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PK
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PKの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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中篇三篇から構成されるこの本の帯には”未来三部作”とあります。 確かに、本小説のSF的要素は未来ともいえます。 しかし、もし私が本の帯を作るとしたら本小説を”未来三部作”というより、 ”勇気三部作”と評します。 どの中篇もある登場人物が信念を曲げるように他の登場人物から脅されますが、 圧力に屈せず勇気をもって自らの信念を実行するからです。 その姿を見た人々も勇気が湧きます。 勇気は伝染するからです。 私は物語の細部でのつながりを把握しきれなかったので、 一読後に時間を空けて本書を再読しました。 再読してみると、一読したときよりも中篇のつながりを多く発見できて楽しめました。 ただし再読しても私には物語の全容がわからず、モヤモヤが残りました。 スッキリできなかったのは残念です。 | ||||
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この本を通り一遍に読んだ評価としては、「☆☆☆」という評価が妥当なのかもしれません。 3つの話は別々の話でありながら、それぞれにつながりがあるようです。 でも、そのつながりが明確に文中に表現されていない為に、3つの話をひとつの話として読む事が難しくなっています。 「あとがき」を読むと、「PK」と「超人」がまずあって、その後で「密使」を書き、単行本化にあったて少しだけ「3つの話」に繋がりを持たせたという印象を持ってしまいます。 「繋がりが楽しめる形」と作者から言われても、3つの話のつながりは不完全な印象で、個人的にはぜんぜん楽しむことができませんでした。 で、「どう考えて読んだら、この3つの話のつながりが楽しめるのか」を、じっくりと考えてみました。 以下はネタばれを含みますので、まだ未読の方は、まず本書を読んでからご覧いただきたいと思います。 まず「密使」の話が最初にあって、それを補う話として「PK」と「超人」があるのではないかと考えました。 また、この3つの話は、バラバラの話でもなく、パラレルワールド的な話でもなく、ひとつの時間軸上で完結している、ひとつの話ではないかと仮定して考えてみました。 するとどうなるのか・・・順番に説明してみます。 '1.「密使」には、「ゴキブリを過去へ送る話」と「ゴキブリを盗む話」の2つの話が書かれている。 '2.「密使」の中で、ゴキブリは盗まれてしまったので、「ゴキブリが送られた過去」は、この世界には存在しない事になる。 '3.「PK」と「超人」の違いは、小説家の浮気が妻に、「ばれた」か「ばれなかったか」という事。 '4.「ばれた」か「ばれなかったか」には、ゴキブリの出現が関係している。 '5.「超人」は、小説家の家にゴキブリが出現しない為、「浮気がばれている世界」の話である。 '6.「PK」は、小説家の家にゴキブリが出現した為、「浮気がばれなかった世界」の話である。 '7.ゆえに、「超人」は現実の話であり、「PK」は現実にはなかった話であると考えることができる。 '8.「PK」が現実の話ではなく、パラレルワールド的な話でもないとすると、あとはどういう選択肢があるのかを考えました。 '9.「PK」は、「密使」の青木技師長が担当している、「コンピュータによるシュミレーション」の中の話と、考えることができるのではないでしょうか? この仮定をもとにして、「PK」と「超人」について考えてみます。 「PK」 この話の中にはSF的な描写はほとんどないので、一見現実的な世界のように感じますが、よく読むと理解に苦しむ矛盾点や疑問点が多数存在していることに気が付きます。 しかし、「PK」の世界は、「コンピュータによるシュミレーション」上の話だと仮定するならば、それらの矛盾点や疑問点も、「架空のシュミレーション上の世界だから」ということで、納得してしまえるように思えます。 なかでも、主義や信念を変えさせようとする人物や組織には、コンピュータを制御している側の意思を感じます。 もしかしたら、秘書官も制御側の人物なのかもしれません。 性格が機械的ですし、突然次郎君的存在になってしまうなんて、他に説明のしようがありませんから。 「超人」 この話の中では、タイトルにもあるように、世の中の過ちを特殊能力を使って正そうとする超人たちが活躍しています。 本田や青い服の男の能力は、「時間スリ」の三上の能力同様に、個人に発現した超能力なのかもしれません。 