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yoshiki56 さんのレビュー一覧

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レビュー数121

全121件 61~80 4/7ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.61:
(7pt)

またまた咲谷登場

綾辻氏はこれをどんなテーマを描いて書いたのかが良く分からなかった。
無理に納得しようとすれば怪談ではなくて奇談というところか。
続へ続き、更に続々へと続くようだが、今後どんな展開に持って行くのかが逆に楽しみだ。

特筆すべきは、またまた登場する咲谷由伊という人物。今回は深泥丘病院の看護師という役どころ。
もうしつこいというよりも、綾辻氏のホラー怪談系には欠かせない存在となっているので、もう咲谷由伊は必ず登場すると思い込むことにした。

また、作中の「私」を綾辻氏自身のことと思って読むと面白い。その妻もいい味を出している。
中盤のギャグのような話も滑っていない。笑うことはないが、何のストレスを感じることなく読めた。
良い点も悪い点も見え隠れする深泥丘病院の奇談集。続ではどんな奇談を読ませてくれるのか乞うご期待。
深泥丘奇談 (角川文庫)
綾辻行人深泥丘奇談 についてのレビュー
No.60: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

恋愛捜査シリーズと呼ばれているらしい

女心を書くのがうまい誉田哲也氏の新シリーズは「恋愛捜査シリーズ」と言われているらしい。
つまり、人が死なない事件や事故を捜査する物語となっている。
本作の主人公の魚住久江は強行犯係に所属して、誰かが死なずに済むような殺人の一歩手前で踏みとどまらせる仕事をしたいと思う、女刑事。
ストロベリーナイトの姫川玲子シリーズは人が死んでから捜査を行うので、真逆の係に属している。

連作短編となっており、軽い事件や事故を扱うが、被疑者が悪い方向に向かうことのないよう指導する姿が見られ、温かい気持ちで読むことができる。
ハードな話を好む人には物足りないかもしれないが、こんな女性警官がいたら好きになってしまいそう。だから恋愛なのか。
因みに魚住久江は42歳なのでアラフォー、アラフィフの人が読むと尚心情が理解しやすいだろう。
ドルチェ Dolce (光文社文庫)
誉田哲也ドルチェ についてのレビュー
No.59: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

本日よりロードショー公開

本日よりロードショー公開される「新参者」シリーズ完結編。
先程「王様のブランチ」で主演を務める阿部寛、ヒロイン役の松嶋奈々子、加賀の従弟役の溝端淳平が出演していたのを見た人もいるであろう。
その名の通りの豪華俳優陣で今回の作品がシリーズラストとなるそうだが、先程、阿部寛がこんなことを言っていた。
「東野さんが書いてくれれば、次もあるかも。。。」
また、溝端淳平もドラマ時代を振り返り、「もう足掛け20年で、最後となるのが悲しい」とも。

完結編と言われる通りの内容で、今回は加賀の過去と密接に関わった殺人事件を涙、人情で解き明かしていく。
特にヒロインの過去で涙ボロボロになるであろう。映画館で見る方は必ずハンカチ持参をお願いしたい。
また、CMや今日のブランチで見た感じでは、原作と劇場版とでは若干ラストに変更があるようにも感じられる。
是非、原作を読んだ方はその違いを堪能してもらいたい。(かくいう私もであるが)
そして劇場で初めて見た方は、必ず原作も読んでもらいたい。

ところで、「新参者」シリーズはこれで終わりそうだが、また加賀恭一郎が次の所轄で奮闘する物語を期待する。
東野圭吾様、是非是非、新シリーズ開幕の構想を練って下さい。宜しくお願い致します。
小説としての評価は、分量、読み易さ等全てにおいて文句は無しの100点満点である。
祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)
東野圭吾祈りの幕が下りる時 についてのレビュー
No.58: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

大絶賛?とは言い難い

現代の死刑制度にはこんな裏側があった!ということが非常によく分かり、そういう意味では感心できる作品。
巻末にある参考文献の多さには著者の並々ならぬ努力の跡が伺える。

死刑囚の冤罪を晴らすべく、元刑務官と前科者が立ち上がる。スリルがあって読み易く疲れない。
しかし、真実の犯人と影の依頼者には驚かされたが、話の盛り上がりに乏しい感じを受けた。
読了後の高揚感を味わえず、読み返したいと思えなかった。
なぜそう思ったか?と言われると回答に苦しいが、話の設定が自分の趣味に合わなかっただけかもしれない。
タイトルの階段にもっと徹底的に拘った方が良かったのかもしれない。そう、その通り。
13階段 (講談社文庫)
高野和明13階段 についてのレビュー
No.57: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

意外に面白い?

