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ザ・ロード
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ザ・ロードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 41~54 3/3ページ
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寓意に満ちた静かで普遍的な物語。 親は子供になにを教えてあげられるのだろう? 酷い現実、悪意に満ちた社会の前で立ちすくむ子供に。 弱いモノとして踏みにじられる子供に。 ちっぽけな希望やささやかな善意がなんの役に立つのかと 問われても親は子供に言い続けるべきだ、 「善き人であるように。」 そう子供に言う事によってかつて子供であった親もまた教示を得るのだ。 「子供のためにも善き人であろう。」と これはよくある世紀末SFではなく親と子の普遍的な物語です。 | ||||
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まもなく日本公開となるヴィゴ・モーテンセン主演の映画版を渡米した時にたまたま見ることができたのですが、かなり健闘しているだけに、この小説の映像化の困難さを強く感じさせるものになっていました。 コーエン兄弟が「ノーカントリー」として巧く映画化した「血と暴力の国」に比べても、この小説にあふれているのは言葉、描写、詩的な力です。それだけに、よりマッカーシーの本領が発揮された傑作だと思います。 映画公開をきっかけに、ぜひマッカーシーのファンが我が国にも増えてくれたら。また(本当に素人意見で恐縮ですが)翻訳もすばらしいと思います。 | ||||
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読み始めは世紀末の陰鬱な描写が続いて嫌になる。 それがいつの間にか、死を確信しながらも息子を守る父の姿、人間の醜さを見ながらも「善きもの」を信じる続ける息子の健気さに引き込まれてしまう。それは絶望的世界を照らす力強い光明だ。 息子が未来へ踏み出してゆくラストシーンには重厚な読後感が残る。読むのやめようかと迷っているあなた。最後まで読むことをお勧めします。 | ||||
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日本でも有名になった、マッカーシーの受賞作です。 破滅した世界を進む、いわばロード・ノヴェルです。既に多くの作家によって 語り尽くされている内容ですが、流石マッカーシー。 確かに設定や話の展開が御都合主義なのはありますが、それ以上に この破壊され尽くした世界の描写、そして親子の関わりを 読んでいて寒気と哀しみ、そして涙が止まりません。 近年むやみに頁数が増大する小説が多い中、たった330頁で ここまでの話をまとめる力量に脱帽です。 是非、一気に読んでみてください。人間とは何なのでしょうか。 | ||||
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もともと書評などあまり読まず、感覚で本を選んでいるタイプです。近未来の核戦争後の時代が舞台になっている、父と子のロード・ノベル、という事前知識で読み始めました。読んでいるときは、情景描写が複雑で読み辛いなといった印象で読み進んでいきました。後半その文体にも慣れてくるのですが長編としては短い作品なので文体に慣れてくるころには結末になっていました。モチーフとしてはSFなのですが、中身は完全に文芸書だと思いました。訳者あとがきを読むとよくわかるのですが、暗示が非常に多く、その出典を紐解くだけで解読本ができそうです。 破滅・終末後世界を舞台とする作品は数多くありますが、なぜか私は『羅生門』を連想しました。作者はアメリカ文学界の巨匠だそうで、エンターテイメントのような起承転結があるわけではなく、淡々と物語が展開していきます。暗示が日本人にはなじみがなく、文体も独特なので、軽い読み物だと思って手にとると期待を裏切られるかもしれません。それなりの予備知識と心構えをもって読むならば文芸書として高く評価される作品なのではないでしょうか。 | ||||
