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タカタソン さんのレビュー一覧
タカタソンさんのページへレビュー数155件
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あらすじに書いてある通り、個人で旅行代理店をしている関口が主人公でロシアから来た女をアテンドするところから始まり、この女が実は殺し屋で一緒に北へ逃亡するという話。
分かりやすい言葉使いや展開の早さはさすがで、いつの間にか読み進みてしまう。 ただ、この手の話は男女関係になって行くがうえに一緒に逃避行をする展開がほとんどだが、本作はそれは無い。(正確に言うと終盤までだが)逆に、女は肌すら触れ合うのも嫌う。これは、もちろんオチがあるのだが、だからこそ一緒に逃げる動機が薄くなってしまっている。脅されているという事だけで、この展開は現実感が低すぎる。 でも、まぁ百歩ゆずってここまでは許せる範囲で評価として6~7点あげられるが、最後の終わらせ方はありえないっていうか、無い。 恐らくだれが読んでも、えっ?、と言ってしまわれるでしょう。 急転直下というか、急に打ち切りになって締めなきゃいけなくなったというか、今までの関係や展開を覆すような終わり方。 逆に評価は低いけど読んでほしい。感想を聞きたい。 |
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この作品が持っているキ-ワ-ド・イメ-ジと、実際に読んでみた感想はまるで違った。
あらすじの書き方(捉え方?)がおかしいのか、突然の人間発火やその遺体に獣の咬み跡があるなど、SFっていうか仮想現実っていうかおとぎ話っていうかオオカミ人間みたいな犯人像を想像してしまって手を引いていた。 読んでみると、これがまた王道中の王道というか警察小説そのものでした。 ただ、主人公刑事の音道と男刑事の滝沢の心理描写は見事で、滝沢が音道への男尊女卑的セクハラ言動は読んでて腹が立つのは上手い証拠。(今じゃありえない言動だけど。) ミステリ-としてはちょっと弱いかもしれないけど、犬?好きは心に来るものがあるかも。 |
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物語の前半は歌舞伎町。台湾マフィアの殺し屋、マフィアを裏切り警察からも追われる功刀、同僚をマフィアに殺され地に落ちてでもマフィアを追う刑事の尾方。それぞれの置かれた立場を歌舞伎町を舞台に、残虐と宿命が無機質に描かれている。
物語はその後マフィアの金20億を積んだヘリがアルプスに墜落していたことで、なだれ込むように舞台はアルプスへ。ここまでは、はっきり言って満点評価だった。期待があり過ぎてどきどきしながらペ-ジをめくった。 しかし、中盤のアルプス登山の話に移っていくと、うそのように今までの雰囲気が一変し、和やか登山話になってしまった。その要因は裏切り者の功刀と功刀を何年も追って殺すためだけを目的に生きてきた尾方が山で出会い、目的を共にしてしまうのは良いが、その関係が安易すぎるというか重みがない。 じゃれあいがはっきり邪魔だった。尾方の無茶な登山も現実味がなくマイナスポイントだろう。 それでも終盤、殺し屋も参加し、ちょっとした想定外展開もあり、十分に楽しめる要素はあった。 最後のオチは、まぁ、突っ込みたいところはあるが、個人的には救われた感があって良かったと思う。 それにしても、山岳ハ-ドボイルドは希少なので大事にしたい。 |
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設定が阪神大震災直後からの話で、実は結構重いテ-マだったりするのですが、そこは結果論であって普通読めばそれは上質なミステリ-で引き込まれます。
ただ、主人公が主婦で震災で亡くした婚約者に似ているというだけで結婚し、その夫の癖が変わったということで別人と疑い、やがて事件の容疑者になるという展開でその捕まった夫は本当に自分の夫なのかというところから始まっていくので、単純に自分の好みの展開では無かったけど、好みの方はドハマりするでしょう。 逆に読み終わった後の、印象は全く違う。 話の中に、占い師や宗教など重要な要因でとして出てくるが、震災等で受けた心の傷はどのように癒せるのか、考えさせられます。 東北大震災があって1年半、ある意味旬な小説かもしれません。 |
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小料理屋(おばんざい屋)の女将が客の起すミステリ-と女将自身の過去の謎、そして恋愛模様を描いた連絡短編集です。
