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勇士は還らず



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勇士は還らずの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

ベトナム戦争時代を引きずった青春小説

1993年から94年にかけて新聞連載された長編ミステリー。93年の殺人事件捜査と69年の青春時代の懐古とが入り交じった、青春小説ミステリーである。
1993年、サンディエゴの公園で北海道余市で果樹園を営む男が射殺された。農業視察団の一行としてアメリカを訪れ、途中から単独行動でサンディエゴにに来たらしい彼は、なぜ人気のない夜の公園で殺されたのか。市警のマルチネス刑事が捜査を担当することになった。一方、被害者の側は、残された妻とアメリカ留学中だった娘だけでなく、高校時代からの親友という3人の男が日本から駆けつけてきた。マルチネス刑事は、被害者の関係者に聞き取りを始めたのだが、妻も友人たちも何かを隠しているようで、全面的に協力的な態度ではなかった。彼らが非協力的だった理由は、1969年のサイゴンでの日本人の爆死事件が絡む、彼らの青春の出来事にあった。
物語は、殺人事件の捜査と青春の懐古の二つの大きな流れで構成されており、それぞれに読みどころがあり、良くできた作品である。ただ、どちらも中途半端になってしまった感は否めない。それでもエンターテイメントとしては十分に成立しており、評価に値する作品である。
北海道の大地が生み出す開放感とベトナム戦争という時代が作った陰が、当時の若者たちに様々な影響を与えたことが窺える。
佐々木譲ファンであれば、失望することはない作品であり、ファンでなくても時代感覚が分かる50代以上の読者にはオススメできる。

iisan
927253Y1

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