(短編集)

犯罪

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評判

犯罪の評価:

4.22/5点 レビュー 116件。 B ランク

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全226件 221〜226 12/12ページ
No.6
(5pt)

様々な犯罪、というより様々な人生の物語。

結論から言うと、どの短編も傑作の大当たり!
感情を排して淡々と語られていくが、ひじょうに印象的で、読後にも余韻にひたれる。

・「フェーナー氏」Fahner
 実直な老医者が、悪妻を殺した理由は?

・「タナタ氏の茶碗」Tanatas Teeschale
 日本人実業家から、金庫を盗んだチンピラ。
 中に入っていた家宝の茶碗だけは、いくら出しても取り戻したい被害者。
 それを耳にした街の顔役は、チンピラたちを傷めつけるが……

・「チェロ」Dee Cello
 資産家のもとに生まれながらも、父を嫌い、二人きりで生きる姉弟。
 姉はチェロの才能があり、音楽家を目指すが、弟が事故で脳に障害が残り……

・「ハリネズミ」Der Igel
 強盗で捕まった、犯罪一家の一人。
 馬鹿だと思われている末っ子は実は天才で、兄を助けるために法廷で嘘をつく。 

・「幸運」Gluck
 戦争で、ドイツに密入国した女性。
 売春の最中、相手が心臓麻痺で死んでいしまう。
 慌てた彼女は、同棲している恋人が帰ってくるまで外で待つことにするが、
 入れ違いで彼が帰ってきて、死体を見つけてしまう。
 このままでは、彼女が逮捕されると考えた彼は……

・「サマータイム」Summertime
 ホテルで、不倫相手を殺した容疑で捕まった実業家。
 証拠は彼が犯人と示している。
 それを崩すために弁護士が見つけた証拠の穴とは?

・「正当防衛」Notwehr
 駅で二人のネオナチに絡まれた男。
 彼は全く動揺することもなく、二人を殺す。
 正当防衛の適用をするべきだが、刑事は、彼の身元を証明するものが皆無なのが気に入らず……

・「緑」Grun
 羊を殺し、眼球を繰り抜く伯爵の息子。
 父親が農夫に弁償していたのだが、近所の少女が行方不明になり……

・「棘」Der Dorn
 彫像「棘を抜く少年」の棘がどうなったのか気になってしょうがない博物館警備員。
 少年の足は化膿しているのではなかろうか?
 彼は代替行為として、靴屋にの靴に画鋲を入れるいたずらをすることによって、不安感を解消した。
 数十年が経ち、定年間近になり……

・「愛情」Liebe
 彼女の背中をナイフで切ってしまった青年。
 事故と証言するが、真実は……

・「エチオピアの男」Der Athiopier
 強盗直後に、逮捕された男。 
 彼はエチオピアの貧しい村を救った名士だというのだが……

様々な犯罪、というより様々な人生の物語。そこには一つとして同じものは存在しない。シンプルな筆致なのに、そこに描き出されるのは、血肉を備えた犯罪者たちの人生。
個人的には京極堂シリーズとちょっと感触が近い印象。どんなに奇妙に見えても、彼らの人生、行動と思考を丹念に追うことにより、通常と異常(犯罪行為)の溝が埋まり、その奇妙さは納得出来る理由に落ち着く。
弁護士が作者だから被告側の視点なのは当然なんだけど、特徴的なのは、事件の真相やいわゆる正義が、ここでは求められないこと。事件そのものよりも、依頼人の権利を守り、最善をつくすことが大事。だから、解決しないまま終わる物語もある。
奇妙な味、トリック、悲劇、ハートウォーミング、謎、と短篇集としても多彩。
みんないいんだけど、あえて選ぶなら「ハリネズミ」「正当防衛」「緑」「棘」「エチオピアの男」かなぁ。う〜ん、「サマータイム」も……

今年ベスト級の、オススメ!
犯罪 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犯罪 (創元推理文庫)より
4488186025
No.5
(5pt)

様々な犯罪、というより様々な人生の物語。

結論から言うと、どの短編も傑作の大当たり!
感情を排して淡々と語られていくが、ひじょうに印象的で、読後にも余韻にひたれる。

・「フェーナー氏」Fahner
 実直な老医者が、悪妻を殺した理由は?

