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夜の国のクーパー



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夜の国のクーパーの評価: 3.64/5点 レビュー 84件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.64pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全48件 41~48 3/3ページ
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No.8:
(4pt)

ファンタジーとして引き込まれたが後半がやや残念

ファンタジー系が好きなので、猫の目から見た小さな世界の描き方にはぐいぐい引き込まれた。支配する側が滑稽に描かれ、支配される側が勤勉に描かれることでの「うさぎとかめ」的世界観がファンタジー感を引き立てる。視点を変えると物事はまったく違って見えてきて、最後は裏切らずに大団円を迎える。前半の緻密な構成による濃密感からすると、後半の場面転換後があっさりしすぎていたかもしれない。また最初から匂わせていた場面転換は好き嫌いが分かれるでしょうね。
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No.7:
(5pt)

リスタート

伊坂作品を読む場合、必ず過去の作品と対比されるというのは、人気作家であるがゆえの宿命であり呪縛であろう。マリアビートルで原点回帰を打ち出した伊坂幸太郎だが、回帰したのは作風ではなく創作姿勢ではないだろうか?以前の作品と比較してというより(当然オーデュポンの祈りと比較されますが)本作単体として捉えれば、久々の快作ではないでしょうか?内容的には深くもないし、特に深読みする必要もないかとは思うが、ここ数作、悩み、煮詰まった作品が続いていただけに、この、伊坂幸太郎にしか出せない空気感の復活は歓迎したいところである。次作が楽しみである。
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No.6:
(5pt)

帰る所、帰る人がいること

伊坂さんの小説はずっと追ってきたので本屋で見つけて衝動買いしてしまいました。

ファンタジーということもあって印象は「オーデュボンの祈り」に近く、読んでいて
原点回帰したか、と言う感じでした。故に著者の感情、思想の変化、そして、
それに対する変わらない想い、批判、ユーモアなどが比較しやすく、ここまで読んできて
とても感慨深い思いでいっぱいになりました。

個人的に最近の伊坂さんの作品は、物語の雰囲気やテンポが過去の付け焼刃だったり、
話が会話や言葉遊びに収斂しすぎて軽すぎるな、という感じを持っていたので新しい
クーパーの世界に引き込まれました。

戦争、政治などに対する批判や暴力、強姦に対する疑問、卑怯で賢く、残忍な悪役、
などはおなじみですが、社会問題や政治問題にはクーパー独特の世界感と
登場人物である猫とネズミの関係になぞってメスを入れているので知識不足感や説教臭さがなく
納得しながら読むことができました。

しかし今回この小説で彼が言いたいことは「帰ろう!」なんだと思います。
帰る所がある幸せ、帰る人がいる幸せ。私には伊坂さんが、今まで考えてきた
問題も大切だけれど、今、帰る所、帰る人がいる幸せを感じて、少しづつ変えて
行こうぜって応援してくれているように感じました。

物語の展開も伊坂さんらしく最後にドッキリさせてくれて、そして読んだ後、とても優しい
気持ちになりました。

とても温かい物語で、伊坂さんの優しい人柄が小説に溢れていました。
個人的には自信を持ってお薦めしたい作品でした。
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No.5:
(4pt)

トム君のシンプルで正直な言動

「確実に帰れるのでなければ、行かないのか?」
物語のある場面で、猫のトム君が”私”に尋ねるシーン。

いつだってシンプルで正直なトム君が素朴な疑問を投げかけた一言が、深く心に響いた。

もしかしたら今まで大切にしてきた場所にはもう帰ってこれないかもしれないけれど、
勇気を出して一歩踏み出してみよう。

そんな爽やかな読後感を味わえる、素敵な一冊でした。
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No.4:
(5pt)

最後に、グッと来る小説。

伊坂幸太郎氏書き下ろし10作品目ということで、
とても期待しつつページを繰りました。
様々な評価があろうかと思いますが、ひとつの事柄を
いろんな視点からじっくりと落としこんで書き進む
伊坂氏の手法は、どの小説をとっても同じなのではないかと思いました。

この作品について見ると、全体的にのんびりと物語が進む中、
大事な落とし所はキッチリと抑えて書かれてあり、全て読み終えてから
振り返ると「なるほど」と感心する部分が多かったです。
それは伊坂氏の小説の書き方全てに共通するものなのだと感じました。
そこが、彼の作品が単なる娯楽作品に止まらない奥の深さを感じる所以なのではないでしょうか。

