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(短編集)
町長選挙
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町長選挙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全121件 61~80 4/7ページ
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大好きな奥田さんのトンデモ精神科医・伊良部シリーズ3作目、待望の文庫化。 これまでと違い、4編のうち3編がある著名人をモデルにして書かれたもので、 彼らのキャラが強すぎて、少々伊良部先生の存在感が薄くなっている。 が、大物相手でもとことんマイペースを貫く姿はやはり相変わらず。 好き放題やらかしてくれるのだが、今回は泣かされてしまった。 私が一番好きなのは「オーナー」。 マスコミ恐怖症になった主人公の”ナベマン”が伊良部の車で高速を暴走し、 東京の夜景をバックに戦後の日本を建て直した自分達の世代の努力と誇りに思いを馳せ、 そして若き日々の遠い記憶を回想し、 「時代は変わった、年寄りの出る幕はもうない」と全てを終わりにしようと決心するシーン。 この流れがとてつもんかう切なくて、でもものすごくきれいで潔くて。 そして何かとても大事なメッセージが書かれてある気がして、 何度も何度も読み返してしまった。 時代は変わっても受け継いでいかねばならないものだってあるはずなのに、 私たち若い世代はそれを忘れ、年配者への感謝や敬意を持つこともせず、 ただ贅沢の塊になったこの国で好き勝手生きている。 時代の移り変わりとともに柔軟な考え方も必要だけど、 ナベマンは最後の最後まで自分の誇りを捨てずに貫いた。 そして伊良部が提案した”生前葬”での首相のスピーチを読みながら、 もう涙が止まらなかった。 大物を主人公にし、一歩書き方を間違えればただの嫌味になりかねないのに。 それをこんなにも愛情と人情たっぷりに、 メッセージ性のある物語へ仕上げてくれる奥田さんは改めてすごい! フィクションだと分かっていながら、”ナベマン”に対する見方が変わってしまった。 | ||||
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「空中ブランコ」「インザプール」・・・そして伊良部シリーズの最後、第3弾がこの「町長選挙」。 精神科医・伊良部はかっこよくもなく能力もあるのかないのか疑わしい、親の七光だけで医者としての首がつながっているような男。 デブでおたくで患者に対する態度はまるで友達か、子供が親に接するときのようだ。要するに、遠慮がなく自分の欲望だけで生きているような奴だ。 そこへ様々な患者が現れる。普通のサラリーマン、やくざに女流作家、大物政治家・・・あのホリエモンをモデルにしたとしか考えられない若手実業家まで登場する。 それぞれ悩みを抱えて精神科にやってくる彼らだが、「精神科」の持つイメージ、「医者」という人種がもつ威厳などがまったく感じられない伊良部に対し、患者たちは不安や反発を示す。だがしかし、結局は「精神科」とはこんなものかと半ばあきらめ伊良部の「治療」と称するお遊びに巻き込まれていく・・・ 読みやすい長さの短編でまとめられた3作はすべてがこのパターンに当てはまる。「こんな医者がいたらおもしろい」そんな風にエンターテイメントとして読むだけでもかなり面白い。読みやすい長さ、文体もとても魅力的で誰でも笑える・・・そんな短編だ。 けれどもちょっと違った見方をするのなら、3作すべてを読み終わるとこの伊良部という医者の行動が私たちに何かを教えてくれているような、そんな不思議な感じがしてくるのだ。 伊良部の元に訪れる患者はみな「こうでなければならない」「何かをすべきだ」という考えにとらわれている。いわば、自分で勝手に「枠」を作ってしまい、その枠の中にいるのが息苦しいにも関わらず、かといって枠の外に出る勇気もなくもがいている状態だ。 そこで伊良部が背中を押す。法律に触れるようなこと、モラルに反することもあるが・・・「固定観念にとらわれるのをやめなさい」なんて小難しい言葉ではなく、子供がやるように簡単に自分の枠の外の世界に連れ出してくれる。 その連れ出し方がまた伊良部流というか、自分も楽しんじゃってるから、「治療」というよりは「遊び」のようでまたおもしろいのだが・・・ 無理して何かテーマや暗示しているものを探しながら読むような作品ではないけれども、読み終わった後に「こんな風に自分の世界を飛び出したら素敵だろうな」・・・そんな爽快感が残る、なんとも楽しい3作でした。 | ||||
