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悪人
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悪人の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.01pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全301件 161~180 9/16ページ
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| 人間くさい。 まるでその人が隣りに座っているかのように、登場人物1人1人の匂いが漂ってくる。そんな小説でした。 弱さや寂しさ・汚さ・執着心・エゴ…その他諸々人間の“負”の部分が、本を閉じてしまいたくなる程生々しく表現されています。 羨ましいと思うような人物は1人も登場しないのに、登場人物全員に共感してしまうという不思議な感覚を味わいました。 吉田修一さんの作品はこの『悪人』が初めてだったのですが、これを読み終えてすぐに彼の別の作品も購入しました。 引き込まれる引き込まれる。 主人公・祐一の心理描写がゼロなのにも関わらず、きっと大半の読者がこの誰よりも弱く純粋な“悪人”に心を奪われた事でしょう。 寂しさ・虚無感を感じている全ての方にオススメしたい作品です。 | ||||
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| 大まかな成り行きは本の裏に書いてあるそのままです外側からみたらよくある事件、まさに現代事件ですでも何故?何故殺された彼女は?殺した彼は?庇った彼女は?とゆう興味を書き立てる作品、そして最後は?と気になること受け合いです!誰が悪人か?私には全員そう思えました。 | ||||
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| 素晴らしい作品だと思います。僕は、誰かの目の前に並べられたこの「悪人」という名のフルコースを、その人が手にとって口に入れる前に美味いだの不味いだのあまり言いたくないので、このレビューもほとんどの人にとって役に立たないものかもしれません。でも、前から気になってたけどまだ読んでいないっていう方、近くの本屋の映画化コーナーで見かけたことあるっていう方、深津絵里さんのモントリオール世界映画祭最優秀女優賞受賞で初めてこの作品を知ったよっていう方、そんな全ての方に読んでもらいたい。「殺人事件」という、きっとほとんどの人がその人生の中で「TVのニュースや新聞の中の出来事」として終わってしまうような事にスポットをあてた物語なので、場面をうまく想像できていなかったり、登場人物にうまく感情移入できなかったりすることがあると思います。ですが、読み手の数だけ無数に祐一がいて、光代がいて、そしてこの物語があっていいと思います。この作品を「平凡な小説」や「シラケ話」と捉えるのか、「人間の尊厳とは何か、生とは、死とは、善とは、悪とは何なのかを考えるための人生のスパイスの一つ」と捉えるのか、読み手の想像力と読解力次第でしょう。僕は、この作品を前者のように捉えることができるほどできた人間ではないので、初めてこの作品を知ってから2年間、「何かある」度に「罪と罰」の次に読み返しています。さあ、あなたも荒江四つ角へ・・・ | ||||
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| 近日中に映画も公開される話題の本作を遅ればせながら読みました。殺人を犯した若者、そのきっかけを作った若者、殺されても仕方ないような被害者、加害者を想う女性、被害者の両親、加害者の祖父母。物語は彼ら登場人物の背景を丁寧に、そして立場を丁寧に描写していきます。読み進めるうち、被害者の佳乃はとても性悪なあばずれで、「あぁ、こんな女だったら殺されてもしょうがないね。」と自然に想う自分がいました。そして加害者の祐一にこそ肩入れをしてしまう気持ちになるのですが、それを佳乃を想う両親が打ち消しました。どんなにビッチで最悪な女でも、それを手塩に育てた両親が存在するのだ。そしてそんな子を想う親の気持ちは他人のそれに決して劣るものではなく、その命が奪われれば血の涙を流すほど、身体の大部分が抉られて心が粉々に砕かれてしまうのだと。。祐一に対しても、その悲劇的な生い立ちや生真面目すぎる性格が災いして報われない人生を不器用に生きている様が痛々しく肩入れしてしまいます。そして彼を想う寂しいアラサーの光代に対しても「誰かに必要とされたかったんだねー、純愛やねー」と、さらに事もあろうかボンボンで軽薄な圭吾に対しても「ニンニク臭いいけすかない尻軽女だったら蹴飛ばして車外に放り出したくなるかもねー」と、不思議と妙に感情移入してしまい、誰も憎めなくなってしまいました。この作品のテーマ、「悪人とは?」…一番の悪人は誰だったのでしょう。佳乃?佳乃を奔放に育て過ぎた佳男?祐一?祐一を捨てた母親?母親を捨てた父親?房江?圭吾?恐らく読み手によって印象は変わってくると思います。そう思わせる、秀逸の作品です。ボクトツで不器用すぎる祐一の心が、正直、痛いです。しかし、どんな理由があれ人を傷つけていい、殺めていい理由など無いのです。 | ||||
