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(短編集)

貸しボート十三号



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貸しボート十三号の評価: 4.37/5点 レビュー 19件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.37pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全19件 1~19 1/1ページ
No.19:
(4pt)

ギャップが魅力

物語開始早々の、あまりにも惨たらしい死体の描写。
どんな狂気の殺人鬼が登場するかと思いきや、登場人物の大半は至ってマトモ。財閥の人間まで(わざわざ作中で言及されるほど)珍しく健全で、展開も健全。
カレーを食べながらの聞き取りシーンも微笑ましく、金田一は関係者の自殺を阻止し、しみじみとしたラストを迎える。
不吉なタイトルや、衝撃的な幕開けとはギャップの有り過ぎる内容がお気に入りの「貸しボート13号」。
数年前NHKBSでドラマ化された時、イメージを損ねない出来で嬉しかったのを覚えています。ただ、昔のような現代のような、いつの時代かわからないような描写だったのは意図的だったのでしょうか。それはそれで面白くはありますが。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.18:
(5pt)

「金田一耕助」シリーズ第11弾

本書には「湖泥」「貸しボート十三号」「堕ちたる天女」の三作品が収載されています。いずれも短編ですが、どの作品も読み応えがありました。個人的には「湖泥」が最も金田一耕助シリーズらしい作品と感じました。

 この書評をしたためている今、既にシリーズ第12弾を読み始めています。どうしてここまで金田一耕助シリーズ、つまりは横溝正史作品に惹かれるのか、自分でもよく分かりません。が、毎作毎作、決して飽きることなく楽しめていることは事実です。きっとシリーズ最終巻まで読破すると思います。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.17:
(5pt)

金田一の相棒といえる等々力警部、磯川警部の初顔合わせが実現

本書は表題作の「貸しボート十三号」をはじめ、「湖泥」「堕ちたる天女」の2篇を収録した横溝正史の短篇集。すべての作品に名探偵・金田一耕助が登場する。

●湖泥

「湖泥」は昭和28年1月「オール読物」に掲載された作品で、岡山県の山間部にある僻村が舞台。数代にわたって反目しあっている北神家と西神家では、両家の跡取りである北神浩一郎と西神康雄が、御子柴由紀子という上海帰りの美しい娘を争っていた。紆余曲折を経て浩一郎との結納が決まったあと、由紀子が行方不明になったところから物語は始まる。

大阪に出向いたついでに岡山県警の磯川警部を訪ねた金田一耕助は、村の大部分を占める湖の捜索に参加し、湖畔に建つみすぼらしい小屋へ入ってみた。するとそこには、変わり果てた姿の由紀子が横たわっており、腐敗した死体の顔には左目が無かったのである。小屋に住む北神九十郎は、湖に浮いていた死体を拾っただけだというが、由紀子の死体には不審な痕跡が残されていた……。

冒頭、ボートに乗った金田一が熱心に失踪事件のことを聴いているのだが、なかなか相手が分からない演出が心憎い。死体から失われた義眼が重要な手がかりとなり、最後に明らかになる犯人とその動機は予想外のもので面白かった。

<登場人物>
御子柴由紀子 … 上海帰りの美貌の娘。数日前から行方不明。
御子柴啓吉 … 由紀子の弟。
北神浩一郎 … 北神家の跡取り。御子柴由紀子の婚約者。
北神九十郎 … 満州からの引揚者。敗戦ボケしている。
西神康雄 … 西上家の跡取り。御子柴由紀子にふられる。
志賀恭平 … 村長。戦争前は大阪で女学校を経営していた。
志賀秋子 … 志賀の後妻。元教師。
勘十 … 村の青年。水車小屋で米搗きをしていた。
木村刑事 … 村の若い刑事。
清水巡査 … 村の駐在所の巡査。
磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。
金田一耕助 … 磯川警部に会いに来て事件に巻き込まれた探偵。

●貸しボート十三号

「貸しボート十三号」は昭和32年8月「別冊週刊朝日」で発表された短篇を加筆して中篇小説とし、東京文芸社から「火の十字架」という単行本の一篇として出版された作品。

浜離宮公園の沖に浮かんでいるボートから一組の男女の遺体が発見される。情死のように見えるが不自然な年齢差があり、男の方はパンツひとつの状態、女は派手なレインポートをまとっていた。そして何より酸鼻を極めていたのは、二人の首が途中まで挽き切られていたことだ。鋸で首の切断をはじめたが、女は7割、男は3割ほど切ったところでやめていた。

