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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数78件
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「最後の証人」を読んでから1年半ほどが経過していた。いまいち佐方がどのようなキャラクターであったか思い出せなかった。さらには、佐野という刑事が佐方だと思って読み始めていた。
正直言って、この作品を読んでも佐方という人がどのような人物なのか掴めなかった、というのが本音だ。外からの視点で固めたが故に、だらしのない身だしなみしか印象が残らなかった。ストーリーもそんなに高評価なのか?と疑問もあった。しかし、「本懐を知る」でそんな評価も一変。著者はこれが書きたくて、伏線を書いたのかと思うほど。心に響かせるのが上手い作家さんだなと、前作を読んだのと同じ感想を抱いた。いや本当に気持ちがいい。人の魅力を前面に出した良作だと思う。 |
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何故だろう。特に何かが起こるわけでもなく淡々と進んでいくのに、これほど魅力的な作品には滅多に出会うことはない。友達が少なく、真面目な恋愛もしてこなかった私としては、全てが輝いているように見えた。こんな高校生活を送ってみたかった。
そして登場人物がみんな大人だ。高校生であるにも関わらず、私なんかより遥かに大人だ。こんな人になりたいなぁと思うような登場人物ばかりだった、と社会人になった私は思う。私ならこの学校、すなわち歩行祭のゴール地点に凱旋門を建てたい。 恩田陸氏の作品は初めて読んだ。文章がとても美しい印象を受けたので、他の作品も読んでみたくなった。 余談ではあるが私の親友が恩田陸氏と同じ高校の出身ということで、歩行祭については知っていた。彼もこのようなイベントを経験しているのかと思うと、非常に羨ましく思う。 |
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池井戸潤氏の作品といえばいつも展開が読めてしまうが、それでも読まされてしまう。意外性ではなく、なんとも王道のストーリーでも面白い作家だと勝手に思っていた。へぇ、こういうのも書くんだと驚かされた。
まず読んでいて短編集なのかと思わされた。違います、途中でやっとミステリらしさが出てきます。あまりミステリ作家という認識はしていなかったが、本作はミステリとしても一級品だ。 銀行に就職しなくて良かったと思うが、どんな会社もこんな感じだろうと私は思う。明日からも頑張ろうと思わされる一冊。 |
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4重交換殺人の決起から始まり、倒叙作品かと思いきや事件の詳細を必ずしも描くわけではなく、法月親子の視点からがあくまで中心で大部分を占めている。各部が非対称の形式であるが故に、飽きが来ることなく最後まで読み切ることができた。
作品の印象としては頭の体操といったイメージだ。しっかりと頭を使って読めば、ごく自然と真相に近付ける。あまり類を見ない内容でとても新鮮だった。全体的に御都合主義なのがマイナスポイント。レールの上を走らされたような設定だ。法月綸太郎の推理含め上手くいきすぎているため、作られた話であることを強く意識させられてしまい、深く物語に浸ることはできなかった。 しかしながら、トランプを使った設定、各章の始まりに引用した文章、本書のタイトル、全てが非常に粋に感じた。 |
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どの作品も一捻りある、良い意味で癖のある作品だった。さすがは歌野晶午、「葉桜の季節に君を想うということ」を読んでわかってはいたが、他の作家とは発想が全く別のベクトルにあるようだ。
今作は全体的にライトな内容だと思う。彼が凝らした技を見破ることもそれほど難しくない。それでも最後には、してやられたと思わず笑みを漏らしてしまう。特に「生存者、一名」の締めくくり方は良かった。正直、どの作品もストーリーとして無理があるところも否めないが、それを許してしまうは文章表現や展開は見事だった。 |
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相変わらず難解で読みにくかった。しかし前作とは違う翻訳者のを取ったからなのか、私自身がチャンドラーに少し慣れたのか、前作よりはスラスラと読むことができた。ストーリとしてもこちらの方が好みだった。
決着があまりにスムースだったのが残念に思う。今作はあらゆる登場人物がマーロウに対して異常なまでの協力をしている。簡単にことが運ぶので、緊張感の欠如はあった。銃を撃ったことはないようだし。 この世界観に少しずつハマってきたようだ。独特で冷ややかなユーモアは癖になる。主人公であるフィリップ・マーロウが特別なのではなく、脇役も彼と同じような口の聞き方をする。皆が皆そうなのでツッコミたくなるが、これはもうチャンドラーの世界に誘われたのだろう。 |
