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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数78件
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私が伊坂幸太郎の作品で1番好きなのは「チルドレン」ですが、それを連想させるような温かな連作短編でした。小説を小説で例えるなんてナンセンスですかもしれませんね。
短い話の中で語られるわずかな出来事から芋づる式に新たな話が繰り広げられていく、この作家は何でも物語にできてしまう。恐ろしいです、一語たりとも読み飛ばせません。最後の締め方も余韻があって美しく感じました。丁寧に読まないと頭に靄がかかりそうですが、書きすぎないところに「らしさ」がありました。 早く人生のバケーションに入りたい。 |
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日本シリーズ目前に、東京タワーに登った監督が忽然と消えてしまう謎を追う本格ミステリ。野球を絡めているのが新鮮で面白かったです。
事件を推理するのは新聞記者達。4人の個性が際立っていて魅力的でした。よくあるのは探偵と、いてもせいぜい無能な助手役。探偵からの視点を避けるための役でしかないのがなんともつまらないことがありますが、本作は一線を画していました。 複雑な事件であり、所々に謎の会話が挟まるので少しわかりにくいです。読んでる途中はハテナだらけでしたが、最後にはスッキリするので憎めません。 |
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ある日、銃を拾った大学生の心情の移り変わりを描いた作品ですが、少し共感しにくい印象です。その要因は、まず銃に馴染みがない、それと主人公がかなり活動的で、怖いもの知らずなところ。
とはいえ誰しもこのような変化はあると思います。それが銃ではなくても。本作はそれが少し大胆です。とにかく人の心を丁寧に描いていてグイグイ引き込まれました。 |
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想像していた作品と全く違いました。「愛」について書いているのでしょうが、非常に広義で多義に感じました。純愛を描いているのではなく、どれも変化球な作品な印象です。
1番のお気に入りは「やすらぎの香り」です。とはいえ4つの短編全てが心に重く響きました。今ある幸せをしっかり噛み締めて、大切なものを大切にすることの意義や、何かを失くして初めてその大切さを認識することなど、外から俯瞰すると気付けても実際に自分のこととなると気付けないことに気付かせてくれる一冊でした。 |
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所々で出てくる冗談が、わかる人が読んだら面白いのかわかりませんが、只々寒いだけで読むのしんどいなぁ〜とあまりのめり込めはしなかったのですが、事件とその解決だけを切り取ったらこれはなんとも素晴らしい!
とんでも無いような夢のある幻想的なトリックを使うのではなく、非常に現実的な内容でそれを論理的に導いて解決する様は見事でした。ヒントも所々に散りばめられているので、解決してしまう読者も一定数いるかもしれません。そこも好印象です。同じような作風なら次作も読んでみたいと思います。 |
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命や恋愛観に関する短編4作品、なんて言い方はできそうもなく、血なまぐさい異色な世界観のお話です。
表題作の「殺人出産」は、10人子供を産んだ「産み人」は誰か1人を自由に殺めることを認められ、この殺意のおかげで人口を維持できていると「殺人」を肯定的に捉えた世界を描いています。「産み人」でない人が殺人を犯すと「産刑」に処され、永遠に子供を産み続けなくてはなりません。奪った命を自らの命を絶つことで償うのではなく、新たな命を生み出すことで償うというのです。 この作品は意外にもSFの要素が強いです。ほとんどの女性は避妊手術を受けており、性行為は快楽のみのためであって生殖行為とは乖離して考えられています。また、男性であっても人工子宮を使って帝王切開で子供を産むことができます。 どんな発想からこの作品を作り上げられるのか、凄いなあとしか言いようがありません。著者の独壇場についていけないかと思いきや、すぐに馴染むことができこの世界観に浸っていました。 「殺人出産」のみだったら10点満点なんですが、「トリプル」という作品はどうも理解不能でツッコミどころが多く、読んでいて苦痛を感じたので評価減。気色悪さに吐き気を催されました。 若者の間で性別関係なしに3人で付き合うことが主流になったという設定の物語ですが、興味を持った方は是非。 |
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収録されている全ての短編に満足しました。バリエーションが豊富で、どの作品も違った趣向の話だったので飽きずに読めます。「心理試験」や「芋虫」が特に気に入りました。
少し時代が古いので驚くようなことはたくさんあります。裁判で心理テストを証拠として機能させることには本当に驚きました。冤罪多そうだなぁと。 いろんな作家さんが彼の影響を受け、現在の探偵小説に踏襲されているのでしょうね。 |
