虐殺器官

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評判

虐殺器官の評価:

4.03/5点 レビュー 369件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全747件 601〜620 31/38ページ
No.147
(4pt)

「ハーモニー」への導入として

私は超偏見で、SFは青背上等派、あまり国内物は読まなかったのです。

この作品自体には、多数のレビューがありますので、
それを参考にしてほしい。
確かに、「虐殺器官」のみをみてしまうと、アラもあるのだが、
(直接的な関係性は書かれていないが)続編となる「ハーモニー」を
読む為にも、是非読んでほしい。

私はこの二作を読んで、それこそ驚愕した。
日本にもこれほどの作家がうまれたことを。
そしてすでにその作家が失われてしまったことを。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.146
(4pt)

SF小説の現況

近作では、話題と評判の高さに惹かれて読みました。
400ページ近い分量を10日ほどで書き上げたと言う小松左京賞の公募作品、
選には漏れたとのことですが、出版の機会を得た後、瞬く間にこの分野の新旗手として、
数多の評価を受けることとなった著者の長編デビュー作です。

SFと言えば回顧的にではありますが、全盛期(6,70年代)の洗礼を受けた者として、
隔世の感に打ちのめされつの読書になりましたが、ギブスン/ニューロマンサーで
そのSFを半ば捨てたことへの、これは仕打ちとばかりに受け留め、読了にしました。

辛抱の甲斐あってか、本作のエピローグへ読み進むに至り、著者の作意の些かを確かめることが出来ました。
内容については割愛しなければなりませんが、その構造としては、紡がれ描かれた世界(価値/感性/愛着)と、
主人公自身をも含めなして、その否定をより極め、遂には無化(放棄)してしまうことで、結ぶというものです。

ここには、ある種の快感があります。漱石の近代の超克説や大岡昇平などの意図する
「外からではなく、その内から超え、突き抜ける」という感覚に通じるものが、多少なりとここには実感されます。

小説表現とは、このように奇妙な仕方ではありますが、確かに進歩していると言うことには、
やはり無理があるのでしょうか。私には、こうした芸術分野がこの限りに終わってしまうとは、とても思えません。

例えば作中、ヴィクトリア湖のシーンに際し、その現況に言い及ぶところなどは、リアリズムもよく保たれており、
著者の世界状況に対する洞察力と含めるイロニーなどには、大いにそこへ才気も伺わせるもので、
今更ながらですが、その早世が惜しまれる作家であると思います。

ダーウィンの悪夢 デラックス版 [DVD]
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.145
(4pt)

SF小説の現況

近作では、話題と評判の高さに惹かれて読みました。
400ページ近い分量を10日ほどで書き上げたと言う小松左京賞の公募作品、
選には漏れたとのことですが、出版の機会を得た後、瞬く間にこの分野の新旗手として、
数多の評価を受けることとなった著者の長編デビュー作です。

SFと言えば回顧的にではありますが、全盛期(6,70年代)の洗礼を受けた者として、
隔世の感に打ちのめされつの読書になりましたが、ギブスン/ニューロマンサーで
そのSFを半ば捨てたことへの、これは仕打ちとばかりに受け留め、読了にしました。

辛抱の甲斐あってか、本作のエピローグへ読み進むに至り、著者の作意の些かを確かめることが出来ました。
内容については割愛しなければなりませんが、その構造としては、紡がれ描かれた世界(価値/感性/愛着)と、
主人公自身をも含めなして、その否定をより極め、遂には無化(放棄)してしまうことで、結ぶというものです。

ここには、ある種の快感があります。漱石の近代の超克説や大岡昇平などの意図する
「外からではなく、その内から超え、突き抜ける」という感覚に通じるものが、多少なりとここには実感されます。

小説表現とは、このように奇妙な仕方ではありますが、確かに進歩していると言うことには、
やはり無理があるのでしょうか。私には、こうした芸術分野がこの限りに終わってしまうとは、とても思えません。

