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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数271件
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事故で子供をなくし生活に疲れ切った37歳の主婦を被害者の一人として描いたミステリ。
甘い香りでターゲットをおびき寄せ、その養分を全て吸い取るウツボカズラ。 美やお金への飽くなき願望がその罠へと誘う。 女性のあくなき「美」への願望やその執念は分からなくもないのですが、それにしても、「あなたは、もっと美しくなれる!」の一言でコロッと騙されてしまう。 男にはなかなか理解できない部分ですね。 序盤の2視点、繋がる事は明らかなのですが、簡単には繋げない。 この接点こそが物語のキモなわけで、この見せ方は上手いと思いました。 ネタバレにならないように言ってしまうと、一種の「なりすまし犯」な訳ですが、アイデアは秀逸に思いました。 ただ、接点が明らかになってからの展開が少し早すぎで、本来ならもっとスケールの大きな作品に出来た気もします |
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女探偵・葉村晶シリーズの2作目。
というか、この作者の作品は初読だったので、シリーズ1作目は読んでいません。 評価が高かったんで読んでみた、って感じなのですが、正直失敗しました。 第1作からちゃんと読むべきでした。 9編の連作短編集で、春→夏→秋→冬と時系列に話が進み2年後の春で終了するという構成。 扱う事件が事件らしからぬ軽い案件ばかりという事もあってか、1編1編が非常に短いです。 主人公の女探偵の一人称という手法を取っている割に、多くを語らず、感情も表に出さないためか、非常に無味乾燥、悪く言えば「シラー」っとした「流れ」も兼ね備えているといった印象なのですが、不思議とテンポやキレと言ったものを感じてしまいます。 と言うのも、謎が解かれて明らかにされるのは「悪意」で、何れの作品も読後感は良くないですが、強烈に印象に残ってしまうからでしょうか。 あと何気にプロットもしっかりしてますよね。 読み応えありって感じではないですが、読んで見る価値ありな作品。 「短編ってやっぱりこうでないと」って思えた短編集でした。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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役者が総理大臣の替え玉にという相当無茶な設定。
普通に考えると、そもそもまともにこなせる訳もなく、総理大臣の職務を舐めるなよである。 また、バレないなんて有り得ないのだが、まさかバレないまま終わるなんて予想だにしていなかった。 この辺りに引っ掛かる人にはこの作品はダメだろう。 どう考えてもフォクションなんだし、フィクションと割り切って読み進めれば面白いと思いますよ。 逆にシリアスに書き切ったのは凄いと言えるのではないでしょうか。 |
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「最後の証人」で弁護士として登場した主人公佐方の検事時代の話を中心に描いた連作短編集。
佐方シリーズ3作目となります。 2本目の「業をおろす」は、前作の5本目「本懐を知る」の続編となっています。 作者の配慮はあるものの、やはり順番通りに読むべきでしょう。 ただ、ここまで謎を明らかにする必要なかったのでは。 要するに、「本懐を知る」で終わらせておいた方がよかったと思ったって事です。 今作は、前作に比べて案件が小粒。 どんな小さな案件だろうが、妥協せず何事にも屈せず正義を貫く佐方、という事なのだろうが、前作以上を期待して読んだ側からしたら幾分肩透かし感はある。 また、前作でしっかり描かれていた「相手に真実を吐かせようと思ったら、人間として向き合うべきでしょう」の部分が今作では希薄。 単独なら比較的高い評価が出来る作品ですが、前作を読んでいると「あれ?」になっちゃうかな。 まぁ前作が凄すぎたって事ですね。 |
