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名探偵に薔薇をの評価:
8.00/10点 レビュー 14件。 S ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点8.00pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
名探偵に薔薇をの感想
▼以下、ネタバレ感想
著者初読み。読み始めて見ると、文体や使う漢字が独特で、物語全体に妙な違和感がある。「小人地獄」と言う毒薬の非現実感もあり、キャラクターも全て作り物めいて見えてしまう。「名探偵を呼びます。」なんてセリフは、ねぇ?第一部を読んだ時点では、割とあっさりしてるな、という印象でした。第二部になると、物語の視点が別の人物に変わります。そしてここからが本番でした。展開は二転三転で、最後は何がどうなって、結局誰が、なぜやったの?何も信じられずに怒涛のラストへ。面白かった。
序盤からの見立て殺人や非現実的な毒薬ならではの推理展開が面白く、コテコテのミステリを楽しみました。完全犯罪可能な毒薬やメルヘン見立てが、演出の為だけではなく、ちゃんと意味がある設定は好きです。また、事件パートも然ることながら、それを解決する名探偵の苦悩がとても表現されていた作品でした。真実を明かすことが本当に良い事なのか。これ系の名探偵の悩み本はありますが、全編通して繋がる完成度は高く、哀愁漂う読後感は久々でした。 ▼以下、ネタバレ感想
『メルヘン小人地獄』とあるわるい博士は世とびきりすごい毒薬を作ろうとしました。毒薬の材料は小人でした。博士は小人の村へ行き、小人壺を投げては小人の首を捻切りました。小人の村は血に染まりました。小人は博士に復讐をちかいますが、博士はぽっくり死んでしまいました。この恨みをどうしてはらそうか。ハンナは吊るそうニコラスは煮ようフローラは剥こう復讐が成されて小人は大喜びしました。「小人地獄」はご存知か。三橋荘一郎は突然薄気味悪い男にそう声をかけられた。男は三橋の家庭教師先の母親である恵子にそう伝えろと言ってきた。恵子に伝えると、恵子は心なし嬉しそうな様子で、三橋に他言しないよう求めた。不可解に思うこと数日、恵子が遺体で発見された。全裸で逆さ吊り状態にされ、血は滴り肉は弛んでいた。現場には小人の足跡のスタンプと「ハンナは吊るそう」というメッセージがあった。猟奇的な殺人事件。はたして犯人は誰なのか。「小人地獄」とはいったい何なのかー・・・第一部「メルヘン小人地獄」第二部「毒杯パズル」の二部構成です。第一部は一つのミステリであり、かつ、第二部のための前置きでもあります。人物像や人間関係、そして本作の鍵である「小人地獄」についてなど。警察は無能だったり傲慢だったり苛立たせる人物像のパターンも割合ありますが、本作では柔軟で苛立つことはありません。また、とても面白いミステリですが、凄惨な描写が多いので、注意が必要です。第二部は第一部の前置きがあるからこそ不可解な謎になります。第二部の犯人は割りとすぐにわかりますが、メインは犯人当てではなく、名探偵の宿命です。第一部が「どうやって」事件が起きたか、ならば第二部は「なぜ」事件が起きたかが、謎解きになります。そこで、名探偵が真相を「暴く」ということについて、考えさせられます。第二部は第一部と異なり凄惨な描写はありませんが、第一部より心が痛みます。探偵によるミステリとしても十分面白いです。叙述トリックでもないのに、ミスリードに引っ掛かり、物語が二転三転します。推理して大団円ではなく、二部構成にすることで、名探偵の孤独にスポットライトを当てている点がまたいいです。読了すると、タイトルにも意味があるように思われます(深読みかもしれませんが)。しいていえば個人的に第一部の方が面白いと感じたのと、少し登場人物が人間離れしている気がします。しかし、十分面白いミステリなので、凄惨な描写が大丈夫という方にはオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想
名探偵の活躍よりも、名探偵という存在が背負う宿命に焦点を当てた作品。グロテスクな見立て殺人が続く第一部と、真相が二転三転するのが面白い第二部。私は第二部がお気に入りです。名探偵・瀬川みゆきのその後を読んでみたい…。
▼以下、ネタバレ感想