例えば作中、ヴィクトリア湖のシーンに際し、その現況に言い及ぶところなどは、リアリズムもよく保たれており、
著者の世界状況に対する洞察力と含めるイロニーなどには、大いにそこへ才気も伺わせるもので、
今更ながらですが、その早世が惜しまれる作家であると思います。

ダーウィンの悪夢 デラックス版 [DVD]
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.144
(5pt)

罪と罰を古本屋に売ってきた

で、この本を何度も読み返した。

読んだ日は必ずカレーを食べることにした。

泣きながらだと味わかんねーな。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.143
(5pt)

罪と罰を古本屋に売ってきた

で、この本を何度も読み返した。

読んだ日は必ずカレーを食べることにした。

泣きながらだと味わかんねーな。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.142
(5pt)

何度も読み返せる小説だと思います

半年程前に、テレビ番組でMCが絶賛しているのを見て購入してみました。オビにある現代の「罪と罰」というくだりは、大げさなような気がします。感想としては、読み始めてみると多少読みずらい文章ですが、その世界観に引き込まれどんどんと読み進むことができました。読み終わった後に、作品の余韻に浸れいろいろと考えさせられます。ただ、世界観やSF小説ということもあって好き嫌いは分かれるかもしれません。それでも、購入して損はないと思います。私の中で、2010年で一番印象に残り、これから何度も読み返してみたい小説です。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.141
(5pt)

何度も読み返せる小説だと思います

半年程前に、テレビ番組でMCが絶賛しているのを見て購入してみました。オビにある現代の「罪と罰」というくだりは、大げさなような気がします。感想としては、読み始めてみると多少読みずらい文章ですが、その世界観に引き込まれどんどんと読み進むことができました。読み終わった後に、作品の余韻に浸れいろいろと考えさせられます。ただ、世界観やSF小説ということもあって好き嫌いは分かれるかもしれません。それでも、購入して損はないと思います。私の中で、2010年で一番印象に残り、これから何度も読み返してみたい小説です。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.140
(2pt)

モノローグ50%+テクノロジーの説明文30%+物語展開5%+装丁15%=『虐殺器官』

ゼロ年代最高SFというので買って読みました。
あくまで個人的感想ですが、ものすごく退屈でした。

モノローグ(心理描写、心の声)や、近未来の兵器技術の説明ばかりで、全く物語が進まず、フラストレーションが溜まるだけで結局、最後まで終わってしまいました。

話が分かりやすく、物語がガンガン流れていくような本や映画が好き、という人にはちょっとオススメできませんね。ジブリ好きとか(かくいう私がそうですが)。
日本の小説界ではいわゆるSFというジャンルがなかなか盛り上がらないと言われているみたいですが、この作品を年代最高と推すのなら、そりゃあ大衆的には盛り上がらないだろうなあ、と思いました。

ただ、文庫本のカバーの装丁だけはすごく格好良かったです。時々本棚から取り出して眺めたくなるような見事な装丁だと思います。

これらの点を加味して、☆2つを付けさせて頂きます。

以上、辛辣なことを書きましたが、先に述べた通り、あくまで個人の感想ですのであしからず。
購入を考えている方は、一度、書店で実際に手にとって数ページめくってみてから買うかどうかの判断をすることをオススメします。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.139
(2pt)

モノローグ50%+テクノロジーの説明文30%+物語展開5%+装丁15%=『虐殺器官』

ゼロ年代最高SFというので買って読みました。
あくまで個人的感想ですが、ものすごく退屈でした。

モノローグ(心理描写、心の声)や、近未来の兵器技術の説明ばかりで、全く物語が進まず、フラストレーションが溜まるだけで結局、最後まで終わってしまいました。

話が分かりやすく、物語がガンガン流れていくような本や映画が好き、という人にはちょっとオススメできませんね。ジブリ好きとか(かくいう私がそうですが)。
日本の小説界ではいわゆるSFというジャンルがなかなか盛り上がらないと言われているみたいですが、この作品を年代最高と推すのなら、そりゃあ大衆的には盛り上がらないだろうなあ、と思いました。