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交通事故で片足を切断、選手生命を奪われた、オリンピックを目指す女性アスリートが再起をかける物語。
と思いきや、事故の加害者が主人公の幼馴染、そして事故直後に殺害されるという意外な展開。 ここに犬飼が登場した時には驚いただけでなく、これは一筋縄ではいかない事件なんだなと、またどういう方向に進むのかと。 と思いきや、加害者の弁護人がなんと御子柴。 待望の犬飼VS御子柴であり、前のめりにもなりそうなもんだが、前述の再起を目指す女性アスリートと掛け合わせると、残念ながら、この先の展開とまではいかないまでも結末だけは読めてしまった。 そこに行き着くまでの過程として、(大御所二人の登場もあり)ミステリ要素の介入を期待してしまったが、残念ながら・・・と言わざるをえない。 二人の初顔合わせといったところか。 らしさを発揮したのはやはり御子柴の方で、今後の作品での犬飼の反撃に期待したい。 登場人物のリンクが多い中山作品。 御子柴に一矢報いるとすれば、犬飼だとは思うものの、犬飼では御子柴を倒すには至らないかなぁ・・・やはり対御子柴の最終兵器は岬洋介か。 物語はと言うと・・・主人公の脳みそが筋肉過ぎて、好きになれなかったなぁ・・・ |
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最近マイブームの柚月裕子さんの処女作。
障害者施設の闇を描いた骨太な作品です。 失語症であったり、知的障害だったり、抵抗、反抗の表現が出来づらい弱者に対する性暴行がテーマ。 読んでいてちょっと辛いところがありますね。 「聖者の行進」を思い出してしまった。 声に色彩を感じ嘘を見破る共感覚を持つ人物を登場させています。 読み手には誰が悪人なのかすぐに分かってしまい、それにより今後の展開が見え見えになってしまったりするのですが、最初の最初から嘘しか語らない悪人どもの糞っぷりが強調されてましたかね。効果的だったとは思いますが、一方で読んでいての驚きがないんですよね。 読み手を驚かせるタイプの作品ではない、と言われればそれまでなんですが、感動させてくれる作品でもなかったですしね。 また、主人公の臨床心理士の言動がやたら軽率なのが気になりました。 歳相応の落ち着きが欲しかったですね。 他のレビュアーの方も述べていますが、私もあのシーンのあの描写は不要だと思いました。 作品の中で浮いています。 っていうか、主人公のような女性には興味を示さないっていう設定じゃなかったっけ? |
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安楽椅子探偵ものの5話連作短編集。
タイトルや表紙の装丁から日常の謎的なものを想像していましたが、そこは元裁判官の静おばあちゃん、本格ミステリとまではいかないまでも、扱われる題材は殺人事件であったり、冤罪事件だったり、中には少し重めの内容のものもあります。 葛城刑事と孫である円が解決する事件の裏で暗躍する安楽椅子探偵静いったところでしょうか。 葛城と円のサイドストーリもほんのりいい感じ。 ラストの真相は、作者お得意のどんでん返しのつもりなのでしょうか。 まぁご愛嬌かな、とも思いますが、これって、続編はないって事なのかな。 シリーズもの向きだとは思ったのですが・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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孫請け零細工場の社長、コネ入社の地銀窓口で働くOL、カツアゲ・窃盗を繰り返すチンピラ。
この一見何の関係もなさそうな3人の登場人物が「最悪」に向かって深みに嵌っていくという物語です。 この3人に共通するのは、何れも「ピラミッドの底辺」にいる人達だと言う事でしょうか。 (約一名、自業自得な人はいますが)即ちこの作品で描かれる「最悪」とは底辺ゆえの「理不尽な最悪」だと言えます。 「あぁ多分この人こうなっちゃうな~、最悪」通りの展開になってしまって「何の捻りもない」なぁ、とも思ったのですが、それだけリアリティがあるって事でしょうか。 正直、読んでいて辛くなってきますね。 そんな3人が「最悪」のタイミングで出逢うのですが、ここからは一転ハチャメチャになります。 さっきまでのリアリティが影を潜め、少し喜劇のようになるのですが、「最悪」を通り超しちゃって最早笑うしかない、って感じでしょうか。 人間、冷静さを失うとこうなってしまうのかも。こちらも意外とリアリティがあるのかも知れません。 |
