虐殺器官

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評判

虐殺器官の評価:

4.03/5点 レビュー 369件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全747件 161〜180 9/38ページ
No.587
(5pt)

物凄いSF作品

既存の日本の作家たちの甘ったるい倫理観
(『野に咲く花は幸せですか?』とか嗤わせんなアホw)
にウンザリしていた俺にとっては素晴らしい作品だった。

ただし映像化に向いているかと言えばそうでもないんじゃないだろうか?
基本的に主人公の独白で構成されている小説なので(映画は未見なのだが)。

著者の夭折が悔やまれる素晴らしい傑作である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんだか他の人のレビューの評価が異常に低いので追伸する。

説明文が多いのは悪いことだろうか?

そもそも世の中は軍事的な知識に詳しい人の方が珍しいのである。
ほとんどの人は銃器なんか触った事もないし、軍隊組織のヒエラルキーも知らない。
例えば少将と少尉と少佐の違いを説明できる人が日本社会に何%いるのか?
ツーマンセルとかフォーマンセルとか言っても意味が解からないのが普通の日本人である。

そこを説明しないで勝手に物語を進めるのなら作者の常識の方がおかしいだろう。
本書はそういうところを丁寧に説明している良書である。

また本書は軍隊の最先端で活動する個人を主人公にしているので
自分を王様だと仮定してゲームを進める将棋やチェスの様な快感は全く無い。
しかし現実社会の中ではほとんどの人が歩駒やポーンなのである。
自分を将軍か何かだと勘違いしながらナルシシズムに浸りたい人は別の小説が幾らでもあるので、そっちを読めば良いと思う。

だいたいSFマニアという人達は「他人が褒めている物なら何でも貶す」というひねくれた人生を生きている連中なのだが
このレビュー欄には特にその傾向がある。

本書は近年の日本文学史上に於けるSF分野での大傑作である。
世界観の説明が丁寧で主人公にも感情移入しやすくSF初心者にも自信を持って薦められる。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.586
(5pt)

生死観

暗殺部隊が紛争の黒幕として浮かび上がった人物を追う、SF軍事スパイ物。
血生臭さ、夜の静けさ、硝煙、国境の向こう、謎解き、戦闘etc
エンターテイメントですが筆者の生死観が綴られているように思います。
情報を集めてスムーズに対象を暗殺していく部隊で主人公は悩みに悩んで葛藤します。
フィクションは一種のシミュレーションでもあると気付かされた一冊。

※ネタばれ
唯一解説の薄い箇所、実は小規模で同様のことは日々起きてると思います。大規模に大袈裟に想像を膨らませたものだと受け取りました。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.585
(5pt)

生死観

暗殺部隊が紛争の黒幕として浮かび上がった人物を追う、SF軍事スパイ物。
血生臭さ、夜の静けさ、硝煙、国境の向こう、謎解き、戦闘etc
エンターテイメントですが筆者の生死観が綴られているように思います。
情報を集めてスムーズに対象を暗殺していく部隊で主人公は悩みに悩んで葛藤します。
フィクションは一種のシミュレーションでもあると気付かされた一冊。

※ネタばれ
唯一解説の薄い箇所、実は小規模で同様のことは日々起きてると思います。大規模に大袈裟に想像を膨らませたものだと受け取りました。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.584
(4pt)

精神的に未熟な主人公?

※ネタバレ含む

文体がとても自分好みでした。無機質な文体がこの小説全体に漂っている退廃的な世界観を一層際立たせるような感じがします。内容も哲学やら世界情勢やら、いろいろ前知識があったほうがより楽しく読めます。

ただ僕の読解力がないのか主人公の心理描写が終始疑問でした

序盤の親が鬱陶しくなって軍隊に入ったこと、親の延命処置の拒否を決断した部分はなんとなく葛藤してるんだなぁーと読み勧めましたが、
後に今なお軍隊に居続ける動機が「生きるか死ぬかの状況に身を投じる事で自分が生きている実感を得たい」という理解しがたい感情描写
大した思いもなくなんとなくの動機で軍隊に入り大量の命を奪っておいて自分の罪を好きな女性に罰してもらいたい?赦してもらいたい?