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| 話の落としどころはこの辺りでしょう。結局真の悪(人)は、無責任なマスコミその他周辺の人々ということになるのでしょうか? 作品中に九州の方言が溢れていて好ましいが、博多弁も佐賀弁も長崎弁も同じなのか?そんな疑問も湧いてきます。映画の中では、この辺りも表現されているようです。 内容は愛情に餓えた男と女が出会い、互いの存在に自らの飢餓感を満たしつつも破滅へと向かっていく。最後に見せる主人公のやさしさが心に痛いです。 映像で見せるのはちょっと難しそうです。しかし、深津絵里さんはモントリオールで受賞したようだし、映像化した作品の出来も悪くないのかもしれません。 | ||||
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| この小説がさらっと読めて心に残らなかった人がなんとも羨ましい。被害者である佳乃の、付き合う相手で自分の価値が上がるような錯覚から出る嘘や出まかせ。本命からは相手にもされず、出会い系で知り合った男にチヤホヤされる事で自分も捨てたもんじゃないと自己肯定するような薄っぺらい自意識。娘の育て方への後悔を、娘をバカにした男への復讐心で紛らわす被害者の父親。親の七光りや虚勢で自分を大きく見せようとし、醜いものにはあからさまな増悪を見せる大学生の増尾。毎日何の変化もなく退屈な生活の中で、初めて会った人からホテルに誘われ、これこそ私の運命の人だと信じてしまう浅はかな光代。主人公祐一の、ヘルス嬢への執着、母親への金の無心の演技、佳乃へのストーカー的な行動、物語ラストの光代への嘘の演技。一見優しさに感じられるが、実は相手の気持ちを考える事の出来ない、恋愛をまずセックスでしか構築出来ないような、究極の自己中。そう。法的に罪人は祐一一人でも、全員悪人なのである。そしてそんな登場人物にいとも簡単に感情移入し言いわけを探している私も、悪人の一人であると認識させられるのである。 | ||||
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| 地方都市で起きた殺人事件を、犯人とその周囲の人間の視点で切り替えるように描写しながら偽善によって自己満足にひたる世間、退屈な日常に潜む罠、不器用で正直にもかかわらず不幸に遭遇してしまう人、といったリアリティのある現代的なテーマに切り込んでいます。この小説を読んで、自分なりに登場人物を悪人の順に並べてみてください。きっと結果に愕然とし不安とやるせなさを感じてしまうと思います。現代人のうっすらとした不安、心の闇に光をあて続ける吉田修一の傑作です。 | ||||
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| 上下巻の評価をここでするとすれば、面白い、いや、素直な人間模様が描かれた話だが、そこに人生を生きることの悲しさと切なさと苦しさが絡みついていて、読んでいる間中、じわじわと全身に染みわたってくる「生きることの重み」みたいなものがあった。ただ殺人犯である青年が捕まるまでの話。一言でいえばそれだけ。でもそこにどうやっても「生きていくこと」とか「人間関係」とか「誰かを想うということ」という現実世界にリンクしたものを感じずにはいられなかった。ただのフィクションとしては読めない切羽詰まったものがあって、どこの部分をとっても救われないと感じた。暗い。でも、強烈に惹きつけられた作品で、後半は涙が出た。犯人に同情したわけでもないし、一緒に逃亡した女に共感したわけでもない。ただ、そこに関係する多くの人の人生一つ一つにたいして涙が出てきた。映画でどう表現されていくのかはわからないが、映画になった代表作という観点からでなく、ただの数ある小説の中の一つとしておススメ。 | ||||
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| 九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。多くの登場人物を、これまた多くの登場人物の視点から描く。悪人だと思っていた人の良い面を見せられ、善人だと思っていた人の悪いところを見せられる。作者の意図通り、大いに混乱した。でも、これが本当なんだろうなーキャラを立たせるために、なにか一つの役割を割り振って固定してしまう小説が多いが、そんな単純な訳ない。良い人にも悪い一面があり、悪い人にも良い一面がある。人は合理的ではない。ここまでもれなく一人の人間を描いた小説は初めて読んだ。こういうの好きです。面白かった。おすすめです。 | ||||
