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シャイニング



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シャイニングの評価: 8.00/10点 レビュー 2件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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(6pt)

「家族」というクローズドサークルと「父親」という恐怖の存在

誰でも名前ぐらいは、というか映画版でのジャック・ニコルソンの狂気の笑顔のシーンは知っているだろう有名作の原作小説を読みました。

コロラド州ロッキー山中にある、冬季はその厳寒と積雪のため閉鎖されるホテルに、その間の維持・管理を目的として雇われた男ジャック。
そんなジャックと彼の妻ウィンディ、そして五歳になる息子ダニーは、雪に閉ざされたホテルの中、家族三人だけで数ヶ月を過ごすことになる。
しかし、このホテルは過去、ジャック同様やはり家族揃って住み込みで働いていた管理人の男が発狂し、自身の妻と子供を殺害したといういわくを持っていた。
そしてジャックもまた、次第に狂気に取り付かれ、やがて彼の魔手が妻と息子に伸びようとしていた……

そんなクローズドサークルシチュエーションのホラー作品ですが、単に「深い雪に閉ざされた空間」という物理的状況だけでなく、「家族」という、その輪から出ることも入ることも容易ではない、ある意味二重のクローズドサークル状況を描いた作品なのではないかと思いました

この作品は、本来あらゆる意味で子供を庇護してくれる存在であるはずの「父親」が逆に家族を襲う、悪意・脅威になってしまうという恐怖が描かれています。
この怖さは単に大好きなパパが豹変してしまうという点のみならず、父親を愛し尊敬していても、一方で誰しもが多かれ少なかれ家庭の中で強大で支配的な力を持つ父親という存在へ抱く、リアルな恐怖を呼び起こさせるものではないかと感じました。
(私の父は温厚で、家庭内で怒鳴ったり、暴力を振るった記憶など一切ないのですが、そんな家庭に育った私でも、少年期父親をどこかで恐れる気持ちが0だったわけではないです)
また父親側も、一番大切なモノであるはずの家族を、自分が傷つけてしまうのではないかという不安や恐怖は誰しもが持っているのではないでしょうか。

ジャックは癇癪癖やアルコール依存などを持ち、仕事をクビになったりダニーを怪我させた過去があり、元々決して完璧な父親ではありません。
しかし同時に過去を悔やみ、アルコールを断つ努力をし、確かに家族を愛している、決して悪い父親でもありません。
ジャックが最初から完全な悪人あるいは善人として書かれていたら、感情移入という面でも怖さという面でも作品の魅力は下がったでしょう。

さらにこの作品の怖さや深さは、ジャックが狂気にかられたのは、ホテルの持つ魔力のせいか、ジャック自身が元々持つ狂気のせいか途中まで読んだ時点ではどちらとも取れ、読者にとって「より怖いと感じる方」を意識してしまう点にあるのではないかと感じました。

そんな父の日にふさわしいようなふさわしくないような作品のレビューでした。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ

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