「自分がそれらを選んできたということを、誰かに罪を背負わされたのじゃなく、自ら背をうことを選んだのだ、ということを、ルツィアが教えてくれたからだった」

いや、自ら選んでないし背負ってもなくね?ただ単にスリル中毒っていうだけじゃ?主人公がルツィアを好きになった動機も、親の延命処置の拒否も、全て自分の罪から逃れたいための行動に感じました
終始自分、自分です。ウィリアムズも彼のグレネードで死んじゃったんですかね?

ルツィアがいなくなってやっと自分の罪と向き合うかと思えば、母親が自分を愛しているという痕跡が見つからなかったこと(また、自分も母親のことがよくわからないため痕跡に頼っている)から人間の本性、虚無性、残虐性を見て絶望でもしたのでしょうか、
主人公の最後の行動はめちゃくちゃというか、罪背負う気無いじゃんって思っちゃいました笑

「僕は罪を背負うことにした」「とてもつらい決断だ。だが、ぼくはその決断を背負おうと思う。」

全然反省してねえなこいつ・・・

序盤は一見逡巡している繊細な主人公のようにみえましたが最終的には、家庭環境や状況と合わせて考えても理解しがたいです・・・
「人間は残虐性や環境に規定はされど最終的な選択は自ら選ぶことができる」と語り合いながらも結局現状そういうものから逃れきれていない人類、みたいなおちなんでしょうかね?

(長々感想文書きましたが、僕の解釈が全くの見当違いだったらすみません笑)

解説ページで主人公は設定上成熟していないと書いてありましたが、たしかに精神的に未発達だけど、人間性的にも結構問題のある主人公じゃないかなぁ・・・

しかしそう解釈してしまうのは、それこそこの小説で言うドミノ・ピザの普遍性のように、平和な場所でしか生活したことがない自分には分かりようもないことだからかもしれません・・・

極限の環境に生きる人間の複雑な機微があるのかもしれません。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.583
(4pt)

精神的に未熟な主人公?

※ネタバレ含む

文体がとても自分好みでした。無機質な文体がこの小説全体に漂っている退廃的な世界観を一層際立たせるような感じがします。内容も哲学やら世界情勢やら、いろいろ前知識があったほうがより楽しく読めます。

ただ僕の読解力がないのか主人公の心理描写が終始疑問でした

序盤の親が鬱陶しくなって軍隊に入ったこと、親の延命処置の拒否を決断した部分はなんとなく葛藤してるんだなぁーと読み勧めましたが、
後に今なお軍隊に居続ける動機が「生きるか死ぬかの状況に身を投じる事で自分が生きている実感を得たい」という理解しがたい感情描写
大した思いもなくなんとなくの動機で軍隊に入り大量の命を奪っておいて自分の罪を好きな女性に罰してもらいたい?赦してもらいたい?

「自分がそれらを選んできたということを、誰かに罪を背負わされたのじゃなく、自ら背をうことを選んだのだ、ということを、ルツィアが教えてくれたからだった」

いや、自ら選んでないし背負ってもなくね?ただ単にスリル中毒っていうだけじゃ?主人公がルツィアを好きになった動機も、親の延命処置の拒否も、全て自分の罪から逃れたいための行動に感じました
終始自分、自分です。ウィリアムズも彼のグレネードで死んじゃったんですかね?

ルツィアがいなくなってやっと自分の罪と向き合うかと思えば、母親が自分を愛しているという痕跡が見つからなかったこと(また、自分も母親のことがよくわからないため痕跡に頼っている)から人間の本性、虚無性、残虐性を見て絶望でもしたのでしょうか、
主人公の最後の行動はめちゃくちゃというか、罪背負う気無いじゃんって思っちゃいました笑

「僕は罪を背負うことにした」「とてもつらい決断だ。だが、ぼくはその決断を背負おうと思う。」

全然反省してねえなこいつ・・・

序盤は一見逡巡している繊細な主人公のようにみえましたが最終的には、家庭環境や状況と合わせて考えても理解しがたいです・・・
「人間は残虐性や環境に規定はされど最終的な選択は自ら選ぶことができる」と語り合いながらも結局現状そういうものから逃れきれていない人類、みたいなおちなんでしょうかね?

