この辺が著者のスゴイところだ。 後半は、打って変わってスピーディな展開。自らが育てた幼虫のせいで、世界が破滅の危機に瀕し、それを救おうとするアイザック。その過程で出てくる、不思議な生き物やコンピュータらしきもの。ファンタジーの世界とスチームパンクが見事に融合し、衝撃的な結末を迎える。ネタバレになってしまうので、詳しく書けないのが残念だけど、ページを捲るのがもどかしいぐらい、グイグイと引き込まれていく。 いやぁ、スゴイ小説だった。 この同じ世界を舞台にした続編もあるようなので、そちらも読んでみたい。翻訳されないかなぁ。 | ||||
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SFというよりファンタジー。最初の1/3は溢れんばかりの異世界の情報に翻弄される感じだったが、真ん中で話が動き出し、のこり1/3はスピード感のある展開で十分楽しめます。街はすべて崩れ腐り行く過程にあるようでどこもぬらぬらとした汚水まみれのなかを主人公たちが駆け回る。異世界をこれだけのボリュームで構想したことが驚きだし、その世界を見て回るだけでも2日間くらい堪能できました。ただ敵役が魅力的なのに活躍の場面が思ったより少なかったことと、最後が続編がないとしまらない感じで終わってしまったことが残念です。本当に主人公たちはこれからどうなるのでしょうか。 | ||||
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