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コーマック・マッカーシーという作家は、’07年度のアカデミー賞で作品賞をはじめ4部門を受賞した映画≪ノーカントリー≫の原作『血と暴力の国』を読んで初めて知った。 彼は実はアメリカを代表する文芸畑の巨匠で、『血と暴力の国』のようなクライムノヴェルを書いたこと自体が異例で、話題になったそうである。 そこで本書であるが、’07年度のピュリッツァー賞に輝いたベストセラーの、待望の文庫化である。 舞台は核戦争か異常気象で破滅した近未来。日が照らない空は分厚い灰色の雲に覆われ、地上は荒れ果て植物は枯死し動物の姿を見ることはほとんどない。わずかに生き残った人間は飢え、無政府状態の中で凄惨な争いを続けている。 そんななかで名も無い父と息子が、暖かいだろうと思われる南を目指す物語である。ショッピングカートに荷物を積み、道々で食料と物資を探しながら・・・。 旅路で襲われたり、飢餓の恐怖に苛まれたりするスリルはあるものの、これは派手なパニック小説ではない。不気味なぐらい静かで穏やかだ。すでに悲嘆に泣き叫ぶ段階は通り過ぎているのだ。生と死の境界線のあたりをさまよいながら旅するふたりの姿は、人間が人間でいられるぎりぎりの存在感で迫ってくる。それは、息子があくまでも“純真・純粋”に描かれ、彼を守る父親にとって息子が“世界”のすべてだからだろう。 本書は、『血と暴力の国』同様、「心理描写がほとんどなく、会話に引用符をつけない」マッカーシー独特の文章といい、そして本書の「章立て」という区切りのないスタイルといい、彼ならではの独自の世界が展開された傑作である。 | ||||
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久しぶりに小説の持つパワーに触れることができた。 最後のたった1ページで号泣してしまった。 時代背景や主人公達の境遇等、多くを語らず読み手に任せて繰り返される日々の描写。 だが読み進めていくうちに著者が用意した世界にどっぷり浸かっていたようだ。 寒さ、真っ黒な世界、寂寥感、時間まで同じように頭に入ってくる。 この主人公達の辿った道はある意味我々現代人と同じだ。 ゴールはどこか?そこに行けば明るい未来があるのか?幸せをつかむ事が出来るのか? それがわからなくても前に進まなければならない。 その道にはさけては通れない暴力もあり、ちょっとしたボーナスもあり、絶望もある。 そしてどんな状況になろうと人間である限り決して忘れてはならないもの、それが愛だ。 とぎれとぎれではなく一気に読んでほしいと思う一冊だ | ||||
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句点はあっても読点がなかったりするので、最初は読みづらいです。 中盤辺りから「この世界でこの親子は最後に何を選択するのだろう?」 と思いながら一気に読み進めました。 灰が降る近未来という設定はずいぶんとありきたりですが、べつに純粋 なSFを書こうとしているわけではないので、近未来というイメージだけで 手に取らずにいる人がいたら持ったいないですね。 宗教や信仰的な要素もありますが、難しい話というわけでもなく、 父と子の飾り気のない会話が印象的で心に残ります。 子供がいない人でも、恋人などに置き換えて考えると容易に感情移入できる のではないでしょうか。自分と恋人がこういう世界に残されたと考えたら ちょっとたまらない気持ちにさせられました。 | ||||
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時代設定は特定されてないない。 今から数年後、もしくは数十年後の未来、核戦争後を連想させる。 そこは、少ない食糧を生き残った人間達が奪い合う弱肉強食の世界、そしてカニバリズム。 そんないわば「世界の終り」を旅する父と子の物語である。 とはいえ時代設定にさほど意味はないように思える。 扱われるテーマは頑ななまでに普遍的なものだ。 親が自分の子にしてやれる事とは何か。 食事を与え、体を洗ってやり、寝床を確保し、危険から守ってやる事。 他にしてやれる事はあるのだろうか? 会話を持ち、できる限り質問に答え、誠意を持って向き合う。 親が子供に接していられる時間は悲しいほどに短い。 子供が自立し、自分の足で歩いていくためにしてやれる事とは何か? そして自分の人生とは?その生き様とは? こういった普遍的なテーマをストレートに描いた見事な作品だ。 この作品は、本当に子供の為になる事を伝えたい全ての親達と、親の事を理解しようとしてもできなかった全ての子供達にとっての必読書といえる。 | ||||
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映画『ノー・カントリー』の原作者、コーマック・マッカーシーの長編小説。 終末世界を生き抜こうとする親子が南、南へと大陸をわたっていく。途中では、飢えに苦しみ、人肉を食らう人々も出てくるような暗い話。 読んでても全く希望のかけらもない話。でも読み始めてから一気に読んでしまうぐらい引き込まれてしまった。なんでだろう?不思議な魅力のある作家だ。他の著書も読んでみよう。 | ||||