(長々感想文書きましたが、僕の解釈が全くの見当違いだったらすみません笑)

解説ページで主人公は設定上成熟していないと書いてありましたが、たしかに精神的に未発達だけど、人間性的にも結構問題のある主人公じゃないかなぁ・・・

しかしそう解釈してしまうのは、それこそこの小説で言うドミノ・ピザの普遍性のように、平和な場所でしか生活したことがない自分には分かりようもないことだからかもしれません・・・

極限の環境に生きる人間の複雑な機微があるのかもしれません。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.582
(3pt)

タイトルと舞台に違和感

中身については多くのレビューがあるので特に書くことはない。興味があれば読めばいい。費やす時間に対して価値がないとは思わない。ただ、サラエボなどを引っ張り出して書くことに必然性を感じない。SFとするなら尚更。この舞台を日本人が描くことにも必然性を感じない。節操のなさしか感じない。広島などを念頭に逆を考えてみれば、違和感が拭えないことは理解されると思う。そしてタイトル。器官なのに組織はなく、組成もなく、中身は空っぽ(キツイ言い方をすれば、「虐殺」と「器官」を合成するところにもセンスを感じない)。ディテールやテーマより、そうした部分の無神経さが気恥ずかしさを感じさせる。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.581
(3pt)

タイトルと舞台に違和感

中身については多くのレビューがあるので特に書くことはない。興味があれば読めばいい。費やす時間に対して価値がないとは思わない。ただ、サラエボなどを引っ張り出して書くことに必然性を感じない。SFとするなら尚更。この舞台を日本人が描くことにも必然性を感じない。節操のなさしか感じない。広島などを念頭に逆を考えてみれば、違和感が拭えないことは理解されると思う。そしてタイトル。器官なのに組織はなく、組成もなく、中身は空っぽ(キツイ言い方をすれば、「虐殺」と「器官」を合成するところにもセンスを感じない)。ディテールやテーマより、そうした部分の無神経さが気恥ずかしさを感じさせる。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.580
(5pt)

これは当たりだ。

おもしろい。内省的な叙述でこの暴力。
喜んでる自分がおかしい。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.579
(5pt)

これは当たりだ。

おもしろい。内省的な叙述でこの暴力。
喜んでる自分がおかしい。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.578
(5pt)

面白いです。

よく練られた構成と展開。著者の教養の深さも楽しめる。夭折されたことが悔やまれます。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.577
(5pt)

面白いです。

よく練られた構成と展開。著者の教養の深さも楽しめる。夭折されたことが悔やまれます。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.576
(5pt)

何度でも読める本

実際に起こった紛争虐殺など取り上げていることが多く、国際政治など勉強している、してきた人にはかなり読みやすい仕上がりになっているSF小説。ただ、生物兵器?などは(とてもリアルに描かれているが)存在しないものなので初めて読む際には少々混乱する。
何度読み直していくうちに、細かな描写に気づき、違った面白さがみえてくる。これがデビュー作か…と思ってしまうほど。なんと惜しい作家を亡くしたことか、ただただ悔やまれる。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.575
(5pt)

何度でも読める本

実際に起こった紛争虐殺など取り上げていることが多く、国際政治など勉強している、してきた人にはかなり読みやすい仕上がりになっているSF小説。ただ、生物兵器?などは(とてもリアルに描かれているが)存在しないものなので初めて読む際には少々混乱する。
何度読み直していくうちに、細かな描写に気づき、違った面白さがみえてくる。これがデビュー作か…と思ってしまうほど。なんと惜しい作家を亡くしたことか、ただただ悔やまれる。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.574
(3pt)

