忘られぬ死
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
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評判
忘られぬ死の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク
忘られぬ死の総合評価:
8.50/10点 レビュー 12件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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直訳すると、泡を吹くシアン化合物。
「シアン化合物」とは、殺人犯人が使った毒物、青酸カリ。
「泡を吹く」とは、スパークリング・ワインのシャンパン。
犯人は、シャンパン・グラスの中に「青酸の結晶」(253頁)を入れて殺したのです。
直訳では、アガサのいつもの毒殺ものか、とタイトルだけでネタバレですものね。
そうかと言って、本書のタイトルのように意訳するのも、純文学的で・・・
「忘られぬ死」。未読の読者には意味不明のタイトルです。
本文を読み終わってみると、心にしみてくるタイトルです。
「忘(わす)られぬ死」
夫ジョージは、一年前の妻ローズマリーの死を忘れられません。
莫大な遺産を手に入れて富豪になった妻の死は、
自殺ではなくて、殺人だったのでは、と夫は疑います。
妻が自殺するわけはないと考えた夫は、
妻を殺した犯人を驚かしてやろうとサプライズを企画します。
「ローズマリー、それは、記憶。 / 忘却はゆるされない」(65頁)
「ほら、ローズマリーだよ、花ことばは記憶」(149頁)
「忘られぬ死」とタイトルを意訳した訳者の気持ちも、もっともですね。
急死した妻を忘れられない夫は、本当に妻を愛していたんです。
本書の「目次」
第一篇 ローズマリー
第二篇 万霊節
第三篇 アイリス
「ローズマリーはアイリスより六つ年上だった」(11頁)
姉ローズマリーと妹アイリスの物語。
姉が死んだら、遺産はそっくり妹へ移るはずでした。
姉ローズマリーが死んだ「あの日は万霊節だった」(261頁)
姉の莫大な遺産が、妹アイリスに移った「あの日」。
その一年後、「アイリスの十八歳の誕生日を祝うパーティ」(163頁)が催されました。
その席で、ローズマリーの夫ジョージが毒で殺されました。
お金がない夫なのに殺されてしまいました。
シャンパン・グラスに入れられた青酸カリによる殺人でした。
何者が毒薬を入れたのか? 気が付いた人間がひとりもいない。誰も見ていない。
妻の死は、自殺ではなく、殺人だった、と疑っていた夫は、
妻の死んだ一年後に、妹の誕生日ディナー・パーティを企画しました。
自分と同じテーブルに、死んでしまった妻のために空席を用意したのです。
殺した犯人を驚かすために、犯人を動揺させる罠をしかけたのです。
この「空席の謎」(364頁)は、
妻にそっくりな元女優のミス・クロイ・ウェストの説明であっけなくとけてしまいました。
「登場人物」の最後に《クロイ・ウェスト………元女優》と入れてほしいです。
本書の表紙カバーの写真は、その「空席」の写真のように感じられました。
写真の中に、(縦長の細い)「シャンパン・グラス」は見当たりません。
ロウソクで照らし出された「HAPPY BIRTHDAY」のテーブルクロスの文字が不気味。
ローズマリーの夫ジョージが殺されたわけ? 口封じ? あるいは、単なる間違い?
殺されなくてもいい人間が、間違って殺されるなんてこともある、この世です。
この世の不条理。それこそ、サスペンス小説のネタです。ネタはいつまでも尽きません。