物語の先が気になって気になって・・・と、作品に対するワクワク感、高揚感は無くとも、
読み終えた後振り返るとグッと来る作品を読みたいという方には、お薦めの小説です。
私はこの作風が好きなので、評価は5つ星にさせて頂きました。
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No.3:
(4pt)

猫とネズミと世界の理

猫のアイコンで封切られ,猫目線ではじまる物語は,現実の世界のようでどこか違う世界の匂い.
そうしている内に,猫との人間の会話になり,その人間は現代の日本から迷い込んだ様子が描かれ,
その後も,歩く樹木の化け物,透明になる兵士など,まるでおとぎ話,ファンタジのように進みます.

が,実際には『寓話』に近く,語られる節々から,政治家や近隣諸国とのあれこれを連想したり,
そんな様子を他人事に見ている我々への,警鐘は大げさまでも『気づき』を促されている印象です.
その反面,ファンタジとしての盛り上がりや,曖昧な部分への物足りなさが湧いてしまうのは否めず,
驚きはあるものの,そちらへの期待が大きくなるほど,いささか拍子抜けの感が残ってしまいそうです.

それでも,穏やかでも飽きさせないやり取り,場面転換の多用で引っ張る流れにはやはり惹かれ,
他にも猫たちの仕草,誰もが一度は見たことがあるはずの,アニメのような場面では思わずニヤリ.
読み終えたあと,大国と小国,猫とネズミの追いかけっこ,はたまた呑気に過ごす彼らを浮かべつつ,
当たり前に思っていたこと,物事へ一方的な見方,そして『世界の理』のことをふと考えてしまいます.
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No.2:
(4pt)

エンターテインメントの要素は薄れていても

伊坂幸太郎さんの(たぶん)10作目となる長編書き下ろしです。
「鉄国の兵士」に脅かされるある国の話。
トムという猫に話しかけられ当惑する人間の話。
そこにクーパーと呼ばれる動く樹の話が加わり、
伊坂作品ならではの交錯と収斂を重ねながら物語が展開します。

この作品には短い「あとがき」がつけられていて、そこで伊坂さんは、
「完成までに二年半近くがかかり、思い入れを語りたい欲望もあるのですが、
長く、みっともないことになりかねないため、やめておきます」
と、書いていらっしゃいます。

その「思い入れ」が形となったのかどうかは不明ですが、
この「夜の国のクーパー」は、従来の伊坂作品よりも、
エンターテインメント色が薄く(もちろん楽しいですが)、
従来よりもメッセージ色が濃いように感じました。

ここからは多少ネタバレになってしまうかもしれません。
物語の核となる「私たちの国vs鉄国」になぞらえて、
「猫と鼠」の関係性を興味深く提示して見せたくだりは、
「卵と壁」の比喩で世界にまつわる問題に対峙してみせた、
村上春樹さんのエルサレム賞受賞のスピーチを彷彿させました。

たぶん伊坂さんの主眼はメッセージにはなく、
あくまで物語の面白さにあるのだと思います。現在も今後も。

ただ奇しくも村上さんが上記スピーチでおっしゃっていたのはこんな話でした。

「私がここに来たのは、政治的なメッセージを届けようということではありません。
でも、もちろん善悪を判断しようとするのが小説家の重要な責務の一つです」
「夜の国のクーパー」にも伊坂さんの善悪に対する厳然な姿勢が表れていると思いました。

正直に言うと、冒頭から4分の1くらいは冗長にも感じます。
登場するキャラクターにいつもほどの強い個性は感じられません。
それでも、物語の可能性を信じている小説家の意志のようなものが伝わってきました。
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No.1:
(4pt)

敵だと思ったら味方だったりする

なかなか狩りに成功しない母親ライオン。ひもじい鳴き声をあげる子ども達をテレビで見た私たちは狩りの成功を心から願う。産まれたばかりのインパラの子供を狙うライオンの群。必死に我が子を守ろうとする親をテレビで見た私たちは子供の無事を心から願う。 見方を変えれば敵だと思ってた&#34;モノ&#34;がいとも簡単に見方になったりします。 はたして正義とは何か? 壮大なテーマに挑んだ作品だと思います。「もののけ姫」を少し思い出しました。 決して難しくないありふれた言葉を並べただけなのに何故こんなに個性的な文章になるのでしょうか?やっぱり僕は伊坂幸太郎の作品は読まずにはいられません。
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