だから虐殺の文法とやらを提示しろよ

結局虐殺の文法ってなんなのよ。この一言に尽きる。
 これが「虐殺の絵画」とか、「虐殺のメロディー」というのであればまあ納得できる。文章でそれを著すのは難しいことだろう。
だが、これは小説だ。文章で成り立っている小説という表現媒体を選びながら、その文法とやらを具体的に提示しない。これって逃げではないか?
 それこそが、この純文学愛好家も抵抗なく読み進められるであろう上等な文章、厨二心を刺激する数々の活かしたガジェット、タイトル、装丁に到るまで痺れるほどクールに決められた隙のない作品を、なぜかどこかぼんやりと、ふわっとした印象に着地させてしまっている要因だろう。
 もちろんストーリー展開の中でそれを著すことは必須条件ではないことは理解している。虐殺の文体というものがあって、それを主人公は最終的になんと!...以下ネタバレのため控えるが、そういったストーリー展開とテーマ性が大事なのであって、その文体の具体的内容をつつくことにはそれほど意味はない。それは重々承知だ。だがそれではいったい小説とはなんであろう。作者の想い。ストーリー計画。「ここで主人公は感動的なセリフを吐くんだよ。内容はここでは伏せるけどね」とか「ここで見るものがハラハラするような大立ち回りが行われるんだよ。でもここではそれが行われたってことが重要で、具体的な動作は別にストーリー展開に関係ないから割愛しますね」とか。そんな小説、読みたいだろうか。
 シータとパズーだってちゃんと「バルス」と唱えているじゃないか。別にあのストーリーの中で「バルス」が「バルス」という言葉であることはそこまで重大な問題ではない。とにかく決して口にしてはならない滅びの呪文があって、絶体絶命の状況下で少女はそれを少年に囁いて、二人は手を合わせてその言葉を口にする。そして崩壊が起こり物語はクライマックスを迎える。その展開と構造が大事なのであって、呪文は「なんかそういう言葉があるんですよ。今は伏せるけどそれを二人は口にしたんですよ。そしたらすごいことが起きたんですよ」でもいい。全然問題ない。
 だがそこで宮崎駿は「バルス」という滅びの呪文を発明し、提示した。どんな方法で発明したのかはしらない。言語学者のお墨付きの由緒ただしき言葉なのか、なんとなく響きがいいから思いつきで配置しただけの無意味な言葉なのか。いずれにせよ彼は滅びの言葉を「滅びの言葉」のままにはしなかった。具体的な「バルス」という呪文を観客に提示した。そこにカタルシスがある。宮崎駿がマニアックな人間でありながら、マスに届く表現力を持つのはこういうところだろう。それを一流という。
 クライマックスの文中でも、エピローグでもいい。この作者の構成力、文章力なら、シャレオツなタイミングでポエミーに、あるいはちょっと「映像の世紀」のキラーフレーズ風に盛り上げてでも、いくらでも効果的に提示することができただろう。別にそれを読んだ人間が実際に虐殺を始めるわけじゃない。だけれどなんとなくそれっぽい、と納得できるその文法を提示せず「そういう話じゃないんで。その文法がどんな文法だとか追求するのは野暮なんで」とポーズを崩さず、うやむやにごまかした。その器用さは評価すべきだがやっぱり読む方には肩すかしというか消化不良というかなんとももやもやとした後味を残す。
 別に過大評価だともとるに足らない作品だとも思わない。ゲーム文化やSF小説の歴史の文脈で、それなりの到達点として評価されているのを門外漢の私がとやかくいう気もない。けれどジャンル小説とはいえ、やはりエンターテイメントである以上、強引でもいいから読者に納得感と充足感を与える、というサービス精神はあっても良かったのでは?と思うのである。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.573
(3pt)

