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パーカー・パインの事件簿(パーカー・パイン登場)
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パーカー・パインの事件簿(パーカー・パイン登場)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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彼女の膨大な作品群の中ではマイナーと言わざるを得ないのですが、これは物語作家クリスティの筆の冴えを堪能できる最高の短編集としてオススメです。シリーズとしてあと二、三冊書いてもらいたかったところですが、あのレベルをキープするのはちょいと無理だったのかな、と思えるほどのクオリティの高さです。後半はポアロの活躍譚として書けたんじゃない?という意見もあるでしょうが、それでもあの映像化不可能な、純然たる小説作品と言うべき最終話(なぜ不可能なのかは、最後の一行を読めば分かります)まで、ヤラレタ!という感覚を存分に堪能させてくれるお話しばかりでした。 第4話の中で「夫は妻の前で自分を卑下した態度を取るものではない。自分の好きな事、才能を存分に誇るべきなのです!」というパーカー・パイン氏の意見にはかなり啓発されました。女性のクリスティがこう言うなら間違いないでしょう。「僕、何にも出来ないダメな奴なんですぅ」という日本人男性にありがちなセリフ、やはりあれはダメなんですね。 | ||||
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全14篇の短篇は、前半6篇と後半8篇とで、そのテイストは大きく違っています。 「○○○○の事件」と題された前半6篇では、悩みごとの相談に事務所を訪れた依頼人を、パーカー・パインのチームがぐるになって、依頼人の悩みを解決すべく、あれこれ画策するという話の流れになっています。 一方、「ほしいものはすべて手に入れましたか?」以降の短篇では、パーカー・パインが旅先で遭遇した事件やらトラブルを、パーカー・パインの推理や行動によって解決にもっていく展開になっています。 どちらがより楽しめたかといえば、前半6篇の話のほうですね。 コメディ・タッチの話が軽快に転がっていく愉しさ。センスのいい、洒落た落ちの付け方。面白かったなあ。 なかでも、「大富豪夫人の事件」は断トツの名品で、読み終えて、椅子から転げ落ちそうになりました。この作品が読めただけでも、本書を手にとって良かったなあ思いました。 圧倒的な読みごたえに呆然とさせられたこの短篇以外では、「無聊(ぶりょう)をかこつ少佐の事件」「ある会社員の事件」「シーラーズの館(やかた)」「デルフォイの神託」の四篇が面白かったな。 山田順子さんの訳文。日本語としてこなれてて、とても読みやすかったです。登場人物の会話文なんかも自然で、引っかかることなく読むことができました。 大津波悦子さんの巻末「解説」も、読みごたえあります。なかで紹介されてた『人魚とビスケット』てミステリは、なかなかに魅力的な作品でしたっけ。 文庫本のカバーイラストがまた、センスがあっていいですねぇ。松島由林さん、グッジョブ! 収録作品(初出年)は、以下のとおり。 | ||||
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14篇のうち、初めの7篇は「あなたは幸せですか?」という新聞広告を見てやってきた依頼人をパインの命を受けた仕事人たちが、一芝居打って幸福にしてあげるというユーモア小説みたいなもの。自分は、クリスティというとミステリーの女王というイメージだったので、こういう小説も書いていたんだ!と面白く読んだ。P.Gウッドハウスなどをチラリと思い出したりして、英国のユーモア小説の伝統に連なるものなのかな?とも思ったりしました。ただ、クリスティならでは言えるのは、実生活での人間観察であったり、人生経験で培ったことが登場人物や話の中に散りばめられていること。結婚にまつわるエピソードで、「結婚当初から女性に対しておもねるような(自分の嗜好を隠して相手に合わせる)態度を取ってはいけません!それは間違いです!」「私の経験からいって、真実というのは、たいてい、物事を台無しにしてしまうものなんですよ!」などとパインが警句じみた言葉を発するのですが、クリスティ自身の経験からの言葉ではないか?などと思ってニヤリとさせられました。人生の真理を突いているような気もしますし、クリスティが身近に感じられて良かったです。後半の6篇は、休暇で中東を旅する(ギリシャも1篇)パインが出食わした事件を解決していくという旅情ミステリー。