司法解剖の結果、男は心臓を刺されてから首を絞められており、女は逆に首を絞められてから胸を抉られていたことがわかる。謎が深まるなか、被害者が人妻の大木藤子と、その娘の家庭教師で大学のボート部に所属する駿河譲治であることが分かると、さらに事件は混迷の度合いを深めていく。

衝撃的なシーンで幕を開ける本作であるが、異様な死体についての詳細な描写は重要な手がかりとなっている。犯人はなぜ首を切り離すのを途中でやめたのか、男と女の殺され方が逆なのは何故なのかなど、不可解な死体の状態から導かれた金田一による推理は、極めて理路整然としておりカタルシスがあった。スポーツマンの熱い友情にも心打たれる。

また、「貸しボート十三号」は久保銀造、風間俊六に次ぐ金田一耕助第三のパトロン・神門貫太郎が登場する唯一の作品である点も見逃せない。実業界の大立者で神門産業総帥である彼と金田一の結びつきについては、神門家一族の重要メンバーが殺人の容疑者として検挙されたことがあり、すべての証拠がその人物を犯人として指し示し、本人も犯行を認めているなか、再調査を依頼された金田一が事件をひっくりかえし、それ以来神門一族から絶対の信頼を博していると記されていた。この事件もぜひ読んでみたかったと思う。

<登場人物>
駿河譲治 … ボートの中で首を半分切られ裸で死んでいた学生。
大木健造 … とかく世間の疑惑の的となっている役所の課長。
大木藤子 … 建造の妻。駿河譲治と共に惨殺死体で発見される。
大木ひとみ … 建造の娘。駿河譲治が家庭教師をしていた。
上島亮博士 … X大学の教授でボート部の部長。
八波治郎 … ボート部の監督。
松本茂 … ボート部のキャプテン。
鈴木太一 … ボート部のマネジャー。
八木信作 … ボート部の学生。アロハ。
片山達吉 … ボート部の学生。浴衣のおっさん。
児玉潤 … ボート部の学生。セーター。
青木俊六 … ボート部の学生。長脛彦。
古川稔 … ボート部の学生。アンダーシャツ。
矢沢文雄 … 元ボート部の学生。池袋で下宿している。
岩下トミ … ボート部の寮母。
神門貫太郎 … 神門産業の総帥。金田一のパトロン。
神門加寿子 … 貫太郎の妻。
川崎重人 … 神門貫太郎の実弟。神門産業専務。
川崎美恵子 … 重人の妻。
川崎美穂子 … 重人の娘。駿河譲治の婚約者。
関口五郎 … 吾妻橋にある貸しボート屋「ちどり屋」の店員。
高木一雄 … 八木信作の義兄。
吉沢医師 … 検死を担当した警察医。
平出警部補 … 築地署の捜査主任。
根本刑事 … 築地署の老練刑事。
北川刑事 … 築地署の若い刑事。
新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。
等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。
金田一耕助 … 等々力警部の依頼で捜査協力している私立探偵。

●堕ちたる天女

「堕ちたる天女」は昭和29年6月「面白倶楽部」に掲載された短篇。意外なことに中学生の交通量調査から始まる。東京都心の交差点で、とあるトラックが落とした石膏像から若い女の全裸死体が発見された。運転手は黄色いマフラーをした男でトラックは盗難車。被害者は浅草の花鳥劇場に出ているリリー木下というストリッパーだった。

彼女と同じ舞台に立っていた双葉藍子の証言により、リリー木下はレズビアンだったが中河謙一という彫刻家に夢中になり、周囲から「堕ちたる天女」とからかわれていたことが判明する。中河が普段から黄色いマフラーをしていたことや、アトリエでリリーそっくりの石膏像が目撃されていたことから、はや事件解決かと思われたが、彼の行方は杳として知れなかった……。

同性愛や廃屋での情交など、エログロで悪趣味な点が目立つ本作だが、最後に金田一耕助が解き明かす真相には意外性がある。また、金田一の相棒といえる等々力警部、磯川警部の初顔合わせが実現している点もファンとしては見逃せない。今回の事件が過去に岡山で起こった事件と関連していることに気づいた金田一は、岡山県警の磯川警部に手紙を送るのだが、それに応じて上京してきた磯川警部と等々力警部が警視庁第五調室で挨拶を交わす場面には心動かされた。

