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疾走



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【この小説が収録されている参考書籍】
疾走
疾走 上 (角川文庫)
疾走 下 (角川文庫)

疾走の評価: 4.14/5点 レビュー 273件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.14pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全215件 41~60 3/11ページ
No.175:
(4pt)

哀しいお話でした

空っぽの世界。
孤独という言葉だけでは現わしきれない、
なんていうか、にんげんと繋がりたいという飢餓感。
そんな風になってしまったのは、
決して彼のせいではないのだろうけど。
生まれてきた場所・時間・環境
これは運命
そして生まれてきたものはすべて死ぬ
これは宿命
運命は自分で切り開いていくもの?
切り開く前に運命に押しつぶされるのは自分の責任?
何か救いがなさすぎるようで、最後に次世代に希望をというのが、
ちょっとステレオタイプと思いつつ。
どうして彼が救われなかったのか・・・
どうしたら救われたのか・・・
哀しいお話でした。
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.174:
(4pt)

いつもの重松さんだと思ったら裏切られる──難しい評価

つらい話だなあ、と思いながら、上下巻一気に読み切り
ました。

重松さんの作品だから、きっともうすぐいつもの暖かい
雰囲気に包まれるのかもしれないと淡い期待をいだいて
読み進めたのですが、期待通りにはなりませんでした。

恵利はきっと『きみの友だち』(わたしの大好きな作品
です)の恵美ちゃんのような女の子で(性格だけでなく
名前も似ているし)、主人公を支える存在になってくれ
るに違いないと思い込んでいましたが、後半彼女が再登
場にすることで、物語はいっそうつらさの度を増してい
きました。彼女はシュウジの支えにはなったものの、そ
れは想像していたのとはまったく別の形でした。結局主
人公には最後までつらい現実の壁が立ちはだかったまま
でした。

もちろん最後のワンシーンでわずかに光がさしてはいま
すが、物語世界全体のトーンを変えるものではなかった
と思います。

熱中して読み切ったものの、今振り返ると、登場人物は
みんな共感できない人たちばかりです。主人公たちの悩
みを理解できないわけでもないし、同年代の頃の自分を
思い出すと思い当たることがないでもないのですが、な
んでこんな生き方しかできないのかと、もどかしくて仕
方ありません。シュウジがなぜ鬼ケンにここまで惹かれ
るのかも、わかりませんでした。

また、主人公たちの周囲にいる大人たちは、どうしてこ
うも社会性に乏しくて思慮の浅い連中ぞろいなんだろう
と、うんざりさせられ通しでした。とくに不快だったの
は、うわさ話に熱中する大人たちの薄汚さと、「沖」の
住人を差別する「浜」の住人の陰湿さです。建前では差
別するなと子どもたちに言いながら、薄笑いを浮かべる
大人たちの姿は、現実にありがちな光景ではあります
が、気分が悪くなります。

こういう大人たちにしか会わないでいると、ろくな人間
には育たないなと思わざるを得ません。そういう意味で
は『きみの友だち』の恵美ちゃんも、出会う人がこんな
連中ばかりだったら、きっと彼女の生き方はかなり違っ
たものになっているのかもしれません。

安易な妥協をせずに、シュウジの短い人生に最後まで付
き合った作者の執念には驚嘆しますが、わたしにとっ
て、これは2度と近づきたくない作品です。とはいえ、
一読する価値は十分ある作品ではあると思います。書い
ていることはばらばらですね。それだけ読者の心を揺さ
ぶる力のある作品なんだと思います。
疾走 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 上 (角川文庫)より
404364602X
No.173:
(5pt)

ずっしりと…

感動作とか名作とか、そういうのとは違うけど、とにかくこれほど強烈に深く重く心に残った作品は他にはない。物語として好きか嫌いかと問われれば間違いなく「嫌い」なジャンル(性描写とか)。なのに読んでしまう。シュウジの疾走から目が離せない。最初はなかなか読み進まず毎晩数ページずつ読んでいたのも、物語にひきづり込まれ始めた中盤あたりから読書も疾走。寝るのも忘れ一気に読んでしまった。一番印象に残ったのは、東京で再会したエリがシュウジに対して言う言葉「私にくっつかないで。でもお願い。側にいて…」。二人は何て哀しい人生を生きてきたんだろう。ここらへんからラストまで涙止まらず。シュウジの疾走を終わらせてあげることにしかこの物語に救いはないと気づいてしまったから。星をつけるのは正直難しい。忘れられない1冊ということで星5つ。
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.172:
(5pt)