だから虐殺の文法とやらを提示しろよ

結局虐殺の文法ってなんなのよ。この一言に尽きる。
 これが「虐殺の絵画」とか、「虐殺のメロディー」というのであればまあ納得できる。文章でそれを著すのは難しいことだろう。
だが、これは小説だ。文章で成り立っている小説という表現媒体を選びながら、その文法とやらを具体的に提示しない。これって逃げではないか?
 それこそが、この純文学愛好家も抵抗なく読み進められるであろう上等な文章、厨二心を刺激する数々の活かしたガジェット、タイトル、装丁に到るまで痺れるほどクールに決められた隙のない作品を、なぜかどこかぼんやりと、ふわっとした印象に着地させてしまっている要因だろう。
 もちろんストーリー展開の中でそれを著すことは必須条件ではないことは理解している。虐殺の文体というものがあって、それを主人公は最終的になんと!...以下ネタバレのため控えるが、そういったストーリー展開とテーマ性が大事なのであって、その文体の具体的内容をつつくことにはそれほど意味はない。それは重々承知だ。だがそれではいったい小説とはなんであろう。作者の想い。ストーリー計画。「ここで主人公は感動的なセリフを吐くんだよ。内容はここでは伏せるけどね」とか「ここで見るものがハラハラするような大立ち回りが行われるんだよ。でもここではそれが行われたってことが重要で、具体的な動作は別にストーリー展開に関係ないから割愛しますね」とか。そんな小説、読みたいだろうか。
 シータとパズーだってちゃんと「バルス」と唱えているじゃないか。別にあのストーリーの中で「バルス」が「バルス」という言葉であることはそこまで重大な問題ではない。とにかく決して口にしてはならない滅びの呪文があって、絶体絶命の状況下で少女はそれを少年に囁いて、二人は手を合わせてその言葉を口にする。そして崩壊が起こり物語はクライマックスを迎える。その展開と構造が大事なのであって、呪文は「なんかそういう言葉があるんですよ。今は伏せるけどそれを二人は口にしたんですよ。そしたらすごいことが起きたんですよ」でもいい。全然問題ない。
 だがそこで宮崎駿は「バルス」という滅びの呪文を発明し、提示した。どんな方法で発明したのかはしらない。言語学者のお墨付きの由緒ただしき言葉なのか、なんとなく響きがいいから思いつきで配置しただけの無意味な言葉なのか。いずれにせよ彼は滅びの言葉を「滅びの言葉」のままにはしなかった。具体的な「バルス」という呪文を観客に提示した。そこにカタルシスがある。宮崎駿がマニアックな人間でありながら、マスに届く表現力を持つのはこういうところだろう。それを一流という。
 クライマックスの文中でも、エピローグでもいい。この作者の構成力、文章力なら、シャレオツなタイミングでポエミーに、あるいはちょっと「映像の世紀」のキラーフレーズ風に盛り上げてでも、いくらでも効果的に提示することができただろう。別にそれを読んだ人間が実際に虐殺を始めるわけじゃない。だけれどなんとなくそれっぽい、と納得できるその文法を提示せず「そういう話じゃないんで。その文法がどんな文法だとか追求するのは野暮なんで」とポーズを崩さず、うやむやにごまかした。その器用さは評価すべきだがやっぱり読む方には肩すかしというか消化不良というかなんとももやもやとした後味を残す。
 別に過大評価だともとるに足らない作品だとも思わない。ゲーム文化やSF小説の歴史の文脈で、それなりの到達点として評価されているのを門外漢の私がとやかくいう気もない。けれどジャンル小説とはいえ、やはりエンターテイメントである以上、強引でもいいから読者に納得感と充足感を与える、というサービス精神はあっても良かったのでは?と思うのである。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.572
(5pt)

満足です。

ずっと読みたかったので、購入しました。中古本なのに、綺麗でした。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.571
(5pt)

満足です。

ずっと読みたかったので、購入しました。中古本なのに、綺麗でした。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.570
(5pt)

これは面白かった。

作者がすでに亡くなっていたとは…。

単なるよくある近未来小説かと思いながら読み始めて、ち密な世界観にびっくり。
どっぷりはまり込んで読みました。

こんな小説の書く作者はどんな人間かと調べてみて初めて作者がすでに
亡くなっていると知りました。
人の心をえぐるような描写とふつう思いつかないようなストーリー展開を読んだ後では
なんとなく納得できるものがありました。
それにしてももっと他の作品も読んでみたかったと
本当に残念に思います。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.569
(5pt)

これは面白かった。

作者がすでに亡くなっていたとは…。

単なるよくある近未来小説かと思いながら読み始めて、ち密な世界観にびっくり。
どっぷりはまり込んで読みました。

こんな小説の書く作者はどんな人間かと調べてみて初めて作者がすでに
亡くなっていると知りました。
人の心をえぐるような描写とふつう思いつかないようなストーリー展開を読んだ後では
なんとなく納得できるものがありました。
それにしてももっと他の作品も読んでみたかったと
本当に残念に思います。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.568
(4pt)

面白が…※ネタバレあり

戦闘や人間性の描写がとてもリアルで、ストーリーも面白いのですが、
言葉の力とは、どういう中身なのか、非常に気になりますが、
そこの内容に関しては流石に難しいのか、一切書かれていませんでした。
想像におまかせしますってのも悪くないのですが、結局、一軍人たる主人公も使えたりして、
最後の方だけちょっと拍子抜けしてしまいました。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841