■スポンサードリンク


晩夏の墜落



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

晩夏の墜落の評価: 7.67/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.67pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

ニュースがエンタメ化された現代の恐怖

2017年のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長編賞受賞作。あまり評判にはなっていないようだが、年間ベスト級の傑作ミステリーである。
2015年8月23日、日曜日の夜、高級リゾートの島からニューヨークへ帰る途中のプライベートジェット機が墜落した。乗客乗員11名のうち、47歳の貧乏画家スコットが生き残り、同じく夜の海に投げ出されていた4歳の男の子JJを助け、ロングアイランドの海岸まで泳ぎ着く。一躍、ヒーローとして注目を集めるスコットだったが、墜落の原因究明に当たる政府機関からは墜落への関与を疑われる。さらに、乗客がアメリカの右派ニュース専門局の代表夫妻やマネーロンダリング疑惑をもたれていた富豪夫妻だったことから、さまざまな陰謀論が巻き起こった。とりわけ、ニュース専門局の代表を狙ったテロだと主張する同局の看板司会者ビル・カニンガムは、執拗にスコットを追求し、過激な主張を繰り返すのだった。墜落は、事故だったのか、事件だったのか? 乗り合わせた11人の墜落前の足跡をたどることから、事態の真相が徐々に明らかにされる。
墜落したプライベートジェットに乗ったばかりに、運命が大転換してしまったスコットの人生と、墜落原因の解明を2本のメインストーリーに、乗り合わせた11名の人となりのドラマ、ニュース専門局を中心にした報道メディアの闇の暴露をサブストーリーにして、現代アメリカの脆さを描いた壮大な人間ドラマが展開される。その中心にあるのが、人を信じて素朴に生きようとするスコットと陰謀論に凝り固まって人を陥れようとするビル・カニンガムの対比である。こうした構成の場合、ヒーローか敵役のキャラクターが際立つほど面白いのだが、本作では敵役のビル・カニンガムが上手く造形されていて(現実のアメリカのアンカーマンや大統領候補をなぞっただけかもしれないが。日本で言えば、ナベツネと橋下徹とミヤネヤを足したような下衆といえば当たっているか?)、効果を上げている。
謎解き作品としても、社会派作品としても高く評価できる傑作サスペンスとして、多くの方にオススメしたい。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!