クリスティ自身、中東へは何度も旅行しているとのことなので、パインが漏らす訪れた街の感想(近代化されて失望したなど)、情景など、クリスティが見たまま、感じたまま、すごくリアルに感じられるよう。ミステリーとしても大変面白かった。最後の1篇は、もともとポワロものとして書かれたものをパインを探偵役にして書き直したもの。ポワロの方がしっくりくるような気もしましたが、なかなか読ませる!話に引き込まれます。前半のユーモアミステリー、後半の旅情ミステリーと1冊で二度美味しい本です。個人的には、この本からクリスティその人を感じることができたのが一番良かったかな。この1冊で、パーカー・パインものは全部入っています。クリスティもお気に入りの「大富豪夫人の事件」は、ちょっといい話で、読後感いいです。 | ||||
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さすがアガサ・クリスティ! | ||||
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数あるアガサ・クリスティの作品で、1番好きな連作短編集です。 平和。 大袈裟な道具立てと、急に旅情ミステリになったりするのが、自由に楽しんで書いている感じがします。 秘書はミス・レモン、知り合いにアリアドニ・オリヴァ、例の作者にあまり好かれていない名探偵と、同じ世界線の違う時間軸の話なのでしょうか。 「ミステリと言う勿れ」とか「タルト・タタンの夢」とかお好きな人なら、好きだと思われます。なんとなく。 | ||||
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一話完結の短編集で文面も平易なので大変読みやすかったです。 作風は笑ゥせぇるすまん、世にも奇妙な物語を足して2で割ったような感じですね、ちなみに【退屈している軍人の事件】のラストは結構意外でした。 そういう手配の仕方もあるだろうなと。 | ||||
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アガサ・クリスティのシリーズキャラクターの中でも登場回数はかなり少ないほうで、しかも短編のみ。さらにはその短編が後に別の探偵の事件として長編化されるネタになっていることが多い...という地味な存在がパーカー・パインです。 ただ、人間心理の機微というよりもうちょっと軽くて、大人のメルヘンのような要素の濃いパーカー・パイン作品は、むしろトリックと真理重視のミステリより古びることが少ないのでは、と思います。 実際、私がクリスティを読み漁ったのは大学生の頃の昔ですが、未だに時々読み返すのはポアロの活躍華やかな長編より、この作品集のほうが多いです。ひとの生きるということはそんなに生易しいものではないとよく知っていたはずのアガサが、それでもこんな考え方をすると人生楽になるよ、と示しているような作品ばかりで、内容を憶えていてもなお気軽に楽しめるので。まあ、大学生の頃より、歳を経てからのほうがそのような内容がより実感として理解される...というのもあると思いますが。 そんな楽しい作品集なのですが、Amazonではこの本、内容ではなく物理的な個別の本の状態についての批判という、いわばトンチンカンなレビューのせいで、平均評価がかなり低くなってしまっているのですね。アガサ・クリスティは作品数が多いだけに、星の平均だけを見て凡作と判断して手を出さない方もいるのでは?と心配してしまいます。 | ||||
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「黄色いアイリス」に「パーカーパイン」の商品管理シールが貼られていました。違う商品が送られて来たのは初めてです。こういう時の対応って、すごくわかりづらい。本当は☆ゼロです。 | ||||
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パーカー・パインはクリスティが生んだ、短編にだけ登場する主人公。本書では、全部で14作あるパイン物のうち、12作を読むことができます(残る2作「ポリェンサ海岸の事件」「レガッタ・デーの事件」はともに『黄色いアイリス』に収録)。いずれも短編としても短めな上、文章のテンポが抜群に良いため、あっという間に読み切ってしまうでしょう。ポアロやマープルなどの有名作を読了し、次は少し変わった物を読みたいな、と思っている人には特にオススメです。 収録の12作は前半6作と後半6作で内容を異にしています。 まず前半ではパインの本業であるカウンセラーとしての仕事が描かれます。その目的は、なんらかの理由で自分が不幸だと思っている依頼人を幸福にすること。ただし、パインがよりどころとするのは医学でも心理学でも宗教でもなく、統計。官僚として35年働いてきた経験を元に、不幸を分類し、依頼人がどのタイプの不幸なのかを識別、その上でどうすべきかを伝えます。