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叛徒



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【この小説が収録されている参考書籍】
叛徒
叛徒 (講談社文庫)

叛徒の評価: 6.00/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

嘘と正義の狭間に、人生はある。

著者の江戸川乱歩賞受賞後の第一作。通訳捜査官という珍しい警察官を主人公に正義のための嘘は許されるのかを問う、警察ミステリーである。
新宿署で唯一の中国語通訳捜査官の七崎は、歌舞伎町で起きた中国人殺害現場から逃走した少年が着ていたジャンパーと酷似し、血が付いているものを息子の部屋で発見し、戦慄する。さらに、息子がネットで知り合った仲間と中国人狩りを繰り返していた証拠も見つけてしまった。犯人は息子なのか、動揺した七崎は誰にも相談できず、ひとりで真相を探ろうとする。しかも、通訳として取り調べに立ち会った際、捜査の目が息子たちに向かないように中国人証人の証言を曲げて通訳してしまったため、さらに窮地に陥った。自縄自縛状態で孤独な捜査を進めた七崎は事件の背後に外国人研修生制度の闇があることを突き止めたのだが、凶暴な闇組織に一人で立ち向かうことになる…。
通訳捜査官という存在を初めて知ったが、この職業自体が正義と捜査の間で苦しむ定めだということがよく分かる。さらに、家族を守るために咄嗟に吐いた嘘に縛られ、正義を求めながら嘘を重ねてゆく主人公の苦悩が重いリアリティを持って迫ってくる。警察捜査ミステリーとしての構成も素晴らしい。
単純な善悪で終わらせない、読み応えある社会派ミステリーとして多くの方にオススメする。

iisan
927253Y1

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