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製鉄天使
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製鉄天使の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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鳥取の小さな村で代々製鉄業を営む家の、鉄に愛された娘がレディースになって 『アリゾナ砂漠のような』中国地方を統一していく……という荒唐無稽な設定かつ、 突っ込みどころ満載な、八十年代独特のユルさを持ち合わせたストーリー展開だが、 大人とも子供ともいえない十代半ばの、言葉では言い表せない、 何かしたいという自分の中で溜りに溜まったエネルギーを、 バイクで走り続けるという形で昇華する姿、 そしていつか訪れる終焉へのカウントダウンを巧く描いている。 小生とは世代は違う上、ノーへルノーライセンスのまま 盗んだバイクで走りだすことは無かったものの、 前時代的なボンタン・短ランがデフォルトだった所謂『荒れた学校』で 中学時代を送っていた自分には、今となっては皆目意味不明な アンリトン・ルール(不文律)に随分と振り回されていたことを思い出しました。 | ||||
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初めて読んだ桜庭一樹の本は赤朽葉家の伝説。他の著書については全く無知。 とても面白かったので次に読んだのが本書。偶然! それがよかったのかもしれません。 赤朽葉・・・が僕は星5つなので差を付けてこちらは4としました。 レディースという言葉さえ知りませんでしたが物語はフルスロットル!! デフォルメされた彼等の世界もこの物語にピッタリ、はまっていると思います。 ストーリー云々というよりも本書にも記述がありましたが 真っ赤に熱せられ冷えて鉄になっていく様。 熱く煮えたぎる血潮も然り。 若さ故の輝きなのかフィクション故の輝きなのか・・・ 人生を無常と捉えるのでなければ人はそれぞれ大なり小なりの フィクションをもって生きているのかな?とこの本を読んで思いました。 しかし何故エンディングが埋蔵金なのか?まぁおもしろくはありますが。 そこで金・・・GOLD・・・STAY GOLD!! 映画アウトサイダーのテーマ曲。スティービー・ワンダーが唄っていました。 僕が勝手に結び付けてるだけでしょうか・・・桜庭さん? | ||||
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作者がラノベ作家から一般小説作家への転身を遂げた「赤朽葉家の伝説」のスピンアウト作品。設定をほんの一部引き継いであるので、先に赤朽葉をご覧になるとよいでしょう。読んでなくても問題なく楽しめますけれども。 読む人によってリアルな現実であったり、フォークロアだったりするであろう作品。もっともリアルといっても、今時ああいうタイプは少ないと思いますが、形は変えども少年少女の世界において「アアいう世界」はありますよね。 第1印象はネタの使いまわしかよ!でしたが、読み進めるにつれて単純な使いまわしでないことが分かりました。同じネタなのに、まるで別ものであるかのようにさえ感じられたくらい。このあたりは筆力ってやつなんでしょうね。うらやましい。 時折仕込まれる面白い表現には、きっちり笑わせてもらいました。「かかってこいと言っているのにかかってこられた」のくだりとか。 私自身は立ち入ったことのない世界ですが、不思議なことにシンパシーを感じてしまいました。昭和生まれの血に訴えかける何かがあったのかもしれません。 どうしても「赤朽葉」と比較せずにはいられない作品であり、その結果として★を1つ引いて★4つにしました。 | ||||
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あまりのアホらしさ(とてもいい意味で)に、終始にやにや笑いが止まりませんでした(笑) まだ3章までしか読んでいないのですが、回を増すごとにアホっぽさが全開になっていきます。 小説というよりはマンガに近く―いや、小説の中でマンガらしいことを可能な限りやった―というような本です。そしてそれは成功していると思います。 評価は正直に言って難しいと思います。 ★一つだけの方のレビューも納得できましたし。 ただ、私は非常におもしろい小説だなあと感じました。 | ||||
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猫と烏や狸の会話が自然に織り込まれて行く不思議な文体。次どうなるのかと読者を引き込むこの作家特有の物語への『牽引力』もある。ファンタジーとして傑作と言えると思う。勿論万人受けはしない。若い世代に受けいられやすいかと思います。しかし『荒野』のようにおじさんはアウトと言うものでもない。・ラストに面白いものが待ってますね。 | ||||