<登場人物>
遠藤由紀子 … 交差点の交通量調査中に事故を目撃した中学生。
川上三蔵 … 新宿にあるキャバレー「花園」のマネジャー。
高松アケミ … キャバレー花園のダンサー。行方不明。
都築マリ … キャバレー花園のダンサー。高松アケミと仲よし。
浅原三十郎 … 浅草のストリップ劇場「花鳥劇場」の支配人。
リリー木下 … 花鳥劇場のストリッパー。石膏詰め死体で発見。
高桑ユミ子 … 花鳥劇場のストリッパー。
双葉藍子 … 花鳥劇場のストリッパー。
中河謙一 … 黄色いマフラーの男。彫刻家。リリーの愛人。
水原鶴代 … 渋谷のバー「アジサイ」のマダム。リリーの愛人。
小玉警部補 … K署の捜査主任。
渡辺警部補 … U署の捜査主任。
等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。
磯川警部 … 岡山県警の古狸。金田一とは旧知の仲。
金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.16:
(3pt)

「もはや戦後ではない」

<「堕ちたる天女」の感想のみ。ネタバレ注意>

と経済白書に書かれたのは本作よりもう少し後の1956年度のことだが、交通量の激しい交差点で社会科授業の中学生たちが交通量調査しているという本作冒頭の風景は、おそろしい早さで復興がなされつつあったことを如実に示していて興味深い。
 著者や乱歩がセルフパロディのように使いまくった、石膏像の中から裸女死体発見!よりも衝撃的だw
 ちなみに昭和29年と云えば、11月に『ゴジラ』が封切られている。

 事件自体は、うーん、いつもの組み合わせであるw
 このトリックでいつも思うのだが、ニューハーフやその逆であっても、ビジュアル的にはまったく無理なく変装できると思う。美しい人は大勢いる。しかし声まで装うのはかなり難しいのではないか……。
 そこを海のように広い心で受入れても、石膏像に塗り込める意味をまるで見いだせない。煽情的に煽ることが、犯人の偽装にそれほど有利になるのかな?
 結局は、劇場型に世間から騒がれたい犯人の歪んだ嗜好によるだけで、だからこそ、金田一耕助がこんな凶悪な犯罪は見たことがない、気持ち悪くて吐きそうだから、帰って酒でも飲んで寝るとまで言い放っているということか……。

 それよりも特筆すべきは、本作で等々力警部と磯川警部が対面していることである。
 著者が亡くなる前に温めていた新作の梗概の中には、両警部が共演する作品の予定があったことは有名で、それが叶わなかったから、てっきり共演は実現されなかったものだと思いこんでいた。昭和29年の段階で、早々に対面していたとは……。【注1】
 本作では耕助は事件のアウトラインを解明するまでの関与で、犯人逮捕や立件まではまだかなりの手間がかかりそうな状況での幕引きなので、そこまでのどこかで両警部が酒を酌み交わすようなシーンもあったことだろう。

 【注1】『悪魔が来りて笛を吹く』の際に、電話でのやりとりはあった。
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4041123534
No.15:
(4pt)

横溝ワールド全開

表題作他2篇、横溝ワールド全開といったところか。「湖泥」はラストの真犯人の告白が「八つ墓村」の森美也子が寺田辰弥にいうセリフ’(この村の人たち云々)を想起させる。「堕ちたる天女」は過去にもあった横溝正史による江戸川乱歩の代作用ではないか。冒頭は「地獄の道化師」、ラストのあの形は「湖畔亭事件」や「陰獣」のようである。いずれにせよ横溝正史ワールドがかたちを変えててきている。
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No.14:
(3pt)

「横溝正史生誕120年記念復刊」なのに自主規制版

「横溝正史生誕120年記念復刊」のシリーズは、基本的に「原文のまま」復刊されてきたが、本書は、巻末の注釈を見る限りでは「原文のまま」ではなく、何らかの用語規制がなされている。
いったい誰が、どういう基準で、この言葉はダメ、こう言いかえれば許容範囲内と決めているのだろうか?
書店で実物を手に取り「原文のまま」かどうか確かめねば買えないような世の中にした「人権団体」は、恣意的な基準で言論表現の自由を圧迫しているのでは?
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No.13:
(5pt)