ただ、文庫本のカバーの装丁だけはすごく格好良かったです。時々本棚から取り出して眺めたくなるような見事な装丁だと思います。

これらの点を加味して、☆2つを付けさせて頂きます。

以上、辛辣なことを書きましたが、先に述べた通り、あくまで個人の感想ですのであしからず。
購入を考えている方は、一度、書店で実際に手にとって数ページめくってみてから買うかどうかの判断をすることをオススメします。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.138
(1pt)

この程度で、ゼロ年代最高傑作?

ゼロ年代最高傑作との帯が付いてたので、買ってみた。
ゼロ年代最高とまで言うなら、鈴木光司のリング並みに
5回位は、仰け反ったり、マジでっ!と叫ばしてくれるのかと期待した。
期待した俺が悪いのか?全然、驚く所が無い。皆無だ。つまらんし。
後、実際に母親に、早死にされた身には、胸くそが悪いだけだ。
コレを凄いと言うは人ば、この手のゲームを知らない人ですね。単にノベライズに焼き直した様な内容です。
帯を書いた宮部みゆきにもガッカリです。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.137
(5pt)

「虐殺器官」をめぐる謎解きに新鮮な驚き

噂通りの作品。月並みだが、その世界観、「虐殺器官」をめぐる謎解き、戦闘や情報ガジェットのディテール描写に恐れ入った。
 主人公のモノローグで語られるところが魅力的だ。たとえそれが薬物による抑制の結果であるにせよ、冷静な戦況分析や戦闘行動の記述は、現代のゲリラ戦のやりきれなさをリアルに感じた。宿敵と対峙したときの饒舌なやりとりは、アメリカ人の特殊部隊隊員らしからぬインテリジェンスではあるが、物語の特性上、解説は避けられないのであまり気にならない。舞台も複数の戦地以外はプラハという異質な古都を持ってきたところがクールだ。これがニューヨークやロサンゼルスや東京という都会では陳腐だったろう。
 結びの場面は、皮肉な展開と既出のシーンとの対比で鮮やかな幕切れだ。もし映像化されるなら、このシーンは落とさないで欲しいところだ。
 この作品を十日程度でかき上げるなんて、命を燃やすようなことをする必要を感じていたのか、逆に創作が命を縮めたのか。いずれにしてもこの作品を知った時点ですでに著者はいない。新作に会えないのはあまりにも残念だ。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.136
(1pt)

この程度で、ゼロ年代最高傑作?

ゼロ年代最高傑作との帯が付いてたので、買ってみた。
ゼロ年代最高とまで言うなら、鈴木光司のリング並みに
5回位は、仰け反ったり、マジでっ!と叫ばしてくれるのかと期待した。
期待した俺が悪いのか?全然、驚く所が無い。皆無だ。つまらんし。
後、実際に母親に、早死にされた身には、胸くそが悪いだけだ。
コレを凄いと言うは人ば、この手のゲームを知らない人ですね。単にノベライズに焼き直した様な内容です。
帯を書いた宮部みゆきにもガッカリです。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.135
(5pt)

