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開かせていただき光栄です
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【この小説が収録されている参考書籍】
開かせていただき光栄ですの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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面白い。 作品の舞台となっている18世紀ロンドン。当然のことながら、そこがどんな世界かはわからないが、それでも作品世界の雰囲気がよく伝わってくる気がする。事件の有り様も含めて、ミステリ好きの好みそうな事件で、安心して読み進むことが出来る。「古き良き」ミステリの空気を持った作品。本の装丁も含めていい作品だと思う。 | ||||
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18世紀末、未だ解剖学が軽んじられていたロンドンを舞台に、ある熱心かつ優秀な解剖医とその弟子達が遭遇した事件を、ある天才少年詩人の運命と重ね合わせて描いた作品。作者のミステリーと言うと、幻想小説味あるいはM.ミラー風のサイコ・サスペンス味の濃いものが多いのだが、本作は綿密な時代考証の下で全編明るいタッチで描かれている。冒頭、解剖台の令嬢の死体が突如として両手両足切断された少年の死体に入れ替わっていたり、更に、顔面を潰された別の死体が忽然と現われたりとカーやタルボットを思わせる滑り出しだが、この謎をミステリー的に追求する(捻った解決を提供する)意図はなかった様である。 どちらかと言えば、当時のロンドンの雰囲気を背景とした時代風俗小説の要素を強く感じた。その中で、特に「善意」を描きたかったのだと思う。そう、最初から最後まで人間の「善意」を描いた作品なのである。ミステリー的要素は単なる遊びであるし、作者の余裕でもあるのだろう。解剖医を初めとし、その弟子達、探偵役を務める判事及びその助手を務める姪(!)等、キャラクター設定も良く出来ている。いつもの濃密さこそ感じられないものの、安心して読み進めれば、安心した結末が待っているという、楽しい一時を過ごせる一級の娯楽作品に仕上がっていると思う。 | ||||
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本作品は、出版社が主催する2011年発表作品のミステリランキングでも上位に挙げられるとともに、本格ミステリ大賞を受賞した評価の高い作品。 遅ればせながら読んでみました。 著者の作品に接するのは初めてでしたが、直木賞作家として記憶にとどめており、でも、受賞したのは、随分前だったよな−−と、プロフィールを調べてみると、1929年生まれ。 もう80歳を越えているのですね。 そんな歳を全く感じさせない、意欲作と言えます。 舞台は18世紀のロンドン。 解剖室で次々と発見される謎の死体−−という、猟奇的な内容で幕を開けます。 冒頭10数ページは、多くの人物が一度に登場してくるので、登場人物一覧を参照しながらになり、ちょっと読みづらいかもしれません。 でも、そこを乗り越えると、あとは著者の思うツボ。 死体を巡る捜査の章の合間に挟まれる、詩人を夢見て片田舎からロンドンに出てきた少年、ネイサン・カレンの運命の行く末に、惹き込まれていってしまいました。 本書が「本格ミステリ」としての本領を発揮するのは、物語も半ば、盲目の判事、ジョン・フィールディングの推理が展開していくところから。 深い洞察力をもとに導き出される仮説は、説得力があるものの、新証言や新事実にあっさりと覆される。 でも、探偵はめげずに新しい推理を展開−− だが、それも覆され…という、二転三転するプロットは本格ミステリの真骨頂だと思いました。 ミステリ好きなら、一番楽しめる部分ではないかと思います。 本作品は、斬新なトリックがあるわけでもなく、真相の部分もある程度ミステリを読んでいる方なら、「驚愕」まではしないでしょう。 でも、それは作品の質を貶めるものではなく、「丹念に練り上げた物語構成」に唸らされるはずです。 小説作りの巧みさに、「読ませていだたき光栄です」と言いたくなってしまう、傑作。 | ||||
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舞台は18世紀のロンドン。事件は、ダニエル・バートンが開いている私的解剖教室で起こった。 意外な場所から発見された、手足を切断された死体と顔をつぶされた死体・・・。この事件には、 解剖教室のダニエルの弟子と、天才的な詩の才能を持つ少年との友情が、深く関わっていた。 ダニエル・バートンと5人の弟子たち、そして盲目の判事ジョン・フィールディング、ジョンの 姪で秘書でもあるアン=シャーリー・モア、アンの助手のデニス・アポット・・・。どの登場人物も 個性的で実に緻密に人物描写がなされている。死体はいったい誰か?彼らはなぜ殺されたのか? そして犯人は?登場人物たちの行動や言動には、さまざまな伏線があった。二転三転し予想を 裏切る展開には、何度もあっと驚かされる。誰が真実を語っているのか?嘘で固めた真実。真実で 固めた嘘。真実と嘘、その境界線はどこにあるのか?読めば読むほどその面白さに引き込まれて いった。やがて、バラバラに散らばっていたものが、ひとつの点に収束していく。そして、本当に 真実と呼べるものが見えたとき、再び驚きが待っていた!計算され尽くしたしっかりとした構成、 そして巧みなストーリー展開は、読み手を充分に満足させるものだ。読後感も悪くなかった。登場 人物の名前と立場を把握するのにちょっと苦労したが、読み応えのある本当に面白い作品だと思う。 オススメです♪ | ||||