読みごたえのある傑作集

『湖泥』は、『人面瘡』を表題作とした作品集にも収録されており、本書と重複している。岡山の農村を舞台に、二つの大家の対立を軸として、義眼、水車小屋、屍姦など、横溝作品らしいガジェットをちりばめて、愛憎からみあう事件の謎を、鮮やかに解きほぐしてゆく秀作である。また、プロローグとエピローグで、都会の犯罪と田舎の犯罪について磯川警部が自説をかたる部分や、閉鎖的で排外的な古い村社会の負の側面が生み出したような犯人像に、謎解きエンタメ作家としてだけでない、横溝の作家的資質があらわれているようで興味深い作品でもある。『本陣殺人事件』『獄門島』『八つ墓村』『悪魔の手毬唄』と、名作ぞろいの岡山ものだが、中短編では、本作が一,二の傑作ではないかと、筆者は思っている。

『貸しボート十三号』…『真珠郎』や『夜歩く』『犬神家の一族』など、首をチョン斬ってしまうのが大好きな横溝先生。そうしたものの新たなバリエーションを模索している過程で出来上がったのではないかと想像させる本作は、発端から強烈にショッキングな作品である。川に浮かぶボートに横たわる男女の死体は、両方とも首が途中まで斬られ、今にもちぎれそうな状態で、水面の揺曳とともにグラグラとおぞましい動きを見せている。切断されてしまった生首や首なし死体より、はるかに凄惨な光景をイメージさせずにはいられない。さらにインパクトが強いのは、ビジュアル的な異様なだけではない。40代ぐらいの女の死体は洋服にコートまで着ているのに、20代の男の死体はパンツだけの裸の状態。女の方は首を七分どおり斬られ、男の方は三分ぐらいまでである。男女とも首に絞められた痕と、心臓を刺された傷痕があるが、女は絞殺で男は刺殺という、真逆の検死結果がでる。共通点と相違点が不合理に混在する男女の凄惨な他殺体の状態に、何の意味があり秘密が隠されているのか。この奇っ怪で不可解極まりない謎の提示が、これまたミステリとして鮮烈に魅力的である。

筆者のような頭の悪い人間には???だらけの、こんな謎の大風呂敷を、一体どう合理的に折りたたんでくれるのか。期待した解決編は、期待を裏切らない手並みの鮮やかさを見せてくれる。極めて特殊な人間関係や特殊な動機からでなく、ありがちな男女関係とありがちな動機を端緒に、からんだ謎の糸が明快に解きほぐされ、意外な犯人と意外な真相を導きだす作者の筆先は、これぞ本格推理の醍醐味と、うならされずにはいられない見事さだ。大学のボート部を舞台とし、横溝作品には珍しい青春小説的な雰囲気が、酸鼻を極めた事件の様相に一服の清涼剤となってはいるが、本作が《隠れた名作》と言われることが少なくないという、その《隠れた》原因は、この横溝らしくない舞台設定にあったのではないか? 岡山の旧家を舞台に、深讐綿々たる血縁や因習の物語を絡めた内容にしていれば、もっと知名度の高い代表作になっていたのではないか? そんな余計なことまで考えてしまうほど、感じ入らされた傑作である。

『堕ちたる天女』は、石膏づめにされた女性の死体が次々に発見されるという、江戸川乱歩の『蜘蛛男』などの通俗スリラーを思わせる連続殺人から始まる。そして捜査が進むにつれ、そこから浮かびあがってくるのは、男と女、女と女、男と男…と、さまざまな性愛のかたちが複雑に入り乱れた愛欲の構図。しかし、猟奇・淫靡にドロドロと混濁した事件の裏に隠された、冷徹・巧緻にたくまれた犯罪計画をあばくのは、おなじみ金田一耕助の見事な名推理である。LGBTが重要な社会問題として考えられる現代では、いささか首をかしげる叙述があるのは、書かれた時代からして仕方がないだろうが、さまざまな性愛のかたちまで、作中の捜査陣や読者にまで仕掛けられた、ミステリとしての罠になっている徹底ぶりには、感嘆せずにいられない。そのうえ、金田一の相棒は前半等々力警部だけなのだが、後半にいたって、岡山で起こった過去の事件と関連があることが判明し、磯川警部まで登場するという、ファンにとっては嬉しすぎる趣向まで盛られた展開にもなっている。

三作とも巨匠の面目躍如たる秀作であるうえに、『湖泥』では磯川警部、『貸しボート十三号』では等々力警部、そして『堕ちたる天女』では磯川・等々力両警部の共演と、ラインナップでもファンサービスに満ちた、読みごたえ充分な作品集になっている。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.12:
(5pt)

金田一耕助はまさに天才!