個人的にこの手の内容はあまり手に取るよう事はないんですが、柴田さんのファンですから読んでみました。 お客さんの起すミステリ-にそんなに無茶もなく、自然な解決や主人公女将お人柄、料理の描写など気づけばどっぷりはまってました。 短編ですが、つながりがあって終盤の女将の過去に迫る部分も古道具屋の主人の役回りも良く、本当にふんわりして自然で読後感がよかったです。 京の家庭料理「おばんざい」を食べてみたいです。 続編の「竜の涙」も文庫で出たようなので、期待しています。 |
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このシリ-ズの中で、恐らくある意味異質であり賛否はあると思います。
まず、誉田氏の警察小説で見られるようなグロテスクな事件はありません。 本当に普通の事件です。 ただ、話のメインは事件を解決する事だけではなく、主人公「姫川」の話です。 過去作のような姫川班で事件を追い解決する展開はまるでなく、姫川一人で事件を追い、そこに出てくる人物と恋愛をし、最後に何かをなくします。 スト-リ-展開は普通ですが、今までに無いような濡れ場があったり、最後の姫川の置かれた環境は、このシリ-ジが本当に何でも有りになったということで、今後が非常に楽しみになりました。 これがもし、今まで通りの展開で、グロ事件と同班の菊田との関係で続くのであれば、マンネリでいつかは飽きられると思います。 この4作目でこの展開を書ききった今作は好感が持てます。 |
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著者の代表作のひとつで、これだけ多くの方が読んでそれだけの評価を得ているというのは、やはりすごいと思う。この作品は「白夜行」の続編という位置づけだが、本作だけ読んでも十分面白いし、「白夜行」を読んでいれば、さらにその関連性を気にしながら、読めてそれもまた楽しい。
本作は前作よりも、直接的でわかりやすいと思う。前作は主人公の二人の主観描写が無かったので、推測しなが読んでいたが、本作は主人公の一人雅也の主観で書かれいるので一連の事件の真相や心理がわかる。前作よ読んでいればもうひとりの主人公「美冬」の真の計算高さが雅也の存在がどうなのか、ハラハラ度が増すこと間違いない。 終わり方については、賛否あると思う。 本作については、(ネタばれになるので言えないが)前作よりもたまたま感が大きい。 もし、そのたまたまが無かったらどうなっていたか見てみたい気がする。 雅也が想像していた表情を美冬がしたのか。 |
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巻末の著者あとがきにこの世界の継続を示唆していることでわかるが、終わり方に大きな含みを持たせていて完結感はない。
やはり、今後発表されると期待される作品の序章と言った位置づけなのか。 近未来の設定だが環境的な未来描写と言うより、どちらかというと考え方や心の闇みたいなところに将来観測が描かれていて、そこについてあながち違和感はない。 ただ、主人公サラは正直あまりキャラが立ってなく感情移入はしづらいが、事件の関与の仕方にキャラとして守っているものはなく、どっぷりはまって性的な欲望もあり、彼女の生い立ちがミステリ-要素になっていたりするので、読みどころはある。 また、形的には短編集だが、短編間に繋がり・時系列があるので、普通に1ペ-ジ目から順に読み進めましょう。 |
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非常に興味深いし、アイデアとして面白いと思った。
外国人犯罪者の逮捕とか外国人組織を取り締まるとか国によって法も違うので、そういうのって何か国際警察みたいなので取り締まれないの?と誰しもが一度は思ったはず。 この物語はそういった国際犯罪組織を撲滅するための法を超えた捜査をする民間組織の話なのだが、まずその組織の在り方自体が面白い。民間であるがために、維持には金が必要になる。大きい犯罪を取り締まるために小さい犯罪を見逃していいのか、法を超えた金の得かたをしていいのか、正義の在り方を投げかけられる。 ただ、終わり方が残念。 せっかく面白い設定なのだから、何篇かは続編があってもいいと思ったが、この終わり方だと、ひとつの結論を出してしまっている。 あと、主人公がいまいち魅力が無かった。 |
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話のネタも展開も好みで満足で楽しかったと言い切りたいところだが、一部の訳と物語の終盤がもったいなかった。