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| 映画館で悪人の予告を観て、妻夫木さんが印象的だったので文庫本を手に取ってみました。本当にすごい勢いで読破しました。それくらい話に引き込まれて。祐一は無口で不器用な男だけど、一途で一生懸命尽くす姿に惹かれました。九州の男っぽいなぁって…正直、祐一に惚れて、キュンキュンして仕方なかったです。こんなにも読者の気持ちをさらえる吉田さんがスゴイと思いました。悪人を読み終えてから、ほかの作品も読み始めました。テンポがあって読みやすくて、こんな作家さんに出会えてよかったです。 | ||||
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| この本を読んで最初に頭に浮かんだのは、NHK特集の「無縁社会」だった。私ももうずっと長いあいだ、1人で暮らしているが、正直、寂しさや孤独には耐えがたいものがあり、毎日を生きるのはやっと、と思うこともときどきある。社会は流動化し、核家族も崩壊、単身世帯が増加しているそうだ。地方は疲弊し、シャッター通りは田舎に行けばどこにでもある。社会の紐帯は完全に弛緩しきってしまっている。この弛緩しきった社会、関係の網目を以前のように戻すことはもはや無理であろう。単身に慣れた人々には「世間」と呼ばれるような関係の網目は逆に息苦しくも感じられるに違いない。しかし、人々は孤独に苦しんでいる。周りを見渡せば、なぜこんなにもみんな孤独で、生きることに苦しんでいるのか、そう思うような人々ばかりである。すべてを社会のせいにするつもりはないが、国政や地方自治体レベルで、もっとこまめにセーフティーネットを幾重にも張り巡らして、人々を孤独から救う方法をまずは政治が考えるべきだろう。だが、そのうえで、個人でもできることはあるはずだ。私の身は寄る辺ない。私も本気で誰かに出会いたい。そして、誰かを愛し、愛されたい。しかしもし、私が愛されていることに気づかないのならば、私は誰かを愛することもできないのかもしれない。祐一は、本当に孤独だっただろうか。祖母の祐一への愛に、もっと深く気づくことはできなかっただろうか。祖母は、祐一への愛をもっと、もっと深く伝えることはできなかっただろうか。佳男は、佳乃への愛を、もっと、きちんと伝えることは、できなかっただろうか。大切な人を失ってからでは遅すぎる。あなたを愛している、その気持ちを、本当に大切な人に、もっと深く相手に届くように、伝えよう。そう思った。 | ||||
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| ビジネス書の息抜きに肩の凝らない文芸書を読んでいましたがライトすぎて右から左でした。これは、いい意味で「肩が凝る」、すばらしい作品です。次々に告白する人間が変わるところなんかは芥川龍之介の「藪の中」を思い出しました。ラストの「救われなさ」は、本当に真実を書いていると思います。ああ、人間って、こうだよなあ、と。うーん、近いうちにもう1回読むなあ。 | ||||
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| 一気に読みました。読めました。登場人物に同情したくなったり、こいつは最低だと思ったり、そんなばかなと思ったりしました。どの人物も、弱かったり情けなかったりして、感情移入できるようでできない・・・。いったい悪人は誰なのか。悪人とはなんなのか。見る人によって、立場によって、悪人とは、はかわるはず。結局最終的に、たまたま彼は悪人になってしまった。選んで悪人になってしまった。後味は・・・悪いです。 | ||||
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| “横道世之輔”から2冊目です。今回も著者にやられてしまいました。う〜ん、わかっていても?辞められんな。今回も一気に読んでしまった。参りました。著者にはまってしまった!次は“パークライフ”読もうっと! | ||||
