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風の影
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風の影の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全69件 21~40 2/4ページ
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パウロ・コエーリョを、どこか彷彿とさせるような小説である。 架空の小説家フリアン・カラックスの「風の影」、その一冊を巡る、幻想的で、謎めいた物語。 少年はその一冊から、作者の人生を辿ろうとする。 冒険。謎解き。恋。サスペンス。娯楽要素は惜しみなく注ぎ込まれ、何年にも渡る、壮大な物語を構築している。 たしかに、問題点がないわけではない。 整理できたのではないか、と思われる冗長な部分や人間関係はあったし、 謎解きの答えがある人物の手記に負うところが大きすぎるのではないか、とも思った。 クライマックス、敵との決着の場面も、それまでの舞台立てに比して、わりあいあっさり描かれすぎている印象だ。 しかしそれらを差し引いても、この小説がきわめてすぐれた現代文学であることは疑いない。 台詞のひとつひとつまで、丁寧に、丁寧に書かれた、誠実かつ鮮やかで、ユーモアとペーソスが共存する文章。 冒頭からもう涙が出るほどだ。 ダニエル。その父親。フリアン・カラックス。 それぞれの登場人物が誠実で、悲しみを背負っていて、好感が持てる。 とりわけ、主人公に寄り添う元ホームレス、フェルミンのキャラクターは、白眉の出来栄えだ。 風采の上がらないそのやせっぽちの姿に、読者は理想の、無二の友人像を見出すことができるだろう。 お手軽な娯楽を提供するラノベとは、対極に位置する小説である。 文章を極限まできわめ、読者に真っ向から挑むような、真剣勝負の文藝作品。 こういう小説がいまだ全世界で広く受け入れられていることに、ぼくは希望を抱く。 日本でも、こういう小説こそが多くの人々に読まれてほしい。 そうでなければ、小説という文化は、遠からず死んでしまうだろう。 | ||||
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カルロス・ルイス サフォンの話の展開も良いのだが、この手の本が楽しく読めるのは、 木村 裕美さんの翻訳が良いからでしょう。 以前の欧米の翻訳本は訳者の日本語の筆力が乏しくて、直訳だったので、読んでいるのが苦しくなりました。 まあ、作家も翻訳家も世代が若くなった性かもしれない。 本の話の展開は、日本の小説にない手法で十分に楽しかった。 | ||||
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当初なにを勘違いしたのかバンパイヤーストーリーと思い込んでいた。 ところが実際はサスペンス純愛ラブストーリーだった。 一巻目はとりたてて大きな動きもなく優しい雰囲気の物語が続いていく。 私的にはやや刺激不足かと思われたがどっこいそうではなかった。 二巻目に入ると物語りは急展開していく。 ラストまでどっぷり引き込まれてしまう。 すばらしいの一言である。 | ||||
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風の影 天使のゲーム 何回も読みなおしている小説です。 つい先日も スペイン旅行の前に読み直し この本の巻頭に出ている地図をコピーして 地球の歩き方の中に忍ばせて バルセロナを歩きました。 ミステリーの要素や 少年の成長物語としての側面や 悲しい歴史の側面や ただ単に謎解きものなら ここまで何回も読み返したくならないと思います。 新作の翻訳はまだでしょうか・・・・ | ||||