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結婚式場を舞台に、ウエディングプランナーを主役とした4組のカップルの物語。
伊坂幸太郎を意識したような多視点構成で描かれていて、晴れの良き日に何を考えてるんだよ、な連中が巻き起こするドタバタ劇なわけですが、伊坂作品と違うのは、「あぁ、こういう人って実際いるよね」なところでしょうか。 最後上手く収束されるのですが、そこには男性が絡んでいるんですね。 結婚披露宴は勿論新婦が主役なのですが、それを裏からしっかり包み込む新郎、主人公の同僚など、脇役である男性の優しさを描いた作品だと思いました。 まぁ、約1名どうしようもないバカ男がいましたが・・・その男は例外ってことで。 彼だけは地獄に落としてもよかったんじゃないかな(笑) |
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法医学教室を舞台とするヒポクラテスシリーズの1作目です。
「死体は嘘をつかない」 なる程その通りであり、正直者の死体さんから色々な情報を引き出し、ミステリで言えば、トリックを暴いたり、真犯人をあぶり出したりと、題材にされることは多いように思います。 とは言え、読み手には決して明るくない分野ですから、専門用語の羅列では厳しいですし、リアリティを追求せんとすればグロテスクになり引かれてしまいます。 この手の作品の場合、重要なのはこの辺りのバランスだと思いますが、このシリーズは、主要登場人物達のそれぞれの立ち位置が、上手く作品のバランスを取っていて、偏った方向へ深く進んでいかないようになってますね。読みやすいと思います。 「管轄内で既往症のある遺体が出たら教えろ」 凄腕光崎教授から、例の埼玉県警捜査一課古手川くんへのこの依頼が作品のキーとなっていて、各5つの章、1つの事件を扱うという形になっています。 それがラストで、上記教授の意図から、内科医を目指していた主人公真琴が法医学教室に派遣された理由など全てがきれいに繋がるという構成です。 これまでの作者の作風から、恐らく最後こうなる、というのは予測できてしまうのですが、無理くりのどんでん返しといった感じはなく綺麗にまとめたなという印象を受けました。 手違いで2作目を先に読んでしまっていたのですが、この作品の方が、綺麗にまとまっているというだけでなく、個性的な登場人物らの人間性や関係性の提示もあって面白いです。 それにしても、発掘される事なく埋もれたままでいる真実って実は沢山あるんでしょうね。怖いなー。 |
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高校の同窓会。
高校生という多感な時期のスクールカーストに、卒業から何年経っても支配されていたりする。 出世、結婚、出産・・・。そこに、妬み、嫉妬が絡んでくるのは必然なのかも。 下位だったものは逆転人生にほくそ笑み、上位だったものが居心地悪くなったり・・・ そんな事、決して表に出さないけど自然と上から目線。 他人との関係性の中にしか自分の価値を示せない生き方は哀れだともわかっているけれども、一つの拠り所にしてしまっている自分がいるのね。 そんなこんなで年々参加者が減っていく。 「忙しい」なんてのは不参加の理由にはならないんだろうね。一日しかも数時間という時間を捻出できないやつなんていないだろうから。 自分にも身に覚えがあるけれども、それを文字にしてしまうと、というか、辻村深月が文字にするとかなりエグいなぁ。 そんなこの作者らしい物語以外にも、これもこの作者らしい、読み手を混乱させる工夫が施されていたりして油断できない作品ですね。 私の場合、最終章「トリを飾るのがお前なの? ん!?」って感じでした。 「何か変な感じがするな」とは思ってましたけど、登場人物たちに毒されて麻痺してましたかね。 |
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宮部みゆきさんの「火車」っぽい作品だなと思いながら読んでいました。