横溝正史先生の独特の忌まわしいストーリーは、推理小説と呼ぶには不足を感じます。また、金田一耕助や警部たちの温かい人柄にも胸を打たれました。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.11:
(5pt)

good

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No.10:
(4pt)

横溝ファンには必読。(ネタバレありません)

「湖泥」「貸しボート十三号」「堕ちたる天女」所収。

表題作の「貸しボート十三号」は凄惨で奇怪な書き出しで始まるが、
終結部は、人間味豊かな解決で幕を閉じる。
これは、なかなかの佳作ではないだろうか?
横溝ファンにとっては必読だろう。

何故、この作品が改版の際に選に漏れたのか、理解に苦しむ。
『悪魔の百唇譜』よりも、この「貸しボート十三号」の方が良い出来だと思うのですが、、、、
貸しボート十三号 (角川文庫 緑 304-30)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫 緑 304-30)より
404130430X
No.9:
(5pt)

最高傑作(!?)な一冊

「貸しボート十三号」は金田一の都会物であり、学園物に属する最高傑作だと思います。
なぜ?を追求できる妙竹林で凄惨な殺人事件。想像するだに恐ろしい猟奇的死体発見状況。
金田一シリーズの見所の一つは死体をオブジェとしてセンセーショナルに飾ってしまうところにあると思います。その極北といっていいと思います。しかし、陰惨な事件の割りには読後が爽やかというのは学園物の面が強いからでしょう。「死仮面」に通じます。

「湖泥」は岡山物のエッセンスが凝縮された一遍。金田一はやっぱり岡山物が一番しっくり来る気がします。本作は珍しく金田一が犯人と対決して論破する(?)場面があります。本格推理小説の部分と猟奇的殺人の部分をしっかりと押さえており、短編ながらも長編と拮抗する面白さを備えています。

「堕ちたる天女」は金田一の二大パートナーがついにご対面を果たす中篇です。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
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No.8:
(4pt)

久々に

小学生の時に、なぜかタイトルに惹かれ図書館で借りた本書です。途中で気味が悪くなり返却した記憶がありました。しばらく横溝正史は、苦手になりました。
大人になり、他の横溝正史の作品を読み、その流れで久々に読んでみようと。
内容の面白さに惹かれて一気に読みました。

湖泥は、長編にしても十分楽しめた。もっと、ゆったり読みたかった。
貸しボート十三号もなぜ遺体のクビを切らなきゃならなかったのか?と始めに読者に提示している。最後になるほど!と思う名作。
堕ちたる天女には、金田一物の名脇役2人が揃って登場。

今では、再編成して出版している本書が、Kindleで読むことができ、とても嬉しい。なにより安いしね。

やっぱり小学生の自分には無理な話だなぁ。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.7:
(5pt)

横溝の筆が冴えわたる本格推理三編

金田一耕助の本格推理中編を三編収録。『湖泥』は昭和28年に『オール読物』に発表。
横溝らしい作品で、金田一が偶然に訪問した田舎村での家の対立と、根深い因習を
背景にした殺人事件を描く。なんでも本作は雑誌企画で、八章の終わり辺りで読者に
挑戦しているとのこと。推理に自信のある読者には見事犯人を突き止めていただこう。
ひと通りの手がかりは揃っており、村を舞台にした複雑な人間関係を紐解き、凄惨な
連続殺人のストーリーを組み立ててみせる金田一の名推理が冴えわたる傑作である。

表題作『貸しボート十三号』は昭和32年『週刊朝日別冊』に発表したものをもとにして
いる。隅田川河口に浮かぶ貸しボートから男女の死体が発見される。それは、それ
ぞれの首がほぼ半分が斬り裂かれ、胸を一突きにされ、さらに絞殺されているという、
陰惨なものだった。しかも女の方は絞殺後に心臓を刺されているのに対し、男の方は
その逆という、不可解な殺害のされかたをしている。この死体に解決のヒントがあった。

