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孤宿の人
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孤宿の人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全144件 81~100 5/8ページ
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宮部みゆきの文章の速さは時代物に良くあいますね。しかもミステリ色が濃い。こういった作品はやっぱり宮部みゆきならではです。 ちょっと人が死に過ぎなので四点にさせてください。登場人物がばたばた死んで行きます。それでも暖かな読後感や希望のかけらのようなものが心に残るのは、薄倖な少女の造形の豊かさによるものでしょう。兎も角、見事な作品です。 | ||||
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あまりにもひどい仕打ちを受けてきた「ほう」が哀れで、わずか9歳なのに、 働いていないからご飯をたべちゃいけないという。 まずここで堪えきれなかった。その先も何度も涙が堪えられなかった。 この物語は、事件や事故で何人もの人が死んでしまい、妬み、陰謀など蠢く 凄惨な話でもある。その中で「ほう」の純真さが浮き立ち、せつなくもあり救われもする。 御霊と恐れられる流刑人「加賀様」の下女となったあと、ある事件をきっかけに 「加賀様」と毎朝会うことになり、「加賀様」は「ほう」を一人の人間として接し、 無学であった「ほう」に手ほどきをする。 「ほう」も懸命に加賀様に応えようと努力する。 疎まれていた二人のやり取りが一番人として真っ直ぐに生きているように感じた。 自分のため、流刑地「丸海藩」のため、死を望んでいた「加賀様」は「ほう」との やり取りが最後に人間らしく生きた証であり、安らぎだったと思う。 「ほう」も加賀様が死の間際に名を授け、阿呆の「ほう」から「宝(ほう)」に 昇華した。ラストも「ほう」に救われ、静かに読み終わることができた。 宮部さんの小説は本作が初めてで、禍々しい部分もあったが読み応えのあるいい作品だったと思う。 | ||||
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序盤は美しい港町の風景をゆったりと描写しながら、 登場人物が丹念に描かれていきます。 ’加賀殿’の登場によって起こる波紋が 彼らの人物像にゆらぎと深みを与えながら徐々にざわめきを大きくし、 やがて怒濤のクライマックスへ。 もちろんホラーではないのですが、 急がずあせらず伏線をたっぷりと張って、という筆運びが 御大スティーブン・キングを思い出させました。 やっぱり書くことに対する基礎体力がある人は違うなあと 改めて感心。ご本人も書いていて楽しいでしょうね。 ほうちゃんの幸せを祈りつつ、読了しました。 | ||||
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物語のそれまでの人間の怖さ、弱さ、愚かさ、ドロドロした部分、全てがラストシーンを美しく感動的にしてくれる作品でした。 最後迄読んだ時、涙が止まりませんでした。 そしてしばらくボーゼンとしてしまいました。 作品解説に連載を中断しようとしたエピソードが入っています。 それを含めて出会えて良かった。と思える本でした。 | ||||
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時代は、十一代将軍家斉の時、様々に身分があり、人の命の重さもその身分に比例していたのだと感じました。どうしようもできない事、受け入れざるをえないこと。そんな境遇の中で、様々な事件を通して、それぞれの立場の人々が葛藤に苦しみながら、毎日を懸命に生きていきていく姿が描かれています。 江戸から捨て子同然で讃岐国にやってきた少女「ほう」は、運よく藩医である井上家に奉公するようになりました。*「ほう」の名前の由来は阿呆の呆からきているのです。この名前からも彼女の江戸での境遇を想像できると思います。「ほう」は、ある事件の後井上家から追い出され、引き手見習いの「宇佐」と一緒に生活を始めます。ただその生活も短く、すぐに鬼として恐れられ、江戸から流されてきた、元勘定奉行加賀様のお屋敷の下女として働かされることになりました。 この物語は、無垢な少女である「ほう」と、様々な登場人物の葛藤、多くの人々の中にある鬼を通して、人間とは何か、本来あるべき姿とは何か、を見つめ直すきっかけになりました。 最後は、オビにあるように涙が止まらなかったのですが、本を閉じる時には、清々しい気持ちに変わっていました。それは、たぶん「ほう」の無垢な心が与えてくれたものだと思いました。 成長した「ほう」に、また、会いたいと思いました。 | ||||