この名作と比較してもどうしようもない訳ですが、途中まではいい線いってたように思います。 最終章でフルボッコKO負けって感じですかね。台無し感満載でした。 巧みな話術と悪魔的な魅力で相手を虜にしてきた稀代の悪女が、「こいつただのバカじゃん」に一気に格下げ。 無理矢理作者得意のどんでん返しに持っていこうとしたから、って気がしてるんですけどね。 それにしても、FPなんて、今や主婦が片手間でも取れる資格なのに・・・ 「FPの資格を持っています(キリッ」って言われてもなぁ。 そんなので騙される人いねーよ。 男と女の騙され方の違いは面白かったかな。 女は最後まで他人を頼るのね。で、手を差し伸べられると同性であってもコロッと。 一方、男は美人に弱いと。 男の方がバカっぽいけど、どっちもどっちですよね。 |
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自分の作品である「連続殺人鬼カエル男」を自分の作品の中で映画化、その制作現場を描くという中々に面白い作品。
中盤のあのバイオレンスシーンは映像化したらさぞかし盛り上がる事でしょう(笑) 様々な困難に立ち向かいながらも、映画制作に懸ける心意気や熱さ、そしてそこに主人公の成長を描きますが、殺人事件まで起こしてしまうのは正直やり過ぎかと。 普通ならその時点でお蔵入りだろう。しかもクランクアップ後の犯人発覚。 読み手である私の、チームに対する、思い入れも固まった状況。 救済策があるのかと思いきや切り捨て代役とは・・・ 世に出す事が、そんなに大事なのかと・・・ ミステリの部分は、あっさりしていて軽く、重きを置かれているとも思えず、それなら正直不要だった。 憲法第三九条をめぐる人権団体との攻防を最大の障害とした方がよっぽどこの作者らしかったと思うのですが。 |
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自身が提案したアイデアが採用され、新規事業開発、そしてその夢を実現させる女性の話。
舞台は沖縄~南大東島という事で、作者の「カフーを待ちわびて」同様、どこかのんびりした雰囲気があるので、「ビジネス」という臭いはイマイチ。 そこがいいのかも知れませんが・・・ 主人公からは、正直、新規事業開発をリーダーとなって引っ張るような行動力を感じる事はできなかったのですが、好感度の高い女性ですので感情移入はしやすいかも知れません。 実話を元にしたという事ですが、作者にサラリーマン経験がないためでしょうか、「そんな甘いもんじゃないですよ」と言いたくなる。 苦難が余り描かれていないのだ。余りにもトントン拍子に行き過ぎ。 実物の主人公さんは実際間違いなくもっともっと苦労しているはずだ。 意図的に端折ったのか取材不足なのかの判断は出来ませんが、個人的には後者な気がしてます。 まぁその分、読む側も何のストレスもなく気持ちいいまま読み終えることが出来るのですが・・・ |
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図書館本です、ごめんなさい。
好き勝手に書評書いてます、ごめんなさい。 「音楽モノ」に加えて「出版業界モノ」がラインナップに加わったと考えていいのでしょうか。 メッセージ性の高い作品を多く描く作者ですが、この作品は、「メッセージを発信する」というより、主人公の名前からも分かるように「毒を吐く」である。 対象は自身が身を置く出版業界。 刑事物であるから事件は当然起こるのだが、その裏で皮肉やら嘲笑やらをチクチク披露する。 主眼はそっちだろうと言わんばかりで、主人公の日頃の鬱憤を毒島の口を借りて晴らしているといった感じだ。 (さすがに自分が身を置く業界なので)キレたり、ドカーーーンと暴言を吐いたりはしない。 毒島はそういうキャラ設定にしてあり、サラッとキツイ事を言う。 作者が普段から思ってる事なのかなと勘ぐるっていうより半ば確信しています。 シリーズ化希望します。 次はお金払って読みます。 |
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伊坂の作品にしては、「らしい」けど「意味不明」でもないし、わかりやすいとは思うので、伊坂入門書として最適な気がします。
