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悪人
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悪人の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.01pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全301件 141~160 8/16ページ
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| 物語に、ぐいっ、ぐいっ、と惹きこまれるこの感じは、久しぶりだった。文庫では、上下巻に分かれているが、量は苦にならない、早く次が知りたくて仕方なかった。驚いたのは、著者は男性なのに、若い保険外交員の女や、しがない地方の衣料品店の女など、ごくふつうの女たちの、微妙な心のひだを、とても丁寧になぞり、よく理解していることだった。女の友情の書き方など、まさにそう、と思わせるもの。距離を置いたところから見る登場人物たちの細かい心理描写や何気ない行動が、まるで映像を見るみたいに、ありありと情景が浮かび、女性には共感し、男性登場人物、主に祐一には、とても男性的魅力をおぼえた。現実世界では、きっとこのような男女がいたところで、決して目立つことはない。表舞台には決して立たない人たちであろう。けれど、主人公にしては少々地味すぎる者たちが、私には、妙に近しくて、自分に、自分の親族に、と重なった。善良な人間が決して報われるわけではないやるせなさに、田舎の灰色の、さびしい街並みの描写が重なって、それはとてもリアルな感覚だった。決して歯切れのいい、読後のいい物語ではない。でも、現実世界のやるせなさや、人と人とのつながりの儚さに触れたことのある人なら、きっと、面白い。人間心理の描写の妙をきわめた小説だった。 | ||||
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| もてる友達への劣等感を持つ沙里。お母さんには好きな人のことを電話でうれしそうに話す佳乃。衝動的に突き進んで行動する光代。負けちゃならん、負けちゃならんと歯を食いしばるおばあちゃん。この小説に出てくる女性には、必ずどこか、共感できるところがあった。映画のCMで出てくるあの決まりゼリフはどこででてくるんだろう?と思いつつ読み進めていたが、ここで出てくるとは・・・。読み終えたあとは、自分のそばにいてくれる家族が、よりいとおしく思えた。祐一を捨てる時のシーンで、お母さんがハンカチで祐一の鼻の汗をぬぐってくれた、という描写が、なんか、ぐっときた。 | ||||
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| 長編にもかかわらず、その情景が浮かび上がり、次々と読めていく。終始一貫して主人公以外の人物からの心理描写により、殺人事件と純愛が流れていく。結果的に、祐一と光代による純愛からの逃亡生活が、悪人となった祐一の裏切りにより幕を閉じる。 「かたる」という言葉には、一般的な「語る」と騙すという感じを用いた「騙る」という表現がある。本人がかたっていることであっても、それが語りなのか騙りなのかは本人にしか分からない。本人にさえ分からないこともあるかも知れない。その中でマスコミによって報道される悪人像は、真実と言えるだろうか。 殺人容疑にかけられたことをネタとして笑う、かたり。 娘を殺された憎しみを、信じていた娘に裏切られたような気持ちを吐き出す、かたり。 真実の愛であった事実を過去として思い出す、かたり。 悪人になるためなのか、本当に悪人であったのか。 語りだったのか、騙りだったのか。 真実とは何か、それを考えさせられる一冊である。 | ||||
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| 綺麗な商品でした。大満足。又利用させて頂きたく思います♪ | ||||
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| 本の表紙からは正直読みたいとは思いませんでしたが、映画の予告編を観て試しに読んでみようと思いました。表紙と題名からは、関心も無かったのですが読んでいるうちにはまってしまいました。上下とも読み終え映画にも行きました。久しぶりに感動しましたね。 | ||||
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| 物語の前半部分は女の子を殺したのは誰なのかということを主軸に展開しますが、後半は主人公の"祐一と光代"に焦点が絞られ、祐一の過去、家庭環境が重なり、結末へと向かいます。最後に説明し過ぎなところもあり、少し盛り上がりにかけていたかと思いましたが、情景の描写や場面展開がうまく、次へ次へと読ませますね。吉田修一の作品はパレードしか読んだことがなかったけど、ほかのものも読んでみようと思いました。 | ||||
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| 場所は九州長崎、佐賀、福岡。主人公は 母親に 置き去りにされた。じっと灯台をみつづけて。じっと待ち続けている少年。それから 何年もたった。少年は青年になっている。黙々と働く青年。さらに、車、それも白いスカイラインだ。金髪。いいですね。会うと約束していたのに娘は金持ち軽薄なる学生の車に乗って行ってしまった。やっぱり、怒りますよね。追いかける若者。学生に突き落とされてしまった若い娘。彼女を助けようとして若い娘の怒りの行動に青年は ああ反応せざるとえなかった。納得するのである。それからの ハラハラする 経過。年上女との逃避行。映画の印象が強すぎる。映画の脚本も原作者が監督と一緒に書き上げたのである。つらいつらい作品。しかし 現実にありうる。 | ||||