まさに疾走

今まで読んだ全ての本の中で一番の衝撃を受けた本です。そしてこの先もこれ以上の本には出会えないような予感がします。

ラストを迎えるのが怖くて、ゆっくり読もうゆっくり読もうと思っても本がそれを許しませんでした。
まさに疾走するかのように読み、そしてたどり着いた先は美しすぎる結末でした。

この作品についてこれ以上を語る言葉を僕は未だ持ちません。
疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.171:
(5pt)

心が痛くなる

少年の壮絶な人生に読んでいてもう心が痛い。
ある町に少年はいた。兄がいて両親がいて、友だちもいた。裕福ではないけどそれなりに平穏で幸せな生活を送っていた。
ところが、兄が起こした事件を皮切りにして少年の人生の歯車があまりにも大きく崩れる。
表紙からして既にただならぬ、あまりいい気分のするものではないが、実際に読むとまさにそうで、はっきりいって辛い。
悲しくもあるが、それ以上にこんな過酷な人生をこの少年に負わせることに心が痛くなるのだ。
なぜこの少年がこんな辛い人生を送らなければならないのか、あまりにも理不尽すぎる。少年はなにも悪くないのに。信じていたものには裏切られ、唯一の救いともいえた愛するものは遠くに。
重松清の作品の中ではこれは異端だろう。最後こそ明るさがあるものの、切なすぎる。彼の作品は辛いけれどもどうにかそこから解決の道へと踏み出していく。しかしこの物語の少年は踏み出そうとしてもそこに待つのはやはり絶望だった。だから読み進めていくのが辛いのだ。
でも読んでしまう。この悲惨で壮絶な人生を送る少年がどうなってしまうのか。
主人公を、おまえ、と名指しするこの本の文章はその内容の壮絶さに反して実に淡々としている。感情がないのだ。まるで見放しているようにも感じられる。しかし最後まで読むと実はあまりにも大きな愛によって抱かれているとわかる。
彼の作品の中ではずいぶんと後味の悪い作品かもしれないが、読み応えはあるし、生きていく辛さを手を抜くことなく真正面から描いた作品であることは間違いないといえる。
疾走 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 上 (角川文庫)より
404364602X
No.170:
(4pt)

救いはあると思いたい。

こうならないでほしい…と予想した悲劇をシュウジはことごとく強いられていく。
少年は作者はあえて知りたくもないような描写をし、残忍な言葉を使う。
陰には隙間なく誰かの悪意が潜んでいそうな雰囲気が、本の中に充満していて、
自分自身のぬくぬくとした生活の罪の意識をあおる。
今まで気づくことのなかった人間の悪意を感じとってしまいそうで怖くなる。

懸命に誰かを求める主人公の姿が直接的で悲痛だった。
弱い人がたくさん出てきてシュウジを傷つけるけれど、シュウジはそんな大人を傷つけない。
「もし、俺が人を殺すならもっとしょうもなくてどうでもいいやつだろう」
中学生のシュウジはいつかそんなことを思う。
彼に殺されるのは、彼の悲劇を傍観しているようなわたしかも知れないと思った。
残忍すぎるシュウジの人生をわたしはやはりどこかで小説だと、割り切ってしまう。
心を痛めてもそれは自己喚起や都合のいい感動でおわり。
フィクションであることは間違いないのだけど、読者の心の中に確かに存在しているシュウジは、
果たして成仏できるのかな。
読後、そんなことを思う小説だった。

「おまえ」。物語は第三者の視点で語られ、シュウジはこう呼ばれている。
一貫して語られていく物語の凄惨さに、その不自然さは次第に慣れて薄れていく。
でも、それが既に完結した彼の凄惨な物語を労っているんだと気づいた。
作者は、真摯でかつあたたかい人物なのかもしれないと思った。
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.169:
(5pt)

