虐殺器官

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評判

虐殺器官の評価:

4.03/5点 レビュー 369件。 B ランク

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平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全747件 501〜520 26/38ページ
No.247
(2pt)

うーん。これが日本SFベスト1ですか・・・。

読み終わった直後の感想は、「青いなー」「幼いなー」。1人称で、その「僕」の思考が、あまりにも幼く、もしかして意図的に精神障害も加味して幼く書いているのかもしれませんが。惨殺の描写や、武器等の描写は、確かに、細かく、独特ですが、これも1人称の弊害か、同じ言い回しが何度も出てきて、語彙の少なさに白けてしまいました。アニメ映画のノベライズ版を読んでいる感じが抜けません。「言葉」が、脳の中の「虐殺」のスイッチを押すという発想も、リアル感に乏しく、これも、わざと主人公の妄想の一つとして書いているのかと思っていたら、最終章で、その手法がアメリカに虐殺をもたらしたことが事実として書かれており、あれれって感じです。ハーモニーを読もうかという気はうせてしまいました。この作品がベスト1になったのは、今の日本のSFファン自体が、若く、幼い世代中心だということでしょうか。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.246
(4pt)

これは面白い!

とても重厚で、ねばっこいSFです。

単なる近未来戦争モノかと思いきや、その独特の世界観がイケてます。

久しぶりにSFが面白いと思った一冊です。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.245
(4pt)

これは面白い!

とても重厚で、ねばっこいSFです。

単なる近未来戦争モノかと思いきや、その独特の世界観がイケてます。

久しぶりにSFが面白いと思った一冊です。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.244
(4pt)

冷たい文体が不思議にここちよいです。

書評を読んで『ハーモニー』を読んでみた。読了後、奇妙な充足感を得たので、続けて本書を読んだ。そして同じ著者のオリジナル長編をすべて読破してしまった。
核兵器が「使える」兵器で、使用後も世界が終末をむかえなかった近未来が舞台。世界中のいたるところで、国家は徐々に統治機能を失いつつある、奇妙な秩序ある混沌が世界を覆いつつある状況で「ハーモニー以前」の時代を描写している。
 残虐な殺戮シーンもあるのだが、著者の文章からは、おぞましさが私には伝わってこない。不思議に冷たい文体だ。そのせいか、読者である自分が、一人称の主人公「ぼく」に自然に憑依できて物語世界に浸れた。兵器・乗り物等が生体パーツで構成されていたり、兵士の心理管理にコンサルティングや化学物質の投与が前提となっている未来が設定された世界だ。
本書は冒頭、以下のパスカル・キニャールの言葉の引用で始まる。「・・・人間の言葉が表現しているのは言葉全体の四分の一でしかないと見積もられている」そして設定上は人間の言葉には言語の違いによらない「虐殺の文法」がもともと内蔵されていることになっている。その部分を以下に引用する。「・・・この文法による言葉を長く聞き続けた人間の脳には、ある種の変化が発生する。価値判断に関わる脳の機能部位の活動が抑制されるのだ。それが、いわゆる『良心』と呼ばれるものの方向づけをねじ曲げる、ある特定の傾向へと」
 おもしろい作品なのだが、1つだけ残念なのは、この、人を虐殺へとかりたてる「虐殺の文法」とやらが分かりづらい点だ。言語能力のように生得的なものらしいが、使いこなせる技術の習得は特定の人以外無理そうなので、結果的に得体の知れない説明不足の設定となってしまっている。
 1つ楽しみなこともある。著者の死去に伴い、書き出しの原稿30枚の時点でとまってしまっていた未完の長編『屍者の帝国』を芥川賞作家円城塔が書き継いでいて、近々世に出るらしい。ストーリーとともに、文体が伊藤計劃になっているかどうかとても興味深い。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.243
(4pt)

