“四ヶ月の浮浪者生活で、イクオの服装はそれにふさわしく汚れていた。かなりの異臭が立ち昇っていた。

マリーは泣きそうな子供のような顔をした。「なにする!」圧しころした声で言った。

諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。

家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の乾倫子。

天使のような容貌と肉体を持ちながら生まれつき生理がない人妻・涼子は、大学の後輩の大島に好意を寄せられ、凌辱されてしまう。

青年よ、旅に出よ―。大学生の「僕」は、学園祭で講演に来た「花村」という作家にそそのかされて、北への独り旅に出かけた。

「バカ」海底に置き去りにした女に向かって、伊禮ジョーはひとこと呟いた。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

不自由な日常から、自由な世界へ。オートバイを愛し、野宿旅を続けている人気作家が、その思想と実践について語る。

南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。

白称モデルで、過食嘔吐を繰り返す宮島弥生は、カルチャーセンターの小説講座に通う作家志望の女性。

五歳のころ、放浪癖のあった父親と同居することになり、程なく、花村少年の地獄の日々がはじまった。

桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。

五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。

朝子は、活気あふれる19歳のロックシンガーだ。ライブで人気を集めるバンドを率いている。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

レーザーディスクのように輝く絹織物―。

ヤク中で慢性自殺志願者のブンガクさん。浅草置屋の娘で、文学少女のくせに暴走族にも一目置かれているタカミ。

通訳捜査官の七崎隆一は、正義感から同職の義父の不正を告発、自殺に追い込んだことで、職場でも家庭でも居場所がない。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。

スーパーカブを駆って日本一周をつづける、十九歳、浪人生のひと夏の物語。

「犯人は〇〇だよ」。鈴木の情報は絶対に正しい。

伊賀には表と裏がある。八劔なる裏伊賀の忍者たちは、血を掛け合わせて人材を生み出す謎の集団。

時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くにある三好家の屋敷に、その男はいた。

俺は、住み込みの牛乳配達員として働きはじめた。「暴力太郎」と渾名される筋者と付き合うようになり、生活は次第に乱れてゆく。

やんちゃが少し過ぎた俺は、祖父の差し金でマンションの管理人見習いに。だがそこは、「なんでもアリ」の殺し屋専用住居だった。

著者のエッセンスが満載された最後の短編集 八人の子供がいる家庭へ脅迫電話。「子供の命は預かった」。

3基の原発が立地し、原発マネーに依存する北海道・道南市。

スーパーの親爺。ヤクザからは足を洗った。

この中に紹介されている悪所場に独りで、あるいは悪友と出かけた、著者の味わった愚かさと無常観と、そして幾ばくかの快感を味わってみてください。

トシオ・マナハン、13歳。フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てる日々だった。

「孤独ってみじめだけど、孤独にならないと先に進まないこともある」と愛犬・ブビヲに呟きつつ、お好み焼きに淫し、資料に痺れ、刻むように書く毎日。

橋岡恒彦は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とは電話詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。

関東の地方都市で起きた連続猟奇殺人事件。

深夜2時、渋谷。少年院から出たばかりの貢は、北勢会のチンピラを蹴り上げていた。

赤坂南署生活安全課の黒沢七海は、不法侵入、容疑者拉致、ハニートラップなど捜査に手段を選ばない女刑事。

戦争が終わってちょうど十年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。

かつてなくリアルに描かれる捜査の実態と癒着、横領、隠蔽、暴力、…日本警察の真実のなかにあぶりだされる男たちの強烈な光と闇。

広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。

小説を愛してやまない文芸編集者の澤野逸郎は、文芸誌“小説○○”の編集長になった。

黄色いアサガオだけは追いかけるな―。この世に存在しないはずの花をめぐり、驚愕の真相が明らかになる長編ミステリ。

いちばんの快感は、他人の意思、あるいは意志をねじ曲げることである。

マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。

那覇は、熱気に覆われている。11月の倦怠に抱かれ、作家は街を流れた。

警視庁公安部OBの鷹田は絶句した。カルマ真仙教元信者の死刑囚から、秘かに五億円もの金を預かっている男がいたのだ。

姉の下腹には盲腸の手術跡があって、砂をガラスで引っ掻いたようなケロイドが残っている。「注意したほうがいいわよ。

琵琶湖のほとり、田圃の真ん中で派手なネオンを輝かせる雄琴のソープランド街。

必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。

時は鎌倉時代末期。足利家の家宰・高師直は、幕府より後醍醐帝追討の命を受け上洛の途に就く。

少年の名は峰岸情、十七歳。彼にとってトルエン、窃盗、暴行は日常茶飯事。

銀河という名の夜行列車に乗り、幸子を東京に置き去りにして、十七歳の惟朔は京都をめざした。

失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。

藤堂率いる国際的犯罪組織と、日本最大の暴力組織“本社”の銃撃戦に巻きこまれ、消息を絶った藤堂の娘・カスミ。

大阪府警の堀内は恐喝がバレて依願退職。民 間に拾われるが、暴力団と揉めて刺され、左 脚に障害が残る。

5分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口26万に激減していた。

太平洋戦争。 寒村で起きた悲喜劇。