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時代は、十一代将軍家斉の時、様々に身分があり、人の命の重さもその身分に比例していたのだと感じました。どうしようもできない事、受け入れざるをえないこと。そんな境遇の中で、様々な事件を通して、それぞれの立場の人々が葛藤に苦しみながら、毎日を懸命に生きていきていく姿が描かれています。 江戸から捨て子同然で讃岐国にやってきた少女「ほう」は、運よく藩医である井上家に奉公するようになりました。*「ほう」の名前の由来は阿呆の呆からきているのです。この名前からも彼女の江戸での境遇を想像できると思います。「ほう」は、ある事件の後井上家から追い出され、引き手見習いの「宇佐」と一緒に生活を始めます。ただその生活も短く、すぐに鬼として恐れられ、江戸から流されてきた、元勘定奉行加賀様のお屋敷の下女として働かされることになりました。 この物語は、無垢な少女である「ほう」と、様々な登場人物の葛藤、多くの人々の中にある鬼を通して、人間とは何か、本来あるべき姿とは何か、を見つめ直すきっかけになりました。 最後は、オビにあるように涙が止まらなかったのですが、本を閉じる時には、清々しい気持ちに変わっていました。それは、たぶん「ほう」の無垢な心が与えてくれたものだと思いました。 成長した「ほう」に、また、会いたいと思いました。 | ||||
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「金毘羅さままでは、峠をふたつ越えるだけ」の所にある、山と海に囲まれ温和な人々が暮らす小藩・丸海。この地に数奇な運命の末にたどり着いた少女「ほう」。のどかな町に突如持ち上がった“加賀様お預かり”とその騒乱にまぎれ動き出す人々の心に潜む「鬼」たち…。 この下巻では、「ほう」と彼女を取り囲む人々の運命の歯車が一気に加速していきます。巻末の解説で児玉清さんもS・キングの『小説作法』を引き合いに出していますが、さまざまな人々を通して引かれた伏線が終末に向かい一気に展開していく手法は全盛期のキングの小説を彷彿とさせます。そうした作者のストーリテリングの上手さももちろんのこと、一つ一つの言葉の使い方の美しさも光ります。途中、物語の流れが緩慢になってしまう部分もあるものの「久しぶりに小説を読んだ!」という気持ちになった一冊です。 | ||||
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宮部みゆきさんの本のおもしろさ、文章のすばらしさは十分に認識していたつもりでしたが、この本であらためて思い知らされた気がします。特に、下巻に入ってからは、ぐいぐいと物語に引き込まれ、終り間近では、思わず、涙が。久しぶりに、こういう本に出会いました。 連載中に、作者が続きを書くのを断念しようと思ったとか。書き上げてくれて良かったです。 | ||||
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仕事の休憩時間に読んでいて、思わず「やばい、泣く」と思って 明後日の方向を向いてやり過ごしました。 宮部さんの作品はかなり読んでいますが、これはいいです。 とくに、下巻、しかも後半の惹きこまれっぷりはすごかったです。 大人たちの勝手な思惑に翻弄されている少女「ほう」が健気で愛しくて仕方なかったのです。 「時代ものはちょっと・・・」なんて思っている人にこそ、読んでいただきたい! やっぱり宮部みゆきはすごい作家だと思わされた作品でした。 | ||||
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最近、宮部の時代物にハマっています。 書店で手にとって、後ろのあらすじを読んだ時、 内容がちょっと暗いかな〜と思いつつも、買ってしまった。 1度目に読んだ時は、うわ〜っと一晩で読んでしまった。 気が付いたら、朝だった。 2度目は、ちょっとのつもりが、また、引き込まれてしまい・・・ おもしろかったです、これ。 | ||||