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伊良部パワー炸裂、ハチャメチャは医師に見えて実に的を得ている、現代人が誰でも抱える問題を切れ味鮮やかにさりとてユーモラスに対処、さてどちらが町長になるのでしょうか | ||||
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短編4本を集めた作品で、どの話も楽しくスッキリ読めました。伊良部先生は離れて見ている分には面白いけど、診てもらうとなると悩むなー、というのはいつも通り。期待を裏切らない先生ですね。 印象に残ったのは、いがみ合う島民たちが巻き起こす「町長選挙」。伊良部先生本人も騒動に巻き込まれる中、島民たちが吐露する島に対する想いがなかなかステキでした。この場面に出会うためだけに、またしばらくしたら読み返してみたいと思います。 | ||||
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精神科医、伊良部を主人公とした連作集の第3弾。 友人から勧められて読んでみたが、なかなか面白かった。 ナベツネ、ホリエモン、黒木瞳を思わせる登場人物、どこかの離島でありそうな選挙の様子。妙にリアリティがあっていい。 主人公の精神科医も何をするわけではないが、なんとなく魅力的に思えるのが不思議。著者の筆力か。 どの作品も、読後感がよく、さわやか。 | ||||
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たしかに、シリーズ前二作と比べると、迫力が少々鈍ったかな、とは感じた。 プールもブランコも、さして命にかかわるという程ではないが、非常に困った、という人々が伊良部医師を訪ねるが、彼らの病根というのが、案外、現代のストレス社会を反映していて、その痛烈な風刺と、伊良部医師のアホぶりが、このシリーズの最大の魅力であった。 今回の患者は、三作目までが、完全に実在の人物を倣ったもので、これはこれで、文字通り、顔が浮かぶようで楽しめたのだが、(作者の)本人への遠慮があったのか、(伊良部の)いつもの患者への強烈な突っ込みが足らない気がした。 ただ、表題作の町長選挙は、作者、伊良部医師ともに本領発揮で、政争という、なんとも無機質な対立を、ナルホドこんな形で丸め込んでしまうのかと、感心しきりであった。最後の最長老の演説には、思わずホロリとしたものだ。 さあ、現実社会も解散、総選挙の始まりだ。町長選挙のように、二者択一では決してないが(マスコミはそうしたいようだが)、候補者をよく吟味して、投票に行こうじゃないか。 | ||||
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「空中ブランコ」、「イン・ザ・プール」も面白いですが、私は「町長選挙」が 一番好きですね。 冒頭は、登場人物も実際の人物をイメージして読む事が可能ですから、 頭の中で勝手に描いている伊良部医師が、ナベツネやホリエモンと対峙している シーンを想像するだけでも楽しいですね。 そして最後の町長選挙は、いつもの伊良部病院を離れ、利権だらけの町で 活躍(?)する伊良部医師。 これまでの伊良部シリーズが好きな人の中には、伊良部以外の人物が フォーカスされすぎてて、伊良部自身やストーリーが希薄になっていると 感じる人もいるかとは思いますが、これはこれで面白いかと。 「空中ブランコ」、「イン・ザ・プール」で伊良部のキャラをしっかり 掴んでから読むのがお勧めです。 | ||||
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相変らず力もかけずにさらっと読めます。 1作目、2作目も読んでいるけれど さらっと読めて身にならないので 内容忘れてるし・・・ 今回もそんな感じ。 でも、そのさらっとした感じが面白くて。 このハチャメチャなシチュエーションと そんなばかな〜という登場人物に 結局元気をもらって終わります。 なんだか現実のいろいろが馬鹿らしく思えて、 今回も元気になりました。 | ||||
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今回は伊良部医師が町長選挙に巻き込まれ、引きこもってしまうなんで何とも愉快な話です。リラックスして楽しめるストーリーです。 | ||||