彼はこのアプローチを、医者が病気を診断し、適切な対応を行うことに喩えています。 しかもパインの指示というのは、どこどこへ行って何をしろ、あるいは誰に会え、といった具体的な内容。依頼人がそれに従うと、さまざまな事件が次々と起こり、いつの間にか不幸の原因が取り除かれてしまうのです。なんだかあまりにも出来過ぎですが、それもそのはず、依頼人が体験する出来事はパインが裏で手配しています。そのために幾人ものプロフェッショナルを抱え、ケースバイケースでさまざまな人材を投入、望み通りの結末へと誘導する。これがパイン流の、人を幸福にする方法なのです。 スタッフの中には、後にポアロにも雇われることになる秘書のミス・レモンや、後期のクリスティ作品に頻繁に登場する作家アリアドネ・オリヴァ夫人などが含まれます。他にも美形のラウンジ・リザード(lounge lizard;金持ちの女性目当てにバーやホテルのラウンジなどをぶらつく遊び人)、クロード・ラトレルや、変装の達人でもある妖艶な美女、マドリーン・ド・サラといった面々が揃います。彼らの多芸多才ぶりが楽しめるのも、前半部の大きな魅力です。 続いて後半の6作では、ガラッと趣向が変わってトラベル・ミステリになります。 休暇を取ったパインが旅行に出かけたものの、なぜか行く先々で次々と事件に出くわしてしまい、さっぱり休めない、というのがフォーマット。前半を飾ったメンバーたちは誰も登場せず、パイン単独で事件に相対することになります。人を幸せにする、という行動原理こそ変わらないものの、一般的なミステリと変わらない話も含まれ、前半でせっかく確立されたスタイルは失われてしまいます。 ただ、旅行先が歴史でいう古代オリエントを指す一帯であるため、数年後に書かれる外国旅行物、すなわち『ナイルに死す』(映画「ナイル殺人事件」の原作)、『死との約束』(同じく「死海殺人事件」の原作)などの先駆となっています。とりわけイラクからシリアにかけての古代メソポタミア文明が栄えた地域は、クリスティの2番目の夫である考古学者マックス・マローワンが発掘を担当した遺跡も数多くあり、クリスティにとっては思い入れの強い場所だったと推察されます。それは文章にもよく表れており、クリスティファンにとっては作品を超えた興味を感じさせてくれます。 本書の解説でも指摘されている通り、パーカー・パインはクリスティが生んだ探偵たちの中でも、知名度の点ではもっとも低いといえるでしょう。しかし、クリスティの黄金期と呼ばれる1930年代に発表されたこともあり、内容においては決して劣ってはいません。以下、収録作品のレビューを付しますので、この一風変わった主人公の活躍を是非とも味わってみてください。 中年夫人の事件 依頼人は夫の浮気に悩む中年女性。こういう場合、普通に考えると夫に対してなんらかの手を打ちそうですが、パインはまったく別のプランで臨みます。さて、この件でパインが前払いで請求する金額は200ギニー。本書が発行された1934年当時、1ギニーは21シリング、1シリングは12ペンスでした。そして本書の原版“Parker Pyne Investigates”の刊行当時の値段は7シリング6ペンス。ということは……200ギニーは単行本560冊を買える金額となります。このようにパインがかなり高額のカウンセラーであることをはじめ、彼の仕事に関する情報やスタンスが詳しく書かれ、いかにも巻頭作らしい内容になっているのですが、実はこのエピソード、なんと収録12作の中で一番最後に書かれています。詳しくは後述の「初出順に関して」をご一読ください。 退屈している軍人の事件 依頼人は海外の任地から帰国した退役軍人。新たな生活を始めたものの、単調でなんの刺激もない日々にうんざりしています。これに対してパインは危険な冒険を提供すると約束します。作中、退役軍人の96パーセントが不幸せなんです、というパインの台詞が出てきますが、いったいどんな統計に基づいているのかは明かされません。このあたり、クリスティもさほどこだわっている感じはなく、へんに数字や表が出てこない分、誰にとっても読みやすくなっているともいえます。 困りはてた婦人の事件 次なる依頼人はいささか型破りです。なんとパインのところにやってくるや、自らが犯してしまった罪を告白、それが表沙汰にならないよう、力を貸してほしいというのです。いったいどんな罪を、なぜ犯してしまったのか。またパインに何をしてほしいというのか。短めな話が多い本書の中でも短い話なので、これ以上内容に触れるのはやめておきます。しかし、このエピソード、展開の切れ味と結末の面白さでは全編中の白眉と呼べる出来映え。お見逃しなきよう。 不満な夫の事件 自分に愛想を尽かしている妻の心を再び振り向かせたい、というどうにも情けない男がやってきます。これに対してパインは女性心理に関する卓見を述べた上で、解決策を考えます。