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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数78件
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「放課後」に続く東野圭吾の学園ミステリー第二弾で加賀恭一郎初登場の作品になる。
大学4年生なので阿部寛に置き換えて読むのはかなり困難ではある。 「放課後」といいこの作品と言い、作者はちょっと学生に何か偏見を持っているのだろうか。 いくら親友だろうと、その人の全てを知っている訳ではない。 確かにその通りなのだが、ほぼ知っているから親友なのだと思うのだ。 その親友を殺すに至る動機にしては余りにも弱過ぎないだろうか。 大学4年生といえば、子供から大人への・・・っていう段階でもないと思うのだが・・・ しかも学業もスポーツもトップクラスの面々なのだ。 その割に殺害に至るまでの思考が単純すぎる。 「頭にきたから殺す」的で、親友に手をかける事に対する本来そこにあるべき紆余曲折の苦悩・躊躇といったものを感じることが出来なかった。 学生=子供、青い 作者がそのように思っているような気がしてならない。 タイトルの「卒業」は、そういう「青さ」からの卒業、そんな風に読めてしまった。 主要登場人物が誰一人として幸せになれない卒業ってのもどこか無理矢理で「大人になる前の試練を与えてあげました」的な感じがして共感できなかった。 だから読後感はイマイチ。 一方ミステリーの方だが、これもイマイチ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ショートショート含め8本の作品が収録されていますが、軽めのミステリが多いっていうか軽すぎっていうか緩すぎですね。
ショートショートの4作品は携帯サイト向けに書かれたものらしく、なる程そりゃ字数制限やら何やらの制約もあったのかなと思わせる内容。 特に「殺風景な部屋」には脱力で、小学校低学年向けの推理クイズ並の真相には逆に意表をつかれてしまいました。 正直タイトルに惹かれたというか、かなり期待していた表題作。 相棒が盗作疑惑に巻き込まれ、右腕(?)を失い窮地に陥った火村に最後有栖が・・・てな内容を期待しながら読んでいたのですが・・・ 「パロディじゃねぇか(笑)」 面白かったですけど、この作品にこのタイトルは勿体なさ過ぎでしょう。 後は、こういう大掛かりなトリックがこの作者さんには珍しい気がして「あるいは四風荘殺人事件」が印象に残りましたかね。 それとミステリ云々とは全然関係ないんですけど「雷雨の庭で」の中で、某人物が有栖の作品を3作所有しているという記述がありまして、想像するに持ってないのは「女王国の城」だろうなぁとか思ってみたり。 実際「双頭の悪魔」から15年も開いた訳ですが小説の中ではどういう設定なんだろうか? この作品が発表された時には既に「女王国の城」は出てたはず。 |
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レーン四部作の最終章。
XYZそして最後の事件とこの順序で読み進めなければいけないのは当然だとは思う。 このシリーズには(シリーズ全体を通した)様々な伏線が張り巡らされており、この最終章に集約されるためである。 そもそもこの作品においてレーンは名探偵ぶりを発揮するに至っていない。この作品における探偵役はペイシェンスなのである。 レーンがいかに名探偵であるかはXYを先に読んでいなければわからないし、最終章におけるこのラストを成り立たせるためには、レーンに変わる探偵役(ペイシェンス)が登場するZも既読である必要があるのだ。 しかしその一方で、このシリーズを正しい順序で読み進めてきて、このシリーズに愛着を感じていた読者にとってはかなり首を傾げるラストではなかったかとも思う。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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レーン4部作の3作目。
Yの悲劇から10年後という設定になっています。 主要メンバもその立場を変え、そして年齢的にも老いたなぁという印象です。 得意の変装もなしです。変装しても変装した対象と同じ動きができない程、肉体的衰えが見えると言う事でしょうか。 こういう現実に則した設定は評価していいのではないかと思いますが、若干読んでる方は歯がゆくなったりします。 そんな中この作品には、サム元警視の娘ペイシェンスが新たに探偵(もどき)として登場します。 最後はやはり主役交代して美味しいところはレーンが持っていくのですが、序盤戦はレーンが手助けをする形。 (レーンと比較して)彼女の推理のまだまだ未熟な点や青さがよく描けていると感じたのですが、ただそんな彼女の一人称で終始したのはどうなのか。 おかげでこれまでの2作品とは大きく雰囲気が異なってしまっていますが・・・どことなく軽い。 この作品がこれまでの2作品と印象が違うなと感じるのは視点だけではありません。 死刑執行過程の描写が含まれているのですが、この箇所だけ異様に浮いているように感じました。 死刑が執行された日時は推理上で非常に大きな意味があるのですが、執行される人物は事件に全く関係のない人物ですし、不必要と思えるくらいの詳細な描写がなされています。 作者は死刑制度の現状というかその是非まで含めて世に問いたかったのでしょうね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ガリレオシリーズといえば、探偵役の物理学者湯川学が一見不可能犯罪をその知識を活用して解き明かすといったものですが、この作品の場合若干趣きが異なる感じがしました。
予知夢というタイトルからも想像できるように少々オカルトっぽい題材が多く、いつものあの湯川の読み手にある意味強要するような(理解するのも大変な)解説も薄まっています。 最初の2作品など、物理学の知識に殆ど関連していませんし・・・ そして最後の作品のラスト。 短編集ってどうしても軽く、後々まで印象に残るものが少ないのですが、ガリレオシリーズでのこのラストはインパクトがありましたね。 作品の前提そのものを覆してしまいましたけど・・・(苦笑) その一言が全てを持ってったって感じですね。 |