今までの館シリーズからは趣を変えた館シリーズのジュブナイル版。
心底、綾辻氏を崇拝する館マニア以外にはお勧めできないが、読んでみても、そんなには悪い印象は持たなかった。
横溝正史氏のジュブナイルも並行して読破中の書生にとっては、少年時代に不思議な体験をした感覚で以外に面白く読めたと思う。

でも暗黒館の2,600枚を読んだ後では肩透かしもいいところで、枚数も300枚程度、平仮名多め、軽いトリックに感動は無いが。
一応、中村青司や「迷路館の殺人」も出てくるので、「子供向けで8作目書いてみました」でいいでしょう。サクサク読めるし。
挿絵書いた人、絵がうまかったので良かった。
びっくり館の殺人 (講談社文庫)
綾辻行人びっくり館の殺人 についてのレビュー
No.56: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

80'sROCK世代にお勧め

ミステリー要素はほとんど無いが、作者と同年代の80'sROCK世代にお勧めの作品。
音楽鑑賞が趣味、ギター野郎であれば読んで損は無い。
懐かしのバンド名が次々と出てきて、自分の青春時代に戻れるだろう。
バンド結成、解散、ソロ、そして再結成までの道のりを描く中でも、恋愛、友情もあり、楽しく朗らかな気分にさせてくれる。
ありきたりな最後になったが、ミステリーに読み疲れた頭をリセットさせるには持ってこいの1冊。たまには青春ものも良いものだ。
レイジ (文春文庫)
誉田哲也レイジ についてのレビュー
No.55: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

映画館でも見たかった

昨年9月にロードショー公開され、自分は見ることができなかったが、原作を読む限りでは100点満点の面白さであった。
ミステリーというよりもSFファンタジー要素の濃い、人情味溢れる泣ける物語である。
実際に第二話のラストで、電車に揺られながら読み耽っていたところ、不覚にも泣いてしまった。

短編集ではなく連作短編となっていて、「ここで繋がっていたんだ!」と思った時に何回も感動した。
物語は現在と過去を行ったり来たりするところで、80年代懐かしの映画「Back To The Future」を見ている感覚で楽しく読める。
大絶賛したいのだが、惜しむらくは登場人物が多すぎて、読み返すことが多かったこと。
でも東野作品はやっぱり外さないと改めて思った作品。お勧めである。

映画を見て原作を読んだ方、もしくはその逆の方に映画を見ての感想を聞いてみたいと思う。
ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)
東野圭吾ナミヤ雑貨店の奇蹟 についてのレビュー
No.54: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

賛否両論の作品

貴志作品はその方面の専門知識を持っている人向けの限定の本だと、この天使の囀りを読んで改めてそう思った。
過去の「13番目の人格」や「黒い家」を読んでも思っていたことではあったが。
話の随所随所で専門用語を駆使して謎を究明するところで、どうしても話が途切れてしまうのだ。
素人には到底理解できない難解な言葉が並び読まされている感覚で、とにかく読むのが辛かった。

話の道筋としては悪くない。怖い思いもする。でもそれだけ。
バイオ系の研究に携わる人向けの近未来に起こりうるであろう恐怖に興味があるのならば読んでみても悪くはない。
つまりは単純にミステリー、ホラー系が好きな人が安易に読むべき本ではないということだ。
今後の貴志作品は敬遠したくなる、そういう意味でも怖い本。
天使の囀り (角川ホラー文庫)
貴志祐介天使の囀り についてのレビュー
No.53: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

どす黒い家

見出しに書いた通り、唯の黒というよりもどす黒い家の住人が起こす保険金連続殺人のお話。
こちらもレビューを書きたかったので再読みしたのだが、身の毛がよだつ怖い話であった。
過去にも実際に保険金目当ての殺人事件は起こっていたが、それらの舞台裏やメディアにも出なかった真相は実はこんな内容だったのでは!