ところが、順調に進んでいたそれは、予想外のことから崩れ初めて……恋愛劇をいくつも書いたクリスティの中でも、とびきりラブコメ色が強い作品。ミステリだ、謎解きだ、などといった発想はいったん忘れ、中盤以降、次第に加速度を増していくドタバタ劇を楽しむのが吉、でしょう。 サラリーマンの事件 クリスティの著作には、おしどり探偵として知られるトミーとタペンスをはじめ、ずぶの素人が諜報戦に巻き込まれるという型のスパイ・スリラーが結構ありますが、これもその系譜に連なる一編です。今回の依頼人はごくごく平凡な事務員で、嫁さんが子供を連れて実家に帰っている数日間だけ、日常を逃れてスリルを味わいたい、という子供じみた願望を持っています。しかも用意できる金はわずか5ポンド。しかし、パインは赤字覚悟である仕事を任せます。 大金持ちの婦人の事件 大柄でたくましい女性が乗り込んできて、金はたっぷり持っているが、使い方がわからないと、なんともうらやましい相談をしてきます。しかし詳しく聞いてみると、彼女はかつては貧しかったが優しい夫と4人の子宝に恵まれていた、やがて発明の才があった夫が特許を取得、おかげで何もしなくても金はザクザク入ってくるようになったが、すでに夫や子供を全員亡くしていることなどがわかります。彼女を幸せにするため、パインは手の込んだ仕掛けを施します。 あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか? ここからトラベル・ミステリになります。向かうのが中近東方面ということで、初っ端はオリエント急行が舞台。かの有名なポアロ物の長編が刊行されるのは1934年1月ですから半年ほど先行しています。道中、乗り合わせた女性から相談を受けるパイン。やがて彼女の個室で事件が起こります。作中、パインが語る結婚生活に対する基本原則がなかなか興味深いです。 バグダッドの門 ダマスカスからバグダッドへ向かうバス旅の途中、砂漠のただ中で起こった殺人事件を扱います。パイン物にしては珍しいオーソドックスなミステリで、砂漠が好きだったというクリスティの嗜好を感じさせます。2016年現在、この一帯は世界の耳目を集める戦争状態に陥っており、とても物見遊山の旅などできませんが、80年ほど前にはどんな状況だったのか窺い知ることができます。 シーラーズにある家 人を幸福にするというパイン物ならではのテーマと異国情緒が見事に結びついた、全パイン物の中でも代表作と呼べる一編です。今回の目的地はイラン。前半は首都のテヘラン、後半で南西部に位置する古都シーラーズが舞台となります。ふとした偶然からシーラーズの一角でひっそりと暮らす英国人女性のことを知ったパインが、彼女にまつわる秘密を解き明かします。 高価な真珠 パインの旅も後半戦に入り、次なる訪問先はヨルダンのペトラ遺跡。タイトルから推測されるように真珠の盗難事件を扱いますが、正直ミステリとしてはそれほど大したことはありません。それよりも世界遺産にも登録されているこの有名観光地がクリスティの筆によって描かれている、というほうが貴重でしょう。地図と見比べながら読むといっそう興味が湧くと思います。 ナイル河の殺人 原題がポアロ物の長編『ナイルに死す』と同じですが、両者にはなんの関係もありません。ただ、観光スポットを巡りながらナイル河を遡行する船の中で殺人事件が起こる、という点だけは共通しています。被害者はいつも不平不満ばかり言っている金持ちの中年婦人。彼女から生前に相談を受けていたパインは行きがかり上、捜査に協力することになります。 デルファイの神託 いよいよ旅の最終章、舞台はギリシャのデルファイ。有名な神託所があったとされるこの街を、18歳の息子を連れて訪れていたアメリカ人女性が事件に巻き込まれてしまいます。そんなとき、たまたま同じホテルに泊まっていたパインが助力を申し出、女性は藁にもすがる思いで相談を持ちかけます。巧妙かつ大胆なトリックを擁する一編で、幕切れの台詞が実に鮮やかです。 ―コアなクリスティ・ファン向けの書誌情報― 【初出順に関して】 本書収録の12作は、少し変わった形で発表されていきました。 パインが最初に登場したのは、米国の著名な雑誌Cosmopolitan。1932年8月号(通巻554号)に“Are You Happy? If Not Consult Mr. Parker Pyne”というタイトルで、「退屈している軍人の事件」「困りはてた婦人の事件」「不満な夫の事件」「サラリーマンの事件」「大金持ちの婦人の事件」の5作が一挙にまとめて掲載されます。 この5作のうち、「大金持ちの婦人の事件」を除いた4作は、同じ年のうちに英国でも発表されます。