冷たい文体が不思議にここちよいです。

書評を読んで『ハーモニー』を読んでみた。読了後、奇妙な充足感を得たので、続けて本書を読んだ。そして同じ著者のオリジナル長編をすべて読破してしまった。
核兵器が「使える」兵器で、使用後も世界が終末をむかえなかった近未来が舞台。世界中のいたるところで、国家は徐々に統治機能を失いつつある、奇妙な秩序ある混沌が世界を覆いつつある状況で「ハーモニー以前」の時代を描写している。
 残虐な殺戮シーンもあるのだが、著者の文章からは、おぞましさが私には伝わってこない。不思議に冷たい文体だ。そのせいか、読者である自分が、一人称の主人公「ぼく」に自然に憑依できて物語世界に浸れた。兵器・乗り物等が生体パーツで構成されていたり、兵士の心理管理にコンサルティングや化学物質の投与が前提となっている未来が設定された世界だ。
本書は冒頭、以下のパスカル・キニャールの言葉の引用で始まる。「・・・人間の言葉が表現しているのは言葉全体の四分の一でしかないと見積もられている」そして設定上は人間の言葉には言語の違いによらない「虐殺の文法」がもともと内蔵されていることになっている。その部分を以下に引用する。「・・・この文法による言葉を長く聞き続けた人間の脳には、ある種の変化が発生する。価値判断に関わる脳の機能部位の活動が抑制されるのだ。それが、いわゆる『良心』と呼ばれるものの方向づけをねじ曲げる、ある特定の傾向へと」
 おもしろい作品なのだが、1つだけ残念なのは、この、人を虐殺へとかりたてる「虐殺の文法」とやらが分かりづらい点だ。言語能力のように生得的なものらしいが、使いこなせる技術の習得は特定の人以外無理そうなので、結果的に得体の知れない説明不足の設定となってしまっている。
 1つ楽しみなこともある。著者の死去に伴い、書き出しの原稿30枚の時点でとまってしまっていた未完の長編『屍者の帝国』を芥川賞作家円城塔が書き継いでいて、近々世に出るらしい。ストーリーとともに、文体が伊藤計劃になっているかどうかとても興味深い。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.242
(5pt)

世界の知るところとなったら、今度は彼らが選択を迫られることになるだろうな。

後進諸国で内戦や大規模虐殺が増加してる近未来が舞台のSF小説。
 といっても、内容が現在の状況にかなり近いため、近未来が舞台であることを忘れて読んでいて、作中に「人口筋肉で作られた侵入鞘」などが出てきて「ああ、これはSF小説だった」と思い出す、そんな緻密な作品です。
 米国大尉クラヴィス・シェパードが、『経歴等が謎の男ジョン・ポール』を逮捕する命令を受け部下達と供に後進国に派遣され失敗し帰還。 数回同じ命令を受けます。
 その命令が発せられる度『ジョン・ポール』の経歴が少しずつ明らかにされ、命令が持つ本当の目的が仄見えてきます。
 『ジョン・ポール』が入国した後に、その後進国で大規模虐殺が発生するため『ジョン・ポール』がある方法を使って大規模虐殺の種をまいているのではないかと推測される事。
『ジョン・ポール』とは何者で、大規模虐殺の種を撒く方法は何なのか、またその目的は?
なぜ米国が逮捕命令を出し、彼の経歴を隠すのか?

 舞台になる後進国の悲惨な内戦の様子を背景に、「自分の家族に対する鬱積した念」を抱えたクラヴィス大尉の語りで全ての謎が解き明かされる最後まで、夢中になって読みました。
 とても、面白い小説でした。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.241
(5pt)

世界の知るところとなったら、今度は彼らが選択を迫られることになるだろうな。

後進諸国で内戦や大規模虐殺が増加してる近未来が舞台のSF小説。
 といっても、内容が現在の状況にかなり近いため、近未来が舞台であることを忘れて読んでいて、作中に「人口筋肉で作られた侵入鞘」などが出てきて「ああ、これはSF小説だった」と思い出す、そんな緻密な作品です。
 米国大尉クラヴィス・シェパードが、『経歴等が謎の男ジョン・ポール』を逮捕する命令を受け部下達と供に後進国に派遣され失敗し帰還。 数回同じ命令を受けます。
 その命令が発せられる度『ジョン・ポール』の経歴が少しずつ明らかにされ、命令が持つ本当の目的が仄見えてきます。
 『ジョン・ポール』が入国した後に、その後進国で大規模虐殺が発生するため『ジョン・ポール』がある方法を使って大規模虐殺の種をまいているのではないかと推測される事。
『ジョン・ポール』とは何者で、大規模虐殺の種を撒く方法は何なのか、またその目的は?
なぜ米国が逮捕命令を出し、彼の経歴を隠すのか?