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主人公の名前は赤緑豆小豆・・・名前などの細かな部分が違っていることから、どうやらこの小説は「赤朽葉家の伝説」の派生作品という趣のようです。 読み始めるとすぐに分かりますが、主人公小豆(あずき)の小学校6年から始まる、いわゆる「不良」としての日々が、ひたすら主人公の目線で描かれていきま す。ここには「薫り高い文学作品」や「純小説」の雰囲気は微塵もなく、常人にはちょっと辛い「族」言葉の語りや、激しい抗争の場面が延々と続きま すので、「直木賞作家」としてより、「武闘家」桜庭一樹の本音全開の物語と思った方が良いでしょう。 とは言っても、抗争に明け暮れる日々を描きながらも、随所に桜庭らしく「胸キュン」場面もちりばめられています。激しい言葉を使いながらも、その言葉にこもった一途な思いが胸を打つ・・・ そんな描写ですね。 基本的なエピソードは「赤朽葉家」で描かれたままですが、より細部に亘って描写されていて作品世界がリアルに感じられます。面白いのは「千里眼奥様」の娘らしく不思議な「力」の描写もあって、何となく・・・ファンタジーしてることです。(笑) 前半は疾風怒濤の展開、後半に行くにつれて辛くなるのは仕方が無いか・・・。 今思い起こせば、あの時代が一番輝いていた・・・作者の愛惜の念も感じられます。 ハッキリ言って「不良の日々」の物語で、「文学」を期待する人にはお勧めしません。日々肉弾戦を繰り広げる人間の生き様にも「興味がある」という人に、躍動する肉体から放たれる「雄叫び」こそ信じられると言う人に・・・。 私は・・・どちらでも無いけれど、ファンですから! | ||||
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桜庭さんらしい、思春期の女の子が題材の小説で、私はとても面白かったです。 私自身、以前から少女には向かない職業や、七竃と〜など、思春期の女の子を題材にした小説がとても好きだったので。 文章は稚拙と思われるかもしれませんが、私はこれはこれで味があると感じ、すんなりと受け入れられました。 逆にこれで硬い文章だと、なんかおかしいような・・・という気もします。 ストーリーももちろん面白かったですし、思わず胸にくるシーンもありました。 次回にも期待します。 | ||||
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見事にぶっこわされた内容から不安視していましたが、実際読んでみるととても面白く、鉄を操る能力者が中国統一をするというライトノベル的な内容と文体とは裏腹に『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』に通じる哲学性がありました。 話の筋はかなりシンプルで、赤朽葉家の伝説を読んでいると先の展開が読めてしまう(元々そういう設定)ですが、マジック・リアリズムと暴力と少女性を強引に結びつけてしまった力技は評価すべきだと思います。 文体と内容がライトノベルそのものだとか言って酷評する人もいますが、桜庭の真骨頂はライトノベルに有り得ないほどの哲学性や文学性を付けて混沌とした作品に仕上げるところにあります。『砂糖菓子』や、『推定少女』のように。その点で、本作は初期の、痛々しいほどの鋭さを持った雰囲気を取り戻した、原点回帰的作品といえます。そしてその試みは、見事成功しているでしょう。最近の重い作品からライトな文体まで、幅広く書けるという魅力を改めて認識させられました。 | ||||
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「赤朽葉家の伝説」のスピンアウトらしいのだけれど、登場人物の名前が変わっているのはなぜだろう?70年代後半から80年代前半、赤緑豆小豆が中学校に入学し、製鉄天使というグループを立ち上げて四国地方を制圧していく歴史をひも解きながら、少女の変化と成長を、周囲の変化と対比させながら描いている。 中学生高校生の間にだけ存在する世界に生きながら、そこから出る時の選択にはいくつかタイプがあった様に思う。最後まで役をこなし、大人の世界でも同様の組織にエスカレーションしていった者。あるとき役から覚めてしまって別の道を選択した者。中学生までで引退しながらも、完全燃焼しきれず中途半端に引き戻されてしまった者。そして小豆たちがした選択。 中国地方を"せかい"と呼び、子供だけに見える世界といいながら大人の世界を模倣し、ある年齢になれば普通の大人になってしまう。自由を叫んで生きながら、最終的には平凡な大人になってしまうのかなあ、と思って読んでいたので、最後の結末はボクとしては希望の持てる展開でよかったと思う。 章末ごとに謎めいた語り部と聞き手の会話があり、最後にはその正体が明かされるのだが、本当にそれが正しい語り部なのかは作中の記述から考えて疑問が残る。その辺はミステリー的と言えなくもなく、赤朽葉家の伝説のスピンアウト作品としての証明になるのかもしれない。 | ||||
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