週刊誌Woman's Pictorialの1932年10月15日号に「退屈している軍人の事件」、翌週の1932年10月22日号に「困りはてた婦人の事件」、さらにその翌週の1932年10月29日号に「不満な夫の事件」が連続掲載され、雑誌を移ってthe Strand Magazineの1932年11月号に「サラリーマンの事件」が“The £10 Adventure”のタイトルで掲載されました。 パイン物の新作が出るのは翌年で、再び初出は米誌Cosmopolitan。1933年4月号(通巻562号)に、“Have You Got Everything You Want? If Not, Consult Mr. Parker Pyne again”のタイトルで、個別タイトルなしの1編(内容は「あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?」と同じ)及び「シーラーズにある家」「ナイル河の殺人」「デルファイの神託」の4作が掲載されました。 これらのトラベル・ミステリタイプの作品も少し遅れて英国で発表されますが、今度は新規書き下ろしの作品も加えられます。 舞台は月刊誌のNash's Pall Mall Magazineで、まず1933年6月号(通巻481号)に、“ The Arabian Nights of Parker Pyne”のタイトルのもと、“On the Orient Express”(米誌版で個別タイトルがついていなかった1編)、“At the Gate of Baghdad”(追加新作で「バグダッドの門」と同様)、“In the House at Shiraz”(「シーラーズにある家」)の3編が掲載されます。 続いて翌月、同じくNash's Pall Mall Magazineの1933年7月号(通巻482号)に、“More Arabian Nights of Parker Pyne”のタイトルで、“The Pearl”(追加新作で「高価な真珠」と同様)、「ナイル河の殺人」、「デルファイの神託」の3編が掲載されました。 そして、1934年11月、単行本の発刊時に「中年夫人の事件」が新たに書き下ろされ、全12編が揃います。また、このとき個別タイトルのなかった1編に米誌発表時の総タイトルが流用され、「あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?」となりました。なお、単行本は英国のほうが早く出版されています。 英米間を行ったり来たりし、雑誌も次々と変わりながら作品が増えていく。主人公が固定されていながら、このような複雑な経緯を辿ったクリスティの短編集は他にありません。これもややマイナーなパイン物ならでは、なのかもしれません。 | ||||
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ミス・レモンはパインの秘書だが、ポワロの秘書としても登場する。 アリアドニ・オリヴァもポワロの友人の小説家(アガサ・クリスティがモデル?)だが、パインの友人でもある。 前半はおもしろい、後半はパイン一人で行動するので、統計で人を捉えて解決するのではなくなってくる。 後半6編はポワロの事件でもいい。 | ||||
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クリスティファンというより、ポアロファンなのですが、この短編と 出会って、クリスティのファンになりました。 クリスティならではの読みやすさと、予想外の展開への転がりが 楽しいです。短編につき、描写の甘さがありますが、それこそ、 短編。楽しいにつきます。 特に前半は、殺人事件が絡んでもないのに、すっかり騙されました。 一読の価値ありです。 | ||||
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本のカバーの上部が全体的にボロボロ。 これで良? 本の内容は素晴らしいけど、本の状態は納得できない。 | ||||
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やはり面白い何度読んでもさすがクリスティー新刊を購入しても読みたかった満足です。 | ||||
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初めて読んだ短篇がこれでした。 小学校4年生の頃です。 故き父の本題にちょこんと収まっていました。 読んだときの感動や驚き、興奮は今でも鮮明に思い出すことが出来ます。 あれから30年以上の歳月が過ぎ、私は父の年齢を超え、 私の娘は当時の私を超え、高校生になりました。 本を読み出した当時の娘にも私が父に奨められたように この本を奨めました。 クリスティは素晴らしいですね。 パーカー.パイン氏は探偵ではありません。 警官でもないし犯人も基本的にズバーンとは解りません。 ただし、英国紳士なので素敵です。 慌てません。無駄にお喋りしません。 ですがいろいろと解決してしまうんです。 シリーズに黄色いアイリスという短編集があり、 そこに少しだけパーカー.パイン氏が登場していますが もっとシリーズを読みたかったなーと思うところです。 ポワロやマープル並に人気がでつのではないかと思います。 カメオ出演のミス.レモン女史もクリスティファンなら堪らないでしょうね。 個人的には地下室に捕らえられて天井から水が落ちて来るシチュエーションにかなり萌えますね。 | ||||