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来日中のアメリカ副大統領が日本人夫妻を殺害してしまう。その事実を隠蔽するために、現場をアメリカ大使館別館としアメリカ領土とする。アパートの出入りにそこを通らなければならない住民は、パスポートが必要な生活を強いられる。なんとも突拍子も無い設定が魅力的であった。
この物語を面白くしている一つの要因がリズムの良さだろう。アパートの住人やその関係者等々、複数の視点が目まぐるしく入れ替わり、スピーディな展開が繰り広げられる。また一冊を通して、文章一文ごとに改行をするといった独特な書式がそのリズムを助長していた。その奇抜な絵面とストーリー設定が見事にマッチしていたようにも思う。ストーリーの意外性も十分にあり、非常に面白く読むことができた。 唯一のマイナスポイントはディテールの弱さである。どうも雑な印象は拭えない。伏線を異様に張り巡らす割には、それをうまく活かしているようには感じられなかった。これは、アメリカの公務員の仕事っぷりが雑すぎて、結果としてストーリーを雑にしたのではないだろうか。 全体的に、序盤はユーモラスな作品かと思ったが、段々と少し重たくなってくる。良くも悪くも裏切られたかな。 |
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収録されている4つの短編、どれも面白かったです。「疾走する死者」は石岡視点じゃないのが、いつもと違って楽しく読めました。「数字錠」なんかは今後の御手洗潔シリーズの読書にも影響を与えてくれそうで、別の一冊を早く手に取りたく思っています。
でも1番面白かったのは「新・御手洗潔の志」。作品の映像化に対して述べるのかと思いきや、どうやらそこが中心でもない。島田荘司氏が日本について?なかなか言いにくいことを声を大にして言ってくれています。非常に共感しました、と同時に教訓としてこうは自分はならないぞ!と言い聞かせる内容でした。作家としてというより1人の人間としてファンになりそうです。 |
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テロが頻繁に起こるようになった日本を描いた本作。序盤は心理描写を通して、テロに対していろんな考え方があるんだと学ばされました。弱者を見捨てている社会に反発を感じて少しだけテロリストに心を寄せながらも、関係のない人を巻き込むことに憤りも感じる。でもその弱者が存在することも仕方がないのかもしれないし、自分には何もできないといった色んな葛藤が存在しました。広い視野や他者の考え方に触れるのが読者の醍醐味だと思っているので、それが良かった点です。それが段々と中盤から終盤にかけて、エンターテイメント色が強くなって行く印象を受けました。そのおかげでまとまりが足りないようにも思いますが、話の面白さは格段と加速して行きます。パズルのピースがはまっていく感覚という表現が相応しい一冊ではないでしょうか。
▼以下、ネタバレ感想 |
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裏表紙に書かれている粗筋に惹かれて購入。余計なことを知らされずに読んでしまったほうが、より一層楽しめたのかなと思うとちょっと残念。
個人的には1番のお気に入りは「終の童話」です。村人が石にされてしまうお話です。なんだかファンタジー要素溢れる物語で、こういった作品は今まで読んだことがなかったのですが、意外とのめり込めるものなんだなぁと。しっかりとミステリ要素を含ませつつ、人情味あるストーリーがこの世界観と喧嘩しないのが素晴らしい。 どの作品もも世界観を楽しむのがオススメです。「妖精の学校」なんかは、最後まで読んでも意味がわからない、思わずネット検索しました。それでも楽しめました。思ってた世界観と違う…どれもそんな感想を持ちました。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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西澤保彦氏のデビュー作であり、匠千暁らキャラクターが初登場の作品である。時系列で言うと次作以降は学生時代に戻るようです(本作は社会人であったり、大学生であったり)。次作以降が楽しみです。
9つから成る話はどれもバラバラ殺人に関するもの。よくこんなに思いつくなぁ、デビュー作でこんなにもバラバラ殺人ばかり書かなくても、と驚きを隠せません。特に最初の物語の真相については驚嘆しました。合理的理由を明確にしてくれます。 ともあれ、1つ1つの話を伏線にしてしまうあたりが凄まじいです。その伏線が面白いんですが、それが「解体諸因」の一部分に過ぎないとは。 |
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イヤミスと称される作品をいくつか読んできましたが、最も不快な気持ちにさせられた作品でした。まさにイヤミス!これは良くも悪くもそのようにしか言えません。小学生の自分を主張できない弱さに共感しつつも、その不甲斐なさに反発を感じもしました。面白さもあり、不快感もあるのが本作でした。
フジコは母に似ている。ここから展開が嫌でも読めてしまう。だけれども想像を超えて来る。よく練られた素晴らしい作品でしたが、計算が上手くいきすぎて気持ちも悪い。賛否の分かれることも想像に難くないですが、傑作であることには疑問の余地はないでしょう。 |
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