■スポンサードリンク


サクリファイス



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

サクリファイスの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

サクリファイスの感想

10歳にも満たない男の子が自分の弟や里親の子どもを殺してしまうと言うショッキングな事件。
しかし男の子は自分のした事を全く覚えておらず、バークの仲間や精神科医にゆだねられ守られて、虐待の被害者でもあると言うことがわかってくる。
それにしてもフィクションだとわかっていても目を背けたくなるほどの凄まじいほどの虐待の描写。
しかし、日本の10倍以上はあると言われる虐待件数を考えた時、あながち嘘ではないのではないかと思える。また虐待された子どもを守るため実際に弁護士をしている作者の事を考えると、どれだけ奔走してもいっこうに減っていかない現実に作者の願望が含まれているのではと思えてしまう。

虐待された子どもがやがて怪物へと変っていく連鎖はとぎれることなく悪循環となって続いていくことの現実を作者は誰よりも実感しているのではないだろうか。

同じように子どもの虐待をテーマにした天童荒太氏の『永遠の仔』も凄まじいものがあったが、結末にはまだいくらか救いがあったような気がする。しかしバークの物語には救いがない。ルークと同じようなバーク自身の救い難い子ども時代を考えると、そう言った悪人を狩り続けることでしか生きられない悲哀を感じてしまう。それでも兄弟と呼ぶ信頼できる仲間達が存在することで、なんとか自分を保っているのではないだろうか。

日本でも最近は頻繁に虐待死のニュースを見るが、少子化を憂えているくせに福祉を切り捨てようとする政治家達や世間の風潮を見ていると、そう遠くない将来アメリカと同じような現実がやってくるのではないかと思えてならない。

たこやき
VQDQXTP1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!