作者の貴志祐介氏も元は保険関係の仕事に就いていたいたらしく、序盤から詳細に書かれており理解度は抜群。
そして、どす黒い家の住人は人間を金になる木と捉え、正しく物としか考えていない冷酷さもうまく書かれている。
最後の殺人鬼に追われる恐怖も、宛らホラー映画を見ているよう。
約20年前の作品だが今でも色褪せない。
表紙の挿絵から怖そうな雰囲気が漲っており、読者心を擽られる。
若干、専門用語が随所に出てくるところで好みは分かれるかもしれないが、ホラーサスペンス好きには納得の1冊であろう。
黒い家 (角川ホラー文庫)
貴志祐介黒い家 についてのレビュー
No.52: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

デビュー作としては次第点

レビューを書きたくて再読みをしてみた。
デビュー作としては合格点ではないだろうか。

映画「エクソシスト」のように「磯良」の人格の時に出る恐怖の表情を刻銘に記して欲しかった。
最後の、まだ何か起こりそうな気配で終わるところで一番怖さを感じたが、全体的に怖さは弱め。
多重人格障害に悩む人達をカウンセリングする心理学者の立場の立って読んでみると面白いだろう。
デビュー作から重厚な文章で読者をズボっとはまらせる筆力には再度驚かされた。

角川文庫と言えば、私が少年時代に読んでいた横溝正史の現役時代から大好きな出版社の一つ。
背表紙が黒枠に緑文字という、コレクションすると壮観であったが、近年は黒枠に白文字と味気なくなってしなって残念な感じをいつも思ってしまう。
十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)
貴志祐介十三番目の人格 についてのレビュー
No.51: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

館シリーズ原点

原稿用紙約2,600枚、文庫本では4冊にもなる超大作。
過去レビューでは長すぎると酷評もあるが、自分はそんなことは思わなかった。敢えて言えば双子の姉妹との会話が少しうざかったか?
読み終わって思うのだが、こんなストーリーをよく考えられるなと綾辻氏に感服!

とにかく読み終えるのに時間は掛かるが、全ての文章、一字一句に全神経を集中させて良く読むこと!
そうしないと綾辻氏の術中にはまってしまうので注意。逆に普通に読んで、その術中にわざとはまる読み方も有。
簡単に書くと、
1冊目:暗黒館の歴史と背景。
2冊目:殺人事件勃発とその推理。
3冊目:浦登家の秘密が暴かれる。
4冊目:解決編とその後。
となろう。特に4冊目の「間奏曲6」で語られる驚愕の事実には、自分の読解力の無さに呆れてしまった。

また、ロールプレイングゲームや初期のバイオハザードをプレイしている感覚も味わえる。
この部屋は探索済とか、開かずの間の鍵ゲットとかで楽しく読むこともできる。

一番の不可解な点は今回も登場する河南君が何故「このこと」を知っていたのかであるが、もしかするとその答えが次の奇面館にあるのかもしれない。
最後まで読むと館シリーズ原点であることが頷ける、綾辻氏渾身の超大作、お勧めである。
「十角館」「迷路館」と並び納得の満点評価となった。
暗黒館の殺人〈1〉 (講談社文庫)
綾辻行人暗黒館の殺人 についてのレビュー
No.50: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

姫川玲子スピンオフ連作短編

誉田哲也氏と言えば姫川玲子シリーズが最も有名だが、今作はシリーズ中で最も問題作となる。
なぜならば姫川玲子が主役ではなく、完全な脇役となって登場することだ。
今回の主役は、あの口の悪いガンテツこと勝俣警部補。
また、元姫川班に属していた葉山の章を挟み、事件が繋がってきた時には大いに興奮できる。

誉田氏は今作で現在のネット社会で起こりうるであろう新たなテロの行為を示唆していると言える。
最も恐ろしいのはこの本を読むことで内容に共感してしまうことだ。
ネットは超便利かつ恐ろしい事を作者は生々しく掲示している。ある意味、残虐な殺人事件よりも怖いと思えた。

因みにこの本まで読めば、テレビドラマの「ストロベリーナイト」で復習ができるでしょう。
感染遊戯 (光文社文庫)
誉田哲也感染遊戯 についてのレビュー
No.49: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

出版業界の暴露本?