まさに疾走のごとく駆け巡る

どうして星5つなんだろう。
星10個はつけたい作品です。

不幸すぎる展開に評価が分かれる作品となっていますが、
そこだけに目がいく人は詠むべき作品ではない。
何を伝えたいのかよくわからない人も
詠むべき時ではなかったと思う。

重松作品をこれまでにも何十冊と読んできて、
重松ワールドの良さは身近な出来事の表現力だと思っていました。
誰にでもよくある日常を、独特の切り口で描く
重松清の表現力は卓越したものがある。
それは今も変わらないが、
今回の作品はそれとは異質のものとなる。
そこに違和感を覚えて、評価が分かれるのは
仕方がないことだとは思います。

詠むべき人には、とてもしっくりくる作品で、
これ以上の作品には出会えないかもしれない。
少しでも読みたいという気持ちがなくなったら
まだ詠むべきではない。
そっと本を閉じて欲しい。
それで評価が下がるにはもったいない作品である。

私の中で最も評価したい重松作品となりました。
疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.168:
(5pt)

上巻から

だんだん、力強く、激しく…でも確実に。
誰かが悪いとかではなく、人の弱さを人が指摘などできる訳がない、1人1人が弱いから繋がりを求めそして物語はさらに加速的に。

最高です。
疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.167:
(5pt)

卓越した語り口

内容については他の方がレビューされているので今更言うことはありません。
本書の優れた点のひとつは、その語り口です。本書は二人称で書かれ、主観と客観が入り混じった独特の雰囲気を放っています。
本書は内容もさることながら、まずはその異彩を放つ記述とその周辺にちりばめられたトーンを味わってほしいと思います。
疾走 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 上 (角川文庫)より
404364602X
No.166:
(5pt)

転落

家族は離散し、全てのベクトルは、不幸まっしぐら。
読んでいて、非常に辛い場面もあったが、物語としては、ぐいぐい引きこまれた。
本当に徹底して不幸だが、それがより深く、堕ちてゆく人生のリアリティを感じさせる。
ラストシーンに救いがあるのか、ないのか。読む人の捕らえ方で印象は変わりそうだ。
疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.165:
(5pt)

衝撃過ぎる。でも、心に深く残る作品。

今回、初めて重松清さんの本を読んだ。
とにかく衝撃過ぎる。
胸が締め付けられ、いろんな思いが交錯して、ただただ苦しい。
でも、不思議と読むのを止めたいとは思わない。
この作品は、「にんげん」を描いてるんだと思う。
汚いところ、憎しみ、悲しみを描きつつ、時に見せる優しさが沁みる。
「にんげん」は、酷く残酷で、とても優しいんだと思う。
私は、この作品に出会えて本当に良かった。
疾走 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 上 (角川文庫)より
404364602X
No.164:
(5pt)

君は「涙は光る」と知っているか?

この小説のキーワード、「ひとり」、「つながり」。そして、「絶望」。

いろんな「ひとり」の形がある。孤立、孤独、孤高…。
それと同じように、いろんな「ふたり」の形があっていい。

ひとつになる「ひとり」と「ひとり」、そんな「ふたり」があるように、
けっしてひとつにならなくても、
誰よりも近く隣にいる強い「ひとり」と強い「ひとり」の「ふたり」があってもいい。

誰よりも強い「ひとり」だったエリ。
強い「ひとり」のエリの背中を支えに、ただ「ひとり」で走りたいと願うシュウジ。
しかし、シュウジの確かさだった孤高の生き方は絶たれる、何度でも。
いつのまにか弱さを知り、つながりを求め出すシュウジ。会いたい。
ずっと会いたかったんだ、エリに。大切だったんだ、ずっと大切だったんだ、エリが。
会ったらもっと、大切になったんだ。

あらゆる大切を捨てた強くて弱いエリを隣に「ふたり」の形を見つけ出すシュウジ。
二つの「ひとり」と「ひとり」で、そしてひとつの「ふたり」でふるさとに帰る二人。

なんども襲い掛かる平仮名のよごれに、ぼくらは目をつむりたくなる。
光を消そうとする。絶望の涙が流れる。
そこで、ぼくらは知る。涙は光ることを。
悲しみに流れた涙も苦しみに出された涙も光るのだということを。

