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破裂



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【この小説が収録されている参考書籍】
破裂
破裂〈上〉 (幻冬舎文庫)
破裂 下 (2) (幻冬舎文庫 く 7-3)

破裂の評価: 3.93/5点 レビュー 69件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.93pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全49件 21~40 2/3ページ
No.29:
(4pt)

心臓の話かそれとも老人世界の話か、それとも。。。

うならされられるような話。ただ、ちょっと自己矛盾も含んでいるような気がした。確かに老人が増えてきてそれを支える若者が減っているのは確かだし、小児科が減ってきて老人医療にばかり金がかかるのはおかしいと思っている。まずは小児医療だと思うのだが。医療過誤は確かにきつい。素人ではわからない。玄人だってわからない。と、本書は謡っているように見える。わかっているのは本人だけと言うことなのか。驚くような逸話がいろいろと出ているが医療の現場のいつわざる本音なんだろうと思う。ビデオですべての手術を取り、確認してもらう必要があるのかもしれないと思うとちょっとさびしい気もする。

さて、官僚。なんだかどこかの外務省の役人を思い出してしまった。凄い官僚だ。まぁ、実際いい方向へ動いてくれるのならこれくらいの馬力のある役人がいてもおかしくない。もっと活躍して欲しかった。

医者の仕事は本当に大変だと思う。ただ、私が大学時代、動物実験を繰り返していた時に動物を動物と思わなくなり、慣れてきてただの物のように扱っていたことを思うと医者も気をつけないと人を人とは思わなくなるのだろうと思う。そういう医者がこの本に極端に出ている。医者は人と接していることを大事に考えて欲しい。
そういうことを思わせる一冊だった。

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No.28:
(4pt)

それぞれの『正義』

高齢化社会という簡単な解決法のない問題を、そのまま放置した
先にある未来を想像して怖くなりました。
だからと言って、作中の佐久間の示す方法が正しいとも思えなかったんですが。
作中の人物はみんな、自分の信じる正義というか信念というか、
そういうものに従って生きているのが印象深かったです。
少し見る角度が違ったり立場が変わると、その人が正義だと
信じているものが、単なる傲慢になったりする。
誰でもそうだと思いますが、人間はどんなことを行うにしても
自分が間違っていると自覚すると動けなくなるものなのかな
と思いました。作中でも、自分のミスを認めない態度を貫いた
香村でも一瞬弱気になる記述があったし。
身近に、医療従事者がいるので少し尋ねてみたのですが、
オペ場の看護師と麻酔医はほんとに仲良しだそうです(笑)。

破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.27:
(4pt)

リアルと想像の境が…

前の「無痛」より、より現実的で、こんな発想の官僚がいたら実際に法律作ってやりそうな気がする。

その発想は「安楽死を積極的に推進する…」というものなのだが、単に楽に殺すのではなく、一度心臓を強くして、普段と同じ生活が出来るようになって、コロッと心臓麻痺で死んでしまう方法なのだ。しかもこの発展型もあり、麻薬を打つことで幸せな幻想を見ながらそのまま死んでいく…というような事も考えられている。

世の中の老人にアンケートとって、「生きるのが辛いので殺してほしい」という声がある程度あるという実データをもとにこのような施策を進めようとするのだが、その背景には崩壊しそうな健康保険を立て直す…などの問題もからんでいて、とてもフィクションとは思えない。

この二つのテーマだけでも面白いのだが、医療ジャーナリズム、薬物問題、医療ミス問題、官僚と議員の微妙な力関係…などもからんできて、話が膨らみのきらいはあるが、一気に読ませてしまう筆力はさすが。しかも途中途中に色っぽい話もあり、その恋はなんと思わぬ方向に…。

ただ真剣に「長生きする」事が医療の目的なのか?という事をマジに考えさせられた。意識がなく点滴などで生かされている人の人間としての尊厳はどうなっているのだろう。ただまったく無反応でも本人の意識ははっきりはしていて、何とか蘇りたい…と悶々としているような人も実際にいるのかもしれないし。

この人のあまりにもリアルな医療現場の描写が、この本のノンフィクションとフィクションの境目をあいまいにしている。
そのあいまいさが私の恐怖心を思いっきり増幅させてしまう。
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No.26:
(5pt)

テーマは常に高齢化社会

「廃用身」から引き続く、高齢化問題を問い掛ける力作。だれもが頭のどこかで考えてはいるが、とりあえず見ないふりをしている問題に、こういう方法はどう?と提案してくるのだが、方法が怖すぎます、久坂部さん。だが、ずっと提案し続けていってほしい気もする。最後に、それは悪いヤツだけど、佐久間の扱い、あそこまですることはないのでは…。別の意味、働き過ぎへの警鐘でもあるのかもしれないが。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.25:
(5pt)

