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yoshiki56 さんのレビュー一覧
yoshiki56さんのページへレビュー数121件
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ドラマでは「ストロベリーナイト」として放映されていたが、これは初めて映画化された姫川シリーズの傑作である。
今までのシリーズでは、姫川班と呼ばれる主任の姫川を筆頭に、部下の菊田らと共に共同で事件解決に奮闘していた。 殺人劇もグロ描写があったりしていたが、今作の「インビジブルレイン」は少々趣きが違う。 まず、姫川玲子が単独で捜査を行っている点。 部下の菊田ら、監察医の國奥、ガンテツこと勝俣、日下班の日下、井岡も登場はするが、いずれもチョイ役のみ。 とにかく、姫川がかっこいい。全く作者の誉田氏は素晴らしいヒロインを作り上げてしまったものだ。 暴力団の牧田という男との濡れ場もあり、女心も見えて可愛らしい一面も見せる。 次に事件は普通の事件で、グロ描写は無い。 その分、事件そのものよりも主人公の姫川にスポットを当てた作品ということになろう。 また、巻末には作者の誉田哲也氏とドラマで姫川役を演じる竹内結子との対談も収録されており、これだけで眉唾もの。 冒頭ではフェイスプロモーションも出てくるので誉田氏フリークスにはたまらない。(あれは恐らく柏木夏美だったのだろう) ファンなら絶対に読むべき1冊で、ドラマを見たことがある人も読むべきマスト本。 |
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前作の「新参者」part2とも言っても良い加賀恭一郎の人情味溢れる物語。
推理や謎解きというよりも、捜査が進むにつれて被害者や加害者の過去が明らかになっていく警察小説に仕上がっている。 事件とは関係ないような事柄でも捜査の手を緩めない加賀の行動力を改めて思い知らされる。 初期の頃の加賀の捜査方法と今では少し変わってきたかという気がする。 もしくは意図的に東野氏が書き方を変えていったのか? 加賀恭一郎は元々こういう人物というのがこの2作品で分かる。 推理小説という観点で読んでしまうと、「こんな過去があったなんて狡いよ」と誰でも思うはずなので、 読み方は先程の「加賀恭一郎はこういう人物」を認識するのに適した本と言えよう。 犯人には賛否両論あるだろうが、読みやすい警察小説としておこう。 |
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全7話構成の短編集。それぞれに咲谷由伊という同姓同名の女性が登場するが、同一人物ではなく連作短編でもない。
それぞれを個別の短編と見た場合では特に以下の2つが傑作であった。 「再生」 どろどろとしたホラー短編。このお話が一番怖く、背筋がゾッとなる。 「特別料理」 怖いというよりも気持ち悪くなる作品。 世界中でも最も嫌われるあの生物を食べてしまうという、今書いていても、嗚咽したくなる。 絶対に食事前後には読まない方が良いだろう。 角川文庫版では巻末に綾辻氏自らの解説が書いてある。 これら短編を並べた順番には、ある狙った効果があるので順番に読んで頂きたいとのこと。 私も順番に読んだのだが、この効果を察することができなかった。 由伊という女性には各お話で特に関連性が無い、話の内容にも特に繋がりが無いように思えた。 それ以外での効果とは一体なんなのだろう、困惑した、反芻した。 また来たぞ。綾辻氏の読んだ後で悩まされることが。この効果を探るためにもう一度読まなければならないだろう。 短編でも読者を悩ませる、これが綾辻氏の魅力である。二度読み必死。この効果を解説できる時が来た時にもう一度レビューしたい。 |
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誉田哲也氏と言えば、女性ヒロインを主人公にする物語が定番だが、本作は男勝りの警察小説に仕上がっている。
暗闇、陰謀、裏切り、悲しみ、復讐、絶望感が入り乱れるダークな物語だ。 主人公の元捜査一課の津原の視点をメインに進んでいくが、前半と後半では雰囲気を180度変えていく。 雰囲気急変のきっかけは、ある殺人があったことが理由になる。 津原の気持ちになって考えると、それもいたしかたないことなのかと思える。 明るい部分があったのは序章のみで、ほぼ全編ダークが漂うお話で個人的には最高のテイスト。 かつ殺人動機等が納得させられるものであれば最高評価であった。 減点は2つ。 まず人が殺されすぎたこと。今まで読んだ誉田作品の中で一番多いのではないだろうか。 二つ目は殺人動機。そんなことの為に、私利私欲の為に殺人を犯したことへの怒りが半端ない。 なので少し後味が悪いと思ってしまった。 |
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人間一人ひとりの遺伝子をデータ化することで、犯罪を未然に防ごうという近未来のお話。