三島の「時間スリ」能力を物語上肯定するならば、本田や青い服の男の超能力も同様に肯定する必要があります。 「超人」は、超能力描写が多いせいで非現実的世界のように感じてしまいますが、「PK」「超人」「密使」をひとつの物語として考えた場合、実はこちらこそが本当の現実世界であるといえます。 ゆえに、作者がこの本のメインタイトルを「PK」とした訳は、「PK=超能力」的な意味を含ませており、「この話は超能力を肯定した世界の話ですよ」という意図もあるのかもしれません。 「あとがき」 この作品には、単行本にはめずらしく「あとがき」があります。 「あとがき」には、「PK」「超人」「密使」の書きはじめから掲載経緯などが説明されていますが、ここに最大のトリックがあるように感じました。 「PK」と「超人」がまずあって、その後で「密使」を書き、単行本化にあったて少しだけ「3つの話」に繋がりを持たせたという印象を持ってしまいます。 絶対にそんなことはありません。作者は最初から1つのお話として考えており、後で3つの話に分けているはずです。(たぶん) また、「あとがき」にはそれを解明のヒントまであります。 「SFアンソロジー」と「繋がりが楽しめる形」という言葉です。 この「あとがき」の言葉がなければ、この作品に対してここまで考えてることはありませんでした。 この作品は、「SF小説」として、「1つの繋がった話」として、読む必要があるのではないでしょうか。 そういう意味では、この「あとがき」も作品の一部であり、作者が「繋がりが楽しめる形」といっている部分こそ、この「あとがき」そのものなのかもしれません。 個人的には、この作品に2012年度の「SF大賞」を差し上げたいと思います。 それほどにこの「PK」は、よく考えられた素晴らしい作品だと感じました。 何度読んでも、その設定の奥深さに感心させられます。 | ||||
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一見取り留めなく広がった話が、 最後にバタバタっと回収されて一つに繋がる感じ、 作者の持ち味堪能という作品。 三本の中編からなるが、 それぞれすこしずつリンクしていて、 長編としての味わいも楽しめます。 「臆病は伝染する」のフレーズが印象的な感動作PKから、 耐性菌の蔓延をパラレルワールドを 利用して防ごうというSFミステリー的な密使まで、 無理なくつながり、 ドキドキハラハラ楽しめました。 | ||||
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「PK」「超人」「密使」という3つの中編が収録されています。 雑誌に掲載されたそれぞれの物語が、単行本化にあたってより繋がりを持たされています。 (「PK」と「超人」は同じ雑誌の掲載なのでそもそも関連が深いですが) この改稿は本書の肝ですが、同時に賛否を呼んでいる1つの要因かもしれません。 どの物語もSFめいた謎が提示され、脈絡のなさそうな複数の話が同時並行し、 話が次第に収束するにつれ謎の正体がおぼろげに見えてくるという内容になっています。 ここがまた評価の分かれどころですが、謎の全容は明らかになりません。 余韻(悪くいえばモヤモヤ)を残したまま、物語は終わります。 メインタイトルのPKは、物語のハイライトとなるサッカーのPKと、 話に登場する超能力(念力=psychokinesis)のPKに由来しているかと思います。 それもあってか、レビューでは「魔王」や「モダンタイムズ」との類似が指摘されていますが、 個人的には「SOSの猿」と世界観が似ているなと感じました。 一見、荒唐無稽とも思えるストーリー展開なのですが、 それとなく「近くにこんな世界があるのかもしれない」と思わせてくれる。 その中にささいな友情やちっぽけな勇気を描いてみせることで、 なんとなく「昨日よりちょっと頑張ってみようか」と思わせてくれる。 明確ではない、ぼんやりとした余韻を与えるというのも小説の1つの魅力ですよね。 「ゴールデンスランバー」のように物語が収束して大団円に向かう話はすごく楽しいし、好きです。 ただ本作品のような、収束しつつ拡散して、読むのに少し難儀する話も悪くない。 伊坂作品ならではの爽快感を求めてたら、ほんのちょっぴりがっかり。それも一興。 悩みつつ、挑戦しつつ、誰にも書けないエンターテイメントを追求しているような、 伊坂さんの今後がますます楽しみになってきました。 | ||||