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宮部みゆきの作品は殆ど好きだが、最近は中でもこの作家の時代物の妙味に魅力を感じている。 一気に上、下巻を読んでしまった。 宮部作品には珍しく、多少途中に冗漫さなどを感じたりもしたが…。また登場人物の描写にも多少らしからぬ物足りなさなども感じなかったではないけれど、やはりこの作家のラストにかけて描いてゆく筆力にはどうもくする。 一気呵成に終局へと雪崩れ込むが…何とも切ない思いを次々と残した幕切れで…本当に久方ぶりに涙を流してしまった。「ほう」を見ていると、何故だかドストエフスキーの「白痴」のムイシュキン公爵を思い出してしまった。本当の無知無心のみが、唯一魂を美しいままに保てるのではないか?和尚が、ほうが見た仏は、普通のほんの少しの煩悩すら捨て去ることの出来ない普通の人間には決して見ることの叶わぬ仏だ…という意味は何となく分かるような気がする。そして、ほう自身の無垢さが、多分相手の仏性を引き出すのではないだろうか。小児が全て無垢などでは決してない。ほうだからこそ相手の仏性を引き出すことが出来るのだろう。ほうは加賀様にこれ以上大切なものがないほどの名を頂いた。ほう自身が宝なのだ。加賀様は、自身の最期に於いて、きっと救われる気持ちがしたことだろう。ほうが好きな人、可愛がってくれる人が次々と亡くなっていく中で、それでも悲しむながら淡々と生きてゆくほうの姿は、胸塞がれる思いがするが、ラストの情景は、流石宮部みゆきの真骨頂とも言うべき筆の置き方だと感じた。 ところで…タイトルの「孤宿の人」というのは、ほうのこと?或いは加賀様のこと?残念ながら、読解力の乏しい私は些か頭を悩ませてしまった…。誰か教えて下さい。? | ||||
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生まれつき知恵の足りない少女が、周りの人間に助けられ苦しいながらも純粋に生きていく物語に感動しました。 宮部みゆきさんの描く時代物のなかでは、ずしんと心に響くお話です。 頭に景色が浮かぶような読みやすさはそのままで、あっという間に読みきりました。 登場人物の抱える背景や心情も細かく描写されており、引き込まれます。 最後は涙が止まりませんでした。 | ||||
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届く商品は、みんな きれいで きちんとしています。しかも はやく 届くのでとてもうれしいです 読みたい本が すぐ みつかるので とても 便利に利用させて頂いてます | ||||
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四国讃岐国丸海藩は温和で豊かな海に面し金毘羅詣で賑わう平和な小藩であった。しかし藩には変事の予感があった。海に白い小さな波が立つとき土地のものはうさぎが飛んでいると言う。それは嵐の予兆であった。丸海藩は幕府から困難なお役目を仰せつかった。元勘定奉行という要職にありながら六人の人を殺害したといわれる船井加賀守守利の身柄をを預かる事になったのだ。加賀守は悪霊に憑かれ鬼に変じたと人々は恐れた。丸海に災いを運びこの地に古くから住む悪霊を呼び覚ますと。幕府の狙いは丸海藩が役目に失敗し藩を取り潰しにしてこの地を天領にする事であった。丸海藩を動かしている人々はそうはさせじと画策する。江戸から丸海に流れ着いた知恵遅れの少女ほう。丸海の人々は10歳のほうに藩の大事を託し加賀守の幽閉されている涸滝の牢屋敷に送り込む。読者をぐいぐい引っ張っていく時代小説です。 | ||||
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この物語はおそらく人にとって真の知性とは何かという話なのだろう。知恵遅れの少女ほうは何も持ってはいない。家も、面倒を見てくれる身内も、困った時自分で何とかする知恵も。それ故にほうはいつもまっしぐらに核心に辿り着く。ほうがつっかえつっかえ語る言葉は限りなく人の心を動かす。余計な事を知らず考えぬ時、人の心は何と罪が無く例えようも無く美しいのか。それ故丸海藩の人々は10歳のほうに藩の命運を託した。或いは罪の無い命を失う事になるかも知れないがこの子にしか出来ないのだと。神の怒りのごとく丸海藩を落雷と暴動と火事が見舞うクライマックスまで一気に読ませ感動間違いなしです。これを読んで泣かない人がいるとは信じられません。時代小説ファンも宮部みゆきファンも必見です。 | ||||
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前半から中盤にかけてのもったり感は山本周五郎の作品にも共通する「臭いものにはフタ」のようなその時代の(特徴と思われる)ことなかれ主義だと思うとあまり気にはならない。 宮部みゆきは子供、特に少女の成長を描く事に非常に巧みな作家だと思う。 この少女の悲しみに共鳴するところがあるせいかラストの哀切な「ほう」が「おあんさま」に語りかける場面ではやっぱり、わかっていながら作者の術中にはまって泣いてしまう・・しかし、心地よく心洗われる涙なのでよしとします。 | ||||