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前作からの勢いとか何やらは置いておいて、 伊良部医師シリーズ、おもしろいですよ。 引き込まれると思います。 1つ1つが短編のストーリーになっていてもつながるのは、 伊良部医師という強烈共通キャラクターがいるから。 このキャラクターがいるから、話がおもしろいですね。 話が重々しくなくなる。だから読んでいておもしろいと感じる。 コメディ性があるもの、もともと好きだし。 それに、感情移入しやすい気持ちの描写なのかな。 そういう面から見たら、今回の作品には 実在の人物をにおわせるところがムンムンあったから さらに入り込みやすくなっていいんじゃないかな? なんて思えたりするのは、 私がこのシリーズのファンだからか。 初めて読む人はどうなのかな。 きっときっとおもしろいと思うから、是非! | ||||
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個人的に気に入ったのは最初と最後の話。 特にオーナーは良かった。 ストーリーの為に作られたような登場人物達の小説や登場人物のために作られた小説、そのどちらにもならないキャラクターとストーリーの本当に絶妙なバランスにはいつも通り感動しました。勉強になります。 確かに全体的に見ると全二作の勢いに勝ることは無いけれど、中には劣らない物もちゃんとあります。 でもやっぱり面白いと思います。 | ||||
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きたきたきた。 デブで自己愛たっぷり、ずぼらでいいかげん、幼稚でわがままタップリ、責任感のかけらもないマザコン男がやってきた! 今回の患者は大物ゾロイ。 大新聞とプロ野球球団のオーナーであるナベツ・・じゃなかった、ナベマンは死を恐れ、XXエモンじゃなくてアンポンマンのあだなのついた若きITベンチャーの成功者は若年性アルツハイマー・・などなど。 しかしなんといっても見どころは、タイトルにもなっている町長選挙。 伊良部センセイ、離島へ赴任? いやぁ、そんな田舎にいったって耐えられるわけないじゃん、このわがままが。 案の定伊良部はもりもりにわがまま・いい加減シホウダイ。 そこにこってこての買収合戦の選挙が展開される。板ばさみになって自律神経失調症になるまじめな青年、舞い散るサツタバ。 さて、どうする伊良部!! ・・・・なーんて、もちろん我が伊良部センセイがまじめに悩むワケないじゃーん。 さてさてどうなる?それは読んでのお楽しみ。 安心して読んでOK、脳味噌を使わなくても読む目と笑う口があればよい。 青年よ、きみにはほとんど無限の可能性があるが、はきちがえてはいけない、その可能性には限界があるのだよ。 必要以上にがんばろう、受け止めよう、俺しかできない!と背負いこんでギリギリ限界まで常に背伸びしてはいかんいかん。 そんなに限界まで引っ張ったらアンタ、パンツのゴムだってそりゃ、切れるわ。 | ||||
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3作の中では、業界の事情をたんねんに取材し、著者の中で本人の心情描写までできるくらいに噛み砕けている点で、一番の「力作」だと思います。前2作はエンタテインメントとして楽しめましたが、今回はルポとしても楽しめました。「町長選挙」も人物ではないが、実在の島がモデルになっている点で他と共通。 | ||||
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「インザプール」、「空中ブランコ」に続く第三弾なんだけど、今回は「ナベツネ」、「ホリエモン」、「黒木瞳」に似た登場人物のお話+題名になっている町長選挙が伊豆諸島の小島で行われる様子が描かれています。 相変わらず悩むのがアホらしくなる要素満載で癒された。 特にナベツネ、ホリエモン、黒木瞳は本当に本人たちに取材したんじゃないかと思える程、愉快な話です。 ■読んで欲しい人 ・使命感に押し潰されそうな人 ・やらなきゃいけないと思っている人 ・悩みがある人 | ||||
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一作目、『イン・ザ・プール』は、設定の面白さに惹かれ、 二作目、『空中ブランコ』で、ちょっと飽きた私でしたが、 三作目の『町長選挙』は、私の中では一番の秀作でした。 現実に生きている人を、ここまで堂々とモチーフにするところがすごいです。 それにより、本人を想像させ、よりリアルさを感じさせます。 それが面白かったのかもしれません。 | ||||