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心にずしんと響く。 何年たっても、この感覚は忘れないだろう。 読んでいて、舌が乾くような、喉がからからになるような息苦しさがずっとつきまとう。それでいて、やめられない。 圧倒的な読後感に、しばらく何も手がつかなかった。 | ||||
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もともと書評などあまり読まず、感覚で本を選んでいます。近未来の核戦争後 の時代が舞台になっている、父と子のロード・ノベル、というだけの事前知識で 読み始めました。読んでいるときは、情景描写が複雑で読み辛いなといった印象 で読み進んでいきました。後半その文体にも慣れてくるのですが長編としては短 い作品なので文体に慣れてくるころには結末になっていました。モチーフとして はSFなのですが、中身は完全に文芸書だと思いました。訳者あとがきを読むとよ くわかるのですが、暗示が非常に多く、その出典を紐解くだけで解読本ができそ うです。 破滅・終末後世界を舞台とする作品は数多くありますが、なぜか私は『羅生門』 を連想しました。作者はアメリカ文学界の巨匠だそうで、エンターテイメントの ような起承転結があるわけではなく、淡々と物語が展開していきます。暗示が 日本人にはなじみがなく、文体も独特なので、軽い読み物だと思って手にとると 期待を裏切られるかもしれません。それなりの予備知識と心構えをもって読むな らば文芸書として高く評価される作品なのではないでしょうか。 | ||||
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切れ目なくつづく文章は、旅の果てしなさ、出口のなさを象徴しているかのようだ。 大きな厄災(核戦争か)が起こり、生命がほぼ死に絶えた大地を、 父と子がひたすらに南をめざす。ひとの気配のない民家で食べ物をあさり、 人肉を口にする人間たちの傍らをかすめながら、人間としての最後の一線を守り、 それでいて生き延びるための冷徹さは失わず、南をめざして「火を運ぶ」。(希望を?) 人類が滅びるときの風景とはどんなものか。文明の残骸ともいえる風景を実感のこもった筆で、ていねいに、細部をおろそかにすることなく描く力量はいうまでもなく、 「彼」が息子と自分を守るために、考え出すさまざまの工夫、創造力にひきつけられ、 途中で本を置くことができないほどだった。 文章は冷静で、実写的だが、いたるところに詩を感じた。他の方のレヴューにもあるように、 息子との会話は印象的で、忘れがたい。そして地の文にも、美しさがある。 たとえば死んだ海の描写。 「その向こうは鉱滓をたたえた巨大な桶がゆっくりと揺すられているような広大で冷たく絶えず鈍重にうねっている大海原」。自然に涙が湧いた。翻訳者の功も大きい。 最後に「感潮河川」について。 広辞苑では、「川の下流部で海の潮汐に伴って流速や水位が変動する範囲。海水の塩分の影響を受ける範囲よりはるかに上流まで及ぶ。勾配のゆるやかな川ほど、その範囲は長い」となつている。 | ||||
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エンターテイメント・ウィークリーという洋雑誌の企画で、ここ25年のベスト本の第1位に 選ばれていたので購入した(ちなみに、2位がハリー・ポッターで、10位が村上春樹の 「ねじまき鳥」)。読み始めたら手が止まらず、久しぶりに朝まで読みふけってしまった。 第1位というのも納得の読み応え。 内容はと言うと、生命がほぼ死滅した北米大陸を、父と息子が旅するロード・ノべルだ。 なんらかの理由で文明は完全崩壊し、空は灰色の雲に覆われ、気温は 石がひび割れるほど低い。そんな世界で、父子は暖かい南を目指し、 ボロボロの地図を手にひたすら歩いていく。食料は乏しく、野蛮人と化した者たちに 襲われる危険が常につきまとうが、父は息子を必死に守りつづける。 いったい、二人の旅の終わりには何が待ち受けるのか……。 この本の何が恰好良いって、それは父と子の会話だ。本のカバーにも 引用されていたが、本を置いた後でも印象的な台詞が次々と脳裏に甦ってくる。 お互いを気遣う父子のやりとりにはついつい涙腺がゆるんだ。また、最初はなかなか 慣れなかった著者独自の文体も、だんだん身体に馴染んでくると読むのが快感になってくる。 そしてやはり、ラストの感動と衝撃が忘れがたい。読了の翌日は、ずっと 最後のシーンのことを考え続けていた。 | ||||
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