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死者の国



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死者の国

死者の国の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

サイコと謎解きとリーガルが絡み合ったサスペンス・ミステリー

「クリムゾン・リバー」で知られるグランジェの2018年の作品。猟奇的な連続殺人事件の謎を追ってパリ警視庁の刑事が東奔西走する、警察サスペンス・ミステリーである。
パリ警視庁のコルソ警視のチームに回ってきたストリッパー殺害事件。被害者は両頬を切り裂かれ、のどに石を詰められていた。さらに、捜査がほとんど進展しないうちに発生した第二の事件でも同様の残忍な犯行が行われていた。二人の被害者は同じ劇場に勤めていた同僚で、どちらも自分の下着を使いある特殊な結び方で手足と首を拘束されていた。独特の犯行手口に注目したコルソたちは、その結び方がSM愛好家に知られていることをつかみ、その線から被害者がSMポルノに関係していたことを知り、さらに被害者二人が元殺人事件の服役囚で現在は画家として成功しているソビエスキと交際していたことを突き止めた。ソビエスキを最重要参考人と考えたコルソは合法違法を問わず、あらゆる手段を使ってソビエスキを追い詰め、ついに逮捕にこぎつけた。しかし、その裁判にはクローディアという凄腕の人権派弁護士が立ちはだかっていた・・・。
真犯人はだれか、犯行動機は何かを追求する謎解きミステリーが本筋で、そこにサイコ・シリアルキラー、リーガル・サスペンス、主要登場人物の複雑な背景、警察内部でのバディもの的展開など様々な要素が重ねられ、2段組み760ページという重厚長大な作品となっている。主人公のコルソ警視は警察のルールからはみ出す捜査も躊躇しない直情型かつ激情型で、なかなか共感しにくいキャラなのだが、真相解明にかける一途な思いがストーリーをダイナミックなものにしている。さらに敵役のソビエスキの特異さ、クローディア弁護士の怜悧さ、コルソの部下であるバルバラの柔軟さが、物語にカラフルな展開と何層もの深みをもたらしており、700ページの大作も中だるみなく読み進められる。
グランジェのファンはもちろん、警察ミステリー、サイコ・サスペンスのファンには絶対のおススメである。

iisan
927253Y1

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