・「タナタ氏の茶碗」Tanatas Teeschale
 日本人実業家から、金庫を盗んだチンピラ。
 中に入っていた家宝の茶碗だけは、いくら出しても取り戻したい被害者。
 それを耳にした街の顔役は、チンピラたちを傷めつけるが……

・「チェロ」Dee Cello
 資産家のもとに生まれながらも、父を嫌い、二人きりで生きる姉弟。
 姉はチェロの才能があり、音楽家を目指すが、弟が事故で脳に障害が残り……

・「ハリネズミ」Der Igel
 強盗で捕まった、犯罪一家の一人。
 馬鹿だと思われている末っ子は実は天才で、兄を助けるために法廷で嘘をつく。 

・「幸運」Gluck
 戦争で、ドイツに密入国した女性。
 売春の最中、相手が心臓麻痺で死んでいしまう。
 慌てた彼女は、同棲している恋人が帰ってくるまで外で待つことにするが、
 入れ違いで彼が帰ってきて、死体を見つけてしまう。
 このままでは、彼女が逮捕されると考えた彼は……

・「サマータイム」Summertime
 ホテルで、不倫相手を殺した容疑で捕まった実業家。
 証拠は彼が犯人と示している。
 それを崩すために弁護士が見つけた証拠の穴とは?

・「正当防衛」Notwehr
 駅で二人のネオナチに絡まれた男。
 彼は全く動揺することもなく、二人を殺す。
 正当防衛の適用をするべきだが、刑事は、彼の身元を証明するものが皆無なのが気に入らず……

・「緑」Grun
 羊を殺し、眼球を繰り抜く伯爵の息子。
 父親が農夫に弁償していたのだが、近所の少女が行方不明になり……

・「棘」Der Dorn
 彫像「棘を抜く少年」の棘がどうなったのか気になってしょうがない博物館警備員。
 少年の足は化膿しているのではなかろうか?
 彼は代替行為として、靴屋にの靴に画鋲を入れるいたずらをすることによって、不安感を解消した。
 数十年が経ち、定年間近になり……

・「愛情」Liebe
 彼女の背中をナイフで切ってしまった青年。
 事故と証言するが、真実は……

・「エチオピアの男」Der Athiopier
 強盗直後に、逮捕された男。 
 彼はエチオピアの貧しい村を救った名士だというのだが……

様々な犯罪、というより様々な人生の物語。そこには一つとして同じものは存在しない。シンプルな筆致なのに、そこに描き出されるのは、血肉を備えた犯罪者たちの人生。
個人的には京極堂シリーズとちょっと感触が近い印象。どんなに奇妙に見えても、彼らの人生、行動と思考を丹念に追うことにより、通常と異常(犯罪行為)の溝が埋まり、その奇妙さは納得出来る理由に落ち着く。
弁護士が作者だから被告側の視点なのは当然なんだけど、特徴的なのは、事件の真相やいわゆる正義が、ここでは求められないこと。事件そのものよりも、依頼人の権利を守り、最善をつくすことが大事。だから、解決しないまま終わる物語もある。
奇妙な味、トリック、悲劇、ハートウォーミング、謎、と短篇集としても多彩。
みんないいんだけど、あえて選ぶなら「ハリネズミ」「正当防衛」「緑」「棘」「エチオピアの男」かなぁ。う〜ん、「サマータイム」も……

今年ベスト級の、オススメ!
犯罪 Amazon書評・レビュー: 犯罪より
4488013368
No.4
(5pt)