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| 自分の場合は映画の情報先行で、(映画はみていないが)この小説を読んだわけだが、映画の配役はまさにぴったりというイメージであった。特に、深津さんが受賞した理由もよくわかるし、彼女以外は考えられないほどはまり役だったと思う。小説のストーリーは、自分はかなり好きな内容。思いつくところでは、東野氏の「手紙」も同じように、犯罪者と女性の話が軸になっている。ただ、この小説の特徴は、法で定められた犯罪者のみが悪人として追求されるのだろうか?という投げかけなのだが、他人の命さえ奪ってなければ、ひどい恐怖心を与えても、他人の生活をあざ笑っても追求されないというのか ということをもういちど考えさせる内容であった。映画と小説はどれほど違うのかはわからないが、小説の最後のシーンには泣けた。誰かを守ろうとすることこそが、愛ということ。それも強く感じさせられた小説であった。 | ||||
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| 悪人の何がすごいかというと、2009年までの閉塞感のある日本そのものを完璧に書ききっている、ということだ。いったい、清水祐一と僕との間の差はいったいどこにあるのだろうか、そんなもの無いに決まっている。石橋佳男と僕の父親にどれほどの差があるのだろうか?そんなものは無い。映画とは若干時系列が前後するが、日本が直面していた課題、世の流れ、そしてマスコミのあり方、殺人犯の心理、そのステークホルダー達の感情といった、様々なものの側面が多面的に展開されてい、映画だけではわからないそこに至った経緯が積み重なるように理解できる。下巻はこれから読むが、映画のラストの本当の心情がどういったものだったかをひも解きたくって購入したので、わくわくしている。 | ||||
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| 「さよなら、愛しているけど。さよなら、愛しているから。」色んな読みがあろう結末ですが、わたしはそういうストーリーだと読むことに決めました。理由は、同著者による東京湾景 (新潮文庫)の視野です。或いは、愛すことを求める気持ちの切なさが描かれていると言えましょうか。また、被害者の父親や、バスの運転手という市井の人物や、被疑者の友人の立場を借りて訴えられる作者の人間観が、確実に読む者に伝わります。 | ||||
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| 人の心は闇だ。他人には解らないし、自分でさえも解らない。その心が生み出す人の行為も、何故そうなるのか、そうなったのか、結局のところ解らない。善と悪、生と死、何がそうであって、何が正しいのかも解らない。真実は見えづらい。しかし、真実はあるはずだ。この小説はそのギリギリのところを描いているように思われる。現代の怖ろしいまでの混沌(カオス)の中で、これが限界だったのだろう。 | ||||
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| 正直、上巻を呼んだ時は、あまりに浮ついた感じがして、ちょっと感情は入らなかったけど、下巻は人間の情緒が細やかに描かれていて、ずっしりとこたえました。これをどう捉えるかは読んだ人任せなんだけど、結局は真実は誰にも分からないんだから、自分で考えて、落ち着くしかないジレンマに秋の夜長悶えましょう(笑) | ||||
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| この映画に関する広告で「出会い系サイトで出会った女性を殺害する悪人を演じた妻夫木聡さんは…」と言ったコメントを聞いたが、私にはどうしても祐一が悪人とは思えない。つらいことの多い毎日を乗り切るため、誰もが大切にできる何かを求めている。そんな他人の気持ちを逆手に取って援交を繰り返すOL佳乃、佳乃を殺したと思い込み逃亡、殺してないことが分かりそれを面白おかしく仲間に話す大学生 増尾、本当の悪ってこちら側のはず。たまたま殺人を犯してしまった祐一だけが裁かれるって、本当に救われない。裁判員制度が導入された現在、もし自分が裁判員になって、そこまで見抜くことができるか?もし自分が光代だったとしたら、祐一の愛を信じ抜くことができるか?物事は様々な局面から見なければ分からないが、自分の生活の中でも一局面だけ見て済ませてしまっていることが多いことに気づく。善とは? 悪とは? 愛とは? 愛する人のためにできることとは?人間の根本的な部分についていろいろ考えさせられる、とても深い本。 | ||||