 舞台になる後進国の悲惨な内戦の様子を背景に、「自分の家族に対する鬱積した念」を抱えたクラヴィス大尉の語りで全ての謎が解き明かされる最後まで、夢中になって読みました。
 とても、面白い小説でした。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.240
(4pt)

作者の夭折が惜しまれる

文章も旨いし、さりげなく挟み込まれるSF要素も斬新で、作者が亡くなってしまったということが、なんという損失なのかと思いながら読んだ。
惜しむらくは、主人公が追い続ける男の動機にあまり説得力がなく、ちょっと拍子抜けだったことと、結末も少々期待はずれただったこと。

それでも、伊藤計劃はすごい。他の作品も読みたいと思わせてくれる作者だと思う。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.239
(4pt)

作者の夭折が惜しまれる

文章も旨いし、さりげなく挟み込まれるSF要素も斬新で、作者が亡くなってしまったということが、なんという損失なのかと思いながら読んだ。
惜しむらくは、主人公が追い続ける男の動機にあまり説得力がなく、ちょっと拍子抜けだったことと、結末も少々期待はずれただったこと。

それでも、伊藤計劃はすごい。他の作品も読みたいと思わせてくれる作者だと思う。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.238
(5pt)

リアリティのある近未来SF

ICTが軍事において先行して発達した先に社会科学(言語学)と結びついた行く末の、人間の悪意が表出したバッド・シナリオ的なリアリティのある近未来を最も表現できているSFだと思います。テロリストの動機が絶妙な空虚さであり、その点ではWhy done itのミステリとしても非常にハラハラして読みました。

このテクノロジーの発展の先に、同じ著者の「ハーモニー」がありますが、伊藤計劃による一連のシリーズをもっと読みたかったとつくづく思います。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.237
(5pt)

リアリティのある近未来SF

ICTが軍事において先行して発達した先に社会科学(言語学)と結びついた行く末の、人間の悪意が表出したバッド・シナリオ的なリアリティのある近未来を最も表現できているSFだと思います。テロリストの動機が絶妙な空虚さであり、その点ではWhy done itのミステリとしても非常にハラハラして読みました。

このテクノロジーの発展の先に、同じ著者の「ハーモニー」がありますが、伊藤計劃による一連のシリーズをもっと読みたかったとつくづく思います。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.236
(5pt)

日本SFのパラダイムシフトへ

いままでの日本SFとは断絶があるように見えるが確かな貌に日本SFのマインドを継承発展させている傑作。これからの日本SFに於いてのキーストーンだ。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.235
(5pt)

日本SFのパラダイムシフトへ

いままでの日本SFとは断絶があるように見えるが確かな貌に日本SFのマインドを継承発展させている傑作。これからの日本SFに於いてのキーストーンだ。
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.234
(4pt)