その中である事件から抽出された遺伝子はシステムで検索されずエラーとなってしまった。 このエラーの鍵を握るのがプラチナデータ。 あまり書くとネタバレになるので止めるが、とにかくスケールの大きい設定に圧倒。 追う側、追われる側のスリリングな展開にも興奮することこの上なし。 東野氏がこれを書いていた頃は2012年? 現在はマイナンバーが導入されたことで似たような状況になっているなと思わされた本であった。 |
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帯や巻末のあとがきにも書いてあるが、東野氏の初期のわけあり物件と言われる短編集。
全8話構成だが、最初の「シャレードがいっぱい」から4話目の「さよならお父さん」までは なぜ今まで発表されずに埋もれていたのかが不思議なくらいの、初期の本格推理路線で書いていた頃の傑作である。 特に以下の二つはその後の東野作品を語る上での原型となっていたのであろう。 「再生魔術の女」 白夜行の唐沢雪穂、幻夜の新海美冬と並ぶ怖い女が描かれた作品。本当に怖いのでご注意。 巻末には単に収録のチャンスが無かった為とある。 「さよならお父さん」 ご存じ東野作品不朽の名作と言われる「秘密」の原型である。 「秘密」を読んで泣いた人たちは大勢いることだろうが、原型ではそこまではなく、happyで嬉しい気分にさせられる。 これはこれでいいのだろう。巻末にも「これを作品として収録するのはどうかと悩んだ」とある。 あと一つ、「ダイイングアイ」と並ぶ駄作を読みたいのならば「20年目の約束」でしょう。 なんのひねりもなく、オチも理解できなかった。 東野ファンの方ならばちょっと一息つきたい時に読んでみてはいかがだろうか。 |
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殺人方程式シリーズ2作目。
懐かしい感じの、これぞ正統派推理小説であろう。 今作のテーマは「なぜ犯人は死体の髪の毛を切ったのか」である。 物語の中盤で「事件解決の材料は全て揃った。さあ推理してみよう」という短い章を挟むので、 もう一度事件を整理したい、内容を忘れてしまった場合は読み返してみることをお勧めする。 そしてトリック、犯人、動機の順で解き明かされる。 「なぜ髪の毛を切ったのか」も明かされるが、これは分からなかった。難問だった。 この想像できなかった部分が減点材料であるが、その他は全てが満足のいく内容であったと思う。 前作もそうだったが、序盤の殺人事件でもビックリする真相で隠されており、悶絶してしまった。 最後の綾辻氏自らの解説で、3作目をいつかはと書いてあった。 発表から20年たった今、実現は難しそうだが、続編を期待せずには入られない。 |
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東野作品を完遂しようとする人間にとっては辛めの評価となるであろう物語。
スキー場に爆発物が仕掛けられ、脅迫されるという設定。 私には脅迫者も、その影の黒幕も容易に想像できてしまったのがいただけない。 犯人側からの視点でも書き、時間の概念も入れて、ハラハラドキドキさせて欲しかった。 全くのハズレではないが、当たりでもないという中途半端な作品。 読んで疲れることはないので東野氏の初心者向きかも。 この出版社から出ている東野作品はスキー・スノボ系なので、それらが趣味という人には好かれるかもしれない。 |
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これもまとめて読みたい誉田氏の少女心満載の武士道シリーズ。
今回は香織と早苗の一人称物語に加えて、脇役の短編集を挟み読み応えは抜群。 早苗のお姉ちゃんの西荻緑子の物語では、「その気持ち分かる」と頷く女子がいるのでは。 男物短編に少しだけミステリー要素を加えた今作も一気読み必須。 4作目のジェネレーションではどういう展開が待っているのだろうか。乞うご期待。 |
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柏木夏美シリーズの2作目。
前作ではボーカルの自殺の原因を探るところに若干のミステリー要素はあったが、今回は題名の通り バンド解散からの夏美の進路がどうなるのかというところに焦点を当てているのでミステリー要素はゼロ。 夏美はバンドをやりたい、しかし事務所はソロを押す。 「ギター以外のメンバーがいないじゃないか」の一言から夏美のメンバー捜しが始まる。 事務所の以外な根回し、夏美の根性アルバイト、音楽性の違いから嫌いだった人を好きになったり、 とにかく読んでいて内容に引き込まれていく。これぞ青春という感じ。 私もギターを弾くので、本の中のデビュー曲の詩をイメージに合うように作曲してみた。 ポップロック調のいい出来になったと思う。アッパレ。 いつも思うが、作者の誉田哲也氏の心には少女が住んでいるのだろうか。これにもアッパレである。 |
