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過去を失くした女
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過去を失くした女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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主人公の磁力が強烈でグイグイその世界へ引き込まれ、あっという間に読み終わります。しかししばらくすると「なんか納得いかんなぁ」と思ってしまう、そんな小説でした。「過去を失くした女」っていうけれど過去がありまくりの女でした。 | ||||
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1989年作、フランク・クレモンズ・シリーズの2作目です。前作でアトランタ市警の警部補だったフランクは退職、恋人カレンを追ってニューヨークに移り、現在は彼女と同居して私立探偵事務所を開いています。 第1作目「だれも知らない女」でフランクがカレンと出会った時、彼女の唯一の家族だった妹が殺され、カレンは孤独を抱えていました。が、両親の莫大な資産を相続し、心機一転、自身も画家ですが画廊も経営し始めたカレン、心の傷から立ち直りニューヨークのセレブ生活を満喫しているカレンに、フランクはだんだんと違和感を持つようになっています。そんな時、カレンの開いたホームパーティで知り合った有名デザイナーのイマリアが彼に依頼をしてきます。ハンナの殺人事件を調べてほしいと。長い間信頼できる彼女の右腕で優秀なお針子でもあったハンナ。けれどハンナが殺されて、彼女がどういう人間だったのか、どんなふうに生きてきたのか、家族はいるのか、何も知らないことにイマリアは気がつきます。フランクは調査を開始し、数少ない手がかりの中から、だんだんとハンナの複雑な人生が浮かび上がってきます。 殺された女性、謎の過去、彼女はどうして殺されなければならなかったのか?このあたりはクックの小説のいつものパターンだと言ってしまえばそうなのですが、これが毎回とても深く複雑な余韻を残します。この作品では、一昔前の荒れていたニューヨークの様子、移民、過酷な労働状況、蔑視されていたユダヤ人社会の様子が克明に描かれていて興味深いです。今回から登場する謎の情報屋ファルークも個性的でフランクのいい相棒になりそうです。名前からしてアラブ系でしょうか。様々な人種、出自の人々が入り混じるニューヨークらしい小説に仕上がっています。 そしてハンナの過去が明らかにされるのですが、そこへ至るまでの物語の吸引力が半端でなく、すべてがわかった時点でなんだか気が済んでしまい、その後にあばかれる殺人事件の真相が、なんだかとってつけたように感じられてしまったのが残念でした。手首を切り取られ持ち去られていたハンナの殺人事件、そういえばそれを解決しなきゃいけなかったんだった、とそちらをすっかり忘れていたことに自分で苦笑してしまいました。それほど、それまでの過程が興味深くひきつけられたとも言えるのですが、そういう意味では構成がイマイチだったかもしれません。 フランク・クレモンズのシリーズは3作で終わりで、もうそれ以上は書かれないようです。残すところあと一冊だけですが、読み終えてしまうのが惜しいような気がします。 | ||||
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トマス クックもののなかで一番好きな作品 ラストだけは、いただけないが、それまでの暗く、絶望的な、町の雰囲気と、かつての、生き生きとした闘争の時代の対比が、面白くまた、アメリカ裏面史が、楽しめる 虚飾のシンボルともいえるファッション業界の暗部が描かれる。 残念なのは、ラストの暗部の暴露の内容にリアリティーがなかったことだ | ||||
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また、また、評者が在庫している古い本を選んで本書トマス・H・クックのフランク・クレモンズ三部作の第二作『過去を失くした女』を読むことにした。 本書が出版されたのは1989年、翻訳出版されたのが1991年 である。 奥付を見ると1991年1月第一刷としてあるから、評者が本書を読んだのは、もう24年も前のことになる。 記憶は定かではないが、タイトルで憶えているのだが、著者の作品でフランク・クレモンズ三部作の第一作『だれも知らない女』や『緋色の記憶』なども読んだはずである。 今回は、今までに十冊以上は読んだトマス・H・クックという作家名から選んでしまったようであるが、このぶんでゆくと当分新しく本を買わなくてもよいのかな、と思ってしまった。 本書の訳者の染田屋茂氏のあとがきで、評者が感じたことを明確に記述していたのでその一部を抜粋して・・・内に転載したい。 ・・・この作品の主人公はこれもハードボイルド探偵の必要条件とされている辛辣なユーモアやしゃれた警句とはほとんど無縁である。これはクックの作品全体にいえることで、この作家の弱点であることははっきりと指摘しておかなければならない。だが、本来ひとつの要素であったはずのものが、いつのまにか私立探偵のトレードマークのようになって、気のきいた台詞やひねった比喩をつかえば個性的なヒーローが生み出せるという発想の作品が氾濫するなかでは、むしろ新鮮に感じられるのもまた事実である。・・・ 先に読んだ D.W.バッファの作風と対局をなすような作風のトマス・H・クックではあるが、評者は、本書に登場するストイックで必要最小限の言葉でしか会話をしない探偵フランク・クレモンズに、なんだか知らないが魅せられてしまったのである。 「そうだな」とか「どうでもかまわないよ」とか、素っ気ない受け応えをするフランクに、なんとかもうすこし気のきいた受け応えをしてほしい場面もなくはなかったが、不眠症で夜中から不法営業のバーで、街が薄明るくなるまでグラスを傾けるキャラクターには、こんな受け応えがピッタリなんだろうとも思えてくる。 フランクという素っ気なくしがない探偵が、その真実の人間性をあらわにしながら思いのたけをスノッブたちの前で吐き出して終えるというエンディングは、“著者のたくらみが成功しているなあ”と、想像しながら本書を何十年ぶりに楽しく再読してしまったのである。 | ||||
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恋人カレンを追ってアトランタ警察をやめニューヨークに移ったフランク・クレモンズは いまでは探偵稼業で生活を立てている。そんなクレモンズに、惨殺された老嬢の身寄り さがしの依頼がもちこまれる。 老嬢の秘められた過去を、例によってたまねぎの薄皮をはぐようにクレモンズは丁寧に 探っていく。少しずつ真実が、老嬢の毅然とした生きざまが見えてきて、ファッション業界の 光と影があぶりだされてくる。このあたりのストーリー展開は純文学のかおりを持っていて すばらしい。ニューヨークにおける繊維業の発展。繊維街の業者、お針子たち、 組合活動など知らないニューヨーク市の歴史が垣間見れて、とても勉強になった。 ただし、推理小説としては、殺人の動機や背景については少し違和感を持った。 まあ、アメリカ的といってしまえばそれまでだが、日本の読者には説得力に欠けると思う。 収穫は新しい登場人物(キャラクター)のファルーク。調査請負業、情報屋であり、 孤独癖のあるフランク・クレモンズのよき友人・理解者となって読んでいてこころがなごむ。 | ||||
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