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私自身、宮部氏の現代小説時代小説を読むのはまだ2作目であるが、正直、作者のファンでなくては、この上下巻あわせて800ページ以上を読破するのは骨が折れると思う。 淡々としながらもハートウォーミングな語り口で作品が進行するのであるが、とにかく、この作品には「抑揚」がない。なにしろ、「孤宿の人」本人が登場するのが、下巻の前半である。そして、作品のテンポがはやまり、面白くなってきたのは下巻の半分過ぎからであった。私自身、作者の作品であるからこそ、「いつか面白くなるはず」と信じて読むことができたが、他の作者の作品だったら、途中で挫折していたと思う。 また、この作品には数人の主要な登場人物が描かれているのだが、結局誰が主人公であるのかがはっきりしなかった。このへんが作品の「抑揚」のなさにつながるのかもしれない。 | ||||
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最近の宮部みゆきの中では、個人的にベストである。 宮部作品は、いつも人の「業」をテーマにしていると感じるのだが、今回はとくに無垢な存在である「ほう」を中心にすえることで、善人(宇佐・井上親子・泉医師・加賀など)である人ですら、みずから「正しい」と感じることを為すことが難しいのだという、人が生きることの苦しさが描かれていた。 これらの人々を取り囲む背景の書き方も見事である。 私にも、丸海藩からのぞむ海が見えるような気がした。 | ||||
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宮部みゆきさんのどの作品も、読書好きのだれでもが舌を巻く絶妙な描写と表現力を持ち、様々に交錯する感情の中から、人のもつ愛情、まっすぐなこころを浮きだたせる点においては、この作品もまったくひけを取りません。 そして、この作品の新しさは、宮部さんの得意とする江戸の下町を離れて、美しい海と山道のある地方へと舞台を変え、庶民の生活やこころの繊細なひだを写し取ると同時に、身分ある人々の様相や、こころの葛藤も描いているところでしょう。 庶民と武家の人間の描写においては、その言葉遣いから、立ち居振る舞いといった細微にわたり、一人一人の個性を鮮やかに映し出していきます。その対照的な身分にいるものが、主人公である幼い少女ほうによって、関わりを持つ事を見る事ができるのがこの作品の極めて精巧な面白さでもあります。 ほうが幼いうちから過酷な人生に翻弄されながらも懸命に生きてゆく姿と同時に、まっすぐで素直なこころが彼女に絶大な強さを与えている事にも感動しました。 元幕臣と、ほうがともに過ごすことなどあり得ない事が宮部みゆきによって、可能となり、そのシーンは余りにエキサイティングでスリリングで、そしていつの間にか、物語の中にすっかり引き込まれて、私も今夜は、山間の空気の静けさや凄まじい落雷を感じた気がします。 その凄まじい落雷と、その後の海に囲まれた穏やかさが、この物語の高揚と日常の部分を象徴するかのようであり、それはまた、人の人生の上り下りの激しさを暗示しているようでもあるのです。 | ||||
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江戸に生まれながら、誰からも顧みられず金比羅参りで棄てられたほうと、彼女を姉妹のように優しく見守る宇佐と言う二人の純真な少女と、国や藩などを先ず考える「大人の世界」の考え方との対立を、丸海藩と言う四国の小藩を舞台に描いてゆきます。 物語は、ほうが慕う医者の娘の毒殺事件から始まります。 犯人もはっきりしているのに不問に付してしまう「大人の世界」に対して、疑問を持つほうと宇佐。 その後もこうした子供の目には不可思議なことが続きます。 その裏には、丸海藩が幕府から押しつけられた元勘定奉行の罪人加賀の受け入れがあります。 彼を“悪霊”として恐れる民意を利用して行われる藩の内紛も蠢いています。 そうした様々な事件を通して、成長してゆく二人の慕いあう少女たちですが、ほうは大人たちに利用されてゆくことになります。 宇佐は、そんなほうを影ながら心配しています。 そんな純真な魂の触れあいは、心温まるものがあります。 切ないラストですが、なかなか楽しめる一冊です。 | ||||
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