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小説の中で流れる血は血糊ではなく生身の血だ。
ホラー映画の血よりも、プロレスやボクシング等で生身の血が流れる流血試合に興奮される人は読んでみよう。 前作の「殺人鬼 覚醒編」でも有名なホラー映画を例に取りレビューさせて頂いたが、 今作はハロウィンのマイケル・マイヤースの残虐性を数倍アップさせた殺人劇だ。 病院の中での連続殺人が起きるので、「ハロウィン2」をどうしても思い出してしまう。 そして殺人方法は前作ではとにかくグロい表現に固執していたが、今作はそれに加えて痛い表現が多い。 とにかく読んでいると顔が痛くなる本だ。プロレスを例に取りいくつか解説してみる。 口の中にナイフを入れて引き裂く→恐怖!ミスターポーゴが鎌を中牧の口の中でゴリゴリさせる。 耳の中に鋏を突き刺す→ブッチャーがテリーファンクの耳へ五寸釘を突き刺す。 他にもプロレスのデスマッチを彷彿とさせる表現がいくつも出てくる。 肝心のトリックの方は前作よりも弱めだったこと、殺人動機が弱いことに減点。 このような終わり方だと、ホラー映画では殺人鬼は復活するので、いつの日か3作目が出ることを期待する。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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始めに断りを入れるが、唯の短編集だと思うと大怪我をすることになるのでご注意を。
一つ一つのお話は登場人物も舞台も違うが、それぞれの事件に「シズガ」という少女が暗躍している。 そして章が進むことに、「シズカ」の正体が徐々に明らかになっていく。 最終章を読む前までは、正に悪女という感じだったが、最後には妹思いのある一面を見せて涙を誘った。 謎のまま終わってしまうところだけ減点をさせてもらうが、誉田氏久しぶりの警察ホラーアクションにあっぱれ。 非常に読みやすく、東野圭吾氏の「白夜行」のような流れで進んでいくので、東野ファンへもお勧め。 DVDでも出ているので、実写版も気になってしまう。 帯に書いてあった2012年度面白い本大賞第1位も伊達ではなかった。 |
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囁きシリーズ3作目である。現時点ではシリーズラストとなる。
特に続きものではないが、1作目と2作目の地名は出てくるので、なるべくならば順番に読むのがベスト。 今までのシリーズ通り、主人公の心に幼少期時代の体験が囁きとなって木霊する。 この囁きだけでは幼少期の体験を完全には思い出すことはできない。 主人公の兄の死から始まる連続殺人を通して、この囁きが全て明らかになることで殺人劇の謎もまた明らかとなる。 真犯人が明らかになる前に伏線を置くことで読者を惑わす効果がすばらしい。 意外すぎた犯人に驚き、後で継ぎ足したか?と思われた。 がしかし、気付かずに読み進めていた中で、恐らくどこかに真犯人に繋がる記述はどこかにあったはず。 これを探る為に2度目も読みたくなる、、、これぞ綾辻マジック。 綾辻氏の作品では館シリーズが最も有名だが、この囁きシリーズも読みやすく面白いのでお勧め。 |
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東野圭吾久しぶりの本格推理ではなかろうか。
自殺、バス事故、そして脅迫とスリルとサスペンスが交錯し、最後の首謀者の告白に驚嘆させられた。 この小説のコンセプトは「生みの親と育ての親」。これにカッコウの生態が似ていることからこのタイトルなのか。 最後の方に「カッコウ」を語る文章が出てきたので、タイトルは後から付けられたと予想する。 にしても、ミステリーものにこのタイトルは無いだろう。 インパクトに欠けるし、面白そうと思って手に取る人は少なそう。恋愛ものなら有りだと思うが。 東野ファンなら読むべきマスト本だが、初心者にはとっつきにくいという印象。 それと最近の東野さんの文章の書き方にも変化があるような気がする。 文が「~した」で終わるのが圧倒的にに多いのだ。 これでは一文で途切れてしまう感じがして、前後の文章との繋がりがあやふやになってしまう。 読んでいてなんか気持ちが入ってこない。もちろん段落の最後で「~した」は結構なのだが。 最近、他の作家の本も読むようになったので、読みづらくなったという感想を持ってしまった。 と、このように段落の最後でなら「~した」は全く違和感なく、次の文章を読めますよね。 他のこの本を読まれた方はどのように思われたのか気になるところ。 育ての親の自殺の原因がなんとなくわかりづらかったが、それでも面白いのは変わりない。 |
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【ネタバレかも!?】
(3件の連絡あり)[?]
