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七つの墓碑



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【この小説が収録されている参考書籍】
七つの墓碑 (ハヤカワ文庫NV)

七つの墓碑の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

二十年経っても変わらない怨讐のドラマ

イタリアのジュニア向け作品を書いて来た中堅作家のミステリー第一作。マフィアのボスたちが標的になった連続殺害予告事件をテーマに、犯罪組織で生きる男たちの怨讐を描いた傑作ノワール・エンターテイメントである。
ナポリ郊外の墓地で地元マフィアのボスが殺害されて墓穴に入れられているのが見つかった。しかも、そこには7つの墓穴とそれぞれに名前が刻まれた墓碑があった。つまり、残りの6人の殺害を予告しているのだった。同じ頃、七つ目の墓碑に名前を書かれていたミケーレが20年の刑期を終えて出所した。新進マフィアの若きリーダーとして伸し上がりながら勢力拡大の勝負に失敗し、仲間に裏切られて服役したミケーレは、その過去を清算するためにミラノの裏社会に戻って行くのだが、それは必然的にナポリのマフィア世界に激しい動揺を引き起こさずにはいなかった・・・。
20年前の裏切りの真相を暴力的に確かめようとするミケーレの行動がメインストーリーとなり、捜査側の話はサブの扱いとなっている。したがってタイトル「七つの墓碑」から想像される警察の捜査が主題のミステリーではない。むしろ、マフィアが支配する街で育ったチンピラが一人前のボスになるまでの姿を描いた成長物語であり、冷酷非常に復讐を遂げる凄絶なノワール小説である。著者が現役の刑務官ということから、イタリアの刑務所事情がリアルに描かれているのが興味深い。
タイトルから想定するようなサイコもの、連続殺人ものではなく、イタリアン・ノワールの傑作として手に取ることをオススメする。

iisan
927253Y1

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