まず、この物語は森の中での殺し屋から逃げる女警官との緊迫した対決が面白味であり、そこでこの本でもっとも重要なのは「距離」だと思う。森の大きさ、追ってくる殺し屋との距離、別荘から管理事務所までの距離、崖の高さ等。 ところが、この重要な距離がこの翻訳では、マイル、ヤ-ド、フィ-ト、インチで書かれている。アメリカで暮らしていた方は馴染みがあるかもしれないが、通常日本人でこの単位で書かれてすぐに距離感がつかめる人はどれくらいいるのだろうか? 四分の三マイル先とか六フィートとか普通に書かれてるが、つい調べて計算してしまう。 この物語のようにスピ-ド感をもって読み進める上で、瞬時のイメ-ジ感覚が必要なのにそれが一瞬止まる。原文に忠実ではないとしても、誰が読んでもわかるような単位を使用するべきだった。 それと、この物語は2部構成になっていて追撃戦の1部(4月)とその後の2部(5月)があるが、2部は要らない。事件の全貌と登場人物のその後が分かるが、1部で切ったほうが物語として締まってよかったと思う。 変にだらけた感が残った。 |
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山岳冒険小説自体、なかなか数が無いのにホントに面白いとなると数えるくらいしか無いかもしれない。
この本は間違いなくその面白いと言える1冊。 山岳冒険アクションではホワイトアウト(真保 祐一著)が有名だが、ホワイトアウトが面白いと思った方は、間違いなく本作も面白いと思うはず。 ただ、本作は初めから山でのアクションバリバリという訳ではなく、主人公の幼少期、警察のSP期、そこで主人公の生い立ちや波瀾を含んで山岳警備隊期に流れ込んでいき、読むのを止められないほどの手に汗握る興奮を味わえる。 また、山岳アクションだと普通、冬の山で寒さに凍えながら人間の限界を超えて生き抜くという展開が多いのだが、この本作は夏過ぎの9月で台風上陸時の山での話で、それを考えただけでも面白そうだと思いませんか? 山や山岳警備隊の厳しさ、そして主人公一人で戦い抜くというより、山岳警備隊の仲間との絆も熱く 読後感も良いので、是が非でも山岳アクションの傑作を読んでほしい。 ひとつ、残念なのは、本作はハルキ文庫から出版されているのだが、ぜんぜん書店に本が置いていない。 傑作なのにもったい無さ過ぎる。 |
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まず、本の帯でも書いてあるとおり、ミステリ-ではない為、期待するとがっかりするでしょう。
シェ-クスピアのマクベスのなぞらえて、野球を題材に、 予言どおり?野球の王になるために生まれてきた主人公の人生の話。 もちろん、マクベスを知らなくて当然に読めます。 ある意味、主人公は何があっても全くぶれず、周りが騒いでいるだけというところは面白みではあるが、 そんなに物語にヤマがあるわけでなく、淡々としている。 個人的に嫌いではないが、どうせならもっと独創的な展開にしてほしかった。 終わり方も変にきれいにまとめている感じで、ちょい残念。 |
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まず、シリ-ズを読んでないと、なかなか入り込めないかもしれない。
登場人物の関係性がわかりずらい。 スパイ小説というより、主人公の日常を描いたような内容で、ちょっとしたオチはあるものの、緊張感はない。 このシリ-ズは好きなので、是非長編で読みたい。 |
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20年前の修学旅行で失踪してしまった少女から、突如メ-ルが送られてくるという始まりは物語に入り込む要因として非常に良く、期待させられる。
主人公は35歳になったその修学旅行の同じグル-プメンバ-6名で、それぞれのそれまでの人生ドラマがあり、そのメ-ルによって再び交わり、そして不可解な事件が起きていく展開はミステリ-、サスペンスとして一級。 それぞれの人生描写が見事で、6人が全員主人公で視点が切り替わりながら物語が進み、飽きることはなく 終盤ギリギリまで高い期待感で読めた。 ただ、結末については強引だったり、実は関係がない事件があったり、もしかすると期待外れと読むかもしれない。 それでも、この主人公たちのその事件だけで終わらない人生そのものに深いものがあった。 |
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ほんと、超大作ですね。ペ-ジ数も凄いです。
