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夕暮れ密室



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【この小説が収録されている参考書籍】
夕暮れ密室
夕暮れ密室 (角川文庫)

夕暮れ密室の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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(7pt)

「夕暮れ密室」の感想

文化祭当日の朝、森下栞が女子シャワールームで死体となって発見されます(第二章)が、彼女の視点で、その二週間前に行われたバレー部の大会でのエピソードが語られていくところ(第一章)から物語が始まります。
第二章以降、森下栞の死体発見の様子やその後のことが、各章ごとにクラスメートたちの視点で語られて行くという構成になっています。

第一章から感じられる森下栞は、爽やかで聡明な女子高生だったので、こんな高校生だったら男女の別なく、みんなから好かれるんだろうなぁ・・・と思いながら第一章を読んでいましたが、その二週間後の第二章で、森下栞が死体で見つかるのは、ちょっとショックでした。
というのも、第一章を読む限りでは、てっきりこの少女が今回の探偵役だと、勝手に想像していたからです。

章を追って、同じ場面がいろんな生徒の目から再現されて語られていきますが、クラスメートそれぞれが、自分が探偵にでもなったように、密室の謎を考え、犯人を捜し出す作業をしているという様子は、なかなか面白く読みました。

殺人事件が起きてから、犯人が特定できるまでの二週間、警察や学校は何をしていたんだ・・・という気もしますし、密室トリックについては、いささか疑問点もないわけじゃありません。
でも、高校生たちの世界(友情や受験、恋愛など・・・)が興味深く描かれており、事件が起こった前後の人間模様も含めて、よく書けているのじゃないかと思います。

このミステリは、第23回の横溝正史大賞に応募されましたが、その23回は「受賞作なし」という年でした。
翌年、本書の作者・村崎さんは「風の歌、星の口笛」で第24回横溝正史ミステリ大賞を受賞されています。

ちなみに、過去を振り返ると、岡嶋二人氏の江戸川乱歩賞受賞作「焦茶色のパステル」より、その前年に佳作となった「明日天気になれ」の方が面白く読みましたし、第四回サントリーミステリー大賞を受賞した黒川博行氏の「キャッツアイころがった」よりも、第一回佳作になった「二度のお別れ」の方が私は好きです。
こういうところは、選出者の好みもあるので、必ずしもいい作品が大賞となることはないですね。
江戸川乱歩賞の最終候補まで行き、賞をとらなかったものでは、中井英夫氏の「虚無への供物」や島田荘司氏の「占星術殺人事件」などもあります。誰が審査員かと言うことも大きいのではないでしょうか。
ミステリ新人賞の最終候補に残った作品が、手を加えられて新たに出版されるのはうれしいです。

トラ
WFY887SY

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