「虐殺器官」をめぐる謎解きに新鮮な驚き

噂通りの作品。月並みだが、その世界観、「虐殺器官」をめぐる謎解き、戦闘や情報ガジェットのディテール描写に恐れ入った。
 主人公のモノローグで語られるところが魅力的だ。たとえそれが薬物による抑制の結果であるにせよ、冷静な戦況分析や戦闘行動の記述は、現代のゲリラ戦のやりきれなさをリアルに感じた。宿敵と対峙したときの饒舌なやりとりは、アメリカ人の特殊部隊隊員らしからぬインテリジェンスではあるが、物語の特性上、解説は避けられないのであまり気にならない。舞台も複数の戦地以外はプラハという異質な古都を持ってきたところがクールだ。これがニューヨークやロサンゼルスや東京という都会では陳腐だったろう。
 結びの場面は、皮肉な展開と既出のシーンとの対比で鮮やかな幕切れだ。もし映像化されるなら、このシーンは落とさないで欲しいところだ。
 この作品を十日程度でかき上げるなんて、命を燃やすようなことをする必要を感じていたのか、逆に創作が命を縮めたのか。いずれにしてもこの作品を知った時点ですでに著者はいない。新作に会えないのはあまりにも残念だ。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.134
(1pt)

絶賛されてるので買ってみたが・・・

正直まったく期待はずれでしたね 
いろんな小説やらラノベやら読んできましたが
ちゃんと最後まで読まなかったのはこの本が数冊目です
確かに描写はうまいかもしれんが、日本人特有の描写があって
嫌になります こういうのは鼻につくのでやめてほしいですね

確かにそこらの小説よりは面白いのかもしれませんが、ここまで
挙って絶賛されるほどの本ではありません

☆5付けてる方は他の小説やらなんやらを、ちゃんと読んでるんですかと問いたいですね
果たしてこの本自体をちゃんとレビューしてるのかと・・w
他人が面白いと言ってるから、自分も言っとけみたいな乗りはやめてほしいです
つまらない買い物をしました



虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.133
(1pt)

絶賛されてるので買ってみたが・・・

正直まったく期待はずれでしたね 
いろんな小説やらラノベやら読んできましたが
ちゃんと最後まで読まなかったのはこの本が数冊目です
確かに描写はうまいかもしれんが、日本人特有の描写があって
嫌になります こういうのは鼻につくのでやめてほしいですね

確かにそこらの小説よりは面白いのかもしれませんが、ここまで
挙って絶賛されるほどの本ではありません

☆5付けてる方は他の小説やらなんやらを、ちゃんと読んでるんですかと問いたいですね
果たしてこの本自体をちゃんとレビューしてるのかと・・w
他人が面白いと言ってるから、自分も言っとけみたいな乗りはやめてほしいです
つまらない買い物をしました



虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.132
(5pt)

たしかに「こんなすごいものは書けない」と思う。

文庫版の帯に、宮部みゆきが「私には、3回生まれ変わってもこんなにすごいものは書けない」と感想を寄せていた。宣伝のためのおべっかと思ってたけど、読むとその意味がよく分かった。全編緻密で、いろんな要素がぎっしりつまっていて、語彙も豊富でセンテンスも洒落てて巧い。どこを読んでも隙がない。筆力とか文章力とか知識量とか、どう表現したらいいのか、SF的ではない部分まで、いや、私にとってはそうでない部分のほうが綿密で、精巧で、圧倒された。翻訳調の小気味いいリズムに、何度か出てくる”抹香”がそこだけ妙に日本人臭かったり、とか、重箱の隅をつつけば違和感もあったけど、ごくごく些細なことだ。オマージュが多いせいもあって、いちいちこれはオリジナルなのか?と疑ってしまうくらい完成されている。もちろんオリジナルとはなにか? という根源的なことを考えるとキリがないし、作家は誰しも、膨大な過去の名作に触発されるのだろうけど、それだけ細部までぎっちり意味がつまっている。多くの人が絶賛するのが分かる。伊藤計劃という作家にしか書けなかったと思う。

文句なく楽しかった。興奮のあまり徹夜したあげく、いろんなレビューに「分かる分かる!」と票を投じてしまった。反対にがっかりした人がいるのも理解出来る。他の人が書いていたけど、後書きにあった小松左京の批評はもっともだ。でも虐殺の分法を具体的に書くのは不可能だろう。その部分はファンタジーと割り切れる。