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本サイトでは、「ユーモア・ミステリ」というタグか付けられていますが、私としては正直疑問に思います。ユーモアのある文が所々で出てきて思わず笑ってしまうことは否めませんが、それが前面に出てくるのではなく、本作品は決して軽い雰囲気で面白おかしく展開していく話ではありませんでした。私としては悲しみや憤りの方がより強く感じられました。
倒叙作品ですので、事件が起きるまでの背景に重点をおいており、偽のデュー警部が誕生するまでがとにかく長い。タイトルを忘れた頃にやっとミステリらしさが出てきます。偽デューの心理描写を排除し、事件の全貌がほとんど掴めないので自分で考えながら読む人にとっては非常に楽しいと思います。 |
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序盤は事件が起こるまでのダラダラとした内容が一切なく、物語が勢いよく展開されていくところは面白く、立て籠もりの緊迫感がよく伝わってきました。
そこから単純な主人公対犯人ではなくて三つ巴のようなところが新鮮ではありますが、それが弛緩した雰囲気を作っているように感じてダラけてしまいました。 そうは言っても全体としてコンパクトにまとめられて一気に読めますし、事件の背景や筋道立てられた理論もしっかり楽しめました。 |
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倒叙物として最初に犯人が明かされ、どうやって誘拐劇を成功させるのか、もしくは警察が逮捕するのか、先が気になりながらあっという間に読みました。
この作品が現実的なのかそれともSF色が強いのか、私にはわかりませんが、疑問を感じることなく非常に納得させられてしまいました。 |
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外国作品なのにとても読みやすくスラスラと内容が入ってきます。海外物特有の日本人にはわかりにくい会話や習慣などがあまり気にならずに読めるのでオススメです。主要な登場人物も少ないので、覚えにくい洋名に悩まされることもありません。シンプルな設定に所々のジョークを楽しむ愉快な小説でした。
この作品の見所はどうやって百万ドルを取り返すのか、そしてどうしたら過不足なく丁度百万ドルを手に入れられるのか… |
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主人公のユーモアのある語り口が魅力的でした。シリーズを通して読みたくなってしまいました。様々な実名が出てくるので、時代を感じます。人が真剣に話しているときに、誰も彼もが煙草を吸う居酒屋スタイルは時代の文化か知りませんが…
話の面白さは文句なしなんですが、複雑すぎて頭が痛くなりそうな内容でした。登場人物はとにかく多いし、事件は複雑だしでスラスラとは読み辛かったです。 |
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ページ数が少なく行間も広く取ってあり、絵まで挿入されていて絵本のような作品です。小学生でも読んで楽しめる内容でしょうし、大人が読んでもほっこりとした気分にさせてくれると思います。
さきちゃんの可愛らしさに温かい気持ちにさせられました。 |
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グロテスクな描写があるとのコメントを読んでビクビクしながら読み進めましたが、耐性があるのか難なく読み切ることができ安心しました。
良い意味であまりにあっさりと終わってしまうのが、印象的で絶妙です。ラストに至るまでは少し退屈かなぁとは思います。登場人物の心理は理解し難く、物語を読んでいるというよりは文字通りテキストをただただ追うような作業感がありました…それでも高めの評価です。 最後のシーンから始まるというのに、結末でここまで衝撃を受けるとは…作者の凄さを感じます。 |
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1つの殺人事件から、ざまざまな怪しい点が現れてきて、それを加賀刑事が解決していくという話。わざわざ関係者に謎解きを披露するあたりはハードボイルドな探偵のようですが、そこには人情深い解決があります。殺人事件をめぐる出来事、背景全てが人間の心を感じさせてくれる物語でした。
登場人物が多いので、覚えるのは少し大変かもしれません。 |
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最初に主人公が遺体を遺棄するシーンから始まり、本題である保険金殺人の弁護とどう絡んでくるのかワクワクしながら読めました。弁護士という職業に対して正義感の強い信頼できる人という偏見からか、少年犯罪を犯している御子柴へのある種の特別感を自分の内に感じました。彼が少年院に入院している間のストーリーが圧巻で、罪の意識やその贖罪への強いメッセージが受け取れました。裁判までの伏線はほとんど描かれていないので、そのシーンを著者は書きたかったのかなと。
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