後期高齢者医療制度。その根幹がここにあります。

現在、65歳以上の老人は人口の20%をこえ、10年後には40%になるといわれています。老人医療により、健康保険制度は崩壊にひんしており、厚生省は老人を切り捨てるために「後期高齢者医療制度」をつくりました。長寿医療制度などど馬鹿なことを言っていますが、75歳以上は健康保険にいれないよ、病院にかかるな、さっさと死んでくれというのが本音でしょう。この作品では政府は積極的に老人を始末するために、心不全を改善するが、短期間で死を迎える薬剤の開発を進めようとします。結局、うまくいきませんが、現実問題として、長寿がもてはやされた時代は終わり、確実にお荷物になってきているのです。長生きは「悪」なのです。口当たりのいいことばかりいって、票集めにしか興味のない政治家や数字合わせにしか興味のない厚生省の役人に任せていると、あなたひとりで老人二人の面倒を見なければならないことになります。年金・医療はもはや崩壊にむけ、転がりだしている状況なのです。
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No.24:
(5pt)

一気に読めます!

医療関係の小説は、白い巨塔をはじめとしてたくさんあるが、この本はとても内容が濃い。文庫版は上下巻あるが、一気に読める。
医療過誤、高齢者問題、安楽死の是非、官僚汚職、薬物問題等々盛りだくさんである。しかし、その盛りだくさんのテーマを見事にエンターテイメントとしても楽しめる内容にまとめ上げている。
この面白さは、ストーリーの展開もさることながら、各登場人物のキャラクターによるところも大きいと思う。いずれも個性派ぞろいであり、かつ物語の展開とともに本性が暴かれていく様が、とても読み応えがあった。
ぜひ、著者のほかの作品も読んでみたくなる一冊だった。



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No.23:
(4pt)

同業者からみて面白すぎます!

同業者として、また同窓生として読むと、面白すぎました。ストーリー自体は医療現場から考えても相当にぶっ飛んだ話だと思うし、医療ジャーナリストの性格があまりに単細胞すぎて、実際の医療ジャーナリストにちょっと失礼かも、と思ったりしました。が、舞台装置と細かい描写は、迫真どころか、ほぼそのまんまです。あえて病院名とか変えてるのが意味なさすぎ(笑)。どこがどうそのまんまかは指摘しませんが。また、老人の「死にたい」告白や医療者の「痛恨の症例」告白なども、作者の創造物とは思いますが、要するに事実のミックスなので、まったく浮ついたところがなく、真に迫っています。その中にぶっ飛んだストーリーが展開されるので、非常に面白い。非医療者にとっては、色々なテーマが詰まっていてちょっとしんどいかもしれませんが、医療者にとっては日常の問題がそのまま出てきているという印象で、むしろ読みやすいです。いや〜、お医者さんたちに読んでほしいな〜
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No.22:
(4pt)

ぽっくり逝きたいですか?

ぴんぴん生きてぽっくり逝く,人生の終盤の姿として望ましいと考える人は多いでしょう。
もし,それが医療によって仕組まれることが可能だったらという,医療SFミステリーです。
いろいろと癖がある医師達,ジャーナリスト,官僚,医療事故の遺族ががっぷりと組んで,見ごたえたっぷりの好一番。
お勧めの1冊です。

ただ,私は大失敗しました。
この小説を読む前に,作者が著した「大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す」を読んでしまったのです。小説を読む前に著者の立ち位置が分かってしまっていると,どうしても小説を小説として純粋に楽しめなくなってしまいます。先の展開を読みたがってしまうというか。
この作者の著作は出版順に読んでいく方が考えさせられ,楽しめたなぁともったいなかったです。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.21:
(4pt)

台詞と論証は素人

医療の進歩に社会のあり方という視点から疑問を投げかける展開は国民的課題である
エリートが多数登場する物語でありながら方向性丸見えの単刀直入な会話が多すぎる
方向性を見えなくしたり これで会話を打ち切りたいような発言に対し巧みに押したり引いたりして
自分の希望まで話と心を操っていく会話の達人は出てくるべきだと思う 自分を取り巻く人々を
自分の望む位置づけや作用に引っ張る話術は権力者にまつわる凄み 自在さ 規範性である
せっかく虚構が舞台なのだから魂にもっと踏み込むべきだったと思う 医師の独善と内部告発と懲罰的人事の悪循環 功名心と良心 ヒポクラテスの原則の現代的意義などの追究すべき主題も上滑りである 同じく医療者の物語チャングムにあるハン尚宮の慈愛 クミョンの孤独 シン・イクピルの深謀遠慮といった胸をうつ台詞が本作にはない
またアルコール代謝と麻酔の代謝は関係ないと書いてあったが 母の知人が酒びたりのころ
虫垂炎にかかり麻酔がきかなくて看護師たちにおさえつけられての手術になったという
三島由紀夫が安楽死を論じていたら仮面の告白から夭折願望を書いていて 批評を読んでも現実感覚はあるので画期的な死生観を書いたろう
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.20:
(4pt)