ただ常人では書けない”すごいもの”であることは確かでも、自問自答したとき、圧倒的な技巧に対する感動ではないのか、と悩む。巧すぎて無邪気に感動できない自分は、飛び抜けた異能に嫉妬しているのかもしれない、とさらに悩んでしまう。この作品にダメ出しするのは勇気がいる。脳内のモジュールがずれ、小説のテーマである良心のバランスが狂っていると宣言するようで。

もっともっとこの才能を味わいたかった。いったい次回作はどうするのだろうと、追いかけたくなるタイプの作家であることは自信を持って断言できる。早すぎた死が残念でならない。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.131
(5pt)

たしかに「こんなすごいものは書けない」と思う。

文庫版の帯に、宮部みゆきが「私には、3回生まれ変わってもこんなにすごいものは書けない」と感想を寄せていた。宣伝のためのおべっかと思ってたけど、読むとその意味がよく分かった。全編緻密で、いろんな要素がぎっしりつまっていて、語彙も豊富でセンテンスも洒落てて巧い。どこを読んでも隙がない。筆力とか文章力とか知識量とか、どう表現したらいいのか、SF的ではない部分まで、いや、私にとってはそうでない部分のほうが綿密で、精巧で、圧倒された。翻訳調の小気味いいリズムに、何度か出てくる”抹香”がそこだけ妙に日本人臭かったり、とか、重箱の隅をつつけば違和感もあったけど、ごくごく些細なことだ。オマージュが多いせいもあって、いちいちこれはオリジナルなのか?と疑ってしまうくらい完成されている。もちろんオリジナルとはなにか? という根源的なことを考えるとキリがないし、作家は誰しも、膨大な過去の名作に触発されるのだろうけど、それだけ細部までぎっちり意味がつまっている。多くの人が絶賛するのが分かる。伊藤計劃という作家にしか書けなかったと思う。

文句なく楽しかった。興奮のあまり徹夜したあげく、いろんなレビューに「分かる分かる!」と票を投じてしまった。反対にがっかりした人がいるのも理解出来る。他の人が書いていたけど、後書きにあった小松左京の批評はもっともだ。でも虐殺の分法を具体的に書くのは不可能だろう。その部分はファンタジーと割り切れる。

ただ常人では書けない”すごいもの”であることは確かでも、自問自答したとき、圧倒的な技巧に対する感動ではないのか、と悩む。巧すぎて無邪気に感動できない自分は、飛び抜けた異能に嫉妬しているのかもしれない、とさらに悩んでしまう。この作品にダメ出しするのは勇気がいる。脳内のモジュールがずれ、小説のテーマである良心のバランスが狂っていると宣言するようで。

もっともっとこの才能を味わいたかった。いったい次回作はどうするのだろうと、追いかけたくなるタイプの作家であることは自信を持って断言できる。早すぎた死が残念でならない。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.130
(3pt)

好きに言わせてもらいます。

これでも一週間かけてじっくり読んだんです。

ながいこと罪だの罰だの書いてある。それは、主人公がそもそもなぜ軍に入ったのかという説明があってこその思索だと思う。こういうナイーブな主人公がそもそもなぜ軍に入ったのか?が母親との関係と密接につながっていて、しっかりとした説明がなされるのだとずっと思っていて、結局最後まで書かれていなかったことに自分は驚いた。病院で母親の延命治療終わらせるか否かの描写はしつこいくらいあるから、絶対なにかの伏線だと思っていた。
解説に兵士を調整するテクノロジーが、主人公を成熟した大人にさせない。と、書いてあるけれど、それだと、繊細な主人公が人を殺すために軍に入る意味がわからない。まあ、ベタに父親が軍人だったとか考えられるけど、そういう説明は一切ない。