『堕ちたる天女』は昭和29年に『面白倶楽部』に発表。コンクリート片にトラックが乗り
上げ、荷台から寝棺のような荷物が落ちてしまう。後からきたトラックがそれを引いて
しまうと、実はそれは石膏像で、しかもその下から出てきたものとは・・・。同性愛を描き、
エログロな味つけが施されている一作。金田一が明かす驚くべき真相に仰天である。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.6:
(5pt)

横溝の筆が冴えわたる本格推理三編

金田一耕助の本格推理中編を三編収録。『湖泥』は昭和28年に『オール読物』に発表。
横溝らしい作品で、金田一が偶然に訪問した田舎村での家の対立と、根深い因習を
背景にした殺人事件を描く。なんでも本作は雑誌企画で、八章の終わり辺りで読者に
挑戦しているとのこと。推理に自信のある読者には見事犯人を突き止めていただこう。
ひと通りの手がかりは揃っており、村を舞台にした複雑な人間関係を紐解き、凄惨な
連続殺人のストーリーを組み立ててみせる金田一の名推理が冴えわたる傑作である。

表題作『貸しボート十三号』は昭和32年『週刊朝日別冊』に発表したものをもとにして
いる。隅田川河口に浮かぶ貸しボートから男女の死体が発見される。それは、それ
ぞれの首がほぼ半分が斬り裂かれ、胸を一突きにされ、さらに絞殺されているという、
陰惨なものだった。しかも女の方は絞殺後に心臓を刺されているのに対し、男の方は
その逆という、不可解な殺害のされかたをしている。この死体に解決のヒントがあった。

『堕ちたる天女』は昭和29年に『面白倶楽部』に発表。コンクリート片にトラックが乗り
上げ、荷台から寝棺のような荷物が落ちてしまう。後からきたトラックがそれを引いて
しまうと、実はそれは石膏像で、しかもその下から出てきたものとは・・・。同性愛を描き、
エログロな味つけが施されている一作。金田一が明かす驚くべき真相に仰天である。
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No.5:
(5pt)

これは凄い・・・

横溝作品を読んだ事が無かったけど、引き込まれた。

有名どころの、八つ墓村や犬神家の一族も読んでみたくなった
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.4:
(4pt)

横溝ファンは見逃せない中篇集

タイトル作の他「湖泥」「堕ちたる天女」の計三篇を収録。
中でも注目は「堕ちたる天女」でしょう。
金田一耕助の「相棒」と言える等々力、磯川両警部の顔合わせが実現しています。
残念ながら文庫本の復刻はされていないようで安価な中古を探すしかないようです。
Kindle版は出ているようなのでそちらを購入するのも手ですね。
久々に読みましたがとても楽しめました。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534
No.3:
(4pt)

横溝ファンは見逃せない中篇集

タイトル作の他「湖泥」「堕ちたる天女」の計三篇を収録。
中でも注目は「堕ちたる天女」でしょう。
金田一耕助の「相棒」と言える等々力、磯川両警部の顔合わせが実現しています。
残念ながら文庫本の復刻はされていないようで安価な中古を探すしかないようです。
Kindle版は出ているようなのでそちらを購入するのも手ですね。
久々に読みましたがとても楽しめました。
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404130430X
No.2:
(3pt)

血の事件

「湖泥」、「貸しボート十三号」「堕ちたる天女」の3編が収められている。
 「湖泥」は傑作になり損ねた作品だと思う。意外な犯人、プロットの巧みさ、驚くようなトリックと三拍子揃っているのだが、大きな欠点がある。とはいえ、結末のカタルシスは十分だし、お馴染みの岡山の田舎という舞台設定も楽しい。
 「貸しボート十三号」は、複雑な殺し方が面白い。
 「堕ちたる天女」もあっと驚く結末。
 お買い得な一冊だが、けっこう凄惨な事件ばかり。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
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No.1:
(5pt)

群を抜いて凄惨な作品

この作品は横溝作品でもかなり凄惨な方に入ると思います。
隅田川で盗まれたボートから発見された
男女のむごたらしい惨死体。
そして判明する男女間のもつれ。

表題作のほかに入っている作品のどれにも
「執念深い女」が出てきます。
これがキーとなって事件は進んでいくわけです。

そして、この作品のラストに出てくる「思わぬ犯人」には
驚かずにはいられないでしょう。
それぐらい、今回は意外な犯人が浮かび上がってくるのです。
貸しボート十三号 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:貸しボート十三号 (角川文庫)より
4041123534

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