伊藤計劃:『虐殺器官』

個人的に興味のある研究テーマである「生体政治工学」と緊密にリンクしているので読んでみた。すぐにデネット的進化論のパラダイムに依存しすぎているのではと思った。現在最高のSFなのはそうなのだろうが、今一つ物足りない。911以後の世界というより、911以前にすでに911的世界であった世界を描いたバラードの『コカインナイト』、『スーパーカンヌ』、また個人的には文句のつけようのない黒沢清の『CURE』の抽象水準には達していないと思う。『CURE』を消化し換骨奪胎したSFはこれだけだろうと思うが。ただ、読んですぐ、強制的にでもすべてのアメリカンに読ませたい作品と思わせたのはこれだけだ。「世界平和」のために(これは半ばジョークである)。
では、『虐殺器官』がなぜ物足りないのか。たぶん、パスカルのいう退屈と気晴らし、あるいはニーチェのいう無への意志という、バラードにおいて抽象化され思考されていたテーマの掘り下げが稀薄だったからだろう。このテーマは、最近では國分功一郎氏が深く考察している。主人公やその同僚の言動や思いの描写によって、それが裏で示唆されているかに見えるが、現に書かれた言葉はまったく別のフレームに収まって最後までそこから出ていない。不動のアメリカンパラダイムである進化論の掌から一歩も出ていないようだ。ということはアメリカン、とくにNSAやCIA、国防高等研究計画局(DARPA)の面々に読ませても、短絡的に「それは俺たちのシマだろ。しかしよく勉強したね。君なら一緒にやれる」ということで終わってしまうのかもしれない。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.233
(4pt)

伊藤計劃:『虐殺器官』

個人的に興味のある研究テーマである「生体政治工学」と緊密にリンクしているので読んでみた。すぐにデネット的進化論のパラダイムに依存しすぎているのではと思った。現在最高のSFなのはそうなのだろうが、今一つ物足りない。911以後の世界というより、911以前にすでに911的世界であった世界を描いたバラードの『コカインナイト』、『スーパーカンヌ』、また個人的には文句のつけようのない黒沢清の『CURE』の抽象水準には達していないと思う。『CURE』を消化し換骨奪胎したSFはこれだけだろうと思うが。ただ、読んですぐ、強制的にでもすべてのアメリカンに読ませたい作品と思わせたのはこれだけだ。「世界平和」のために(これは半ばジョークである)。
では、『虐殺器官』がなぜ物足りないのか。たぶん、パスカルのいう退屈と気晴らし、あるいはニーチェのいう無への意志という、バラードにおいて抽象化され思考されていたテーマの掘り下げが稀薄だったからだろう。このテーマは、最近では國分功一郎氏が深く考察している。主人公やその同僚の言動や思いの描写によって、それが裏で示唆されているかに見えるが、現に書かれた言葉はまったく別のフレームに収まって最後までそこから出ていない。不動のアメリカンパラダイムである進化論の掌から一歩も出ていないようだ。ということはアメリカン、とくにNSAやCIA、国防高等研究計画局(DARPA)の面々に読ませても、短絡的に「それは俺たちのシマだろ。しかしよく勉強したね。君なら一緒にやれる」ということで終わってしまうのかもしれない。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.232
(3pt)

超現代文学的SF

知人の薦めで読んでみました。

超現代文学的SFといった感じでしょうか。
楽しめましたが、小説内には揺さぶられるまでのものはなかったので、
☆は3つ止まりです。

物凄い情報量と文学的な表現が詰まってはいるのですが、
SFとしても文学小説としても個人的にはパンチがないなーと。

言葉(単語)の選び方が舞城と近い感じがしました。

ちょっと優等生に仕上げすぎている感じがします。
惜しい著者であり、1冊でした。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.231
(3pt)

超現代文学的SF

知人の薦めで読んでみました。

超現代文学的SFといった感じでしょうか。
楽しめましたが、小説内には揺さぶられるまでのものはなかったので、
☆は3つ止まりです。

物凄い情報量と文学的な表現が詰まってはいるのですが、
SFとしても文学小説としても個人的にはパンチがないなーと。

言葉(単語)の選び方が舞城と近い感じがしました。

ちょっと優等生に仕上げすぎている感じがします。
惜しい著者であり、1冊でした。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.230
(4pt)