読後心を捉えて離さない理由あって罪を犯した人々の数奇な人生の物語集。

ドイツの現役弁護士シーラッハが2009年に著すや忽ち大ベストセラーとなり文学賞三冠の獲得や映画化等々、話題沸騰の衝撃のデビュー作の紹介です。本書の最大の魅力は著者の刑事事件弁護士としての豊富な経験が活かされたドキュメンタリーなのではと錯覚させるリアリティーに満ちた犯罪ドラマと嘘偽りの無い真実味溢れる人間性の描写にあるでしょう。各編はミステリー小説の様に結末の意外性を狙った物ではなく、ほぼ予想通りの展開に終始しますので少し物足りなさを感じる方もおられるでしょうが、それでも強引さや不自然さのない物語は完全に納得が出来て真実に触れられた感慨と深い満足感を得られるだろうと思います。
『フェーナー氏』地域社会で尊敬される老医師が最愛の妻に為した愛憎相半ばする凄惨な犯罪の顛末。『タナタ氏の茶碗』空き巣に入られ家宝の茶碗を盗まれた日本人富豪が警察とは別に闇で手荒な手段に訴える恐るべき裏社会の物語。『チェロ』富裕な父の愛を拒否した姉弟が不運続きの果てに迎える悲劇とあまりにも哀し過ぎる結末。『ハリネズミ』犯罪者一家の中で唯一人の真面目で利口な息子が兄を救おうと裁判で策略を巡らせる愉快な読み心地の一編。『幸運』戦争で故郷を追われベルリンに流れ着き娼婦となった女性が恋人と出逢い異常な犯罪ではあるがかけがえの無い体験をする。『サマータイム』娼婦殺人事件の謎を追う最もミステリーらしい一編ですが、鮮やかと感心しながらも検察側が不注意過ぎると思います。『正当防衛』暴漢二人を逆に殺害してしまった男が隠し通したヤバ過ぎる事情。『縁』羊の目玉をくり抜く異常な犯罪を執拗に続ける伯爵家の少年が心に抱える病の謎。『棘』博物館に勤める男が大理石像を見て偏執狂となり散々悩み抜いた揚句退職の日に思い切った行動に出る。『愛情』女性への愛が異常な欲望を生み出し遂に凶事を招いた青年の哀しい心の闇。『エチオピアの男』ドイツでの不幸な境遇から偶然エチオピアの寒村で幸せを掴んだ男が、やがて銀行強盗の罪を犯してしまい再び不幸に逆戻りかと思えたが・・・・。人間の善意を改めて信じ直させてくれる本書中最も感動的で私が一番大好きな一編です。
読後心を捉えて離さない理由あって罪を犯した人々の数奇な人生の物語を紡ぎ出す確かな才能と実力を感じさせる著者の2010年に刊行された第二作「Schuld」も早い機会に翻訳されて読める日が来る事を待ち望みたいと思います。
犯罪 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犯罪 (創元推理文庫)より
4488186025
No.3
(5pt)

読後心を捉えて離さない理由あって罪を犯した人々の数奇な人生の物語集。

ドイツの現役弁護士シーラッハが2009年に著すや忽ち大ベストセラーとなり文学賞三冠の獲得や映画化等々、話題沸騰の衝撃のデビュー作の紹介です。本書の最大の魅力は著者の刑事事件弁護士としての豊富な経験が活かされたドキュメンタリーなのではと錯覚させるリアリティーに満ちた犯罪ドラマと嘘偽りの無い真実味溢れる人間性の描写にあるでしょう。各編はミステリー小説の様に結末の意外性を狙った物ではなく、ほぼ予想通りの展開に終始しますので少し物足りなさを感じる方もおられるでしょうが、それでも強引さや不自然さのない物語は完全に納得が出来て真実に触れられた感慨と深い満足感を得られるだろうと思います。
『フェーナー氏』地域社会で尊敬される老医師が最愛の妻に為した愛憎相半ばする凄惨な犯罪の顛末。『タナタ氏の茶碗』空き巣に入られ家宝の茶碗を盗まれた日本人富豪が警察とは別に闇で手荒な手段に訴える恐るべき裏社会の物語。『チェロ』富裕な父の愛を拒否した姉弟が不運続きの果てに迎える悲劇とあまりにも哀し過ぎる結末。『ハリネズミ』犯罪者一家の中で唯一人の真面目で利口な息子が兄を救おうと裁判で策略を巡らせる愉快な読み心地の一編。『幸運』戦争で故郷を追われベルリンに流れ着き娼婦となった女性が恋人と出逢い異常な犯罪ではあるがかけがえの無い体験をする。『サマータイム』娼婦殺人事件の謎を追う最もミステリーらしい一編ですが、鮮やかと感心しながらも検察側が不注意過ぎると思います。『正当防衛』暴漢二人を逆に殺害してしまった男が隠し通したヤバ過ぎる事情。『縁』羊の目玉をくり抜く異常な犯罪を執拗に続ける伯爵家の少年が心に抱える病の謎。『棘』博物館に勤める男が大理石像を見て偏執狂となり散々悩み抜いた揚句退職の日に思い切った行動に出る。『愛情』女性への愛が異常な欲望を生み出し遂に凶事を招いた青年の哀しい心の闇。『エチオピアの男』ドイツでの不幸な境遇から偶然エチオピアの寒村で幸せを掴んだ男が、やがて銀行強盗の罪を犯してしまい再び不幸に逆戻りかと思えたが・・・・。人間の善意を改めて信じ直させてくれる本書中最も感動的で私が一番大好きな一編です。
読後心を捉えて離さない理由あって罪を犯した人々の数奇な人生の物語を紡ぎ出す確かな才能と実力を感じさせる著者の2010年に刊行された第二作「Schuld」も早い機会に翻訳されて読める日が来る事を待ち望みたいと思います。

