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真犯人



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【この小説が収録されている参考書籍】
真犯人
真犯人 (小学館文庫 し 6-10)

真犯人の評価: 8.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)

真犯人の感想

作者初読。
幼児誘拐を題材にした作品を多く手掛ける作家さんのようです。
現在発生した殺人事件が41年前に時効になった誘拐事件との繋がりを見せて、という骨太警察小説です。
但し、作品の主眼は、犯人が誰々、トリックがどうこうよりも、1つの事件がこれだけ多くの人間のその後の人生を変えてしまった、というヒューマンドラマ的な面にあると思いました。
結構鳥肌モノでした。

梁山泊
MTNH2G0O
No.1:
(8pt)

自らハードルを上げるのか?

過去に起きた誘拐事件の殺害された子供の父親が殺される事件が起きる。高速道路バス停付近で見つかった男の死体。その場所は過去に起きた誘拐事件の身代金受け渡しの場所だった。
殺害された男の身元が分かった時点で過去の誘拐事件との接点に気付く捜査陣。 このような出だしの物語。 初めて読む作家の本。いつ頃からかは分からないが警察小説というジャンルが
あって、その中で警察組織内での生臭い人間関係を描くというパターンが定着している。妬みや嫉み、そりが合わないことを隠しもしない態度で本音をぶつけあう警察官たちの人間模様や、
縦社会でのキャリア組とノンキャリア組との軋轢を描くといったものだ。自我を丸出しにして本音をぶつけ合う様子を描くことでリアルさを表す描写。
この本もそんなふうに書かれている。だがこのような書き方をする以上は警察組織の内部事情をキッチリ把握しておかなくてはならないと思う。その点この本はしっかり出来ているようだ。
さて、過去に起きた誘拐事件は未解決で終わっている。さらにあと一年で時効が迫った時期に県警のトップが自身のキャリアに傷が付くのを恐れ専従捜査班を作り再捜査を命じる。
現在の殺人事件と過去の再捜査班との動きを二軸に物語は進むという展開だ。ここで思うのは過去の再捜査班の動きをどうするのかということ。
未解決とはいえプロの捜査陣が徹底的に調べ上げた事件の資料をもう一度洗い直せという命令で再捜査班が動き出すという設定は書く作家自らがハードルを上げることに他ならない。

だってそうでしょう、シロウト探偵じゃあないんですから、全力で捜査に当たった誘拐事件ですよ。まったくのポカや見落としなんてあるわけがない。リアルな警察組織として書かれているのですから
そこはなおさらです。さて、そこのところをどうするのかがポイントでしょう。 違う視点で資料を見ろと再捜査のトップは言います。そして、小さなとっかかりを見つけて動き出します。
この辺は無理がないと思います。どう転ぶか分からない些細な点です。そういったところを丹念に洗い直すという動きです。この丹念な動きを追っていくのがメインとして描かれています。
結局はあるアクシデントで再捜査も失敗に終わります。現在の殺人事件の捜査にあたる刑事二人が、引退した再捜査班のトップだった男を訪ね当時の話しを聞くという形でこの動きが
語られるところは読ませます。 再捜査が突然終わりを迎えた事情も納得です。そして、その出来事を掘り下げていき、それが現在の事件の捜査に進展をもたらすというところは読ませどころです。
日本坂パーキングとかベンツを尾行するシーンでは、当然無線で本部とやり取りしながらの追跡です。ここで相手に撒かれそうになるところはどうなんでしょうか。
本部は追跡班に指示を出すお偉方ですから、普通に考えればパーキングの特徴などを把握して細かく部下に指示をするでしょう。ところが肝心の刑事はそのパーキングの特徴を失念していた
という有様です。緊迫したシーンを作るためだと思いますが、この辺がリアルな警察の捜査ということを描く上では甘さを感じてしまいます。
しっかり先読みをして回り込んだとした方が良いはずです。こういった少し甘い動きや再捜査班が気付くところがある証言などハードルを上げた分ちょっと苦しいかなと思います。
それでもかなり複雑なプロットで誘拐事件という一本の線ですべてがまとまり終わりを告げるというこの物語は読みごたえがありました。

ニコラス刑事
25MT9OHA

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