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「皇帝のかぎ煙草入れ」に続いてカー2作目。しかしまた異端作を手にとったらしい。
「心理学的推理小説」と銘打たれた作品。 元々曖昧な人間の観察力に心理操作が加わると真実とは全く異なるものが見えてしまう。 この作品は、それを利用した犯罪という事になるのですが、正直心理トリックものの難しさを痛感した次第です。 登場人物達と同じように、我々読み手に対して同様の心理的効果を与えられるのか。 読み手を納得させるのは大変でしょうし、実際全ての読み手を納得させるのは無理でしょう。 読み手は所詮はその場にいなかった部外者ですし、読む時のコンディションや気合の入れ方も様々でしょうから、全てにおいて「そんな上手い具合にいくかよ」と思わせないようにするのは無理というものです。 だったらどこまで納得できたかが評価の基準になるはずだけど・・・一様に評価高いんですよね、この作品。 もっと評価が別れてもいいような作品に思えたのですが・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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まず驚いたのは、刀城言耶シリーズにしてはリーダビリティが高いこと。
登場人物が多く、読みづらい名前、地名は相変わらずだが、文庫本にして700ページ超えの割にさほど苦労せず読めてしまった。 ホラーとミステリーの融合がこのシリーズの特徴と言えますが、この作品に限って言えば、ミステリーの部分とホラー的要素が結びついていないように思います。 というかホラーっぽいところは余り描かれていませんし、その数少ないホラー現象に対する論理的解決が全くないというのも寂しい限りです。 最後言耶の推理が二転三転するのはこのシリーズのお約束ですが、それにしても今回は派手。 犯人を指摘するにはまだまだまとめきれていない段階で推理を披露している感じで、偲に覆されているようでは・・・ 最終的に行き着いた結論に関しても、一応辻褄は合っているが・・・というレベルではないか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルだけ聞くと、あの「城シリーズ」を想起させ嫌な思い出がよぎったが、当然そこまで破天荒ではない。
有栖川有栖の館シリーズって事だが、当然あの「館シリーズ」のような派手さはない。 やはり有栖川有栖は有栖川有栖なのだ。派手なタイトルの割にやはり地味だ。 火村シリーズの短編集。 火村シリーズはどこか淡々としていて静のイメージ、江神シリーズと比べると退屈な作品が多い印象だから、短篇集の方が切れがあるようには感じた。 でも、やっぱりこのシリーズはその退屈なのがいいんだわ。大人二人が繰りなすあの「正統派本格」っていう雰囲気がね。 だからたまに読みたくなるんですよね。短編だと若干その良さが殺されてるかな。 6編ありますけど、ロジック勝負の作家さんですからね。 「バカヤロ~」ってのと「こんなモン分かるかい」ってのが1編ずつありましたけど、残り4編はまずまずかな。 |
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このシリーズの弱点は、読み手がトリックを見破るのが難しいというところじゃないですか。
こちらが推理を組み立てる事が出来ないという事になれば、言わば一方通行と捉えられても仕方がない。 つまり専門知識を要するというですが、読み手はそれが机上の空論ぽくとも受け入れざるを得ないですからね。 私は理系出身ですが、このシリーズ読むといつもそうなります。 その点で、活字より映像の方が向いている作品といえるでしょうね。せめてイメージさせて。 あと総じて言えるのは、このシリーズ(容疑者Xは除く)の犯人には「心がない」ような印象を持てる事ですかね。 短篇集だから描き切れていないだけなのかもしれないのですがが、知的なヤツほど狡猾で怖い・・・個人的には意外に効果的かもと感じています。 |
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キャラ重視な短編集で設定勝ちじゃんとも言えるのですが、個人的には少しバランスが悪いかなと感じています。
朝永と鞠夫の関係性はいいかなと思うのですが、紅一点妹尾さんのキャラが、推理展開上役に立ちそうもないキャラで朝永に被っているかなと・・・ 彼女がもう少し切れ者なら三人のバランスが取れるかなぁとも思うのですが・・・ 心の声で、無能な朝永を扱き下ろしたりしたら面白いのになぁ。 「殺戮」はもとより「弥勒の手」や「探偵映画」が好きな私にとっては歓迎する作品ではないのですが(ドットジェイピーよりはマシ)、シンプルながら最後必ず驚かせてくれる絶妙なプロットを繰り出す我孫子さん。 この手の短編作品を描いてもしっかり安定してます。 突飛な設定ではあるのですが、推理小説という体裁は保っているので、ファンタジーでは終わっている作品ではないのが流石です。 |
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作者の作品は3作目。
「扉は~」「水の迷宮」同様、限られた空間、限られた登場人物で繰り広げられる物語。 その中で、論理展開、謎の解明、そして自分達の中にいる犯人を見つけるという流れです。 しかし、この作品は前述の2作品とは少し違う。 それはハイジャック中に密室殺人が起こったという設定だという事です。 同じ事を感じられたレビュアーの方も多いようで、主要登場人物を除く本来大多数を占めるはずの人質の皆さんが人形扱い。 事件発生現場のスケールに見合わない。どこかマンガみたいです。 事件の背景にあるカルト思想の設定も、結局腑に落ちる形の説明がないので最早ファンタジーの世界です。 また、蚊帳の外にいるキーマン「師匠」に対する描写が圧倒的に足りないので、個人的に「変なおっさん」止まり。 なのでハイジャックの動機なども納得できるものではなく、知的面々の論理展開というより「変人の集い」になってしまっている印象です。 せめて犯行動機であるあの「奇跡」に対して、もう少し納得できる形での描写があれば、評価も変わっていたのですが・・・ |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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