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なかなか人物設定は面白いです。 そして設定そのものも。 ところがやっぱりクリスティーは長編ですね。 どうも描写が足りないという感じ。 その代わりですが 他の探偵方とは一味もふた味も違う、 パイン氏は面白いです。 時には依頼を失敗し、 教訓なんかも残してしまいますが(笑) 前半は幸せ請負人、 後半は探偵(?)というなんとも不思議な パイン氏を味わってみては? 長編をあまり読んでいない人は 面白く感じると思いますよ。 | ||||
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犯罪ではなく、悩みを解決するパーカーパイン。 犯罪に相当する事案もあるが、中心は人の悩み。 本書には、ポアロは登場しないが、パーカーパインとポアロの共通点が分かる。 人の心理を中心に、物事が起こるかどうかを推察する手法。 お得意の中近東の話題、鉄道の話題もある。 残念なのは、ポアロのような大量のシリーズ物でない点だ。 | ||||
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クリスティの短編の中では、「リスタデ-ル卿~」とともにお薦めの作品です。クリスティの描く人物は、型にはまっていると言われますが、この作品はその「型」を上手く利用していると思います。長く役所に勤めた経験から、人間の型を「統計的に」まとめて、人の不幸を取り除く(この形の推理法を高めたのが、ミス・マープルですよね)。多少、単純かもしれませんが、最近の心理学だって同じですよね?心理学も統計学ですし、「こういう状態にいる人にこういう刺激を与えると、こういう行動に出る」という考え方ですから(単純すぎ?)残念なことにパイン氏の活躍はわずかです。ポアロやミス・マープルのように殺人事件を解決するのもいいですが、どこにでもいる普通の人に幸福を与えようとする(でも、そんなに親切な人ではないかも)、そんな彼の活躍をもっと見たかったと思うのは、私だけでしょうか。 | ||||
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依頼人が抱えている悩み事を、機転と心理洞察で解決するパーカー・パイン。本書には全部で12の短編が収められています。前半6つの話が、事務所にやって来た依頼人の相談をパーカー・パインが解決するというもの。それが後半6つの短編では、中東旅行をしているパイン氏が事件を解決するという筋立てになっています。読んでいて面白かったのは、「中年夫人の事件」から「大金持ちの婦人の事件」までの、前半の作品でした。とりわけ、「大金持ちの婦人の事件」が印象に残る話でした。富豪の婦人がオフィスにやって来て、「お金を使って幸せになりたいんだけど、どうしたらいいか分からない。いい考えがあったら、謝礼ははずむわよ」と、パイン氏に相談するところから話が始まります。(なかなか難しいケースだな)と内心思ったパイン氏でしたが、それはおくびにも出さず、「必ず、お望みをかなえて差しあげます」と言って、依頼を引き受けます。さて、パイン氏がしたことは……。人生の機微を感じる味わい深い話で、最後のほうでは、ほろりとさせられました。クリスティーの短編のなかでも、トップクラスに推したい一編。久しぶりに再読したのですが、これはやはりいい話だなあと、胸にこう、ぐっとくるものがありました。1934年発表の短編集。同じ年に発表された短編集『リスタデール卿の謎』も、おすすめです。 | ||||
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個人的に、このパーカー・パインは大好きです。というのも、比較的殺人などに関係しないストーリーがほとんどで、読み終わったあとには爽快感が残る感じがします。また、人間の本質的な部分が描かれているので、共感する部分も多々あります。ストーリーは、悩める相談者がパイン氏に相談し、意外な方法で問題を解決していきます。この本は、忙しい方や、読書の苦手な方にもオススメです。と、いうのも、短編集なので飽きる前に一話が解決します。 | ||||
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