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| 映画から入りました。 もって祐一と光代の心情、細かな部分、その後を知りたくて帰りに購入。 何年ぶりの小説でしょうか。 最近は細かな字を見るだけで頭が痛くなるくらいでしたが(笑)、 一日で読めました! 読みやすく、引きつけるような構成でどんどん進みます。 私はどっちかとゆうと不器用な人間なので、祐一と光代、どちらにも感情移入できました。 人に気持ちを伝えたりするのが特に苦手です。 消極的、陰な人間は共感でき、積極的、陽な人間はイライラすると思います。 まぁ人を殺す心情まではわかりませんが、『誰も自分の言う事は信じてもらえない気がした』…過去のトラウマから、日々の生活での悲しい言葉です。 祐一、光代の孤独、陰鬱な気持ち、同じ毎日、寂れた町…リアルです。 増尾も佳乃も今時って感じで、人間として薄くプライドだけは立派。 佳乃の親は普通なのに、あんなに性根が悪く歪んでるのはなぜか… 自分の娘も知らないところであんな風に育たないとも限らないので怖くなったり。 色々考えさせられる話です。 でもベタな仕上がりでも光代には祐一の最後の行動を信じ続けて欲しかった! 映画ではわからなかった最後に、一筋でも光がないかと小説買ったのが、読んだ後さらに切なさが残ってしまいました…(泣) | ||||
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| 社会の片隅で祖父母とひっそり暮らすどこにでも居そうな少年。その彼が、ただありふれた異性への思いをきっかけに、犯罪者・逃亡者へと堕ちていきます。大それた欲望も悪意も持たず、平凡に暮らして行けたはずの人生。ただ幾つかの何かが「悪人」へのボーダーラインへ運んで行き・・・。誰でも、加害者にも被害者にもなる可能性のある日常で、絶対に越してはいけない一線があります。この中にはいろんな形の「悪人」が出てきますが、結局人はみんな「悪人」なのかなぁと思いました。重松清氏著作の「疾走」を読んだ時と同じような、社会から弾かれた者の悲哀を感じました。 | ||||
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| 吉田は映画で柄本明が叫ぶ「真面目に生きとる人間をバカにするな」の一言を世に出したかった。人の挫折というのは、「逃げ」から始まるのではないかな、負けても負けても真面目に行けと。その一言を、「逃げ」で表現しているのだから、「逃げ」の現象をどうこう言っても始まらない。平成20年前後の日本に生きている読者に、出合い系や解体労働者や地味な女や軽い女などの具材を提供しただけで、登場人物は、吉田の思い通りに行動し発言する。太宰は、小説というは一言を伝えんがための饒舌みたいなことを言っていましたが、弱い俗物の多い日本人のために、切腹せんで、行き詰らないで、吉田に再度このテーマで書いて頂きたい。今度は、人間の生きる本能はかくも強いのだ、わかったかこのへたれ日本人が、という「おち」が良いと思う。閉塞した日本社会を打破する、一つの解答作品を描ける吉田の力量に期待したい。 | ||||
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| レビュー評価の低い方の多くに“弱い人間を描いているだけ”という意見が多い。むしろ、作者はそこが描きたかったと思う。その“弱さ”こそ、テーマ。この殺人事件は、あらゆる登場人物の“寂しさ”“嫉妬心”“見栄”そういった心の弱さが、様々な角度から偶然に重なり合って起きてしまった事件だと思う。この事件の悲しさは、そこにある。誰にでも起こりうる事件だし、些細なきっかけで回避できた事件だったはず。そして、些細なきっかけこそ、佳男がつぶやいた「大切な人」の存在なんじゃないかな。人間だれもが弱い。だからこそ、そんな弱さを互いに認め、一緒になって支え合える「大切な人」が必要。大切な人がいることで、誰かに必要とされているという喜びが生まれ、大切な人を守りたい、そばに居たいと思う気持ちが生まれる。人はそこで「強さ」を持てる。そして、その強さが、自信となり、自分自身への愛、自己愛にも繋がる。彼らには、その「強さ」が足りなかったんだと思う。「強さ」さえあれば、彼らも、自分の人生に光を見いだせたんじゃないかな…当たり前の幸せを手に入れられたんじゃないかな…考えれば考えるほど、涙が込み上げてくる。佳男がつぶやく「大切な人がおらん人間が多すぎる」というセリフが今も心に響いている。 | ||||
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| 悪人はラブストーリーだった。人を愛するということ。それについて書かれている。親子の愛も、男女の愛も、どんな愛も、人が人を想う所、そこに愛がある。愛が生まれる。ただし、愛は必ずしも「幸せ」ではない。 | ||||
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| いっきに 読み、 久々 号泣しました。 佐賀に生まれ、育った私にとって、光代の内に秘める感情は、世代を超えて共感しました。 光代にとって、たとえ一時の出来事でも、かけがえのない 大切な時間が持てた・・・いい人生だったと思える。良かったね。そう 思います。。。。真実は人それぞれ違うから。故郷を遠く離れ 標準語の飛び交う暮らしの中で、故郷の言葉が これほど 愛おしく感じられた本もありませんでした。 | ||||
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| 通勤途中の読書3日ぐらいで読み終えました。他の方のレビューにもありましたが、確かに面白いしぐいぐい読めるのですが過去の他の小説でも見たことがあるような感じがどうしても気なってしまった。ですが。。。。昨今このような事件が頻繁に起きている。もしかしてこの小説と同じなんじゃないだろうあと感じてしまう。という意味では、手法どうこうってのはどうでもよくって、ただ純粋に作者が現代に訴えたいってことが伝わったのかなって気もします。 | ||||
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