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舞台は18世紀のロンドン。外科医ダニエル・バートンの開く解剖学教室に犯罪捜査犯人逮捕係(通称 ボウ・ストリート・ランナーズ)のガサ入れがはいるところから物語は幕を開ける。解剖台の上では十文 字に切り開かれ膨らんだ子宮を露出させた屍体がおかれており、どうやらその屍体はさる貴族の令嬢のも のらしいのだ。正統な経由で手に入れた屍体ではないため、これを見られてはまずい。ダニエルの弟子た ちは急いで令嬢の屍体を隠す。そして再び屍体を出してみれば、そこには四肢を切断された少年と顔を潰 された男性の屍体が増えていた。 というのが、導入部。どうですか?とても魅力的な出だしでしょ?解剖学教室が舞台であり、開巻早々 三つも惨たらしい屍体が出てくるから、かなり猟奇的でグロテスクなミステリなんじゃないかと思われた 方もいるかもしれないが、本書の印象は比較的明るい。いやユーモラスだといってもいいくらいだ。なに より話を明るくしているのが、それぞれ特徴のあるダニエルの弟子たちの存在だ。容姿端麗エドワード、 天才細密画家ナイジェル、饒舌(チャターボックス)クラレンス、肥満体(ファッティ)ベン、骨皮(ス キニー)アル。さらに言及すればこの犯罪を裁く盲目の治安判事ジョン・フィールディング、その助手で 姪でもある男装の麗人アン=シャーリー・モアなどなど魅力的で一癖も二癖もある登場人物が物語を盛り 上げる。 ミステリの真相も、動機や犯行トリックを含め様々な要素が絡まりあい、意味合いが二転三転するあた りは、かのクリスチアナ・ブランドの鋭利なミステリにも似た味わいがあり、ここらへんはおそらく一年 もすればすっかり忘れてしまうだろうから、再読、再々読にも耐えられるミステリだといえるだろう。 ぼくは読了してから再びパラパラと読み直してみたのだが、細かい伏線がしっかり回収されていて驚い た。かなり練りこまれたミステリという印象なのだ。 | ||||
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18世紀のロンドンを舞台にしたミステリ。 これは、非常に面白い。 特に、18世紀の雰囲気が満載だ。 登場人物たちの言い回しがさすがに18世紀らしくないところは、まあご愛敬かな。 ミステリとしてのレベルは高い。 ストーリーも良い。 ただし、名前がカタカナなので、少々読むスピードが落ちるのが難点だろう。 本作は、できれば一気に読み終えたいミステリだ。 そして、解剖学黎明期の、医療と化学捜査におけるジレンマなど、本書の読みどころは多い。 登場する若者たちは生き生きとしているし、未来に対する希望や展望を持っている。 題材はけっこうグロいもいのがあるのだが、それを上質に仕上げるという、まさに皆川ワールドである。 表紙がエグいが、中身はそんなことはない。 京極作品なんかより、ずっとすっきりしている。 | ||||
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解剖教室を舞台に、突如現れた四肢を失った屍体と、顔を潰された屍体。 目の当たりにした教室の主・ダニエルと五人の愛弟子は、治安判事からの依頼に併せ身の潔白を証明するために謎を追う。 一方、屋根裏部屋で見つけた<十五世紀の詩篇>と自身の創作詩を持ち、ロンドンを訪れた少年・ネイサン。目的は書物を出版・販売しているティンダル書店へ持ち込むことだった。書店を訪れて間もなく、準男爵令嬢エレイン・ラフヘッドと知り合った彼は一目恋に堕ち……。 * 冒頭から時系列を飛び跳ね、描かれるそれぞれの思惑。事件の様相、時代の潮流こそ、血腥い悲劇の連続でありながら、一貫してユーモアが織り込まれた前半はやけに読みやすい。 冒頭現れた屍体の正体、事件のトリックは早々に解き明かされていくが、次第にその背後にある二重三重の策略が捜査を撹乱させていく。その中心にあったのは、才能と、それを餌食にしようとする者への抗いだった。 内臓から削ぎ落とされた邪魔な脂肪は、犬のバケツに入る。 肉付けされた一連の事件もまた、解剖され、削ぎ落とされた悪しき策略と"大きな親切"は、空の棺のなかの空虚となる。犬の糧どころか、残された人の悔いとなって残る。 これほどまでに悲劇的な物語でありながら、空虚とやらは爽やかで可笑しみもあり、事件以前より遥かに目映い。 なんなのだこの物語は。……ひどく哀しく、ひどく滑稽。まさに道化だ。 そして、それらを描ききった後、最後のおもてなしと言わんばかりに特別付録とやらを載せ、アルファベットの最後の文字とともに退場していく。この手口。 まさに、作者こそ非凡な道化役者のようだ。 まるでタイトルそのものが前後の口上であるかのように。 [...] | ||||
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