東野圭吾のお笑いシリーズの第4弾であり、かつ本人が「もう書きません」と言っているので恐らくこれがラストとなる。
今までははっきり言ってお笑いと謳っておきながら腹を抱えて笑えるシーンはほとんどなかったが、
今作では不覚にもある場面で笑い転げてしまった。なので電車の中等で読む際には注意が必要。
第一話の「伝説の男」の一部で大笑い炸裂。獅子取編集長、素敵である。
第六話の「小説誌」で出版業界の裏話が聞ける。真実がどうかは定かではないが、こんなこと書いてしまって本当によかったのか。必読!
最終話の「職業、小説家」でうかつにも涙を流しそうになってしまった。
そして最後の書き下ろしの小説紹介で「おお」と思わず唸る感動の出来事が起こっていたことを知ることとなる。
今までのお笑いシリーズで一番笑い、感動した作品。ミステリからは外れているので一つ★を落としておいた。
歪笑小説 (集英社文庫)
東野圭吾歪笑小説 についてのレビュー
No.48: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

生きているのは楽しいかい?

物語随所に囁きが流れ、囁きシリーズ第4弾とも言える作品。
そしてまたまた登場する咲谷由伊という同姓同名の名前。よほど気に入った名前なのか、少々しつこい感じもするが。

白髪痴呆という病に侵された母親の幼少期の最後の記憶の謎をその息子が解き明かしていくというサイコファンタジックホラー。
物語後半で異界という空間が登場し、一気に現実離れしてしまったが、ラストの真実を語る上で絶対に必要だった空間であり、妙に納得してしまった。
この空間の存在を読者が理解できるかできないかで評価が分かれる最大のポイント。
またファンタジー要素も含むことから、これの好き嫌いでも評価にバラツキを生むこととなる。
筆は素晴らしいので特に疲れを感じることなく一気読みできるのは流石の一言。
咲谷由伊シリーズを全部読みたい人や、サイコファンタジー好きにはお勧めできる。
最後の記憶 (角川文庫)
綾辻行人最後の記憶 についてのレビュー
No.47: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

歌舞伎町殺し屋集団見参

ジウシリーズの続きと言っても良いだろう。新たな歌舞伎町殺し屋集団見参である。
だが、この殺し屋達は唯無差別に殺人を犯すのではない。
歌舞伎町ルールを守る為に、そのルールを犯した人間達を排除するのがその理由という。正にダークヒーローだ。
また、殺人の実行犯とは別に、彼らに殺人を依頼する影の首謀者が存在する。
その首謀者が明らかとなった時には戦慄を覚えた。これは誉田氏の描く警察小説では初のトリックではなかろうか。
素晴らしいラストに感激し驚嘆してしまった。

本当に誉田氏の筆は自在だ。警察、青春、ホラーと彼にしか描けない世界が広がっているように思う。
正に今という時代を疾走する希代のストーリーテラーと言っても過言ではないと思う。
次はどんな世界を生み出してくれるのであろう。
この「歌舞伎町セブン」もこれで終わりではない。ラストには東警部補が意味深な言葉を発して物語は一旦終わるが、
恐らく「歌舞伎町ダムド」へ続くと予想される。
どんな形で完結となるのか待ち遠しいと思わずにはいられない、一気読み必死の筆者渾身の自信作と言えるだろう。
歌舞伎町セブン (中公文庫)
誉田哲也歌舞伎町セブン についてのレビュー
No.46: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

マスカレードシリーズの幕開け

東野圭吾氏の新たなシリーズとなりつつある、マスカレードシリーズの1作目。
2作目の「イヴ」3作目の新作「ナイト」とシリーズ化されたのも頷ける。
新たなヒーローの新田刑事、ヒロインの山岸尚美も誕生し、映像化が待ち遠しい。

いろいろな要素を詰め込んでおり、ミステリーファンならずとも万人にお勧めの傑作だろう。
ホテルで起こるだろうと思われる連続殺人の犯人を追うべく、張り込みを続ける捜査員の姿に警察小説の要素が見える。
様々な理由で訪れる宿泊客に困惑され、悩まされながらも着々と業務を遂行するホテルフロント担当の山岸尚美の姿にホテル物語の要素が。
新田刑事がホテルフロントに化け、容疑者を見分けようとする姿も面白い。
そしてもちろん、ある暗号から犯人捜しをしていくところに推理要素も見れて、一度で三度おいしいということになる。