SFという事でその世界観の説明にあたる導入部分が長い。慣れるまで結構大変でした。 ただ、そこはさすがの貴志先生という事で、ただのSFではなく、恐怖を含める様なホラ-テイストの展開で思わず引き込まれます。 物語は呪力(魔法みたいな力)を得た人間が、その力に慢心し支配とコミュニティを形成した世界で、権利と自由を求め下剋上ならず良く言えば知恵と対峙する、結構人の本質というか歴史を思わせる深い話であります。 しかし、登場人物が呪力を使う人間と奇形生物だったりするので、もう感受性も乏しい大人にはさすがにツライかも。 ただ、ここまでのSFはなかなか無いので、若い方は是非。 |
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全く期待せずに読んで見ると、これが読み易くてスト-リ-も意外と良い感触。
謎の集団自殺を巡って、主人公警察官のクロハが捜査していくのだが、当然疑問が出ますよね? なんで、名前がカタカナなのか? それは、カタカナなんです。ほかにも主要な登場人物はカタカナだったりします。 時代背景はどうなんでしょう?近未来っぽいけど、現在と変りない感じです。 話の筋は、意外にダ-クで人の闇に踏み込んだ猟奇的な犯人像は良かったし、色々と投げかえられる謎も 主人公クロハがハマっているネットの仮想空間にリンクしていたり、最後の結末も呆気ない気もするが 個人的には「あり」だと思う。 次回作も読んでみます。 |
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新しい麻薬ル-トをめぐるアメリカ・中国・日本を舞台にした壮大なスケ-ルだが、深みを感じられなかった。日本の麻薬捜査官を中心にアメリカのDEAとかCIAや中国の警察、やくざ、マフィアなど盛りだくさん。
謎のホワイトタイガ-を追って誰にも知らせず主人公が潜入捜査をしている事がひとつの面白味だと思うのだが、読んでて手に汗を握るような場面が少なく、後半には潜入と言えいる状態なのかと疑う場面も多々。 逆にホワイトタイガ-の正体が見えてきた終盤のほうが、展開が大沢先生らしく面白い。 ただ、そこまでが長すぎる。内容が良ければ全然苦にはならないのだが・・・。 |
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一体どんな内容か読んでみないとわからないところが、良いかもしれない。
無くなった叔母の遺産を受けてマンションや仕事を継いで、そこから知らない叔母の世界に入り込んで、いきなり朝鮮人に声をかけられたり、人が死んだりしていく。 叔母が可愛がっていた子供とあることで同居し親を探していくのだが、愛国心、家族など意外にテ-マは深い。 ただ、読み易いミステリ-になっているので、大きな山場は無いものの、それなりに読める。 |
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表題から言って山岳冒険小説だと期待したが、中身は程遠いものでどちらかというと青春小説。
元トップクライマ-が運営する山小屋でバイトする3人が、ヒマラヤの未踏峰に挑むというもの。 この3人というのが、仕事に翻弄され軽度な犯罪を犯してしまった主人公と、障害を持つ二人。 まず、主人公の状況で万引きという犯罪を犯してしまう事に全く共感・理解が出来ない。 人生の再生・再出発がテ-マかもしれないが、ちょっと厳しい。 どちらかというとトップクライマ-だった通称パウロさん(日本人であだ名)の、若か知り頃からの山岳冒険シ-ンと辞めるに至ったところを詳細に描いて欲しかった。 この3人の山岳シ-ンはちょっと現実見がなさすぎた。 |
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自分のとってこの作家は「向日葵の咲かない夏」が最悪に趣味に合わなかったが、この作品は全く趣向が違って、誰が読んでも楽しめると思う。
この表現の仕方は怒られるかもしれませんが、伊坂幸太郎っぽいなと単純に思っちゃいました。 主人公だけ普通で、イルカっぽいテツさんやまひろ・やひろ姉妹とやひろの彼のデブでインポでマジシャンの貫太郎の織り成す掛け合いや雰囲気は不幸の中にもあたたかさがあって非常に良いです。 彼らが起こす事件・作戦は特に驚くところはありませんが、最終章の「CROW」はやばいです。 この章がこの小説を大傑作にしています。泣ける。 ここまで気持ちいいのは、そうそう無いでしょう。 |
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