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「このミス」や文春のミステリーベストテンで06年度海外部門で最上位に位置された傑作である。読書好きの人たちからも絶賛 されている。一人の少年がある作家の本を手にする。この本を売って欲しいと言われるが、なぜかこの作家のミステリアスな ところに惹かれて少年は作者フリアン・カラックスの生涯を探ろうとする。少年ダニエルとこの作者のフリアンの人生がまるで同一人物 であるかの如く、交差していく。スペイン内戦時代のバルセロナを舞台に、まるで重厚な舞台劇を見るが如く、話の展開は スピーディでまた、登場人物も奥深く、かつ魅力的だ。まさに愛と憎悪に満ちた物語の中でダニエルは成長し、恋をし、人を 傷つけ、自分も傷ついていく。彼の周りの人間も又なんと魅力的なことか。特にホームレスのような生活からダニエル父子に 救ってもらうフェルミンの魅力的な人間像と思慮深い言葉の数々。登場人物がちょっと多いため、やや筋を追うことがしんどく なるが、それでも読後感の素晴らしさ。なかなかこういう一大抒情詩は味わえるものではない。 | ||||
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上下巻を読みました。上巻の内容はまずまずの出だしで途中より徐々にどのようになるのか興味を持ちながら読みました。下巻にさしかかると場面が急に展開を迎え開けてゆき終盤に向けて走ってゆきます。そういうことだったのかと納得して終わる。 | ||||
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誰にでも忘れられない本があるものだ。 小学生の時に夢中で読んだ「レ・ミゼラブル」や高校生の時に読んだ 「大聖堂」などは本の内容だけでなく当時の自分の姿まで思い出させてくれる。 僕にとって本書は、そうした作品と肩を並べるものとなった。 「風の影」の作者をめぐる謎を中心に、恋愛、家族愛、友情のドラマが バルセロナを舞台に繰り広げられる。 舞台は違うのだが、「ニューシネマパラダイス」や「マレーナ」を 彷彿させる。 のんびりのどかな場面も多いのだが、下巻に急転直下の記述があるので ご注意を。 そこからはラストまで緊張感が途切れることなく進む。 少年時代を思い出させてくれた本書に感謝 | ||||
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新刊が出た時に世界的ベストセラーという触れ込みだったので即座に買ったのだが、世界的ベストセラーというのは万人向けの意だし、内容もファンタジーっぽく、少年の成長物語のような気がして、それはそれで悪くないにしても、今ひとつ気分が乗らなかった。ただ最近、立続けに翻訳ものを読んだ流れの中で、本書も勢いで読んだ。 冒頭から、のめり込むような展開ではなかったが、クララやベアトレスと、主人公ダニエルとの恋の絡み、さらに、饒舌なフェルミンや不気味なフメロ(刑事)が気になり、徐々に小説世界へ入っていった。 しかし、ダニエルがフリアン・カラックスの本「風の影」の何処に惹かれたのか、あるいはカラックス自身の何処に興味を持ったのか、その辺りの詳細が省かれているので、ダニエルとの一体感がないまま読まざるを得ないところに、読書のスピード感も出てこなかった。 とはいえ、―-女性というものは、男がいつ見境もなく恋におちるか、きちんと感じとる本能をもっている。とか、ダニエルがベアトレスとのデートの後で、―-不可能なことはなにもない、そんな非常識な確信が、ぼくのなかでゆっくりひろがり、人っ子ひとりいない通りや、身を切るような風まで、希望のにおいを感じた。などの文章は個人的に気に入ってくるのだ。 本書は35年のタイムラグがある現在と過去のラブストーリーを縦軸に、その狭間で翻弄される多彩な人物の愛憎劇があるのだが、後半近くになって、ダニエルとフリアンが交錯する可能性を見た時、俄然、興味深くなった。読書というものは、やはり、我慢して読む事も大事だなと思わせる、ラスト一気読みの展開だった。 | ||||
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訳者がいいのでしょうか? バルセロナの街並み、本棚の様子、廃墟の地下室、読みながら手をとるようにわかります。自分が主人公になって読み進むような感覚があります。 人々の優しさ、ユーモアに触れることができる小説ですが、最初から一貫して流れているのは、内戦以降の暗く、悲しい影です。共和国軍も反乱軍側も政治的で、人々に対しては残忍であったということでしょうか、この小説では憎しみの塊と化している人間でさえ、人間的です。 | ||||