このくらいの長編だとラストが少々尻つぼみになるところが東野氏の欠点と言えば欠点だったが、事件解決後のそれぞれのその後も含めて終わり方もスッキリ。
減点と言えば殺人動機であったが、まあしょうがないかと思えた。
新作が出たばかりの今だからこそお勧めしたいシリーズ原点。
マスカレード・ホテル
東野圭吾マスカレード・ホテル についてのレビュー
No.45: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

遊び心満載

帯に「この難問をあなたは解けるか」と書いてあったので期待しつつも、これまでの評価は低評価。
読むべきか読まざるべきかと悩みつつも、綾辻作品を完遂したいという思いが勝ち、やはり読んでしまった。
そして低評価の理由も分かってしまった。
本当に遊び心満載で「こんなのありかよ」と思うトリックには意気消沈。
でもサザエさんのパロディには笑えたし、それなりのトリックで面白く読めたのには満足。
一応、連作短編になっているので順番に読み進めると、新しい何かを発見できるかもしれない。

最近、新装改訂版で出たが、なぜ出し直したのか?これには納得できない。
どんどん橋、落ちた (講談社文庫)
綾辻行人どんどん橋、落ちた についてのレビュー
No.44: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

幼女監禁殺人事件

これを読むと否が応でも宮崎勉事件を思い出さずにはいられない。
実際の事件と同じように、小説の中でも被疑者の部屋がビデオテープで埋め尽くされており、生々しい強姦現場の映像が明かされる。
個人的には好む内容で読んで後悔することはなかったが、嫌悪感を抱く読者はいることだろう。
また、前置きが長いのも賛否両論あると思う。
誉田氏の描くR18ミステリーは万人には受け入れられないものの、驚きの真相もあり、一体誰が悪かったのかと考えさせられた。

本の中では映像がネットでばらまかれたが、実際の事件の映像はこの世に流れることは二度とないであろう。
主よ、永遠の休息を
誉田哲也主よ、永遠の休息を についてのレビュー
No.43: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

ガリレオ+加賀=東野集大成

ある意味、これが真夏の方程式ではないかと思う。
勿論、これはガリレオ先生=湯川学の物語なので加賀恭一郎は出てこない。
だが、殺されてしまう元捜査一課の塚原という刑事の生前の行動が人情味に溢れていて、加賀恭一郎とシンクロしてしまったのだ。
ガリレオ先生を楽しみながら、加賀も登場しているように感じる本と感じた。

湯川学は子供嫌いで有名だが、今作では恭平君という小学生と行動を共にするところが愉快で楽しい。

また、原作よりも映画の方が面白く泣ける映像に仕上がっているようで、こちらも楽しみだ。
真夏の方程式 (文春文庫)
東野圭吾真夏の方程式 についてのレビュー
No.42: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

処女作「四〇九号室の患者」が読める

全3作品から構成される、ある精神病棟に入院する患者の日記をメインに語られる短編集。

「悪魔の手 三一三号室の患者」
冒頭から駄作を読まされた気分。構成の大部分を占める日記が小学生の書いた文章で平仮名が多すぎて読みずらい。
初読で全く意味が分からず、続けて二度読みしたが、それでも意味不明だった。
続けざまの二度読みは初めての経験。更に意味が分からなかったのも初めての経験。よって、評価は1点。

「四〇九号室の患者」
綾辻氏の処女作らしい。
患者の日記が大部分を占めるのは一緒だが、こちらは断トツに面白い。
車事故で記憶喪失となった患者のお話で、その後の館シリーズに受け継がれる、今となっては定番の語呂合わせ、あっと驚くトリックに騙された。
巻末で「お恥ずかしい作品である」と氏自ら言っておられるが、そんなことは無い。これぞ綾辻作品の原型と捉えて良いと思う。10点満点。

「フリークス 五六四号室の患者」
これは殺人劇に残酷描写があるものの、基本的には本格推理に属する。
複数の奇形児の内、誰がこのトリックを用い殺せうるかという内容で、その後の「殺人方程式シリーズ」に通じるものがある。
犯人捜しとしては初心者にも易しい入門編で、消去法で犯人を看破できるので、頭の体操にもってこいだ。
それよりも「JM」って一体誰だったのだろう?少しだけ謎めいた部分もある、これも氏の原型の一つと言って良いだろう。評価は7点くらいで。

よって、平均で6点評価。巻末で「また精神病棟シリーズを書きたい」と言っておられるので期待して待ちたい。
フリークス (角川文庫)
綾辻行人フリークス についてのレビュー