と言って、伊坂の代表作の1つとなるような作品ではないように思います。 車の視点で語られる、つまり「車同士が話をする事ができる」設定の物語。 「空いたボンネットが塞がらない」などの言葉遊びやお得意の面白い比喩が炸裂しています。 そして、例によって、伊坂作品らしい悪人が登場して、主人公家族(主「車」公ではない)が窮地に陥ります。 車たちは会話できる事がが全てで、実際「話」以外に何もしないんですね。 人知れず大活躍ってのを期待していたのですが、というか当然そういう展開だろうと思っていたんですが・・・ そこが残念というか、「何故?」っていう感じでした。 エピローグが良かったですね。 個人的には伊坂作品らしくないほっこりした終わり方だと思ったんですけどね。 |
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高校生の娘をひき逃げ事故でなくして以来、全てを失ってきた初老の男、と万引き犯の少女。
将来を嘱望され会社役員候補と目されていた状態からの転落人生。 本来であれば、住んでいる世界が違いすぎて交わる事など有り得ない(救いようのないような)少女との出逢い。 それでもその男は、やはり高人格であり、そんな少女相手なら、何もかもを達観した落ち着きと余裕を持った接し方になるのは当然だったろう。 そんな二人が、全く想定外~~想定できる範囲内だったが、小説のラストとして選択されないだろうと考えていた~~のラストを向かえては、こちらとしてもどうも読後感が悪い。 これを「世界が反転」という表現はおかしいだろう。 どん底に叩き落しただけではないか。 まぁ、それまで徹底的に読み手が感情移入出来るような描き方をしておいて・・・ってとこは、やはり上手いのか。やられたって事なのだろうか。 「葉桜」とは別の意味でかなり印象に残る作品になってしまった。 |
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【ネタバレかも!?】
(2件の連絡あり)[?]
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「魔女は甦る」の続編。
前作だけでは余りに消化不良なので、前作を読んでいるなら読むべき作品だと思いますし、勿論前作を先に読んでおくべきでしょう。 ひょんな事からヤクザとコンビを組んで、ヒートの売人を探す事になった主人公・七尾。 主人公・七尾は、前作にも少しだけ登場しており、(前作の主人公)宮條を慕っていた麻取のエース。 麻薬の効かない体質というのも、今までにない、中々に効果的な設定だと思います。 しかし、その売人が殺されて、殺人容疑をかけられてしまう。 追手の追従をかわしながら疑いを晴らし、という食欲をそそる展開なわけですが、その追手というのが、嘉手納基地から発進されたホーネットって・・・ 正直、こういうのやめて欲しい。 「魔女は甦る」→「ヒートアップ」って、タイトルだけ聞いていると、どこか宮部みゆきっぽいな、なんて思ってたんですけど、こういう時、宮部みゆきならお得意の「魔術」が降臨するわけですが、この作者の場合は「バイオレンス」でオトスんですね。 どっちもどっちだけど「魔術」の方が全然マシです。 2点減点。 それにしても、宮條が生きていて、ヤクザの山崎とあの御子柴が繋がっているという・・・ 出し惜しみしないという点は相変わらずです。 これは続編がなきゃウソだね。 |
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碓氷優佳シリーズエピソードゼロ。
倒叙ミステリ三部作で探偵役として活躍する碓氷優佳の高校生時代を描いたエピソードゼロ的作品です。 タイトルからは、人間・碓氷優佳を形成するきっかけとなったエピソードでも描かれているのか、など期待していましたが、この頃からキレキレでした。 折り返しの「著者のことば」には、三部作を先に読んでいなくても楽しめるとありますが果たしてそうでしょうか。 三部作未読の方にとっては、少し読後感の良くない単なる日常の謎風ミステリと感じるのではないでしょうか。 しかし、三部作既読であれば、ラストの展開にはニヤニヤなはずです。 既読者にとっては、ある意味この作品も倒叙ミステリといえるのではないでしょうか。 表装の萌え絵でカムフラージュされていますが、登場するのがあの碓氷優佳である以上、ライトな物語であるわけはないですからね。 個人的には「扉は閉ざされたまま」くらいは先に読んでおいた方がいいかなと思います。 |
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