医師の本音がよくわかる

内部告発を発端とした医療ミス裁判。患者側に協力しながらも、医師の立場と患者の立場の間で揺れる麻酔科医江崎。告発されたエリート心臓外科医香村。

医療の力を利用して老人をぽっくり死なせ、国家の医療費を削減すべく、「天寿」なるプロジェクトを推進する厚労省キャリア佐久間。

両者を追い、スクープを狙うジャーナリスト松野。

それぞれの利害が交錯し、限界を超えた時、事件は起きた・・・!

それぞれの立場の登場人物に語らせる本音には現実味があります。特に医師と患者の間で揺れる江崎の心理描写がいいです。著者が医師なだけに真実味があります。

全体としては、医療裁判あり、厚労省の壮大なプロジェクト計画あり、と先はそうなるんだろう、と気になってどんどん読み進められるおもしろさがあります。
前作の「廃用身」より、重さがなくなり、ミステリーとしてのバランスが取れていると思います。

一読の価値は十分ある思います。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.19:
(4pt)

気持ち悪さ

「廃用身」も読んだが、そちらのほうが数段面白かった。とは言うものの、ぐいぐい引き込まれるような筆力はすごいものがある。ただ残念なのは扱ったテーマが多すぎて的が絞りきれなかった感じがある。医療ミス裁判に関しては「白い巨塔」には遠く及ばない。


老人医療に関しては「ピンピンぽっくり」(ピンピン生きてぽっくり死ぬ)を謳い文句に心臓を破裂させるという想像だにしなかった内容。麻痺した手足を切断するAケア(「廃用身」)といい、本書の積極的安楽死PK2といい、ひたすらグロテスクで嗜虐的だ。確かに日本の老人医療は危機に瀕している。しかしいくら本人が望むからといって本来「生かす」べき立場にある医療従事者が、老人の生命をコントロールするというのが恐ろしい。しかし反面「迷惑をかけずにぽっくり死にたい」と思う老人がいるのも事実で、本来なら絶対に交わるはずのない二本の線を交差させたところにこの小説の気味悪さ、気持ち悪さがある。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.18:
(4pt)

作為的にならざるを得ない「死」

自らも医療ミスに晒されたことのあるジャーナリスト。
医者が一人前になる過程で患者を死なせてしまう事例を集める医師。
高齢化に歯止めを掛けるべく、人為的な「ぴんぴんポックリ死」を生み出そうとする厚労省官僚。 などなど。

自らの信念に従う個々の人物の描かれ方が実に鮮やかで、ストーリーの流れもさることながら、一人一人の生き様にぐいぐい引っ張られて一気に読みきった作品でした。
ただ、後半になるにつれ、人物描写(特に厚労省官僚・佐久間)が戯画化されすぎていく気がしたので星4つです。

佐久間のように、世代人口を望ましいバランスに誘導するため、医療の方向をコントロールするのには、単純に抵抗を感じます。しかし、その政策が作為的だというのなら、現在の医療のあり方も「死」に対して、干渉しすぎなのかもしれません。
人間の寿命に対し、「自然に還れ」という警句に応えるような態度をとるのは容易ではない、と考えさせられました。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.17:
(5pt)

医学関連ごった煮エンタテイメント

医療裁判、高齢化社会、尊厳死問題に大学病院の教授戦を絡めて、ぐいぐいストーリーを展開させていく。暗殺、薬物乱用、恋愛もあって、エンタテイメントとして飽きさせない。
 焦点ボケと感じる読者もいるだろうが、作者のサービス精神と割り切って、身を任せて読んでいくと気持ちいい。最新医療技術も散りばめられ、センスがいい。
 ずいぶん前から気になっていた小説だが、読んで損のない面白さだった。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.16:
(4pt)

星の数3.5以上4未満

人物像が曖昧で、ピントのずれた家族写真を見せらている印象を持ちました。ただ面白くなかったか?と言われれば、そんなことはなく面白かったのですが、宮部みゆきや松本清張のように人間のこころの奥底に潜んだ恐ろしさや哀しさを描いてくれたらもっとおもしろい小説になったのではないかと思います。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.15:
(4pt)

誰が正しいのか?混乱を楽しんでほしい

本書のテーマは、医療訴訟、高齢化社会、厚生労働省の腐敗、
安楽死など多岐にわたる。

10月19日に発表された厚生労働省の医療制度構造改革試案を
読んだ後に、この「破裂」を読むと、ストーリーの中の登場人物
の誰が“正しい”のか混乱する。その混乱を楽しみながら読んだ。