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| ページ数の割にそんなに読み終えるのに時間がかかったという印象はなかった。それはつまり自分自身がこの作品を無意識に、広い意味で“面白い”と感じていたという事だろう。内容に関しては、保険外交員の女を殺害してしまった土木作業員の男とそんな男に想いを寄せる一人の女との逃亡劇、といってしまえば最もわかりやすいと思う。そしてそこに関わってくる様々な人間の群像劇といえばいいのか、とにかくそんな形でストーリーは進んでいくここで大胆な意見を言わせて頂くと、この作品は夏目漱石の『こころ』に通じるものがあると個人的には思う。勿論内容や表面的なテーマはまるで似ても似つかないのだが、例えば“すいか”と“花火”がそれ自体は全く違うものであっても共に“夏”を連想させてくれるようにとにかくその本の持つ空気感が似ていると個人的には感じた。特にそう感じたのはそのタイトルセンスである。こころに関しても読後にそのタイトルの意味を噛みしめた記憶があるからだ。とりあえず同氏の他の作品を読んだ事のないものには、読んでみて損は絶対にない作品だと思うしその良さをじわじわと効いてくる類のものだと思うただ、昔からの同氏のファンの方には多少お薦めし難い部分もあるのだが…(特に初期の作品のファン) | ||||
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| 寝る間も惜しんで読んでしまった。読もうリストにずっと入れていたけど、なんとなく重そうだったのでやっとその気になって読んだ。久しぶりにどっぷりはまりこんでしまった。きっと読んで良かった。ただただ考えさせられる。読み終わって正直なところ、モヤモヤ感は拭いきれないがすごい本に出会えた。人の心は複雑だし、本当のところ何を考えていて本心は何なのか。実際今周りの人たちに対する感じ方と、その人の持つ本質というものは違うのではないか。。疑心暗鬼になるわけではないけれど、自分の中に何かが出てきた気がする。うまく言えないけれど。パレード、日曜日たち、女たちは二度遊ぶとか色々読んだけど悪人はなんだか違う色をした本な気がした。あー久しぶりに本を読んで疲れたな。久しぶりに本を読む時間の為に過ごしたな。 | ||||
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| 非常に読みやすい本です。舞台は九州の小都市。登場人物はいずれもやや「負け組」的な人物ばかりで特別な予備知識不要でサクサクと読めました。物語は「悪人」である犯人に感情移入していく方向で進みます。不器用な男です。男前で金髪の若者ですが、幼い頃に母親に捨てられ、仲間ともあまり派手には遊ばない地味な男。そんな彼にも普通の恋愛欲やプライドがあり、埋められない心のすき間に何かをねじ込むべく、出会い系サイトに手を出し、フトした拍子に起こしてしまった事件。法を冒した者が必ずしも「悪人」ではないという物語。私はこの吉田修一氏の作品を他には未読なのですが、非常に現代人の心の機微を描くのが上手な作家と思われます。文庫上下巻ですが、まよわず下巻も購入して良い快作です! | ||||
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| 圧倒的な筆力で描き出される弱者たち。それは、いわゆる世間一般でいわれるような不幸からうまれた弱者ばかりではない。皆自分なりの幸福を追い求めているつもりで、いつのまにか断絶させられ、搾取され、虐げられている。事件を通して、すべての登場人物の不幸や孤独、存在の不確かさがあぶり出しになる。「大切な人がおらん人間が多すぎるよ」(被害者の父親のせりふ)「でもさ、どっちも被害者にはなれんたい」(主人公のせりふ)そう、誰かを悪人にしたてあげて、いつまでも被害者でいるわけにはいかない。馬鹿にされてたまるもんか、と再生する、主人公の祖母と、被害者の両親、光代たちに、限りない力強さを感じる、さわやかな読後感。ストーリーテリングも含めて星5つです。 | ||||
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| どうしても、祐一、光代の味方で何度も読んでしまいました。終盤、祐一が光代の足を揉んであげたりしながら、不謹慎と思いつつも、愛する人といる自然な楽しみを生まれて初めてかのように、かつ唯一過ごしているシーンがだいすきです。その分、そのあとの展開が切なくて苦しくてどうしようもないです。被害者は誰なんだろ。 | ||||
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| パレードから続けて読みました。もう本当に寝る間も惜しんで読みました。悪人とは誰か?ってところがレビューでも多く取り上げられていますが、正直私も答えが出ません。誰から見ても明らかな悪人はこの話には居ない気がします。すごく不思議ですが、登場する人すべてが生き生きと描かれていて、まるで本当に実在するんじゃないかと思ってしまいます。要所に出てくる第三者の語りもすべてが繋がりをもっていて、構成の深さに圧巻でした。映画も公開予定なので観に行ってみようかなと思ってます。 | ||||
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