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週刊文春2006年 海外2位 このミス2007年 海外4位 闘うベストテン2006年 海外2位 全世界で絶賛の嵐であっても、なかなか手にとる機会がなかった本書。スペインものという土地鑑(?)がないゆえに敬遠していたのが事実なんだが・・・ 読まなかったならば大後悔してしまうだろうほどに、感動をくれた傑作。皆が良いというものに賛同してしまうのは、ちと悔しいが、お手上げである。 ビルディングスロマンには、そもそも弱いのだが、ものがたりの重厚なつくりや、キャラクター造形の巧みさがあいまって、感動が押し寄せてきてしまった。特に真相が(ほぼ)明らかとなる「ヌリア・モンフォルト−亡霊の回想」の章はヌリアのせつなくて、温かい心のうちが、胸をうつんだよなぁ。本書を読了した後、カバーイラストを見ると、本書の雰囲気を良くあらわしていることに気づく。子供にもいずれ読んでもらいたい作品である。 《忘れられた本の墓場》シリーズの続編がなかなか翻訳されないんだが、4部作すべてが出版されるまで10年以上かかってしまうかもね。名訳者のご苦労が偲ばれる。 | ||||
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これは…面白い! 早く先が読みたい、でも読んだらいつかこの物語が終わってしまう… 終始そんな気持ちで読みました。 言い回しがいちいち格好いい。 何度も声に出して読んでしまう。 登場人物がいちいち格好いい。 下巻のp289の最後とか大好き…フォルトニー! 読み終わった今は、これからずっと続くであろう、 彼ら3人の生活を想ってニヤニヤしています。 間違いなくお勧めです。読めてよかった! | ||||
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この小説にはありとあらゆる要素が詰まっています。 恋愛、謎、冒険、それがまとまった形として、 ひとつの物語として、完成されています。 読み終わったあと、胸が一杯になりました。 サフォンはすごい作家ですね。 | ||||
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内戦の傷がまだ癒えないフランコ独裁時代のスペインを描いた作品。 古書を題材としたサスペンスということで、あまり期待はしていなかったが、予想に反してすごく面白かった。 サスペンスというよりは、悲しいラブストーリーだが、話が幾層にも重なり、それぞれが糸のように絡み合い、複雑な人間関係を描きながら、一直線に結末まで持っていく力強さは読ませる。 ただ、それぞれの愛の物語の描写が薄いような気もする。盛り込みすぎなのかもしれない。 この作家のほかの作品も読んでみたい。 | ||||
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ダニエルとフリアン、現在と過去の二つの青春....バルセロナの街に深く刻まれた光と影。面白くて面白くて、寝ないで一気に読み上げました。男も女も、みな魅力的、なのにその愛は一方通行...。読めば、謎は深まる一方、けれど誰かが語るその謎の訳。久しぶりに、せつなくて、泣けて、その愛の深さに驚き韓国ドラマも真っ青です。バルセロナの地図を開いて、「忘れられた本の墓場」やスペインの芸術の巨匠たちのたまり場、四匹の猫(クワトロガッツ)を探索し、スペイン内乱という現代史を学ぶのも、また一興。ダニエルの父の古書店「センペーレと息子書店」、命名もなんと味のある事か。 | ||||
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★5つでは足りないかも。 サスペンスでもあり文学の香りも芳醇。 魅力的な人物達と秀逸なストーリーで 頁を繰る手が止まりませんでした。 影の濃いバルセロナを歩き回りたくなり、 おまけに、 著者の次作を待つ身の辛さも頂けますよ。 | ||||
