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大聖堂 果てしなき世界



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大聖堂 果てしなき世界の評価: 3.97/5点 レビュー 29件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.97pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(5pt)

苦難と悲劇の連続──試練の巻です

前作「大聖堂」もそうでしたが、この中巻は苦難と悲劇が立て続けに主人公達に降りかかります。
 前巻でマーティンは徒弟期間が明ける間際に親方のエルフリックから血の繋がらない子供を身ごもった娘と結婚するよう命令されたのを断ったせいで破門になりますが、持ち前の才能と高い技術で実績を重ねたおかげで建築職人としてキングズブリッジの町の人たちに認められ、崩れた橋の修復を請け負うまでになります。ところが最も難しい橋脚の部分が終わった所で修道院長のゴドウィンと組んだエルフリックに仕事を横取りされてしまいます。
 一方カリスは衰退していく羊毛市を立て直す策として羊毛を織って赤く染めた布を目玉商品として売り出しますが、折しも修道院の権威を高めるため新しい修道院長の館の建設を目論んだゴドウィンは手っ取り早く資金を作るため過去の法令を持ち出して、布を織るのに住民の家にある縮絨機の使用を禁止し、修道院が所有する縮絨機を使わせて使用料を取ろうとします。辛くもその問題は法の抜け道を使って切り抜けますが、今のままでは町のためにどれだけ策を講じても修道院に邪魔されるばかりだと考えたカリスはキングズブリッジを自由都市にする運動を起こします。しかし税金やその他の利権を失うことを怖れた修道院長の陰謀でカリスは魔女裁判にかけられ、生き延びるため(魔女裁判での有罪は即死刑に繋がるので)女子修道院に入って修道女の道を歩まざるを得なくなります。カリスとの結婚を翌日に控えながらそうした悲劇に直面したマーティンはフィレンツェへ建築の修行をするため失意のうちに町を去ってしまいます。

 これは私の個人的な考えになりますが、エルフリックと言いゴドウィンと言い、目先のプライド、権威、利権に目を奪われすぎですね。
 エルフリックはマーティンの才能と技術に嫉妬して、事あるごとにゴドウィンに取り入ってマーティンの仕事を奪いますが、交渉事や政治には優れているのですから、技術面で及ばないのが分かっているなら仕方ないと割り切って、修道院を始めとする施主やその他取引先と職人との仲介役、まとめ役に徹していれば、マーティンを自分の強い味方として活用でき、互いに良い結果をもたらすことができたのではないでしょうか。
 ゴドウィンにしても、修道院の権威を高めるために必要な資金を作るために目先の収入だけを考えず、利権を手放して一時的に収入が減っても、町を繁栄させることで収入を増やそうとする長期的な視点があれば、カリスたちの反感を買わずに済んだことでしょう。まあ所詮は読者の視点から考えた結果論でしかありませんが。

 あと、この間の後半辺りからイギリスとフランスの百年戦争と、ペストの流行が起こりまして、物語にも大きな影響を与えてきます。学校の世界史の授業では(少なくとも私の場合は)あまり詳しく教わりませんが、中世ヨーロッパの歴史では重大な事件なので、物語を読むに当たっては大まかな経緯だけでも理解しておいた方が良いかも知れません。
大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫)Amazon書評・レビュー:大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫)より
4797346248
No.1:
(5pt)

前作よりおよそ150年後の未来へ!

全世界でベストセラーになったケン・フォレットの小説「大聖堂」の続編「大聖堂─果てしなき世界」が出版されまして、私のブログのアクセス解析をチェックすると、「ケン・フォレット」「大聖堂」といった検索ワードで来ている方が毎日何人もおられます。
 私も上・中・下巻全て買いましたが、何せ1冊が分厚いもので、空き時間を見つけては少しずつ読み進め、ようやく上巻を読み終えましたので紹介と感想を書くことにします。

 舞台は前作からおよそ150年後のイギリスで、物語の中心地キングズブリッジも前作よりも一層繁栄を見せ、キングズブリッジ修道院も女子修道院が近くに建てられるなどといった繁栄ぶりです。
 それでも何かしら問題を抱え、富める者もいれば貧しい者もいるのは世の常で、キングズブリッジの町も橋の老朽化などの問題で衰退の危機に立たされております。それらをどうにか打開しようと奔走する町の人たちを含む登場人物には、前作の主人公であるトムやジャックの子孫が何人も登場してまして、その中に今回の主人公の1人である建築職人マーティンがいるわけです。
 一方修道院はと申しますと、修道士は生涯独身が原則ですから当然子孫などはおりませんが、前作のフィリップの業績が書き残されたり、何より大聖堂が健在です。こちらも財政問題や、修道生活の理想と現実の違いといった問題を抱えている上に、前作より規模・権威などの面で安定する代わりに保守的な雰囲気が支配するようになるのはどこの組織も変わらないようで。しかも、そうした現状を打破・改革しようと志し、苦労してトップに立っても、現実を目の当たりにすると結局前任者と同じように保守的になってしまうというのも良くある話で。
 そんな問題は山積みどころか、次々と降ってくる中、マーティンたちが何を考え何を為すか、夢を叶えるか破滅するか、中巻以降の物語、果ては結末が気になって仕方ありません。
大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫)Amazon書評・レビュー:大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫)より
479734623X

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