精神を理屈に置き換えて禅問答するというのは、SF小説の作法なんだろうか?(自分はたくさんSFを読むわけではないのでよくわからないけど)そこはあまりにも熱心でまあ、著者が言いたいことなんだろうなあとは思うが、具体的にどうして内戦を起こすのか書いて欲しい。というか、SF小説なのに、虐殺を起こす方法という魔法が言葉でしゃべるだけっていうのがなんともアナログすぎて拍子抜けしてしまった。
ジョンポールはテクノロジーを駆使していると思っていたから。そうでないと時間的にも説明つかない気がしたし。うーん、これもある種の著者のジョーク(欧米的な?)なんだろうな。日本人の自分にはぜんぜん笑えないけど。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.129
(3pt)

好きに言わせてもらいます。

これでも一週間かけてじっくり読んだんです。

ながいこと罪だの罰だの書いてある。それは、主人公がそもそもなぜ軍に入ったのかという説明があってこその思索だと思う。こういうナイーブな主人公がそもそもなぜ軍に入ったのか?が母親との関係と密接につながっていて、しっかりとした説明がなされるのだとずっと思っていて、結局最後まで書かれていなかったことに自分は驚いた。病院で母親の延命治療終わらせるか否かの描写はしつこいくらいあるから、絶対なにかの伏線だと思っていた。
解説に兵士を調整するテクノロジーが、主人公を成熟した大人にさせない。と、書いてあるけれど、それだと、繊細な主人公が人を殺すために軍に入る意味がわからない。まあ、ベタに父親が軍人だったとか考えられるけど、そういう説明は一切ない。

精神を理屈に置き換えて禅問答するというのは、SF小説の作法なんだろうか?(自分はたくさんSFを読むわけではないのでよくわからないけど)そこはあまりにも熱心でまあ、著者が言いたいことなんだろうなあとは思うが、具体的にどうして内戦を起こすのか書いて欲しい。というか、SF小説なのに、虐殺を起こす方法という魔法が言葉でしゃべるだけっていうのがなんともアナログすぎて拍子抜けしてしまった。
ジョンポールはテクノロジーを駆使していると思っていたから。そうでないと時間的にも説明つかない気がしたし。うーん、これもある種の著者のジョーク(欧米的な?)なんだろうな。日本人の自分にはぜんぜん笑えないけど。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.128
(5pt)

驚くべき傑作!

タイトルから「ソウ」のような拷問ポルノかと思ったら、全然違った。
非常に真っ当なSF小説だった。
作者が若くして亡くなったのが悔やまれる。
主人公は米軍の暗殺チームの一員である。
世界中で紛争が起こっている時代、プロの暗殺集団である彼らは第一レイヤーと呼ぶ紛争の首謀者を暗殺する。
紛争地域に出没するあるアメリカ人が、暗殺チームのターゲットとなるが、決して捕まることがない。
そのアメリカ人の目的は、紛争を引き起こすことだと判明する。
彼の言うところの「虐殺の文法」を使って。

始めに惹かれるのは暗殺部隊の装備である。
地上へ降下するポットは、表面が人工筋肉で出来ており、凹凸を微妙に変化させることで空気抵抗をコントロールし、着地後は腐って土に還る。
なかなかサイバーで、カッコいいアイテムだと思う。
しかし、これがトラップで中盤から人工筋肉が大きな意味を持つことになる。

頭脳がモジュール毎に機能が特定された世界において、どのモジュールが機能していれば意識があることになるのか?
現在の脳死より難しい問題である。
薬品で脳の一部の機能を止めて、セラピーによって倫理観を抑制されて状態での殺人は、罪になるのか?
科学の進歩を見据えた社会的、倫理的問題を扱った、正当なSF小説である。
こんな小説を日本人が書いたとは驚きである。
作者名を見なければ、翻訳だと思うに違いない。

この物語のテーマは贖罪である。
謎のアメリカ人は、死んだ家族のために、どんな手段を使ってでもアメリカを守る選択をした。
「虐殺の文法」の謎を解いた後、主人公は別の選択をする。
救いはないが、気の利いた終わり方だと思う。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311