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文庫本で二巻、800ページくらいあるこの本の最後の10ページくらいまで読み進んできて、僕は涙で目があふれてとても読めないくらいになった。この本を読んでそうならない人がいたら、よっぽど自分は卑劣な人間と思った方がよい。ところで、少し手前味噌だが、この本の読後に「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本をもう一冊読むことをお薦めする。二つの本は全く無関係のように見えて、キーワードという点において一致する面がある。17世紀のオランダの画家・フェルメールの解明と、スペインの作家・サフォンにどんな関係があるのかと訝られるかもしれない。例えば”闘牛士”や”フリーメーソン”という両方の本に登場するキーワードは、フェルメールなら「紳士とワインを飲む女」に使われている。”セラフィム(熾天使)”の場合は、色の組み合わせとして「牛乳を注ぐ女」にというわけである。ふたつの本を慎重に読めばキーワードは両方ですぐみつかる。また、「風の影」という題名の本の著者を主人公にした小説のそのまた著者が同じ書名で本を書くという入れ子構造になっている。これはフェルメール論の本「宇宙に開か・・」の表紙の絵の構造そのものである。つまり画中画を問題にしている。 | ||||
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ここ数年で読んだいわゆる純文学という分野の中では最高の作!! 長いけど、ま、ともかく読んでみてと誰にでもすすめたくなります。 村上春樹ファンで彼の小説はたくさん読んだけど、最近読み終わった後に欲求不満が残るというか、もっとちゃんと終わって欲しいと思うようになったのだけど、サフォンの小説は終わった後十分満足感がありました。といえばわかってもらえるかな? | ||||
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霧のバルセロナの雰囲気が、まるでそこにいるように感じられる。圧倒的なストーリーの面白さ。2つの時代が互いに交錯し、いろんな予想をうれしく裏切るラストシーン。これまで読んだなかで最も面白かったといえる小説の一つである。 | ||||
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2006年7月に日本版はリリース。既に37カ国で翻訳出版されていて、スペインの現代小説では史上空前のロング・セラーになっている。 作者のカルロス・ルイス・サフォンは1964年バルセロナ生まれ。勤めも全く辞めてしまい、外の世界がオリンピック開催に湧く中、小説を書き始めている。この見事な文体に到達するまで大変な苦労をしたようだが、そういった『影』は余り感じられない。むしろ『喜び』に満ちている気がする。平行線手法の魔術と訳者の表現している小説手法が実に見事で、過去と現在、フリアンとダニエル、ペネロペとベアトリスが見事に交錯する。そして実は100人以上登場する人物たちがどれも生き生きと動き、謎を深める。 面白い本というのはどれも同じなのだがページをめくるのがもったいなくなってしまう、という共通点がある。この本は正にそれにあたる。これはスゴイと読み進むうちに思うからだろう。ある意味この本はミステリーでもありながら恋愛小説でもあり、ファンタジーでもある。是非とも映像化して欲しい作品だ。 | ||||
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1945年、10歳だったダニエルは父に連れられて「忘れられた本の墓場」に やってきた。そこで出会った1冊の本「風の影」に、ダニエルは強く心を揺さぶら れる。謎に満ちた作者フリアン・カラックスについて調べようとした彼は、やがて 深い闇に足を踏み入れることになる・・・。 フリアンの著書を全て世の中から消し去ろうとする男が、「風の影」を執拗に 追い求めていた。「男はなぜそんなことをするのか?」そして、謎に満ちた作者 フリアン。ダニエルが真実に一歩ずつ近づいていく。一枚ずつベールを剥ぐように 見えてくる過去の出来事。そこには人間のさまざまな感情が渦巻いていた。それは、 読み手を圧倒する。人が人を愛する心、人が人を憎む心、この二つは時がどんなに 流れても決して消え去ることはない。読んでいて、前者では感動を、後者では戦慄を 味わうことになった。作品後半では、フリアンの過去とダニエルの現在とが微妙に 重なり合ってくる。ダニエルの未来に待っているのは、フリアンのたどった道なのか? どんな結末が待っているのか?作者は読み手をしっかりとらえ、最後まで離さない。 私も一気に読んでしまった。恋愛とミステリーが絶妙のバランスで融合した、読み 応えのある作品だった。 | ||||
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