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ミステリーに読み飽きたら、このシリーズを読むのがベスト。
出会いあり、別れあり、涙あり、笑いあり、続編もこの上ない面白さだった。 タイトルの通り女子高生が奮闘する物語だが、私のようなアラフィフが読んでも面白いものは面白い。 青春系を読みたくなったら迷わずこの本を手に取ろう! |
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目次を見て「なんだ短編集か」と思ったのは私だけではないはずだ。
二話目を読み始めたら「まだ続いてる!」と思った時に思わず興奮した。 ある一つの殺人事件を捜査する際の捜査対象となった家族や人物に焦点を当て、容疑を晴らすと一話が終了する。 後半になるにつれ、手掛かりも増え事件は核心に迫っていく。 このような手法に初めて出会った本で、東野さんにあっぱれである。 加賀恭一郎シリーズは全て読破しているが、これほど人情味溢れる、温かく優しい気持ちになれたのは初めてだ。 こんな刑事が所轄で埋もれてるなんておかしい。もっと評価されてもいいだろう。 テレビドラマでは阿部寛が演じているが、人格容貌とも完全にシンクロする。 また、タイトルにも納得。 加賀刑事が日本橋署に移動してきたばかりなので自分を「新参者」と呼んでいる。 書き方、登場人物、事件の真相、全てに感服した東野氏後期のベスト本である。未読の方には是非お勧めしたい。 |
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冒頭から3年前の十角館での事件が述べられ、否が応でも盛り上がることこの上なし。読む手が止まらない。
物語の進め方にも十角館との共通点がある。 時計館の新館と休館での出来事を交互に進めていく、憎らしい書き方! 河南君が再登場することで、十角館での興奮再びである。 直前発表の霧越邸で不発の原因となった薀蓄は一切なし。無駄な表現はどこにもない。 新館の方では時計館の謎に迫り、旧館では連続殺人事件の犯人捜し及び謎かけに挑むこととなる。 二つの話を同時進行させる方式は綾辻氏の定番のやり方だが、話が途切れる感が無い。 実は、旧館の連続殺人の犯人当ては、下巻の序盤で大体検討がついてしまう。 またトリックも上巻を読むだけで多分こうだなと思ってしまう。 それなのに大絶賛したいのは新館で語られる、時計館が建築された背景にある。 親が子を愛する気持ち、自ら命を絶った儚い娘の気持ちを考えると涙が止まらなくなる。 本格推理小説でありながら、壮大なスケール感を併せ持つ、物凄い小説だ。 一つだけ残念なのは最後が普通すぎて、騙された感をあまり味わえなかったこと。 なので個人的には十角館と迷路館を超えることはできなかった。 |
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姫川玲子シリーズの短編集。
姫川の所轄時代や、上司の今泉係長との出会いの話もあり、短編集ではあるがファンにはたまらない作品。 文章の読み易さはピカイチ。グイグイ物語に引き込まれる。 もっと読みたいと思うところでお話は終わるが、これはこれで良いだろう。 特に第三話の「右では殴らない」では姫川が売春で稼ぐ女子高生に説教する。 女子高生の生意気な態度に喝を入れるところに共感。 この女子高生が姫川に憧れて警官になってくれることを願う。 どのお話も楽しく読ませて頂いた。ファンならば絶対に読むべき一冊であろう。 |
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東野圭吾作品としては初となるであろうSFパニック小説。
13人の老若男女が自然災害に立ち向かい生き残りをかけてゆくサバイバル生活に息を呑む暇がない。 ページ数の割にはあっと言う間に完読でき、最後には安堵できる。 ラストをもう少し厚くすれば更に完璧であった。 東野さん、新しい分野に挑戦しました、的な本。 |
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