そして、ひらがなのよごれは自分自身にも向けられる。
これまで犯してきた自分のよごれを、ぼくらは思い出す。
そのよごれさえも、信じようと思える。
なぜ、よごれた作品が好きなのか、ぼくは少しわかった気がする。
たぶん、よごれはほんとうだからだ。

「ぜつぼうはかこのひさんなたいけんがうむのではなく、みらいになにもたくせないこと」

だから、忘れてはいけない。
ぼくらのよごれを。そして、涙は光るのだということを。
闇から生まれた涙が光を生むということを。

涙があれば、生きていける。
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.163:
(5pt)

読者も、読み終えた時、走りきった! と思えるかも

この本を読む前に、字がちいちゃくて、堅苦しい翻訳のされたものばかりを読んでいた、という反動もあって、
思わず★5つにしました。といっても、内容も素晴らしかったですけれども。

 オススメの本を紹介するポッドキャストでこの本が紹介されていて、読後感がかなり悪い、という感想が言われていましたが、
750頁超というボリュームを、読みやすく親しめる文体でどんどん進んでいく事ができるので、

 読後に達成感が満ち満ちて、なかなかいい気分になれました。

 まあ終始暗い内容で、見事に文章も、泥臭くてきな臭くて血生臭い按配になっているので、
本来ならば『疾走』が放つ重苦しいオーラに包まれてしまうかもしれません。

 あんなにも登場人物を救ってあげられないストーリーですし、特に主人公を苛む悲劇はケタ違いです。誰にも救えないでしょうね。

 読み終えた後、読者の心に湧いてくるかもしれない『シュウジは絶対悪くないよ・・・、絶対悪くない』という思いが、
焼け石に水ながらも主人公に沁みて、全力で走る彼の背中を非力ながらも押せるのではなかろうか? と感じました。

 シュウジ、お疲れさま。

疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.162:
(5pt)

一生忘れない物語

弱者への差別、いじめ、暴力、強姦…

主人公の少年「シュウジ」を一人として救わなかった。
彼は絶望の中を走りぬけ、消えていった。
とがったガラスの風の中を、少しずつ刻まれながら走り抜けた少年。

シュウジやエリのような境遇の子達はこの世界にいる。
いまも存在しているのだ。
だから、ただのフィクションとしてこの本を読むことができない。
安易な救いもなく、徹頭徹尾うちのめされる彼を、最後まで見届けなくてはならなかった。

二人称で語られる、「おまえは…」という表現。
それは傍観者である神の目線、何もできない読者の目線に等しい。
社会から疎外されていく「シュウジ」を、みんなどこかで見たことがあるはず。当事者であれ、傍観者であれ。
それ故か、読後に残る罪悪感のような悔恨は…
胸が重くなった。
しばらくは読み返すことができなかった。

多分、一生忘れない物語。

ここまで感情を揺さぶる本書は、名作に違いない。
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.161:
(4pt)

誰か一緒に生きて下さい

あまりにしんどい物語で、息を詰めながら読み進めた。
最初から最後まで全力で走っている、哀しく優しい少年の物語。

何度も涙する部分があった。
ここまでしなくてもと思った。
ページを繰る度に、頭をがつんと殴られる様だった。

人を信じることは難しい。
だけど、裏切られ、傷つけられようとも、
私たちは誰かとつながらずにはいられない。

「誰か一緒に生きて下さい」
みんな苦しいんだ。寂しくてたまらないんだ。いつだってそんな風に叫びたいんだ。
シュウジくんが大好きです。
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.160:
(5pt)

手をつなぐこと

大変重たい内容です。中学生の少年にあらゆる辛い災いをいっぺんに浴びせたような物語です。 文庫本上下2冊の長いお話。ですが私はどんどん先が気になって休むことなく読みすすめていました。 重松さんの作品で好きなところは、人と人とのつながりを「手をつなぐ」という行動で示しているところです。「手をつなぐ」そのことがとても温かく胸にじーんと染みてきます。 私はこのお話しのラストが好きです。そこまでがあまりに壮絶で救いもないですが、最後の明るく眩しい情景が、読み手に希望を残していってくれます。 私は今でも何度かこの本を読み返しています。ぜひ1度読んでみて下さい!
疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.159:
(4pt)

重松さん、やるじゃないですか!