読後に、「長生き」について考えさせられる一冊だ。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.14:
(5pt)

ある意味凄いよ

医療関係者です。
小説としては、「白い巨塔」の二番煎じの感を否めず、物語や登場人物の煮詰め具合も「白い巨塔」を越えられなかったのでは、と思います。
しかし、医師、看護師、官僚の心情や行動、また医局、医学部、医師会といった組織の実態は、「白い巨塔」を含め他の医療モノを凌駕するリアルさで描かれており、凄みさえ感じました。医師でもある作者の面目躍如といったところでしょう。医療を取り巻く法曹界やマスコミの実情はどうなんでしょうか。業界筋の感想を聞きたいです。
佐久間のプロジェクトも現実味を帯びていて不気味です。基本的な方向性は、現実に役所が描いているロードマップと同じですから。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.13:
(4pt)

恐ろしい。

何て言うか、この著者の考えは、「いらないものはカット」「邪魔なものは削除」ではないかと思ってしまった。前作の「廃用身」でも感じたことだけど。理論的に考えるとすごく合理的だけど・・・でも 自分自身とか身内におこると、そんな風に割り切れるか疑問。最終には、プロジェクトを進める佐久間は、哀れな姿になる訳だけれど。実際のところ、年寄りの「ポックリ死にたい」「早くお迎えを」と言う言葉は、その瀬戸際まできたら、本当にそう言えるか、はなはな疑問だと思う。医師会、大学病院の実態、マスコミ、行政 ETC いろいろ内幕をそれなりに書いているが、キャラクター(特に佐久間)もう少し現実味があるといいと思う日本の高齢化社会を考えさせられたが、こんな事有???
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No.12:
(4pt)

「破裂」が高齢化社会を変える?

ある医学部で教授昇進への野望でいっぱいの医師が心臓に関する画期的な療法を開発します。(ここらへんが白い巨塔の財前先生みたいなのですが)
本人はこれで教授選は間違いなし、と思うのですがその療法には、一旦全快状態にまでなった患者の心臓が表題通りに「破裂」して、患者が突然死を遂げるという致命的欠陥が発見されたのです。
本人はこの結果に愕然となります。教授選どころではなくなってしまうのですから。
彼はなんとかこの事実を研究室内に止めようとひた隠しにするのですが、ここにまたある野望を胸に秘めた厚生省のキャリアが現れます。
このキャリアは、この欠陥を利用して、ぽっくり死にたいと考えている高齢者が多いことに目をつけ、この療法をほどこせば日本の高齢化社会問題が一気に解決できる、というとんでもない政策を推進しようとするのです。
ここから、この政策をなんとしても進めたいキャリアと、それをかぎつけたジャーナリスト、教授選や医師会の不透明な関係、医療事故など、いろいろな問題がからみあってきて・・・・ このキャリアは怖いほどの切れ者で、そのキャラクターは少し漫画チックなほどにまで描かれています。
かなり、面白い本ですのでお薦めできます。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
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No.11:
(5pt)

読後背負う課題が残る本

平成版『白い巨塔』かと錯覚するような医療ミスから始まる
主人公を5人に設定し、それぞれの立場からの感情を含ませながら
医療裁判へ物語りは傾斜してゆくが・・・・
一見医師会への告発的小説に見えるが、読後視点は老齢化社会へ変化する
日本社会が抱える高齢化の将来
国家は破綻せざるを得ないかのような高齢者が増加する
その原因とも言えるのが、進歩した医療であり
生きながらにして、寝たきりの生活を余儀なく強いられる老後でいいのか?
その問題に個人的見解で老人を天寿させようと
プロジェクトを組む厚生労働省の佐久間
医療ミスを犯し裁判に持ち込まれた香村
2人が迎えるラストは強引ではあるが
この小説は読後に背負う感が否めない
高齢化をどうしますか?と問いかけられて終わるからだと思う
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
4344006984
No.10:
(4pt)

アメリカ的エンターテイメントではなく...

面白かったです。確かに人物像やプロットの甘さ、詰め込みすぎはあり
ます。それがかえって、エンターテイメントに極端に走りすぎず、医療・
行政・マスコミ等々の問題提起との不思議なバランスとなっているとも
いえます。やや強引ですが、アメリカ映画でなく、ちょっとフランス
映画のような…。こんなにどろどろとした社会でも、希望を抱き、また常に疑問も持ち
続ける、というのが著者の姿勢かと思います。「痛恨の症例」など、
本書で追求しきれなかったテーマが沢山あり、今後に更に期待します。
破裂Amazon書評・レビュー:破裂より
4344006984

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