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伊坂幸太郎というと、仙台在住であることが有名です。そのため、多くの舞台が、仙台やそれを中心とした東北の香りがします。そのため、世間から見ると、震災後のはじめての著作がこの書籍となります。伊坂さんがあとがきに書かれているように、実際にこの中編が書かれた時期は、震災前ということですので、震災にからめた感想ということには、少し当たらないということになりそうです。 こちらの紹介にある「未来」となっているいますが、特に未来ということが明示されているわけではありません。過去と現在を行ったり来たりしながら、ストリーが展開しています。実際の三編は、共通らしい登場人物はいますが、それが明確に話が展開するわけではありません。だだし、このつながりは、薄いのですが、きれいな糸でつながっています。 共通のキーワードがあるとすれば、「決心」でしょうか。人から脅されたり、選択肢があるときに、どちらを選ぶか。それによって、未来が変わってくるということになります。 伊坂さんの著作は、名作『ゴールデンスランバー』以降は、出来にゆれがでてきていて、ちょっとなぁという本もあるのも事実です。今回の3編についても、『死者の精度』や『終末のフール』のように、短編全部がおすすめですという感じではありません。「PK」は、星5つ、「超人」は、星3つ、「密使」は、星4つといったところです(ちょっと甘い判定です)。例えば、「密使」ついては、設定の説明がかなり込み入っていて、理解しきれない人がいるのではと思ってしまいます。 | ||||
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今回は読むのに時間をかけました。 さまざまな視点人物が描かれ、しかも時間軸が異なるので、 気軽に、というよりはじっくり読みました。 構成的には「フィッシュストーリー」のように、つながりを 楽しむ作品になっています。 「魔王」や「あるキング」寄りの哲学性も感じました。 そこは多少好みが分かれるかもしれません。 ミステリというよりはSFなので、オチがどうというよりは、 作りこまれたディティールの完成度が高く、そこが楽しめました。 全体としては、また新たな伊坂さんに出会えた感がして、 読んでよかったです。 | ||||
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「PK」 そーPKです。 サッカーのPKでもあり、超能力をしめすPKでもあります。 PKをける前に交わした言葉はなんだったのか?当人に聞けない状況では、確かめられませんが、 このような噂がある・・・。 事実と異なっていても、それが広まれば、そのような情報がある、となり事実ではないのに事実に近くなってしまう恐ろしさを感じました。 「超人」 あれです。 青いぴったりしたスーツで空飛んで、すごい力がある人、超人です。 でもその力は未来がわかっちゃったりします。 「密使」 絶望的な未来を救うためにどうすればよいのか、 大勢を助けるために1人の絶望的な犠牲は仕方ない? 一瞬だけどマイケル・サンデルの「正義の話をしよう」を思い出してしまった。 どれも、伊坂作品らしさがあり、非常に楽しめました。 雰囲気としては、「魔王」のような感じの作品です。 | ||||
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僕にとって伊坂幸太郎さんはやっぱりスロースターターな作家でした。 久しぶりの新作だったので発売初日に購入しましたが、あまりスポーツ好きではない僕に最初の「PK」はそんなに引き込まれる事もなく読み終わってしまい次の「超人」を読むまで1日置いてしまいましたが「超人」を読み始めた途端ストーリー引き込まれ「密使」まで一気に読み終わりましたし勿論「PK」の良さも滲み出ました。 久しぶりに味わう独特の文脈をニヤニヤしながら読めたので満足しました。 | ||||
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好きな作家さんなので新作が出ると必ず購入しています。 中編が三作掲載されていますが、それぞれが関連しており一つの長編の様な作品です。 同氏の独特の世界観は健在、「魔王」「モダンタイムス」を彷彿とさせるSF要素の強い内容です。 万人向けの「コールデンスランバー」等とは違い世界観や設定が分かりづらく、唐突な展開もさる事ながらいろんな謎が全て解明する訳でなくスッキリしないので、好みは分かれるところと思います。 (某アメリカンヒーローらしき人が出てくるところ等、とても楽しめましたが「なんだこりゃ」となる方も多いかと) 一番よかったのは表題作でもある「PK」、特に「臆病は伝染する、そして勇気も伝染する」というくだりがこれから困難に立ち向かう!という感じで余韻が残りました。(なので、個人的にあとの二編は余計な感じ、一冊でまとめて読むよりは、発表された都度読んで繋がりを見つけて「そういえば!」となる方がおもしろかったかも) 「魔王」「モダンタイムス」が好きならオススメします。 | ||||
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