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前2作(イン・ザ・プール 空中ブランコ)に比べて、新鮮味に欠ける。どこかで聞いたようなニュースをデフォルメして、伊良部に掛け合わせているが、如何せん、結末が予想できる点が前作に及ばない理由。特に、一部の短編のモデルたちのその後は、誰でも知っており、前作より盛り上がりに欠けた読後感が残る。でも、奥田ファンの私としては、楽しめる伊良部シリーズのイメージが先行し、作品への期待が膨らみすぎたことも自戒して、評価を4ポイントに留めたい。 | ||||
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伊良部シリーズの3冊目。4つの話が収められた短編集です。 表題作の「町長選挙」は、約半分の頁数を占めます。伊良部が初めて出張する話であり、主要なクライアント以外の大勢に影響を与える話でもあり、シリーズ中で異彩を放っています。 「町長選挙」以外の話には、実在の有名人をモデルにしたであろうクライアントが登場します。また伊良部が本当にただの「あほう」で終わっている感じの話もあります。シリーズのファンは、これらの要素に拒絶反応を示すかもしれません。 しかしアクの強いクライアントの登場と矛盾するようですが、それぞれの話の密度が濃く、私はシリーズ最高の出来であると感じました。特に「町長選挙」はキャラ小説では無く、1つの短編小説として非常に楽しめました。 気楽に読めるところは変わっていないので、誰にでもお勧め出来ます。 | ||||
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伊良部シリーズ、第3作目。 本作の特徴は、 登場する患者が著名人をモデルにしているところ。 ここ、愛読者の中で賛否が別れそうです。 この伊良部シリーズは、 患者が自分を投影できる弱さやもろさを感じさせてくれるところに、 面白さがあったように思えるのです。 そこに本作。 これは完全にフィクションの世界。 完成度も高いし面白い。 ただ前作までの手触りとは若干違うのです。 そういう中でタイトル作「町長選挙」は、 既存路線に、 島という外部を取り込んだ新しいテイストになっていて、 お勧めです。 伊良部だけでなくマユミも動き出していて、 物語の変容が予感されているような、 そんな1冊です。 | ||||
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シリーズ3作目で、主人公を特定できる方向での話の展開。 このやり方には、読者の想像力を奪うという点で賛否両論があろうし、 作品自体も出来不出来が激しい。 「カリスマ稼業」は相当の駄作であるが、 「オーナー」は伊良部シリーズきっての名作である。 私自身、パニック障害と付き合ってもう15年以上。 パニック発作が起こるきっかけはまさに本作品に書かれているとおりで、 他人にとってはまったく普通のことが、 パニック障害の人には発作のきっかけになる (私自身の場合、電車のドアが閉まる音がきっかけになることが多い)。 ひょっとして、奥田自身パニック障害をわずらっているのかと思うぐらい よくかけている。 そして、パニック発作中の自分を他人が見たら、 おそらく相当の奇行に見えるだろうなということ自分はしているのだが、 それをうまーく描いている (私の場合、電車内で発作がでたときは、そこにじっとしていられないので車内を歩き回る、季節関係なしに窓を開けたくなる、だから窓が開かなくておまけに次の駅までの乗車時間が長い新幹線は死ぬより苦行)。 この作品だけで見ると、あぁ、ついに筒井康隆を超えたかと思う。 ただ、ページが進むにつれ、その思いは消えていくのだが。 おすすめするとしたら 伊良部シリーズのファンはもちろんのこと パニック障害に苦しむ人たちだ。 「オーナー」を読んで、笑えるようなら パニック障害とうまく付き合えているということだし、 笑えない人は途中でやめてもかまわない。 いつか大声で笑えるようになる日が来るから。 | ||||
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伊良部シリーズはかかさず読んでます。 いつも笑えるのでお気に入りです。 今回の前半の3つは実在の人物をもとに書いているのが一目瞭然。 それが面白くある反面、オリジナリティとしてはちょっと物足りなさも感じました。 町長選挙は病院を出た伊良部が引き起こすドタバタストーリー。 | ||||
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