犯罪 Amazon書評・レビュー: 犯罪より
4488013368
No.2
(5pt)

「犯罪」小説

強烈だ。
世に多く出ているミステリーやサスペンスのように、あっと驚くトリックがあ
るわけでも、犯人が誰かわからない緊張状態が続くわけでもない。
ただ犯罪が起こる。

全編とおして語られるのは「犯罪」であり、人の精神が軋んでいく音が聞こえ
てくるような話もあれば、ごくふつうの人が犯罪を犯す、そのスイッチが入っ
た瞬間に立ち会ってしまったような薄ら寒いものもある。
一編20ページぐらいなのだが、この衝撃はすさまじいものがある。

簡潔な文章は読みやすいだけでなく、一種独特の空気感を持っている。
決して多くは語られていないのに、逆にそれが想像力を刺激して、読んでいて
かなり怖い。怖いのだが、なぜか目が離せなくなる。
行間から何か漂ってくるみたいで、はじめてカフカを読んだときや、
ヒッチコックの映画をみた時のような、いい知れない不安を思い出した。

と、ここまで褒めておいてなんだが、実は最初の三編くらいで、読むをやめ
ようかと思った(笑)
犯罪を扱っている性質上、グロテスクなものや不快に感じる描写が少なくなく、
「ミステリーズ!」に先行掲載された「棘」のカンジが好きだった私としては
前半に続いた凄惨なものが、結構重たかった。
でも、同じように思われた方にあえて言いたい。最後まで読んでみてほしい。

事件はどれも異様で奇怪なものばかりだが、犯罪を通して語られるのは、さらけ
出された人間性であり、誰かの人生だ。不意の突風にあおられたリンゴの実が落
ちるように、犯罪へと落ちる危険性を誰もが持っている。
読み終わってみると、事件に対するおぞましさと共になぜか人へのいとおしさも
感じる不思議な短編集だ。
犯罪 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 犯罪 (創元推理文庫)より
4488186025
No.1
(5pt)

「犯罪」小説

強烈だ。
世に多く出ているミステリーやサスペンスのように、あっと驚くトリックがあ
るわけでも、犯人が誰かわからない緊張状態が続くわけでもない。
ただ犯罪が起こる。

全編とおして語られるのは「犯罪」であり、人の精神が軋んでいく音が聞こえ
てくるような話もあれば、ごくふつうの人が犯罪を犯す、そのスイッチが入っ
た瞬間に立ち会ってしまったような薄ら寒いものもある。
一編20ページぐらいなのだが、この衝撃はすさまじいものがある。

簡潔な文章は読みやすいだけでなく、一種独特の空気感を持っている。
決して多くは語られていないのに、逆にそれが想像力を刺激して、読んでいて
かなり怖い。怖いのだが、なぜか目が離せなくなる。
行間から何か漂ってくるみたいで、はじめてカフカを読んだときや、
ヒッチコックの映画をみた時のような、いい知れない不安を思い出した。

と、ここまで褒めておいてなんだが、実は最初の三編くらいで、読むをやめ
ようかと思った(笑)
犯罪を扱っている性質上、グロテスクなものや不快に感じる描写が少なくなく、
「ミステリーズ!」に先行掲載された「棘」のカンジが好きだった私としては
前半に続いた凄惨なものが、結構重たかった。
でも、同じように思われた方にあえて言いたい。最後まで読んでみてほしい。

事件はどれも異様で奇怪なものばかりだが、犯罪を通して語られるのは、さらけ
出された人間性であり、誰かの人生だ。不意の突風にあおられたリンゴの実が落
ちるように、犯罪へと落ちる危険性を誰もが持っている。
読み終わってみると、事件に対するおぞましさと共になぜか人へのいとおしさも
感じる不思議な短編集だ。

犯罪 Amazon書評・レビュー: 犯罪より
4488013368