私の師匠から、「重松は何読んでも一緒だから時間の無駄」と言われ、実際にそんな感じも持ったのだが、最初に読んだ「流星ワゴン」や最近の「十字 架」を読んで、もしかしたら長編は良いのでは?と考え、「これが面白くなかったら、もう読まない」という重大な決意を持って臨んだ読書だったが…

重松さん、ちゃんとこんな小説も書けるのですなぁ。聖書の言葉が所々に出てくるのはご愛嬌として、普段の短編集で繰り広げられる日常のちょっとした良い話ではなく、エログロの世界が広がっていた。新堂冬樹の黒までは行かないが、相当エロくて、グロい。

主人公の中学生は、優等生の兄貴が精神を病まれ放火魔になってしまい警察に捕まる。大工の父親は火付けの家族という事で仕事を失い家族を残して失踪、母親も親戚やサラ金、闇金から金借りまくってこれまた失踪、結局一人になって村を出て行く。

もう一人の主人公も悲惨。両親が借金でどうにもこうにも立ち行かなくなり、一家心中を試みたが娘だけは逃げ出して助かる。おじさんとおばさんの家 に引き取られた。陸上部でものすごい期待をされ、大会前日の練習でトラックにはねられ足を複雑骨折。陸上どころか一生松葉杖の生活に。そのうちそのおじさ んから体を触られ犯されるような毎日が…。

この二人が出会い、別れ、またであった時に「自分たちは一人じゃない」という事に気づこうとするのだが、また悲惨な運命が…。

こうやって思い出すだけでも、やるせなさと怒りがこみ上げてくるが、実際にあのような事が実世界では起こってもおかしくない程度の話なのでものすごく臨場感があった。

しかしこの小説で重松は何を訴えたかったのだろうか。人間は一人では生きられない? 生きていると思っているやつは、大きな勘違い?
疾走Amazon書評・レビュー:疾走より
4048734857
No.158:
(5pt)

せつないけど、本当に心に残った作品

久しぶりに心に衝撃を受けた作品に出会えました。
登場人物一人ひとりが、荒んだ世の中でも、懸命に生きている姿が本当に印象的でした。主人公のシュウジや、その他シュウジと同じ 【ひとり】のエリ、アカネ、シュウイチ、神父さん、、さまざまな人が、一生懸命に生きて、生きて、生きて・・・。
シュウジ達にふりかかるさまざまな困難がこれでもか、という位すごく、本当に切ない物語でしたが、すっと感情移入しやすい作品で非常に読みやすかったです。それにしても、こんなにも悲しい事が起きるのに、一生懸命に生きて、誰かとつながりたくて、沢山の人に裏切られても生きている登場人物達が、不器用な人たちだけど、本当に応援したくて、幸せになってほしいと思いながら読んでおりました。
疾走 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 上 (角川文庫)より
404364602X
No.157:
(5pt)

また「感じたくなる」作品

小説好きとまでは言わないがそこそこ読む程度。
この「疾走」はただ単純に分厚かったので、長く読めそうという思いで購入した。
だが読み切って驚いた。
この本は読むのではなく感じていた。
この本を読んだ後、妙に落ち込むし、主人公に良いことがあればそれも
自分に反映される。物語の後半になって思った。
読んでいるのはただの文字だけど、頭の中ではリアルにその物語を
傍観している。
この物語を書いた作者は書いている途中苦しんだと理解させられる作品。
それ故、読む側もかなり苦しめられます。ちがう意味で。
疾走 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 下 (角川文庫)より
4043646038
No.156:
(4pt)

人生観の変わる本

まずは、By Dior_Fahrenheitさんのレビューを見てください。私の感じたことがすべてそこに書かれていました。

とにかく重松さんの中では極めて異色の作品であることに間違いはありません。
これから重松作品に入った人は不幸でしょう。徹頭徹尾、人が不幸になるさまを描写しています。あの「隆盛ワゴン」のせつなさ、「その日のまえに」の家族愛など微塵もありません。
読んだ後、賛否両論真っ二つになるでしょう。私も読了後、強烈な読後感で数時間ほど放心しました。「読めば(良い意味か悪い意味かは人によって違うが)人生観が変わる」本です。
疾走 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:疾走 上 (角川文庫)より
404364602X

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