禁断の書の一歩手前

10年振りにまたSF的な興奮が恋しくなり、いい本をと探していると「ゼロ年代ベストSF」第1位という本書にたどり着き、ここから紐解くことにした。
 冒頭のシーンを除くと前半はもうひとつ。物語の進行が(僕には)ゆるやかすぎ、登場人物の思想的なものについての会話や主人公の母を死なせたことへの後悔などにページが割かれ、個人的には退屈だった。
 が、標的ジョン・ポールとの会話をきっかけにどんどん盛り上がってくる。捕獲劇や襲撃されるシーンなど圧倒的な迫力。戦闘シーンの描写や軍の仲間同士の会話が素晴らしい。
 そしてなによりテーマが良かった。<虐殺器官>そのものは、なかなか面白い。10年振りの(SFならではの)興奮だった。単純な逆転の発想ではあるが、考えてもみなかったことを提示されたときの驚きと喜びがあった。素晴らしいテーマと発想の飛躍とを同時に揃えるのは非常に難しい。それを作者は見事にやり遂げている。それに加えて、最後に主人公が取る行動が、不謹慎ながら(個人的には)痛快だった。
 欲を言えば、<虐殺器官>が具体的に実行される経緯そのものを読んでみたかった。が、それは神のみぞ知る(神も知らない?)領域なのか、著者の頭の中にのみあったことなのか、今となっては永遠に分からない。しかし、もしそこが書かれていたら(説得力があればあるほど)禁断の書になっていた。考えただけでぞくぞくする。もはや、個人で想像するしかなさそうだが。
 この小説は日本のSFの流れを変えたといわれている。影響を受けた作品群を読んでみたい。
僕のようにしばらくSF離れをしていたような読者にもおすすめ。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311
No.229
(4pt)

禁断の書の一歩手前

10年振りにまたSF的な興奮が恋しくなり、いい本をと探していると「ゼロ年代ベストSF」第1位という本書にたどり着き、ここから紐解くことにした。
 冒頭のシーンを除くと前半はもうひとつ。物語の進行が(僕には)ゆるやかすぎ、登場人物の思想的なものについての会話や主人公の母を死なせたことへの後悔などにページが割かれ、個人的には退屈だった。
 が、標的ジョン・ポールとの会話をきっかけにどんどん盛り上がってくる。捕獲劇や襲撃されるシーンなど圧倒的な迫力。戦闘シーンの描写や軍の仲間同士の会話が素晴らしい。
 そしてなによりテーマが良かった。<虐殺器官>そのものは、なかなか面白い。10年振りの(SFならではの)興奮だった。単純な逆転の発想ではあるが、考えてもみなかったことを提示されたときの驚きと喜びがあった。素晴らしいテーマと発想の飛躍とを同時に揃えるのは非常に難しい。それを作者は見事にやり遂げている。それに加えて、最後に主人公が取る行動が、不謹慎ながら(個人的には)痛快だった。
 欲を言えば、<虐殺器官>が具体的に実行される経緯そのものを読んでみたかった。が、それは神のみぞ知る(神も知らない?)領域なのか、著者の頭の中にのみあったことなのか、今となっては永遠に分からない。しかし、もしそこが書かれていたら(説得力があればあるほど)禁断の書になっていた。考えただけでぞくぞくする。もはや、個人で想像するしかなさそうだが。
 この小説は日本のSFの流れを変えたといわれている。影響を受けた作品群を読んでみたい。
僕のようにしばらくSF離れをしていたような読者にもおすすめ。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)より
4150309841
No.228
(5pt)

これがSF、そしてリアル

SFって何なんでしょうか。
現実ばなれした空想?
近未来?
それとも、新しい可能性?

恥ずかしながらSFが何の略か知らなかったのですが、science fiction:科学小説 の略なんですね。
この小説は確かにSFです。
でも、現実よりはるかにリアルです。
それはこの話の中で語られる、『戦争の必要悪』が現実世界の『平和の様式美』よりもよほどリアルだからです。

私がこれまでの人生で読んだSFの中で最も素晴らしく、そして恐ろしい小説でした。

筆者の早すぎる死がただただ悔やまれます。
生きているあいだに残してくださった作品のひとつひとつに、感謝と敬愛を込めて。ありがとうございます。
虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) Amazon書評・レビュー: 虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)より
4152088311